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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

すべての道はローマに通ず(下)-塩野七生

2020年08月13日 | 読書
評価5

この巻は水道と医療、教育のお話。

ローマには11本の水道が近郊の水源から地下や高架橋(水道橋)を経て引かれていた。この水は衛生を保つために出しっ放しであり、公共用(共同水槽)、皇帝用、私用の3ルートに区分けされていて、私用の水道は導管の太さ毎に料金が決められいた。大浴場がいたる所にあったことでもわかるようにローマ人のきれい好きが疫病抑制にも貢献していたとのこと。

医療及び教育は公的機関として存在せず自由市場であったので、高名な開業医の診療代はかなり高額であったらしい。初等教育は7歳~11歳、中等教育は12歳~17歳、高等教育は18歳~20歳。初等教育では分数、九九を学び、中等教育ではギリシア語、文学、歴史、高等教育ではエリートを目指す若者たちが弁論を学んでいた。

当時の医師が記した患者への対処方法で笑ってしまった箇所があったので紹介しておきましょう。

「医師は患者に、何よりもまず親身に対するべきだが親密になるのは避けるほうがよく、診察に出向く前にはにんにくやねぎを入れた食事を口にすべきではないばかりでなく、葡萄酒も控えたほうがよい」

凍ー沢木耕太郎(再読)

2020年08月13日 | 読書
評価5

日本を代表するクライマー・山野井泰史、妙子夫妻がエベレスト北西に位置するギャチュンカン峰北壁(7,952㍍)に挑戦、猛烈な雪嵐の中、泰史は登頂を果たすが下山がままならない二人に雪崩が襲い掛かる。次第に意識が朦朧となる二人はどのようにして生還できたのか、ノンフィクションの傑作!

二人は両手両足の指のほとんどを凍傷で失いつつも、零下30℃~40℃の標高7,000㍍を超える切り立った壁の幅7~8センチの棚でビバークしたり、ロープでブランコを作って宙づりのまま仮眠をとる状況が人知を超えていて想像すらできない。

クライミング技術がよくわかならいので、下降時のシーンが具体的に浮かんでこないことが悲しいが、極寒の中で手袋を外してハーケンを何時間もかけて打ち続け、お互い視力を失いつつも平地に降り立った場面では再読にもかかわらず目頭が熱くなった。しかし、これで物語は終わらない。ほとんどの体力を失った二人にはベースキャンプまでの距離があまりにも長すぎた。ほぼ1歩が出ない妙子を置いて泰史は消えつつあるエネルギーを絞りだしてベースキャンプへたどり着いたのだ。

そして、その後、二人のクライミングにかける情熱が失われていないことが凄い!何度でも読みたい本です!