宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター・43-(追補)・ハッブル定数の食い違いについて

2021-03-07 10:39:42 | 日記

・追補

1、物質とダークエネルギー2成分の積分式から宇宙年齢を求める

・42-3・輻射-物質拮抗時期と宇宙の晴れ上がり時期 においては http://archive.fo/o02Wr の式 (5.26)を厳密解として扱い

『・・・x=0.945936 を得ます。これが時間軸で138.3億年相当の値になります。』としました。

この厳密解の式(5.26)を求める前の形が 無次元フリードマン方程式 の (5.18)式になります。

それでこの積分形式の式をそのまま積分することでも上記と同じ結果が得られます。

プランクのレガシーデータから

物質密度  Ω_m           0.321±0.013

ダークエネルギー密度 Ω_Λ      0.679±0.013

輻射項と曲率項はゼロとしてこのパラメータを式に代入して積分を実行します。

実行アドレス 

結果は0.945936となり、上記の厳密解を使った場合と同じになります。

2、物質とダークエネルギー2成分の積分式から宇宙の晴れ上がり時期を直接求める

さてそれで次には同じようにプランクのデータから宇宙の晴れ上がり時期ではその大きさがa(x)=1/1091.3 であったのですから、その時までの経過時間を求めます。

a(x)=1/1091.3=0.000916338・・・をつかって0(ビッグバンスタート)から大きさがそこまで膨らむ所までを積分します。

実行アドレス 

答えは0.0000326392 となりこれもまた・42-3・輻射-物質拮抗時期と宇宙の晴れ上がり時期 で得られた数値『x=0.0000326392 を得ます。』と一致している事が確かめられます。

 

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

https://archive.fo/GUbOg

 

 

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ホーキング放射とブラックホール・51-2・ホーキング放射を再考する(2)

2021-03-06 22:32:21 | 日記

、さてそれで次は英文のWikiにあたってみましょう。ー>ホーキング放射

『ホーキングの洞察は、仮想粒子として知られる量子物理学の現象と、事象の地平線付近でのそれらの振る舞いに基づいていました。
空の空間でも、原子より小さな「仮想」粒子と反粒子が一時的に存在し、その後、互いに相手を消し去る事で再び(存在から)姿を消します。
ブラックホールの近くで、これは光子のペアとして現れます。[2]
これらの光子の1つは事象の地平線を越​​えて引っ張られ、もう1つはより広い宇宙に逃げる可能性があります。
注意深い分析は、これが起こった場合、量子効果が負のエネルギーを運ぶ「パートナー波」を生成し、それがブラックホールに通過し、ブラックホールの総質量またはエネルギーを減少させることを示しました。[2]
 事実上、観測者には、重力によってブラックホールのエネルギーが減少し、より広い宇宙のエネルギーが増加したように見えます。
 したがって、ブラックホールは徐々にエネルギーを失い、時間の経過とともに蒸発する必要があります。[2]
ブラックホールの熱特性とこのプロセスに影響を与える保存法則を考慮して、ホーキングは、目に見える結果は非常に低レベルの正確な黒体放射、つまり温度がブラックホールの質量に反比例する黒体から放出されるかのように生成される電磁放射になると計算しました。[2]

プロセスへの物理的洞察は、粒子-反粒子放射が事象の地平線のすぐ向こうから放出されることを想像することによって得られるかもしれません。
この放射はブラックホール自体から直接来るのではなく、仮想粒子がブラックホールの重力によって「ブースト」されて実際の粒子になる結果です。[要出典]
粒子と反粒子のペアはブラックホールの重力エネルギーによって生成されたため、粒子の1つが逃げると、ブラックホールの質量が減少します。[5](注:粒子、反粒子のうちどちらの粒子がBHに落ちるのか、ここでは明示していません。)

プロセスの別の見方は、真空の変動により、(注:仮想粒子ではなく実粒子の)粒子と反粒子のペアがブラックホールの事象の地平線の近くに現れるというものです。
ペアの一方はブラックホールに落ち、もう一方は脱出します。
全エネルギーを保存するために、ブラックホールに落ちた粒子は負のエネルギーを持っていたに違いありません(ブラックホールから遠く離れた観測者に対して)。
これにより、ブラックホールの質量が減少し、外部の観測者には、ブラックホールが粒子を放出したように見えます。(注:粒子、反粒子のうちどちらの粒子がBHに落ちるのか、ここでも明示していません。)

 別のモデルでは、プロセスは量子トンネリング効果であり、(注:実粒子の)粒子と反粒子のペアが(注:ブラックホール内部の)真空から形成され、一方が事象の地平線の外側にトンネリングします。(注:粒子、反粒子のうちどちらの粒子がBHに落ちるのか、ここでもまた明示していません。)

ホーキングによって計算された黒体放射と黒体から放出される熱放射の重要な違いは、後者は本質的に統計的であり、その平均のみがプランクの黒体放射の法則として知られているものを満たし、前者はデータが良く適合していることになります。(注:黒体から放出される熱放射はおおよそその分布がプランク分布になる、というものであり、個々の放射にはそれなりの情報を載せる事が可能。だがしかし、ホーキング放射は個々の放射それ自体が純粋にランダムにプランク分布に従うためにそこには温度以外の情報が何もない。)

したがって、熱放射にはそれを放出した物体に関する情報が含まれますが、ホーキング放射にはそのような情報は含まれていないようで、ブラックホールの質量、角運動量、および電荷のみに依存します(ブラックホール無毛定理)。
これは、ブラックホール情報パラドックスにつながります。』

一番最初の段落がホーキングの計算について書かれたものであり、ホーキング自身は計算プロセスを「マイナスエネルギーの流れがBHに流れ込んでいる」として解釈した模様です。

それに対して以降の「物理的洞察」の所ではホーキング放射を説明できそうな3つの異なった物理モデルが紹介されています。そうして多分、どのモデルで計算してもホーキングさんの計算結果を再現できるものと思われます。

