手をすり抜ける

飲みさしの玄米茶あり 思慮のない雑な若さに胸が血を噴く

父、82歳

父に会い 小遣いもらう還暦に近き身の不甲斐なさ 六月十九日

高井治さん

善き人の 善き声 善き見目 善き姿 無垢な心を隠す 仮面は

毎日楽しい

褻の続く日々を彩るニューアイテム iPad miniと仔猫の月ちゃん

広瀬ゆたかさん

長く長く眠りたる七人目の男 今しも復活の胎動



千年も万年も待たむ 彼の人の目覚める時ぞ 波打ち寄せる



なよやかに花よりも花の如き人 咲くも桜 散るもまた桜



復活のとき来たれりと宣言せしは父であり母である彼の師



始まりの希望垣間見ゆ 象徴の「創刊号」 以下次号に続く

キャンディクラッシュ

キャンディの旅路の遙か先を行く友に救われ歩む楽しき

仔猫が来たとき

薄き皮膚 熱き体温 柔らかく強く跳ねる小さき獣


たくましく艶やかな大人 こころもとなき かそけき仔猫 対等


添ひ寝せむと言いけるにぷいと背を向けて 去り行く美猫のプライド

ニノ

寝ても寝ても常に眠いと言うニノの冬の悩みに共感をする

八月の花

八月の花見に花はなけれども 鮮やかに咲くジェイの花々

八月に咲く桜あり ロクディムにこの人ありと知らしめむとて

代われるものなら

乞ふまでに恋ふ彼の人の負ふ闇はいかにかあらむ桜花散る

叱責を受け

など立たぬ など立てぬ 繰り返し問ふ 身を縮ませる心なき声


立ちつつけられずとも世に願ひしは 痛まぬ脚 なほ歩める脚


ひょこひょこと律動を生む脚長差 如何ばかりか痛まぬ脚なれば

シャンプー

種に合わぬ十一キロの体躯持つ癲癇の猫を洗ひてゐたり


仔猫の如き声で抗ふ癲癇の猫を洗ひて寂しくなりぬ

石丸幹二さん

壁抜けるのみならず時かける人 壁抜けてどこかへ連れ去って

ファン歴３年

長々と 身を横たへるクロコダイル ジェイと在る我が時を見てをり

仮面劇場

 

うち震え おののき仮面（マスク）被りたり 船上に駆け出づる腕白小僧