~~西山の死が劇的だったからというだけではない。彼はほかのJA職員と違って、ノルマをものともしないような営業実績を上げてきた。

それゆえ、全国で毎年数人だけにしか与えられない「総合優績表彰」を12回も授与されていたのだ。

 おまけにJAの関係者らによると、その営業実績は「総合優績表彰」においても、ほかの受賞者を大幅に引き離すほどだったという。

 人口がわずか3万人程度の国境の島で、いったいどうやって日本一の営業マンになれたのか。そのことと、巨額の不正の間には何か関係があるのか。

そもそも22億円超という巨額の不正は一人でできるものなのか――。次々と浮かぶ疑問の先には、

『農協の闇』で解き明かした不正の構造だけでは片づけられない、そしてまたうかつに触れてはいけない、別の大きな闇が潜んでいる気がした。

~~一つだけ種明かしをすれば、事件の責任を負うべきは、決して西山一人だけではなかった。

そこには、1000万人以上の組合員を抱えるJAグループという巨大組織が複雑に関わっていた。