、さてそれで、以降はネットで紹介されているホーキング放射関連のあれやこれやを見ていきましょう。

2-1「3分間早わかり!スティーブン・ホーキングのブラックホール理論」

ま、見ていただけば「ホーキング放射の一般的な説明の概要」がよく分かる、と言うものです。そうしてBHに落ちる粒子は「マイナスエネルギーの粒子」であり、「その粒子が粒子か反粒子か、どちらであるのか」については言及がありません。

2-2ブラックホールの最後は? 「軽くなって消える」説が有力

BHに落ちるのは反粒子なのですが、その反粒子がBH内の粒子と対消滅すると2つの粒子を合計した質量分がエネルギー(光)になるだけで、それではBHの質量が重くなる一方なのですが、、、。

2-3ホーキング博士が語っていた「ノーベル賞がもらえない」理由

ここでもやっぱりBHに落ちるのは「反粒子」でした。

2-4衝撃的だった「ブラックホール蒸発」 ホーキング博士、宇宙論に影響大きく

ここでもやっぱりBHに落ちるのは「反粒子」でした。

2-5ブラックホールが,実は“蒸発”する可能性があることを示しました(ホーキング放射)

ここでもやっぱりBHに落ちるのは「反粒子」でした。

2-6【ノーベル賞】ブラックホールの最後はどうなるの?ホーキング放射とは?

ここでもやっぱりBHに落ちるのは「反粒子」でした。

2-7ホーキング放射

さて、ここでの記載は粒子、反粒子をいわないものになっています。(BHに落ちるのはどちらの粒子か不明です。)

2-8実はブラックホールは蒸発している!? 謎のホーキング放射の実態に迫る

ここでもやっぱりBHに落ちるのは「反粒子」でした。そうしてBHに落ちた反粒子がBH内の粒子と対消滅すると質量がエネルギー(光)になるだけで、それではBHの質量が重くなる一方なのですが、、、。

2-9ブラックホールが粒子をゆっくりとランダムに放射すること(「ホーキング放射」)

ここでは「仮想反粒子がBHに落ちこむ」のでした。

2-10インフォメーション・パラドックスとはなにか

『物質の量子効果を考えると,真空でもミクロなスケールでは仮想粒子の対生成が起こることになる.この対生成が地平面の外で起きたとしよう(図 2).この粒子対(以下,ホーキングペアと呼ぶ)は,正エネルギーと負エネルギーの粒子からなる.正エネルギーの粒子は,ブラックホールから逃れることができる.一方,負エネルギーの粒子はブラックホールに吸い込まれる.負エネルギー粒子が吸い込まれるため,結果的にはブラックホールのエネルギーは減り,ブラックホールは次第に小さくなっていく.遠方の観測者には,正エネルギーの粒子が届くので,あたかもブラックホールから粒子が届いたように見える.これがホーキング放射である.』

↑ ここでは何故か理由は不明ですが「負エネルギーの粒子はブラックホールに吸い込まれる.」という事になっています。そうしてまたホーキングさんの行った計算を物理的なイメージに変換するとこういう描写になってしまうのでした。

2-11重力崩壊するダスト時空の量子化による厳密な Hawking 輻射の導出

ホーキングさんがやった計算をより厳密にやった、というものになります。したがって「粒子ー反粒子の描像」は出てきません。

2-12弦理論から見たHawking 輻射 

弦理論の説明の前にホーキングさんが行った計算のレビューが行われています。

 

ネットロア:『インターネット上に起源が求められ、主にインターネット上で流布している都市伝説(フォークロア)を意味して用いられる語。

主に掲示板、ブログ、チェーンメールなどを介して、不特定多数に伝えられることが多い。』

ホーキング放射についてのネット上での説明もこの「ネットロア」に非常に近いものの様に思われます。

3、まとめ

ホーキングさんが先鞭をつけたBHの放射計算、その後多くの方々がいろいろな方法で計算し直しましたが、ホーキング放射そのものの物理的な合意されたモデルまでには至っていない様です。そうして「どうやらホーキング放射はありそうだ」という事にはなってはいるのですが、それを示す計算とそれを物理モデルに結び付ける事、つまりホーキング放射計算の裏にある物理現象についての理解についてはいまだ合意されたものがない、という事を示している様です。

真空が仮想粒子の対生成によって粒子・反粒子で満ちている、と量子論がいうならば、その描写から始まってホーキング放射を説明する「絵」が描かれなくてはなりません。その絵にはもちろんBHに落ち込む粒子の種別が、粒子・反粒子の種別が明示されている必要がり、それはつまりホーキング放射として観測される粒子もまたその種別が明示されている事が必要である、という事になります。

たとえば ブラックホール/ホーキング放射:反粒子のみをキャプチャする理由 の様な議論があります。 

あるいは ホーキング放射はどのくらい正確にブラックホールの質量を減少させますか? な議論もあります。

そうしてまた ブラックホールの地平線ではホーキング放射は発生しません。 そういう議論もあります。

以上の様な議論はホーキング放射を説明する「絵」を描くうえで参考になるものと思われます。

追記:(2021/5/9):日経サイエンス6月号記事「量子情報で解き明かす重力理論」の記事中にあるホーキング放射のイラスト(p40)では、少なくとも反粒子がBHから飛び出すように見えるホーキング放射もある、と示されています。つまり、BHに飛び込むのはこの場合は通常の粒子である、と主張している事になります。ふむ、ようやくにして「BHに飛び込むのは反粒子のみ」という「伝統的ホーキング放射世界観からの変更」がなされつつあるようです。

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

https://archive.fo/zdjDj

 

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ダークマター・42-3・輻射-物質拮抗時期と宇宙の晴れ上がり時期

2021-03-06 14:18:53 | 日記

まずは前ページの記述から引用します。->『さてそれで、その2成分のフリードマン方程式の厳密解ですが
「物質+Lambda モデル」
https://www.cosmology.jp/intro-to-cosmology/node33.html
(or http://archive.fo/o02Wr )
の(5・26)式を使います。』

その式にパラメータを代入して微分して最小値を出した、そしてその最小値を付けたところから宇宙が減速膨張ー>加速膨張に転じた、そこまでの記述は良いのですが、教科書の記述内容を誤解してそのタイミングをビッグバンから102億年後とした所が間違いでした。

