集英社。24年刊。開高健ノンフィクション賞受賞。
78年福岡生まれ、日本農業新聞に入社後、12年よりフリージャーナリスト。
新聞の書評に載り読みたいと思った。面白かった。
開高健ノンフィクション賞受賞。
対馬(人口3万)、長崎で方言での記述もある。
2011年頃から、横領は22億!!
考えられない数の顧客がいたある男。
驚きの横領が誰も口を割らず起きていた。
唖然よりさらにさらに・・
昨年の、大手バンク貸金庫からの億単位横領も、誰にもわからず
なぜ可能だったか・・少し似ている面もあると読んでいて感じた。
こちらは集団なので、状況は違う。
著者が書いていない視点から、私の考察を次のページで。
農協は縁故が多く、職員の関係も濃密。知り合いが多い。
狭い地域での安定雇用は市役所など公務員系か、
JAしかないこともある。
農協組織が複雑なことを初めて知った。中でも農業事業はほぼ赤字。
共済など金融事業で補填していた。
そこにめを付け、97年に入り、瞬く間に
王様となった西山は横領を開始。
二人ほど、彼の行動がおかしいと思ったJAの職員もいたが、
左遷黙殺された。
一人は取材には応じないで、退職。
一人、小宮は元上司、支店長。疑惑を向け、色々話してくれた。
取材中すでに肺がんで入院、61歳で取材途中で亡くなった。
真面目な方、JAでの心労もあっただろう。
女性職員も知っていたが、いうと排除無視される。
それが嫌でその後退職している。
22億もの横領額。損害はあくまでもJA共済連で、JA対馬は信頼を
損なったが、経済的な損害はない。もう終わったことになったよう。
小さい島。長崎より韓国まで50キロの対馬では、
どうってことなかったのか・・
誰も損をしてはいない。みんな一緒、ぐるになり、お金を
もらおう。自民党みたい。(^^)/
首謀男が、突然自殺しただけ。地図で対馬を見てしまう。
西山はJAへ入り、すぐに営業成績をあげ、年収は3千万とも噂。
これは誰かが、こうすれば稼げると、裏で教えていたらしい。
ブランドファッション、時計はロレックス何個も、
フィギュア「ワンピース」の熱烈なファン、部屋に何千個もの
フィギュアが飾ってあった。それだけでも百万単位になる。
職員のノルマも彼が成績をあげていて
王様のいいなり、西山軍団と呼ばれた。
台風時は横領のチャンスで多忙になる。
台風被害を大きくし、多額な保険金をもらう。
西山と保険請求者でわける。彼は画像を何枚もPCに入れていた。
そこから大被害のような画像を提出。そのせいで営業だが事務が多く、
所内にいることが、ほとんど。それでも彼の実績を選び
裏があるか・・誰も口外しなかった。
LA甲子園(命名がセンスなし)で何度も優秀賞をとった。
福岡まで職員をつれ、高価な飲み食い、みな彼がだした。
西山の母は息子一人が悪くはない、調べてと取材でいう。
日本独特のムラ社会、同調圧力、皆で一緒、黙っていればいい。
通帳、カード、印鑑を預けるのも普通。
パソコンも誰でも見られる。信じられない対馬JAの状況があった。
首謀者は自殺で、一応調べはおわったのか・・
ネットでも詳しくはでていない。JAが抑えているか。
他のJAでも似たようなことはあったという、記述もある。
古い体質、一人で何かいうと、抑えられ最悪は退職に。
ノルマも郵政と似ている。一人50万、多いと百万単位。
身内をみなJA共済などに入れる。
そこで仲間も増える仕組みが日常だった。
西山は横領金で不動産にも手を出していた。
他の事業をしようとしていたか・・
死ぬ少し前には、だんだんと彼の周りに人がよりつかなくなった。
10年位経過、さすがにまずいと感じたのだろう。
自殺の前にも事故でけがをしているが、誰も心配はしなかった。
そのころから、立場の変化を感じていたのか。
この横領はJAに限らず、狭い日本の地域で、発生する事例である。
欧米では個人主義が徹底しているが、日本、特に地方の狭い地域は
一人、はずれると恥、圧力もかかる。どこかで、額は違っても
似たようなことがあるかもしれない。
19年2月、寒い海。44歳、妻子を残し、多分発作的に
午前8時過ぎ車で海へつっこむ。普段着。溺死。
私の考えは次のページに。
作者のネット記事から。
〇JAの共済事業には過酷な営業ノルマがあり、それをこなせない職員は
自爆営業(営業目標を達成するために自分や家族の名義で不要な共済を契約すること)をしてきた。
自爆せずに済ませようと、一部の職員は顧客に不適切な契約をさせる。あるいは自爆した金を取り戻すため、横領に手を染める。
『農協の闇』でそんな不正のカラクリと、職員や組合員たちの苦しみを告発するため、各地の不正事件を調べる中で見つけたのがJA対馬のそれだった。
報道によると、同JAの職員だった西山義治は11年から共済金を不正に流用していた。その手口は、顧客に払うべき共済金を自身や親族の口座に入れたり、
事故を捏造(ねつぞう)して共済金を架空請求したりするというものだった。それが発覚して責任を追及され始めた矢先、彼は自ら運転する車で海に飛び込んで亡くなったという。
~~西山の死が劇的だったからというだけではない。彼はほかのJA職員と違って、ノルマをものともしないような営業実績を上げてきた。
それゆえ、全国で毎年数人だけにしか与えられない「総合優績表彰」を12回も授与されていたのだ。
おまけにJAの関係者らによると、その営業実績は「総合優績表彰」においても、ほかの受賞者を大幅に引き離すほどだったという。
人口がわずか3万人程度の国境の島で、いったいどうやって日本一の営業マンになれたのか。そのことと、巨額の不正の間には何か関係があるのか。
そもそも22億円超という巨額の不正は一人でできるものなのか――。次々と浮かぶ疑問の先には、
『農協の闇』で解き明かした不正の構造だけでは片づけられない、そしてまたうかつに触れてはいけない、別の大きな闇が潜んでいる気がした。
~~一つだけ種明かしをすれば、事件の責任を負うべきは、決して西山一人だけではなかった。
そこには、1000万人以上の組合員を抱えるJAグループという巨大組織が複雑に関わっていた。