言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

放射線による人体への影響

2011-03-30 | 日記
 放射線による人体への影響ですが、下記のサイトをみつけました。Q&A形式で、情報が提供されています。

 「放射線、「健康に直ちに影響はない」が…」で引用した情報と関連している部分のみ、抽出して引用します。下記の情報 (日本放射線影響学会による情報) によれば、現在、とくに放射線による影響(発病等)を気にする必要はないようです。当ブログの情報も訂正しておきます。

 ほかにも有益な情報が多数ありますので、ぜひ、リンク先 (日本放射線影響学会) の情報を直接ご覧ください。



日本放射線影響学会」の「福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問窓口 (Q&A)

私達は、放射線の生物影響を研究する大学等の研究者の有志が集まった日本放射線影響学会会員の有志グループです。東北関東大地震を被災され、様々な苦難を強いられている皆様に心からお見舞い申し上げます。

私は、未曾有の大地震を映像で見て言葉を失ってしまいました。この大地震を切掛けに起きた東京電力福島第一原子力発電所で起きている原子炉事故に伴う放射線および放射性物質の放出によって地元の方々ばかりか日本国民の多くが見えないものに対するどうしようもない不安を感じておられると思います。私達は、事故の素早い収束を願っています。しかし、TV報道などを通じ、一般の皆様が日頃なじみのない放射線の健康影響について計り知れない多くの不安を抱えておられることを目の当たりにして、放射線の生物影響の専門家である私達が、自分達の持つ知識とこれまでの実験的事実に基づいて現状を解析し、皆様の疑問に答え、少しでも皆様の不安を和らげて頂きたいと思い、このQ&Aを設けました。

皆様が感じておられる不安を解く情報をこのQ&Aの解説から見つけて頂き、少しでも各自が納得いく行動を選べるように期待しています。また、このQ&Aを読まれて疑問が生じたとき、まったく新たな疑問をお持ちの時は、どうぞご遠慮なく、e-mail: gimon@rri.kyoto-u.ac.jp(渡邉)までお寄せください。メンバーが適切な解説を作り、その一部はHPに掲示するとともに皆様に回答させて頂きます。なお状況は時々刻々変化します。そのためHPの内容は、状況を判断しながら更新してゆきますのでご理解ください。

ささやかな支援ですが、少しでも皆様のお役に立つことを願いっています。

平成23年3月18日
日本放射線影響学会
福島原発事故に伴うQ&Aグループ
代表:渡邉正己(京都大学原子炉実験所放射線生命科学研究部門・教授)



解説--------------------------------平成23年3月29日午前11時現在 (ver7)

Q29 福島原発事故に伴う人への放射線リスクはどのくらいと推測されるのですか?

A:マスコミでは今回の事故のリスクを推測する参考事例としてチェルノブイリとスリーマイル島の事故を引用していますが、核分裂生成物による汚染は、実はそれより以前の方がかなりひどいということも思い起こす必要があろうかと思います。1950-1060年代、米国などが大気圏内核実験をくり返し行ったため世界中の大気が汚染され、日本の国土にも現在の約千倍から10,000倍の放射性セシウムが降下していました。しかもその汚染は核実験が禁止されるまで10年位続いていました(五十嵐康人先生達の論文、J. Environ. Radioactivity, 31 (1996年)157-169 頁を参照して下さい。ここから図を入手できます。)。この過去の事実を広く知ってもらうことも不安を和らげるために役立つのではないかと思います。ちなみにチェルノブイリの時も短期間ですが今の千倍量のセシウムが降下していました。むろんこれは原発近辺でのリスクの推測にはあてはまらず、そこから離れて核分裂生成物の汚染だけが問題になる地域での話です。現在50-60歳代以上の人は皆これらの被曝を経験していることになります。この人達にこれらのことによって健康影響がでているということはありません。くり返しますが、核分裂による放射性同位元素の世界規模での汚染は、現在の1,000倍の量で10年間、すでに経験ずみなのです。勿論、このことが安全性を確約するものではありませんが、もし、影響があったとしても、そのリスクは非常に少ないと思われます。どのくらい少ないのかを正確に理解するためには低線量放射線の生体影響研究の今後の進展を待たなければなりません。
(掲載日:平成23年3月27日)


Q25 放射線の安全規制値はどのようにして決められているのですか?

A:放射線安全規制値は、過去50年以上にわたって科学者がおこなった原爆被ばく者などの疫学調査および放射線の生体影響研究で得られた膨大な研究成果を、国連(UN)および国際放射線防護委員会(ICRP)などの専門家が収集して解析し、定期的(およそ10年ごと)におこなわれる放射線のヒトへの影響に関する勧告をもとに導きだされます。そして、現時点では、「ヒトは総線量100ミリシーベルト以下の放射線をあびてもまったく健康影響が現れない」というのが結論です。この勧告を受けて国際原子力機関(IAEA)等が、さらに検討して、安全のための規制値を国際的に提言します。その提言を受けて各国が自国の判断で規制値を定め法制化しています。我が国もこの勧告を受入れ安全規制値を作成しています。その安全規制値は、一般人に対して年間1ミリシーベルト、放射線業務従事者に対して年間20ミリシーベルトとされています。この規制値が疫学調査研究や実験の結果で人体に影響が現れない100ミリシーベルトより小さい値なのは、より安全側にたって規制するという厳しい考えを採用しているからです。安全を規制する場合、安全が確認されている数値をそのまま規制値として使うと、いざというときに対策をとる余裕がないので、安全側に設定されているのです。一般人に対する規制値である年間1ミリシーベルトは自然放射線量とほぼ同じレベルです。自然放射線とは、宇宙線、大地、空気、および食品や水に由来する放射線で、その量は、地域や標高などによって異なりますが、日本での平均はおよそ1.4ミリシーベルトです。標高が高い地域では宇宙線により、花崗岩が多い地域では大地からの放射線により自然放射線量が高くなります。したがって、一般人に対する規制値年間1ミリシーベルトというのは、「放射線事業者に対して放射線業務を行うにあたって、その業務をおこなうことによって一般人が受ける放射線量を自然放射線レベルに保ちなさい」という意味であると言い直すことができます。
(掲載日:平成23年3月27日)