教科書に書かれている内容はあくまで『平坦な質量-Λ宇宙モデルが正しければ、宇宙は生まれてから102億年 の間は質量優勢、その後36億年の間は Λ優勢であったことになる。』というものであって、「102億年を境にそこから宇宙が加速膨張に転じた」とは書かれていませんでした。そうして、その様に解釈をしてしまったために「時間軸のスケール化」で間違いを犯してしまいました。

もともと教科書の目的は『今、質量と宇宙定数 の密度がそれぞれ等しくなる質量-Λ同値時刻時刻t_mΛを求める』というものであって、「いつから宇宙が減速膨張から加速膨張に転じたのか」を求めてはいませんでした。

そうしてまた時間軸をスケール化するのに「加速膨張が始まった時期」を使う必要もない事も明らかになりました。

さてそれで、「2成分のフリードマン方程式の厳密解」のグラフをスケール化しないとそれを使って「輻射-物質拮抗時期と宇宙の晴れ上がり時期」を決める事が出来ませんので、以下その手順を示します。

それで、その際に厳密解に代入するパラメータですが、プランク衛星が最後に公表した2018年版の「プランク ベストフィット データ」を使う事とします。(参照時はグーグルを使って和訳して見て下さい。)

2018年プランク最終データリリース(レガシーデータ)

デカップリング時のRedshift   z_d    1090.30±0.41

宇宙の年齢(Gy)t_o            13.830±0.037

物質密度  Ω_m           0.321±0.013

ダークエネルギー密度 Ω_Λ      0.679±0.013

ハッブル定数(km s -1 Mpc -1) H_o      66.88±0.92

H0 は 66.88となっていますが1に変えます。
そうすると
a(x)=(0.321/(1-0.321))^(1/3)*(sinh(3/2*sqrt(1-0.321)*x))^(2/3)
が2成分系での厳密解となります。
そして宇宙年齢を138.3億年とした場合にa(138.3億年)=1になりますので、この情報を元に上記厳密解の時間軸をスケール化します。ちなみにビッグバンはスタートは x=0の所になります。

ウルフラムでa(x)=1の時のxの値を求めます。

「1=(0.321/(1-0.321))^(1/3)*(sinh(3/2*sqrt(1-0.321)*x))^(2/3) の根」を入れると

実行アドレス

x=0.945936 を得ます。これが時間軸で138.3億年相当の値になります。

次にデカップリング時のRedshift   z_d=1090.3 より「宇宙の晴れ上がり時期での宇宙の大きさが現在に対して1/1091.3倍であった」という事が分かります。

それで次にはa(x)=1/1091.3 としてxの値を求めます。

「1/1091.3=(0.321/(1-0.321))^(1/3)*(sinh(3/2*sqrt(1-0.321)*x))^(2/3) の根」を入れると

実行アドレス

x=0.0000326392 を得ます。

これを宇宙年齢に換算すると

晴れ上がり時期=0.0000326392/0.945936 x138.3億年=47.72万年となります。

さて次に輻射-物質拮抗時期を同様にして求めましょう。参照する教科書は「第6講 熱的宇宙」です。
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/konan-class06/ch6-thermal-cosmos.pdf

5ページより(1+zeq)= 3250ですから、a(x)=1/3250としてxの値を求めます。

「1/3250=(0.321/(1-0.321))^(1/3)*(sinh(3/2*sqrt(1-0.321)*x))^(2/3) の根」を入れると

x=6.35084X10^-6 を得ます。

これを宇宙年齢に換算すると

晴れ上がり時期=6.35084X10^-6/0.945936 x138.3億年=9.29万年となります。

以上をまとめますと使うフリードマン方程式の種類によって

        従来方法(物質100%)VS 物質32%+DE68%

輻射-物質拮抗時期    7.4万年   9.3万年(26%アップ)

宇宙の晴れ上がり時期  37.5万年  47.7万年(27%アップ)

という結果になります。(注1)

そうして当方の主張は「物質100%の式で宇宙初期を推定するよりは物質32%+DE68%の式を使う方が妥当であろう」と言うものになります。

さてそれから、CMBの解析によるハッブル定数の推定には宇宙の晴れ上がり時期を37.5万年程度とするのではなく47.7万年という値を使うのが妥当であろうとも主張致します。

それで宇宙の晴れ上がり時期の変更による、ハッブル定数の推定に関しての影響についてはページを改めて「ダークマター・43ー1」、「ダークマター・43ー2」にて検討する事と致します。

注1:ここで示した「従来方法(物質100%)での輻射-物質拮抗時期および宇宙の晴れ上がり時期の値」は 「第6講 熱的宇宙」 からの引用となります。

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

https://archive.fo/FtLgs

 

 

 

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ホーキング放射とブラックホール・51-1・ホーキング放射を再考する(1)

2021-03-05 11:46:08 | 日記

最初の疑問、そうして多分多くの方の疑問、それは「どのようなメカニズムでホーキング放射が起きるのか?」、そうして「何故BHは蒸発するのか?」という事でありましょう。

ホーキングさんの原論文は「Particle Creation by Black Holes」Received April 12, 1975:Commun. math. Phys. 43, 199--220 (1975) でありそれは

https://link.springer.com/article/10.1007/BF02345020 のページからダウンロードできます。そうしてこの論文、誰か訳して解説してくれるととても助かるのですが、、、。(注1)(注5)

そこで展開されているSchwarzschild ブラックホールのホーキング放射のポイントのみ抜き出して解説したものが

Hawking 輻射とブラックホールの蒸発 になります。そうしてこの論文でさえ数式運用を含めて理解するのは大変な事です。

まあ専門家の皆さんが仲間内に話す文章、説明というのはこんなものなのでしょう。ホーキングさんの原典でも説明に出てくる絵はペンローズダイアグラムであり、そんなもの我々が見方を知る訳もありません。

そういう訳で、専門家以外にとってはいまだホーキング放射は「謎の放射」なのであります。あるいは専門家の中においてでさえ「合意された物理的なホーキング放射のモデル:描像は存在していない」かの様であります。(注2)

