周囲では賛否両論。
娘などは
「見ない方がいい」
とまで言った。
曲のテンポや、流れが違っていて気持ち悪いのだそうだ。
この娘は四季「CATS」初演の頃には影も形もなかったし、当然観ているわけではないのだが、一種のインプリンティングなのか、頑なに
「初演の『CATS』を超える『CATS』はない」
とまで言う。
ワークショップでお世話になった先生方への思い入れもあるのだろうけど。
「次にいいのは五反田の『CATS』」
って、それはあなたが最初に観たCATSだからでしょうよ。
上映後に若い2人組の女性が怒気を孕んだ口調で、
「全然違う! 全然違うね!」
と語り合っていた。
同じであるはずがないのです。
四季の「CATS」を求めて映画を見るから不満が噴き出すのであって。
ロンドン版『CATS』でさえ圧があっさりしていて違うといえば違うもんね。
もっと言えば、今の「CATS」と初演の「CATS」も、なまじ「全然違うわけではない」からタチが良くない別物です。
それぞれ楽しみ方はあるのです。
私は映画の「CATS」おもしろかった。
以下、なるべくネタバレしないように書きますが、敏感に感じ取ってしまった方はごめんなさい。
主役がヴィクトリアだと聞いていたが・・・なるほど、ヴィクトリア兼シラバブなのね。
容姿はシラバブそのもの。
観客の視線で、観客と同じ立場で、猫たちにいろいろ教えられて、猫の世界へ入り込んで行く役割。
とても可愛い仔猫でした。
仔猫を袋に詰めて投げ捨てた奴は許さん。
驚いたのは【彼】が【彼】と対決してやっつけたこと。
あの2匹が同時に存在するんだ!
(私の愛する【彼】です)
大笑いしたのは【ヤツ】が【彼女】とデュエットして、自画自賛してたこと。
宝塚の大階段みたいだったわよ。
もう1匹の【彼女】はどうした?
そして【ヤツ】がジェリクル志望・天上行き志望だったとは。
たぶんキミが行っても天上、楽しくないと思うよ。
デュトロノミーが雌猫なのも、別に違和感はなかったけれど、丹靖子さんにしか見えなかった。
雌デュトロノミーは、やっぱりキーが苦しいのではないか。
オクターブ、上に行ったり、下に行ったり、しばしば行ったり来たりしていた。
ミストフェリーズは自信のない気弱な感じが強調されていた。
タガーはもっとチャラくてもいいかも。
グリザベラ。
凄かったです。
「Touch me~♪」
で泣いたのは初めてです。
そもそも「CATS」で泣いたことなかった。
うちで飼っていた真っ白猫の響子が死んだ後に、グリドルボーンを見てメソメソしたことはあったけれど。
光枝さんの退団後のライブで「ガス」を聴いて嬉しくてボロ泣きしたけれど。
「CATS」の本筋で泣いたことはなかった。
あんなに心からの「Touch me~♪」は聞いたことがない。
あれを聴けただけでもよかった。
そんなこんなで、違いも含めてたっぷり楽しみました。
応援上映ないかな~。
一緒に歌いたい。