昭和４３年白堊野球物語１１－作：佐藤泰久（Ｓ４２）

◆青春の京都

１３日夜は京都・円山公園泊、仮眠をしていると「安保粉砕、佐藤倒せ」の声に起こされた。「べ平連」のデモだ。眠気もさめ、近くの不夜城・祇園を見物してから、再度シュラフに入る。１４日は平安神宮、京都大学、吉田神社、御所などを巡って船岡山公園泊、１５日は金閣寺、二条城を経て嵐山へ。桂川にかかる渡月橋の下流に河川プールの脱衣テントがあり、格好のねぐらとなった。

この嵐山では自称東洋大哲学科一年のルンペン氏と意気投合、１６日にはいっしょに守山公園などを散歩した。ルンペン氏に別れを告げて昼すぎ四条の高島屋付近を歩いていると「おいタイＱ！」と肩を叩いてきたやつがいた。おっと振り向くと、遠藤直邦君、川村祥平君ら野球部ＯＢが総勢５人。京都も狭いものだ、この日は野球部ＯＢ・Ｋ君の下宿に泊まることにした。

総勢６人、夜遅くまで野球談義に花が咲いた。明日１７日の対戦相手は優勝候補、大分代表・津久見だ。「勝ち目は無い」、その場の野球部ＯＢ全員の結論だった。