さて、まずは日本語のWikiから見て見ます。

ホーキング放射 『・・・簡略化された説明
簡略化された説明では、量子力学的に真空ゆらぎからトンネル効果により粒子がブラックホールの事象の地平線付近で対生成を起こす。その対生成で出来た二つの粒子の一方(負のエネルギー粒子)が地平線に向かって落ち、片方(正のエネルギー粒子)が外へ放射される。(注3)エネルギー保存の法則からブラックホールの質量エネルギーは下がる。つまり質量を失う。この放射がホーキング放射であるとされる[2]。』

↑ よく聞く説明で、日本ではこの説明+アルファ程度の説明しか行われてはいない様です。

例えば ブラックホールの謎に迫る
2004 年日本物理学会科学セミナー では『・・・量子論の特徴の一つは、からっぽの空間というものがないことである。一見からっぽに見えても、ミクロなスケールでは常に正エネルギーと負エネルギーの仮想粒子の対生成がおこなわれている。この対生成がホライズンの外で起きたとしよう(図 4)。正エネルギーの粒子はエネルギーを持っているため、エネルギーが大きければブラックホールから逃れることができる。一方、負エネルギーの粒子はブラックホールに吸い込まれる。(注3)負エネルギーの粒子が吸い込まれるため、結果的にはブラックホールのエネルギーは減り、ブラックホールは次第に小さくなっていく。ブラックホールが「蒸発」していくのだ。
遠方の観測者には、ブラックホールから正エネルギーの粒子が届く。この時ブラックホールは、あたかも温度を持った物体のようにエネルギーを発する。温度を持った物体は、温度だけで決まる普遍的な放射をする。放射は、その物体が何からどうできているかには左右されない。太陽の放射もこのような熱放射である。ブラックホールからの放射が普遍的な放射になるのは、これがランダムな量子ゆらぎから来ているからだ。

光さえもブラックホールからは脱出できないので、ブラックホールからは何も出てこないはずであるが、このように量子ゆらぎを考えるとブラックホールは熱放射を起こす(ホーキング放射)。ただし図からもわかるように、ブラックホールから実際に何かが出てきているわけではない。実際、放射は温度だけで決まるので、放射にはブラックホールを作り出した物体の「情報」は反映されない。この点が後々問題になってくる。・・・』などと言う様に説明されています。

あるいは 量子トンネル効果に基づくホーキング放射の導出と事象地平面近傍の次元縮約 では『・・・量子論の重要な性質の1 つに不確定性関係がある.この関係は,粒子の位置を正確に測定するとその運動量の測定値が不確定となり,逆に,運動量を正確に測定するとその粒子の位置の測定値が不確定になることを意味している.粒子の位置と運動量の間の不確定性関係から,時間とエネルギーの間にも類似の関係式
ΔtΔE ∼ (h~),    (23)
を得ることができる.ここで,(h~) はプランク定数を2*PI(円周率)で割った数である.時間Δt の間にある量子力学的状態にある粒子のエネルギーΔE の最小の不確定性となる場合を表している.この関係式から,非常に短い時間であれば,エネルギーのゆらぎΔE が大きくなることが可能となることが分かる.量子場の理論によると,我々の世界ではいたる所でこの「エネルギーのゆらぎ」により粒子-反粒子の対生成・対消滅が起こっていると考えられている.通常,反粒子は正のエネルギーを持ち,我々の進む時間方向に対して遡る方向に進む粒子として考えられ,我々の世界においては安定に存在することが出来ずに,
Δt ∼(h~)/ΔE,    (24)
と非常に短い時間内に実粒子と対消滅しなければならない.また,反粒子を我々の進む時間方向と同じ方向に進む粒子と考えるとき,反粒子は負のエネルギー状態を持つ粒子として解釈することもできる.
一般相対性理論の局所平坦性により,ブラックホールの極近傍のような曲がった時空においても,この粒子-反粒子の対生成は起こっていると考えられる.ホライズンの極近傍において,エネルギーE を持つ粒子-反粒子を作るエネルギーのゆらぎ2E を考える.もし,この粒子対がホライズンのすぐ外側で作られるならば,反粒子は時間(h~)/2E が経過する前にホライズンの中に落ち込む可能性がある.我々の世界では不安定である反粒子も,ホライズンの内部では実現可能な軌道に乗せることができ,安定となることが知られている[10].我々は,今,反粒子のみブラックホールに吸収され,実粒子が我々の世界に留まることを考える.(注4)特に,質量の無い実粒子はホライズンに吸い込まれることなく無限遠に到達することが可能となる.このとき,我々の世界にいる観測者から見ればブラックホールは反粒子(負のエネルギー状態−E)を吸収したことによって,自身のエネルギーを減少させ,一方で,その減少分と同じ量のエネルギーE を持つ実粒子が我々の世界に出てきたことになり,これを放射として理解することができる(図1).これが,あたかもブラックホールが粒子を放出するかのように振る舞うホーキング放射のメカニズムである.・・・』などと言う様に説明されています。

 

注1:たとえば ホーキング放射 な説明があります。

注2:たとえば ブラックホール/ホーキング放射:反粒子のみをキャプチャする理由 の様な議論があります。あるいはそこで紹介されている様な ブラックホールの地平線ではホーキング放射は発生しません。 そういう議論もあります。 あるいは ホーキング放射はどのくらい正確にブラックホールの質量を減少させますか? な議論もあります。

注3:なぜマイナスエネルギーの粒子がBHに吸収され、プラスエネルギーの粒子がBHにはじかれるのか、説明されていません。

注4:なぜ反粒子のみがBHに吸収される場合のみを考えれば良いのか、その逆の場合をなぜ考えなくてよいのか、説明されていません。

注5:ホーキングさんが計算した状況は、星がつぶれてBHになる、まさにその時に何が起きていたのか、と言うものでした。その話を最初に聞いた時には「何故、そんなダイナミックな状況で計算を行う必要があったのか?」疑問に思いました。そのような動的な状況ではなくて、星がBHになった後の「静的な、静かな状況での計算の方がふさわしい」と感じたからです。そうして、何故ホーキングさんがそのような状況で計算をしなくてはならなかったのかが、英文のホーキング放射のWikiに書かれてありました。

