ケ時々ハレ・2

楽しむために、「晴れ」のために「褻」を生きてます。左脚も人工股関節にしました。右人工股関節はライト、左はエルといいます。

2018年3月1日(木) 「毒薬と老嬢」

2018-03-07 21:07:32 | 劇団NLT
博品館劇場へ劇団NLTの「毒薬と老嬢」を観に行く。
NLTはコメディ路線50周年を迎える。




「毒薬と老嬢」は31年前の初演時に観ている。
ツワリ明けで、久しぶりにお出かけらしいお出かけをした時だった。
たぶん不安がある外出で、気もそぞろだったのだろう。
ストーリーをまったく覚えていない。

中嶋しゅうさんが悪役で出ていたのと、賀原さんがアビィ伯母様だったのと、金田賢一氏と藤尾美紀嬢が客演で出ていたことだけは覚えている。

今回、31年ぶりに観て、
「こんなにおもしろい芝居だったのか!」
とびっくりたまげた。
何を観てたんだ、31年前の私。
ぼーーーーーーーっとしていたんだろうなぁ、たぶん。

今回は客演なしで、NLTの俳優だけで上演された「毒薬と老嬢」だった。
これが嬉しい。

伯母様たちを有里さんと阿知波さん。
可愛い甥のモーティマーを小泉駿也さん。
私の一押し。
「毒薬と老嬢」の笑いの第一歩は、まずモーティマーがどれだけ愛らしいかにかかっているのではないだろうか。

本当に綺麗で可愛らしい小泉さん。
伯母様たちが彼を愛するのも、彼が伯母様たちを大切にするのも、とてもよくわかる。

その可愛くて愛されているモーティマーが、伯母様たちを守るために2時間強の上演中、ほとんどずっとテンパりっぱなし。
困って必死になっている人を見るのは、楽しいし嬉しい。
応援してあげたくなるじゃないですか。

平松さんの神父は、川端さんのマッドドクター・アインシュタイン(初演はしゅうさん)がメイクを始める頃には、すでにメイクを落とし始めているという話だったが、最初に顔を出しておくことで、ずーっと「エレーンの陰にあの神父あり」と印象づける。
それがなければ、モーティマーももしかしたら、あそこまで親族の性癖の傾向を思い悩まなかったかもしれないので、とても重要。

考えてみたら伯母様ふたりの禁じられた慈善運動といい、一番上の甥、殺人鬼のジョナサン(初演は平松さん)といい、自分をルーズベルト大統領だと信じ込んでいる二番目の甥のテディといい、言われてみれば確かに「あれ?」という感じではあるのだ。

エレーンはダブルキャストで、私が観た日は吉越千帆さん。
モーティマーとエレーンのキスシーンで、わざわざモーティマーがふたりの立ち位置を交換する動きがあって、なんの意味があるのかよくわからなかったが、もうひとりのエレーン・三井千寿さんの時に、ここは笑いが起きるシーンなのだった。
三井さんは背が高いので。
もうひとりのエレーンも観たかった。

川端さんのアインシュタインと、池田さんのジョナサンとてもいいコンビネーションで、遠い記憶のしゅうさん&平松さんのごつごつした感じとは違った。

何をしていても、川端さんと有里さんのすばらしいこと。
おふたりとも可愛いし、強烈な安心感がある。

阿知波さんも有里さんとの対比がよかった。
若い伯母様で、歌声も披露してくれたし。

どんどんゴチャゴチャ、メチャクチャになっていくのに、もつれた糸の一本をツンと引っ張るだけで、しゅるしゅると綺麗に収束していく喜劇。
これが好きでNLTにハマっていたのだよ。

観客と共有して笑わせてくれるいくつかのキーワード。
「パナマへ!」
「ああ、美味しい!」

今さらながら大好きになった「毒薬と老嬢」。
今回のキャストで観られてよかった。
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