Q14 仮に事故が拡大して放射線の影響がチェルノブイリ級まで広がった場合、大阪や東京での生活に影響はありますか?

A:3月15日頃から東京でも短時間の放射線レベルの上昇が見られていますが、新聞報道等にもあるとおり、それによる被ばく線量は少なく、健康への影響はありません。外出を控える必要もありません。問題は、事故が進展してさらに深刻な事態になった場合にどうなるかです。今後の展開は全く予測できませんので、ある程度極端な状況を想定して、過去の事例から学ぶしかありません。このような観点からはっきりしているのは、これまでの原子力事故において、一般住民の間で白血球が減る、髪の毛が抜けるといった急性症状は、観察されていないことです。史上最悪と言われたチェルノブイリの事故でも、2008年に発行されたUNSCEARの報告(Sources and Effects of Ionizing radiation, UNSCEAR 2008 Report Annex D: Health effects due to radiation from the Chernobyl accident, United Nations, New York, 2011.(国連科学委員会2008年報告書附属書D:チェルノブイ リ事故の放射線による健康影響))で見る限り、一般住民に確認されている放射線影響は、高濃度に汚染した地域における子どもの甲状腺がんだけです。それも、事故の後、放射性ヨウ素で汚染した牛乳を飲み続けたことが主な原因と言われています。当初、旧ソビエトが事故の存在を認めず、早い段階での避難や食品の摂取制限等が適切に行われなかったのです。したがって、これまでの原子力事故の経験に照らし合わせる限り、東京が人の住めないような場所になるとは考えにくい状況です。むしろ、人々がパニックに陥って西へ移動し始めた場合の混乱の方が懸念されます。大阪に関しては、どのような状況を想定したとしても全く問題ありません。
(掲載日:平成23年3月18日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂)


Q13 放射線による発がんリスクはどの程度ですか?

A:放射線によるがんと放射線以外の原因によるがんを、症状等の特徴で区別することはできません。そのため、どれくらいの被ばくをしたらがんがどの程度増えるかを知るためには、放射線を被ばくした人々と、放射線を被ばくしていない人々の間で、発がん率やがん死亡率を比較するという方法がとられます。これを疫学調査と言います。これまでの広島・長崎での原爆被爆者の方達を対象とした疫学調査を含む多くの研究結果から、100,000マイクロシーベルトの被ばくをすると自然のがん頻度に0.5%程度が上積みされると推定されています。放射線がなくても30~40%の人ががんで死亡しますから、それほど大きな値ではないことがわかります。寿命が長くなれば、がんによって死亡する確率は高くなります。この程度の被ばくであれば、喫煙や食事等の生活習慣の影響の方が大きいということです。疫学調査では、線量が低くなると、放射線を被ばくした人々と放射線を被ばくしていない人々の発がん率の差は、ほとんど検出できなくなります。従って、100,000マイクロシーベルトより低い線量の被ばくでがんの発生を気にする必要はありません。 (掲載日:平成23年3月17日)


Q12 被ばくによる身体的影響の特徴はなにですか?

A:放射線を被ばくしたことによって、身体を構成する細胞が大量に死んだ場合、その細胞が関係する部位に異常が現れます。例えば、骨髄には血液成分を作り出すおおもとの細胞(造血幹細胞)がありますが、放射線被ばくによりこれらの細胞が死に絶えると、結果として白血球や血小板、赤血球が作られなくなり、減少します。同じように毛髪の根元にある毛根の細胞が死ねば、髪の毛が抜けます。しかし、死ぬ細胞が少なければ問題にはならないため、ある程度以上の被ばくでない限り症状は現れません。最も敏感な影響とされる白血球の減少でも、500,000マイクロシーベルトという線量が必要です。 これに対して、がんと遺伝的影響は、細胞の突然変異が原因であり、低い線量でも発生確率はゼロではないとされています。しかし、100,000マイクロシーベルト以下の被ばくでこれらの影響が実際に生じるという実験事実はありません。
(掲載日:平成23年3月16日、平成23年3月24日改訂)


Q11 被ばくすると人に影響を及ぼす放射線量はどのくらいですか?

A:平均的な日本の自然放射線量は、年間およそ1,400マイクロシーベルトです。放射線障害を防止するために取り入れられている放射線作業従事者の被ばく限度は、年間20,000マイクロシーベルトです。それ以下の被ばくなら有害な人体影響をおこさないというのがこれまでの疫学調査や研究の成果を総合的に検討して導かれた結論です。しかし、この20,000マイクロシーベルトと人体に影響が現れる線量との間には開きがあり、現実には、100,000マイクロシーベルト程度の被ばくでも放射線の影響があるという報告はありません。
(掲載日:平成23年3月16日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年3月29日改訂)


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