ホーキング放射

それによれば『ホーキング放射の発信光子は、モードが過去にさかのぼると、地平線に近づくにつれて遠方の周波数から発散する周波数を持ち、光子の波長を「スクランチアップ」する必要があります。ブラックホールの地平線で無限に。最大限に拡張された外部シュワルツシルト解法では、モードが観測者が行けない過去の領域に拡張された場合にのみ、その光子の周波数は規則的に保たれます。その領域は観測できないようで、物理的に疑わしいため、ホーキングは過去の有限時間に形成される過去の領域のないブラックホールソリューションを使用しました。その場合、すべての発信光子の発生源を特定できます。つまり、ブラックホールが最初に形成された瞬間の微視的な点です。

ホーキングの元の計算では、その小さな点での量子ゆらぎには、すべての放射が含まれています。最終的に長時間の放射を含むモードは、事象の地平線の隣に長く滞在することによって非常に大量に赤方偏移するため、プランク長よりもはるかに短い波長のモードとして開始されます。このような近距離での物理法則は不明であるため、ホーキングの元の計算には納得がいかない人もいます。』という事でした。

 

追記マイナスエネルギー粒子について 阪大物理学オナーセミナー :Note 2 平成 20 年 4 月 27 日 以下引用では数式は正確に表現されていない為、原典を参照願います。

『2 場の量子論
素粒子を記述する数学的枠組みは場の量子論であり、その中の標準理論は特別な対称性を持つゲージ原理を充たす場の量子論である。場の量子論は量子力学に特殊相対論を組み合わせた理論である。量子力学の相対論化にあたって最初に遭遇した困難は負エネルギー粒子の存在であった。場の量子論では負のエネルギー粒子問題は存在しないが、負エネルギー粒子問題を解く過程は教育的に有用な概念を含むので、歴史を追って場の量子論の初歩、場の量子化の理解に取り組むことにする。・・・

場の量子論における負エネルギー問題解決法       相対論的粒子にはエネルギーが負の解がある。歴史的には物理的に意味がないとして負エネルギー解なしで理論を作る試みも行われたが、その場合因果律が破れる。相対論では負エネルギー解も必要なのである。しかし場の量子化では、負の振動数を持つ平面波の係数を生成演算子と置くことによって負エネルギーの矛盾は解決する。というより Eq. (52) の置き換えにより作った場の量子論では負エネルギー粒子の問題ははじめから存在しない。
なぜそうなるかについて、その部分をもう少し詳しく述べよう。場を消滅演算子で展開する時、正エネルギー部分と負エネルギー部分を同等に扱い、しかしそれぞれの役割を見るために分離して書こう。負エネルギー粒子の消滅演算子を ck と書けば KG 場 ϕ は次のように書き直せる。
ϕ(x) =∑k1√2ωV[ake−iωt + cke+iωt]eik·x
, ω =√k2 + m2  (57)

ak はエネルギー ”ω”、運動量 k の粒子を消滅させる演算子である。とすれば、ck は、エネルギーが ”−ω”、運動量 k の粒子を消滅させる演算子と解釈したくなる。しかし今、状態 |ψ > の全エネルギーを E、全運動量を P とすれば、状態 ck|ψ > の全エネルギー運動量は、(E + ω, P − k) となるはずである。ck の作用により系全体のエネルギーが増えているのであるから、負のエネルギー粒子を消したのではなく、エネルギー・運動量・電荷 (ω, −k) を持つ粒子が作られたと解釈する方が自然かつ論理的である。なお、これまでの議論は実場で行ったが、実場でなく複素場を扱っていれば電荷も定義できる(補遺 §A.5 参照)。
もし、|ψ > の全電荷が Q で 1 粒子の持つ電荷が q であれば、ck|ψ > の全電荷もまた Q − q となるはずである。すなわち粒子を作ることにより電荷が減るのであるから、この粒子の持つ電荷は −q であり反粒子と名付ける。以上の議論から、負の振動数の係数は消滅演算子ではなく実は反粒子の生成演算子なのだと再解釈すれば負エネルギーの粒子は現れない。そうであるならば、エネルギー運動量 (ω, k) を持つ反粒子の生成演算子はa†k= c−k (58)の置き換えにより得られる。そうすれば Eq. (57) は書き直して

ϕ(x) =∑k1√2ωV[ake−iωt + a†−ke+iωt]eik·x

=∑k1√2ωV[ake−iωt+ik·x + a†ke+iωt−ik·x]
=∑k1√2ωV[ake−ik·x + a†ke+ik·x]   (59)
最後の式で kµ → pµ で置き換えたものは、まさに Eq. (54a) を再現する。こうして負振動数部分の消滅演算子を生成演算子と再解釈して作られる粒子(反粒子)の量子数は、電荷をはじめとして全て粒子の量子数の逆、すなわちマイナス符号を付けたものになる。この性質は、ディラックの空孔理論とあっている。空孔理論では反粒子と粒子を合わせた量子数は真空の量子数になるので、反粒子の量子数は粒子の逆となる。なお、”負のエネルギーを持つ粒子が反粒子である”と言う表現をしばしば目にするが、これは誤りである。負のエネルギーを持つ粒子は存在しない。反粒子もまた正のエネルギーを持つのである。

多様な場の量子      場は物理現象のいろいろな場面で現れる。ここでは真空としての場が粒子の発生源という描像をとったが、外的状況により場の現れ方は多様である。場とは一般的には、ある種のエネルギーが空間的に拡がっている状態を表す。場が励起されるとエネルギー量子 (粒子) が飛び出す。たとえば静的電磁場には粒子は一切現れないが、場の量子論では全ての現象を量子で記述する。その考え方に従えば、電磁場は仮想フォトンの集合体である。仮想粒子 (virtualparticle) とはアインシュタインの関係式E =√p2 + m2 を充たさない粒子のことをいう。エネルギー量子ではないので粒子として観測されることはない。電磁場を揺らせば(注:外部からエネルギーを与えれば)実フォトンが飛び出してくる。古典的な電磁波は多数の実フォトンの集合体と考えられる。 ・・・』 

