社長日記

日々の出来事や、感じることなど、思いつくままに・・

新連載 MY HOME への道 ⑨

2010-01-25 17:36:49 | Weblog
いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。
一月も終盤に入り、ようやく世間も日常を取り戻したかに見えます。
不動産の問い合わせは、本年は例年に無く多いように感じております。

やはり税制、価格の値下げが影響しているのでしょうかね_?



さて、本日は新連載 MY HOME への道 ⑨をお届けしようと思います。
このお話は100年に一度の大不況の最中、新築一戸建ての購入を目論んだ
とある30代半ばの自営業者にまつわるノンフィクションです。

ちなみに、前回の八話で土地購入編は終了となります。
購入者の心理を出来るだけ生々しく描くつもりだったのですが、素人なもので
ほとんどがローン話になっちゃいました。

この話の場合は、コレ!と決めた物件を買うための話でったので、この土地でいいのか?
と言う様な 「 迷い 」はほとんど見られず、自営業者が不動産を購入するのが
本当に難しいという事をお伝えするにとどまりました。

建築編では、更に値決めの難しさや、理想と現実との葛藤、どうやって進んでいくのか?
等をお伝えできればと思います。

               
                第9話
              ~ 建築編 ~

ようやく所有権が自らに変わった土地に男は立っている。
思い返せば、この三ヶ月、色々な事があった・・・
予定建築物の平面図を持ち、寒風に首をすぼめながら男はある一点を見つめている。

遡る事一ヶ月ほど前、若作りの設計士と男はニ社より提出を受けた見積もりをにらみつけ
電卓を激しく叩いていた。

若作りの設計士はとりあえず、男の希望を図面化したのだが、全くもってどの様な値段
になるかは、出たとこ勝負であった。
施主である男もそれは百も承知である。


しかし たかだか34坪程度の建坪で、2750万円と2460万円にもなるニ社の見積もりの存在感は
圧倒的である。


坪単価に直せば、一坪あたり70万円は確実に超えるというシロモノだ。
しかも外構工事はヌキである。

紅潮顔の男はここでようやく現実を知ったのか、若作りの設計士が電卓を叩く様子を
優しく見守っている。
複数社を参加させた競争入札の場合、出てくる見積もり書で参加建設会社の出す価格によって
その 「やる気」というものはある程度推し量れる。

しかし、今回の様に、ニ社でしか行わない場合、それすらも読み取り難いとも言えるの
かも知れない。


若作りの設計士 「 こんな見積を出して、恥ずかしくないのか?」


男は設計士の言葉に返す言葉も無いが、その発言からは、この二つの見積もりには
「 仕事をとりたい為の工夫 」があまり施されていない事が推察できる。


建築見積にも相応の知識がある設計士は、全ての項目についてのネット(原価)
を精査し続けている。


小一時間ほどの作業の末、若作りの設計士は結論を出した。


設計士 「ネットはA社の方が安いですね」

男 「 まぢで? 」

設計士の努力に対して、男の反応はあまりに薄い。
失礼な話である。



二人は、いくつかのやりとりを重ね、男は総額は高いが、原価の安かった方へ電話をかけた。

男 「 ○○さんですか? いやぁ見積有難うございました^^
    実は綿密に調べた結果、B社さんの方が120万円程頑張ってくれたんですよ
    今回は申し訳ない事になっちゃいましたが又宜しくお願いします」

先方 「そうですかぁ~。残念です。こちらこそ又宜しくお願いします」


男の心理は定かではないが、心情的にB社を選んだ。
しかし、単なる気分で選んだわけではない。

見積もり書には、前述の様に、その参加建築会社の「 やる気 」が表れる。
実は両社の金額差は、B社が図面の中で安く工夫出来る点を、独自に変え
価格に反映した結果であった。

全て同じ材料であれば、原価が安い分、A社の方が安いというのが真実なのである。
しかし、見積もりに取り掛かるタイミング、仕上げのタイミング、実際に現場に入る
業者さんとのカラミ、など多くを考慮した結果、出した答えがB社であったのである。



自営業者でもある施主の男は、仕事柄、あちこちに仕事を紹介する事も多い。
平素から実に多種多様な業者との接点の中で、男はある一つのマイルールを持っていた。

それはその仕事をやりたいと思っていないであろう業者には仕事を依頼してはならない
という独自ルールであった。



紹介者という者の立場は常に危うい。



男は、(お客様 - 男 - 紹介業者)という立場に立たされることが多く
その独自ルールだけは、危機回避のために習慣づいているのである。



しかし、断られたA社の名誉の為に言うが、このA社、設計士の目から見れば
図面に忠実に、見積もり書を挙げている点は、非常に好ましい会社である。


どちらの良い点、悪い点、それらを考慮のした結果、B社が勝利を得たのであった。




                   続く・・・



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