社長日記

日々の出来事や、感じることなど、思いつくままに・・

西庄 旧町開発物語 シーズン2 第1話

2013-03-13 17:07:37 | Weblog

長い時が過ぎた。

ブログの更新をさぼり始めてから・・・

思えば前回のシリーズの最中に、フェイスブックの参加も重なり、少々頑張りすぎたのかもしれない。

 

しかし、フェイスブックにおいては、いろんな人からの応援も頂き、むしろ誰が見ているのか見ていないのかも

分からないまま書き続ける事を思えば、とても励ましになった事は言うまでもない。

そろそろ迎える春に向け、新たにシーズン2を記載していこうと思います。

常に事件が起こっているわけではないので、刺激が感じられるかどうかは分かりませんが、私にとっても

自分の勘を信じる良いきっかけになった案件でしたので、良かったらご覧ください。

 

 

~  西庄開発物語 シーズン2 第一話  ~

 

様々な局面を乗り越え、ようやく狙いを定めた古い空き家の建つ土地を、クリエイトで売らせてもらうという

段取りがついた。

ふとしたボタンの掛け違いがキッカケとなり、仲たがいをしてしまった売り主様さんとも今はとても良好な関係で

連絡を取り合えている。

 

「 さて、まずは解体工事やな・・・ 」

 

お客心理というのは不思議なもので、実に環境の良い、利便性を兼ね備えた土地であっても、実際にそこに古家があると

やはり薄暗い印象を心のどこかに感じざるを得ない様である。

又、この土地については、既に購入客の目星はついており、更地にしてくれるのであれば・・・と大方の話はついていた。

 

 

売り主さんとは合意をし、解体工事を行ったうえで物件を引き渡すという条件で遂に工事が始まった!

 

 

「 思えば長い話やったわ・・・・・」

 

 

ドスン!ドスン!と重機が建物を壊していくのを眺めながら感無量であった事は間違いない。

この件についてはこれでほぼ段取りが着いたと言える。

しかし、一安心した私の眼には、その隣にある古い個人医院跡が映り、次の案件への期待と不安が入り混じっていた。

 

「 ここは連絡とれないな・・・ 。境界画定せなあかんしな・・・・ 。 どうしよう・・・・ ・ 」

 

解体中のこの不動産の売り主にしても、偶然転送された手紙が東京の売り主のもとに届き連絡が取れた様な次第である。

更には、この物件の両隣も空き家になっており、いまだにこの二軒の家主には行きあたってもいないのである。

実に最初に手紙を郵送してから1年が過ぎようとしていた。

 

「 もう一回法務局へ行くか・・・・・・・」

 

思い立ったらすぐに車に乗り、私は法務局へ向かった。

車内のテレビでは、アメリカで初の黒人大統領が誕生したというニュースが流れていた・・・・・ 

法務局で閉鎖謄本といわれる過去の所有者の変遷を調べなおした所、左隣の家については、最も新しい(とは

言っても昭和中期の記録であるが)大阪市の住所が記載されており、ほぼ確実に無駄足とは

思えたが、勢いで訪ねてみることにした。

 

 

「 1時か・・・着いたら夕方、帰りは遅くなるなぁ・・・・ 」

 

 

しかし、悩んでいても仕方がないのである。

和歌山人には慣れない交通渋滞に巻き込まれながら、実際にその足で向かった!

 

「 ここらへんやな・・・ 」 

 

ようやくそれらしきエリアに着いた私は、和歌山で言えば中央郵便局並みの大きさの郵便局の駐車場に

車を止め、付近を歩きまわった。

しかし、さすが大阪市中心部である。様変わりもはなはだしい程のビジネスビル街のど真ん中を歩く私には

西庄の古家のオーナーがこの近辺に居住しているとはとても思えなかった。

しかも、住居表示も大きく変わっているのか、どうもそれらしき雰囲気の所にも行きつかない。

悩んだ末、私は一番番地が近い、見ず知らずのお家のインターホンを押したのである。

 

ピンポーン♪

 

「 はい・・・・ 」

 

数10秒後、その家の方がインターホンに出た!

自分で押したとは言え、かなりの驚きである!!

 

「 あのう、突然すみません。実は私、和歌山から来ました不動産屋の者なんですが・・・ 」

「 はい。」

 

意外にも「 先を言え 」という低めのテンションの声が返ってくる。

 

「 実は和歌山の不動産の件で、所有者さんの○○さんという方を訪ねて来たんですが、ご存じないでしょうか? 」

「 う~ん、わし、長い事この辺りに住んでるけど、○○さんって聞いたことないわ。すまんな。 」

 

とご丁寧に教えてくれた。

 

「 そうですか。お時間をとらせてスミマセンでした。有難うございます 」

 

この様なやりとりを、何軒かで行ってはみたものの、全て同じ回答であった。

ふと、気付けば、辺りはすっかり暮れ、もはや住居表示を確かめる事も不審と思われる時間帯となっていた。

万に一つとも思い、近所の不動産屋に飛び込んで聞いてはみたが、一通りの自慢話を聞かされただけに終わり

疲れ果てた私は、2時間ほどの帰り道に着く事にしたのだった。

 

これだけの執念で隣の人を探すのにはワケがある。

繰り返しにはなるが、これから売ろうとする土地と隣の人との境界を確定しなくてはならないのである

これが出来なければ、基本的に物件を引き渡す事はできない。

購入したはいいが、思ったよりも隣家の土地がこちら側に入っているという事もあり得るからである。

状況にもよるが、何かしらの根拠となる境界杭の後やブロックへの印などが無い場合は、絶対にやっておかなくては

ならないのである。

更にやっかいな事に、実は解体中の土地と左隣の土地との間には半円づつお互いの境界に入っている古い井戸があった。

これは共同でこの井戸を使っていたと思われる形跡であった。

買主は、「 まあ置いといてくれてもいいよ。しばらく建築するつもりもないし、してもそこは使わんわ」

と言ってくれてはいたのだが、私としては、このタイミングで絶対にこの井戸は埋めておきたいと考えていた。

 

「 仕方ない・・・次の手を考えるか・・・ 」

 

私は明日の朝一番に、測量を行ってくれている土地家屋調査士の先生に相談する事にし、長い帰路についたのだった・・

 

 

次の日の朝、灰の落ちかけたマイルドセブンを片手に私はもう一度現場に行ってみることにした。

どうせ事務所から数分の距離である。

 

敷地を隔てるブロック壁がある以上、境界線はこのブロックの真ん中かどちらかのツラであるはずである。

私はそこだけぽっかりとブロックを設置していない井戸の上部から隣の家をのぞいていた。

 

 

鬱蒼と茂る手入れはされていない立木の奥の家は、もはや生活の匂いもなく、ひびの入った薄そうなガラスの向こうには

りんりんと鳴る黒い電話が置かれていた。

それはそうである。

一年前から草刈りでこちら側の敷地で何度も作業をしていたが、一度も人は見掛けた事もなく、外の郵便受けも

雨露でしおれたチラシが溢れかえらんばかりなのである。

解体工事が始まり、ようやく隣の家をじっくりとこちら側から見える今となっても、その状況には何の変わりもなかった。

 

 

「 しかし、どえらい古いなぁ・・・・ 」

むしろ感心して見ていたその時である。

 

 

ガラガラガラ

 

 

なんと!驚いたことに、その家から人が出て来たのである!!!!!

あまりの衝撃に、内臓が口から飛び出しそうになった事は言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                   続く・・・・・・

 

 

 

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