↑ ホーキング放射は「エネルギー量子」であり観測可能である。だがその出生をたどれば「仮想粒子の対生成という形で誕生している」のである。そうして最終的にはBHからエネルギーを分け与えられる形でBHの外側で仮想粒子から実粒子に変換されて飛び出してくるのである。それから出てくる粒子のうちの約半数は反粒子なのである。つまり「BHは粒子、あるいは反粒子に対するえり好みはない」のである。

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ホーキング放射とブラックホール・50・ホーキング放射、シュテファン・ボルツマンの法則、および統一

2021-03-04 10:17:38 | 日記

Hawking radiation, the Stefan-Boltzmann law, and unitarization
Steven B. Giddings

ホーキング放射、シュテファン・ボルツマンの法則、および統一
[2015年11月25日(v1)に提出、2016年1月12日最終改訂(このバージョン、v3)]

注:正確な数式は原典にて確認してください。

概要
ホーキング放射はどこから発生しますか?
一般的な見方は、それが地平線の非常に近くまたは地平線での励起から生じるということであり、この視点は、ブラックホールの量子力学を説明する際のUV依存エンタングルメントエントロピーの重要な役割についての「ファイアウォール」の議論を支持しています。
ただし、ホーキング放射の総放出率と応力テンソルの両方を詳しく調べると、その発生源は地平線に近い量子領域、つまり「大気」であり、その半径範囲は地平線半径スケールによって設定されます。
ユニタリー性を回復するにはホーキング放射を変更する必要があるため、これは潜在的に重要です。自然な仮定では、このような変更に関連するスケールは、ホーキング放射を支配するスケールに匹敵します。
 さらに、関連する議論は、ベッケンシュタイン-ホーキングエントロピーによって支配されるブラックホールの熱力学を損なうことのない、「非暴力」シナリオにおける余分なエネルギーフラックスに関する質問への解決策を示唆しています。

ホーキング放射は、一般にブラックホールの地平線から発生していると認識されています。
この理由の1つは、ホーキングの元の計算の構造です[1]。
 地平線のすぐ外側にある高度に青方偏移したモードは、同様の内部励起と絡み合っており、進化して放射になると説明できます。
この見方は、一定の半径rでの検出器の観測の熱的記述との良好な一致によって強化されています。
 これらの検出器は適切に加速しているため、トールマンの法則に従って、青方偏移によってホーキングに関連する温度でウンルー効果を体験します。たとえば[2]を参照してください。
ただし、ブラックホール崩壊のユニタリー性の要件から、ホーキング放射を変更する必要があることがわかるため、この図を確認することが重要です。
 どのような変更が必要で、どこで発生するのかを理解したい場合は、まず、情報損失の問題の原因となるホーキング放射の特性を完全に理解する必要があります。
これは、たとえば、「ファイアウォール」引数の構造によって強調されます。
ホーキング放射の地平線に近い起源を仮定し、したがってユニタリー性を復元するために対応する地平線に近い励起を変更する必要がある場合、状態は非常に特異であり、巨大なエネルギー密度も時空幾何学をレンダリングすると結論付けます。地平線で特異[3-6]。
したがって、単一化の変更が現れる可能性のある場所と、ブラックホールの熱力学の他の側面の両方をよりよく理解するために、ホーキング放射源について他のテストを求めます。
放射体のサイズを推測する1つの方法は、シュテファン-ボルツマンの法則を使用して、放射電力を与えることです(2つの偏光自由度の場合、たとえば光子)
dE / dt =σS* A * T ^ 4(1)
放出する黒体の面積Aとその温度に関して;ここで、σS=π^ 2/60はシュテファン-ボルツマン定数です。(注:πは円周率:3.14159、、、)
これから、出力と温度から放射面の面積を見つけます。これは、ホーキング放射の場合、ホーキング温度であると予想されます。
ただし、複雑なのは、ブラックホールが灰色の物体として放出されることです。正確には熱ではありません。
しかし、灰色体の要因(グレイボディーファクター)を考慮に入れると、数値計算[7]は、Aを地平線領域とすると、スピンが1以下の粒子の放出率が率(1)を超えることを示しています。これは、より大きな有効放出面を示唆しています。
具体的には、例えば光子放出を考慮すると、参考文献。 [7](式(29)以下を参照)は、質量Mのブラックホールの合計速度を示しています。(注1)
dE / dt = 3.4×10 ^ −5 * M ^ −2、(2)
レートと比較して
dE / dt = 2.1×10 ^ −5 * M ^ −2(3)
(1)から、T = 1 /(8πM)がホーキング温度で、A =16πM^ 2が地平線面積である場合。
計算と結論は、次のように表すことができるパワースペクトルを見ることによって鋭くすることができます。
dE /dtdω= 1 /πSum.l(2l + 1)ωΓωl/(e ^ βω− 1)
= 1 /π^ 2 *ω^ 3 /(e ^ βω− 1)*σ(ω)(4)
2自由度の場合、lは軌道角運動量、Γωlはグレイボディ係数、β= 1 / Tです。
 2番目の等式では、スペクトルは周波数ωでの吸収断面積に関連付けられています。
σ(ω)=π/ω2* Sum.l(2l + 1)Γωl。 (5)
面積A =4πr^ 2の球形黒体の場合、σ(ω)=πr^ 2 = A / 4であり、(1)が再現されます。
 ホーキング放射の場合、灰色体の係数はωによって自明ではありませんが、大きなωの限界では、
σ(ω)→πR(a)^ 2(6)
ここで
Ra =3√3* M =3√3/ 2 * R(7)
R = 2Mはシュワルツシルト半径です。(Ra=3*sqrt(3)/2*シュワルツシルト半径=2.5981*シュワルツシルト半径:シュワルツシルト半径の2.6倍の空間が必要)
この限界は幾何光学、質量のない限界であるため、この結果は、古典的な質量のない粒子の有効ポテンシャル([8]などを参照)から理解できます。
 ここで、吸収はl <ω* Raの場合に完全であり、l>ω* Raの場合は消滅します。
それでΓωl≈θ(ωRa− l)、(8)は(6)を与え、[7]のスペクトルと一致する高エネルギーパワースペクトル(4)を生成します。

したがって、ホーキング放射の有効放射面積は、この高エネルギー放射から読み取ることができ、A =4πRa^ 2です。
;有効放射半径Raは地平線半径のかなり外側にあり、これは地平線のかなり外側のソースを示しています。
量子効果がより適切になる低エネルギーモードの場合、灰色体因子は単一性から抑制されることに注意してください。

ほとんどの放射はそのようなモードであるため、これにより[7]、A =4πRa^ 2で評価された(1)から抑制された全エネルギー(2)が得られます。
ホーキング放射の発生源が地平線のかなり外側にもあるという声明は、さまざまな認識に反しているため、他の方法でテストする必要があります。
 ホーキング放射のより洗練された図は、その応力テンソルを調べることから得られます。
これは、2次元メトリックの場合に特に扱いやすく、次の形式になります。

ds2 = −f(r)dt2 + dr2 f(r)= f(r)(− dt2 + dx2)
= −f(r)dx + dx−(9)
ここで
dx = dr f(r)。 (10)
およびx±= t±x。
等角座標xは、亀の座標と呼ばれることもあります。
[10]の可溶性崩壊モデルで研究された[9]の2次元ブラックホールについて、
f(r)= 1 − e −2(r−R)。 (11)
ただし、メトリック(9)は、高次元のブラックホールを通過する宇宙ひもに誘導されるメトリックと考えることもでき、その場合も調査できます。
ホーキング放射の応力テンソルの期待値は、共形異常を介して計算できます[11,10]。
hT−−i = 124π∂2−f f − 3 2(∂−f)2 f 2 + t−(x −)
hT ++ i =124π∂2+ f f − 3 2(∂+ f)2 f 2 + t +(x +)
hT + −i = −124π∂+ ∂−f f −∂ + f∂−f f 2・(12)
ここで、t−(x −)およびt +(x +)は、特定の状態を特徴付ける任意の関数です。
(12)が保存されていることは容易に確認できます。
確かに、共形異常はhT + -iを決定し、次に保存は関数t±までhT --- iとhT ++ iを修正します。
式(12)は、(10)を使用して、素数で表されるfのr導関数で記述できます。
これは与える
hT−−i =196πff '' − 1 2(f ′)2 + t−
hT ++ i =196πff '' − 1 2(f ')2 + t +
hT + −i =196πff ''。 (13)
ハートルホーキング[12]またはUnruh [13]状態の場合、{Tµν}のクラスカル成分に関してチェックされた将来の地平線での{Tµν}の規則性は、次のことを意味します。
t− = 1 /192π[f ′(R)] ^ 2。 (14)

{T ---}の他の項はr→∞で漸近的に消滅するため、t-は漸近的なホーキングフラックスです。
ハートルホーキング真空の場合、このフラックスは流入フラックスによってバランスが取られ、t + = t−であり、{Tµν}も過去の地平線上で規則的です。
Unruh真空の場合、t + = 0であるため、漸近フラックスはありませんが、地平線への負のエネルギーフラックスがあります。
{T-}もr− Rで次の次数に消えることに注意してください。これは、(13)からそのr導関数を取得することで簡単に確認できます。つまり、{T--}はr = Rでf(r)^ 2として消えます。

これで、前述の主張をサポートするプロパティが表示されます。外向きのホーキングフラックス{T ---}は、1 / fを掛けることにより、正規直交フレーム(c.f.(9))のフラックスに変換できますが、結果として得られる適切な{T-ˆ -ˆ} iは地平線で消えます。適切な外向きフラックスは、そこからr〜Rの範囲で、その漸近値まで増加します。
つまり、応力テンソルによって測定された出力ホーキングフラックスは、地平線ではなく、より大きな量子領域または大気で発生します。
 ハートルホーキング真空の場合、{Tˆ0ˆ1}は、流入フラックスと流出フラックスの間のキャンセルにより、同じように消滅します。
Unruh真空の場合、{T ++}によって記述されるエネルギーの負の流入[14] 1のため、{Tˆ0ˆ1}は地平線で消えません。
地平線に近い座標rでのこのエネルギー流束は、次の形式のシュテファン-ボルツマンの法則の2次元バージョンを満たします。
dE / dt = − {Tˆ0ˆ} =σ2* T(r)^ 2、(15)
ここで、T(r)は局所的に青方偏移した温度であり、一定のrで局所的に加速された観測者に見られ、σ2は定数です。
しかし、このフラックスは、外向きのホーキング粒子から発生するものではありません。
範囲∆r〜Rにまたがる地平線の外側の量子領域では、負のフラックス{T ++}は非ゼロの正の{T ---}に遷移します。

これらのステートメントは2次元で作成されていますが、高次元のブラックホールに直接関係しています。
 具体的には、高次元のブラックホールの量子大気は、ブラックホールに宇宙ひもを通すことによって調べることができます。
次に、ストリングに沿った任意のモードは、通常の角運動量障壁を回避するホーキング放出のための直接チャネルを提供します。
これは、そのようなブラックホールがより速く放出されることを意味します。これは、ブラックホールを採掘するプロセスの簡単な例を示しています[19]。
弦の1+ 1次元のメトリックは、周囲の時空のメトリックから誘導されるため、D次元のシュワルツシルトの場合、

f(r)= 1 −(R / r)^ D−3。 (16)

ここでも、外向きのホーキングフラックスは地平線の外側でΔr〜Rの範囲に蓄積されます。

こうして、ホーキング放射は、ブラックホールの地平線の小さな領域からではなく、シュワルツシルトブラックホールの地平線の外側のRに匹敵するrの範囲(大気と呼ばれることもあります)から発生するという2つの議論が見つかりました。
また、放射の波長を調べることも有益です。これは、典型的なホーキング量子の場合、値λ≈λTを取ります。
λT=2π/ T =8π^ 2 *R≈79R。 (17)
したがって、黒体放射の典型的な議論とは対照的に、地平線のサイズは熱波長よりもはるかに小さいです。
また、その占めている場所(occupation)が最終的にホーキング放射を生成する近水平青方偏移モードの波長を調べることもできます。
典型的な波束幅∆x =λTで、ある近水平線rを中心とするこのようなモードを考えると、(10)の近水平線限界は、波束エッジが次のようになることを示します。
(r − R)エッジ≈(r − R)e ^(±f '(R)λT/ 2)
=(r − R)e ^(±4π^ 2)(18)
ここで、最後の等式は4次元シュワルツシルトにf(r)を使用します。
 したがって、そのような典型的なモードは、それらの中心の地平線からの分離よりもはるかに大きいrの範囲に及びます。
これは[20]の観察と一致しており、モードはブラックホール自体の近くから分離するまで、ブラックホール内の「ホーキングパートナー」から分離しません。
したがって、地平線からの分離と比較して小さいスケールでの地平線に近い観測者の観測の議論、δr≪ r − R、またはこれらのモードのそのような操作[6]は、これらのモードを次のようなスケールで記述しようとすることを含みます。それらの典型的な熱的波長の範囲内です。

このブラックホールの話は通常の黒体の状況から逸脱していますが、ホーキング放射のより短い距離の起源をサポートしているようには見えません。
代わりに、この論文の組み合わせた観察は、[1]で見られるホーキング励起の超プランク起源がホーキング効果を計算するその特定の方法のアーティファクトであることを示唆しています。

ホーキング放射の長距離起源の声明は、統一の問題に潜在的に重要な意味を持っています。
ホーキング放射はユニタリー性の喪失の原因です[21]。
これは、量子力学を保存するためにホーキング状態を変更する必要があることを示しています。
ホーキング放射が地平線からではなくブラックホールの大気から発生している場合、それを統合する新しい効果が地平線ではなく、そこでも機能することを期待するのは合理的で自然なことです。
これは、[6]が提唱するファイアウォールの図とは対照的に、[15,22-29]の最も単純な「非暴力」シナリオで提案されているものとまったく同じです。

実際、前述の観察結果は、非暴力的アプローチについて尋ねられた質問の1つにアプローチする方法を示唆しています。
 効果的な理論近似の観点からこのアプローチを説明すると、半古典的重力の結合を超えて、ブラックホールの大気中の励起への追加の結合が含まれます。
これらの結合はブラックホールの量子状態に依存し、最終的にはブラックホールからその環境へのエンタングルメント移動の原因となります[30、25、31]。これはブラックホールの崩壊を統一する必要があります。
[23,24,26-28]で指摘されているように、このような結合は通常、追加のチャネルが導入されるため、ブラックホールから追加のエネルギーフラックスを生成します。
応力テンソルへの効果的な結合に基づくモデルは、たとえばこの影響を最小限に抑えることができますが[29]、余分なフラックスを回避することは依然として課題です。

しかし、そのような余分なエネルギー流束は、典型的なエネルギー〜Tのモードを介して運ばれる場合、必ずしもブラックホールの熱力学と矛盾するわけではありません。
これは、前述のように、ホーキングパワーが黒体のパワーを大幅に下回っているためです。これは、温度Tを変更せずに、(1)を考慮して追加のフラックス(流束)が可能であることを意味します。
これは、典型的なエネルギー〜Tのブラックホール励起とブラックホール環境のモードとの間の追加の結合によって生じると考えることができます。これは、低周波の灰色体因子の抑制の一部を補います。
 (この抑制は重力子に対して特に強いことに注意してください[7]。)
特に、[29]のような応力テンソルを介した結合は、低エネルギーでこれらの要因を変化させると予想されます。
したがって、NVNLの有効場の理論近似で説明されているように、ブラックホールの外部への追加の結合は、ブラックホールのエントロピーのBekenstein-Hawking式を変更せずに、エネルギー流束を変更できます。

このような結合は、周波数ω〜Rのモードの吸収も増加させる可能性があり、これは(4)によって示唆されます。
実際、ブラックホールが平衡構成の熱流束によって維持された場合、放出されたエネルギーの増加は、吸収されたエネルギーの増加によってバランスをとる必要があります。
ただし、このような結合は、より高い周波数ω≫ 1 / Rのモードに大きな影響を与える必要はないため、このようなモードの等価原理をほぼ尊重できます。

結論として、このノートは、ホーキング放射の源がブラックホールの地平線の外側のサイズ∆r〜Rの量子領域であるという証拠を示しています。
ホーキング崩壊を統一するために必要な局所場の量子論を修正する新しい効果がホーキング放射と同じ特性スケールを持っている場合、つまり、解が問題と同じスケールを持っている場合、これらの結合も最も単純な非暴力的非局所性シナリオで提案されたスケールサイズに一致する半径r〜3√3R / 2以上に拡張します[15,22-29]。
 温度Tで熱力学的記述を維持するために、これらの結合は主にエネルギーω〜Tのモードに対して行う必要があります。
したがって、これらの単純な議論は、ブラックホールの量子進化を統一する理論に関連するスケールを強く示唆しています。

謝辞
著者は、J。Hartleの議論に感謝し、D。Pageの[7]の結果を明確にする電子メールメッセージに感謝します。
彼はまた、ホーキング放射が地平線から発生すると信じている人がいることを確認してくれたD.マロルフに感謝します。

注1:参考文献7:Particle emission rates from a black hole: Massless particles from an uncharged, nonrotating hole

ブラックホールからの粒子放出率:帯電していない、回転しない穴からの質量のない粒子

『この論文では、ホーキングの量子形式とTeukolsky and Pressのブラックホール摂動法を組み合わせて、既知の質量のない粒子の放出率を計算します。数値結果は、・・・そのうち81%はニュートリノ、17%は光子、2%は重力子です。これらの速度に加えて、小さなBHからの巨大な粒子の放出速度の推定値により、原始ブラックホールは、その初期質量がM<(5±1)×10^14  g.(注:M≒(5±1)×10^14  g.程度)であった場合には、宇宙の現在の時点で崩壊したと推測できます。』

M<(5±1)×10^14  g.=(5±1)×10^11Kg    <-- http://astro-wakate.sakura.ne.jp/ss2013/web/syuroku/grcosmo_24a.pdf

追記:(2021/5/9):上記論文の著者であるSteven B. Giddingsさんの書いた記事が日経サイエンス6月号「ブラックホールの情報パラドックス 解決へ新たな糸口」(原題:Escape From a Black Hole)として載っています。

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

https://archive.is/XGEBQ

https://archive.fo/W0yzf

 

 

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