宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・10・ブラックホールの寿命計算について

2019-03-13 02:19:04 | 日記

現状では皆さん、BHを黒体として扱い、Stefan-Boltzmann の法則より温度T,半径r の物体が単位時間あたりに放つエネルギーE を
E=pi^2*kb^4*T^4*4*pi*4*G^2*M^2/(60*h^3*C^6)
となる事を使って計算されています。
(但し上記式には黒体半径にあたるホライズン半径RGはRG=2*G*M/C^2をすでに代入してあります。)

この式詳細については「Hawking 輻射とブラックホールの蒸発」山内さんを参照ねがいます。

この式を元にしてE=M*C^2を使ってBHの質量の減り方を計算し、元々あったBH質量Moがゼロになるまでの時間を求めて、「それがこのBHがホーキング放射により蒸発するまでの寿命である」と主張されています。

そうして、このやり方がどうやら一般的に認められている方法の様です。
但し、このやり方の前提となっている事については皆さん、あまり考察をされていない様です。


なるほど、BHを遠くから眺めていればホーキングさんが言う様に「黒体輻射スペクトルと似たエネルギー放射」が観測され、そうであればこのBHを黒体として扱う、と言うやり方は一見妥当の様に見えます。

しかしながらホーキング放射は仮想粒子がBHに飛び込む、BHと仮想粒子の衝突とその仮想粒子のBHによる吸収というプロセスの結果、生じてくるものであります。

そうでありますから、この相互作用プロセスでは当然のことながら、エネルギー保存則、そうして運動量保存則が満足されなくてはいけない、という指摘はすでに行ってきたとおりです。


さてそれで、ここではひとまずは運動量保存則の事は置いておきましょう。
そうして以下の話はBHの寿命推定で皆さんがつかっているロジック、それはエネルギー保存則でありますが、その考え方にそって見ていきます。


さてはじめに、この場合の基本の一つ目は「BHは黒体と見なせる。したがってStefan-Boltzmann の法則をそのまま適用できる。」という主張です。

それから二つ目が「BHから放出(されている様に見える)のエネルギーは連続的であって、時間やエネルギー量をいくらでも小さく微調整が出来る」という主張になります。
つまりこれは「BH寿命推定は古典論近似でよい」という主張です。

その事によってプランクスケールにまで至ったBHの質量をちょうどゼロにできる様に、最後にこのBHに飛び込む仮想粒子のエネルギーを調整できる、と、そのように主張している事になります。

しかしながら、最後の最後にこのプランクスケールのBHに飛び込む仮想粒子のエネルギーを「誰が一体そのように微調整する」のでありましょうか?

ホーキングさんによれば「ホーキング放射は完全にランダムである」との事です。

従って、最後の最後にこのプランクスケールBHに飛び込む事になる仮想粒子のエネルギーが、このBHの質量と丁度釣り合う、などと言う事は、量子論の常識からすると、まずあり得ない事になります。
・・・・・
2番目の指摘事項が先行してしまいましたが、御容赦ねがいます。


さて、最初の指摘事項についてですが、「4・不確定性原理と仮想粒子の対生成」と「5・プランクスケールBHの最終形態」で述べたように「対生成した仮想粒子の持っているエネルギーによって、その粒子の存在時間が規定される」と言うのが不確定性原理からの要請でした。

低いエネルギーの粒子は存在時間が長く、つまりホライズンのかなり上の方で発生してもホライズンに到達できますが、エネルギーの高い粒子はそうはいかない、ということです。

それはつまり「よりホライズンに近い所で発生する必要がある」と言う事です。

さてこの事は、BHの質量が減少し、それによりBHの温度が上昇し、発生する仮想粒子一つ当たりのエネルギーが高くなるのですが、それに従って、よりホライズンに近い所で発生した仮想粒子しかホライズンに到達できなくなる、と言う事でもあります。(注1)

それはエネルギーを放出できる真空層の厚さが、BHの温度が上がるに従って薄くなるという事でもあり、ここが従来の黒体放射とは異なる点になります。

そしてこれは一般の黒体輻射では考える必要のない事であります。
一般の黒体はその表面で放射がおこり、その状況は温度によって左右される事はない、というのが前提であります。
そうでありますから、Stefan-Boltzmann の法則はそのような、温度依存でエネルギーを放出する層の厚さが変化する、というような要因を含んでは定式化されていません。


さて次に概算ではありますが、上記効果がどれほどになっているか、見ていきます。
従来、宇宙年齢で今頃蒸発する、とされているBHの質量は質量M(=1.73*10^11)Kgと計算されています。
このBHの単位時間当たり放出するエネルギーEをStefan-Boltzmann則に従って求めますと1.17*10^10(J)となります。
このBHの典型的な放出ニュートリノの一個当たりの全エネルギーは質量換算で5.41*10^-28(Kg)になり、3.25*10^-15(m)がホライズンへの到達限界距離となります。

これがホークング放射をしながら質量を減らし、プランク質量に至った時の放出エネルギーを同様にして求めますと7.40*10^47(J)となります。
但しその時に放出されるニュートリで一番数がおおいものの一個当たりの質量換算での全エネルギーは4.32*10^-9(Kg)で、0.81*10^-34(m)がホライズンへの到達限界距離となります。


そして7.40*10^47(J)はスタート時のBHの放射エネルギーの6.32*10^37倍であり、ホライズンへの到達限界距離の変化を考慮しない、こうした計算結果に基づいて皆さん「BHの最後は爆発で終わる。」と言われるのでした。

しかしながら、上記で述べましたような「ホライズンへの到達限界距離の変化ーー>エネルギー放出層の厚さの変化」と言うものを考慮にいれますとこの比率は随分と下がり1.57*10^18倍になる事が分かります。

実に19ケタも小さくなるのです。
そうしてプランク質量のBHの単位時間当たりの放出エネルギーは「エネルギー放出層の厚さの変化」と言うものを考慮にいれますと7.40*10^47(J)から1.84*10^28(J)と変わります。

これは、確かにBHの質量が減るにしたがって放出エネルギーは増加しますが、それは爆発的ではなくなる、ということであります。
つまりはBH消滅に伴うガンマー線バーストなどという現象は起こらない可能性が大である、と言う事にもなります。

そしてその結果は、従来言われている寿命よりも随分とBHの寿命は延びる事になる、そう言う事になりそうです。


結論
さてそう言う訳で、以上の様な要因を考慮に入れたBHの寿命計算が必要であります。

特に100gr以下の質量に至ったBHのホーキング放射を求めるには、放射が離散的、確率的に起こる事を計算に反映させる為に数値計算によるシミュレーションが欠かせない様に思われます。


注1
実はこの事はホーキング放射のエネルギースペクトルが黒体輻射スペクトルからずれてくる、と言う事を示している可能性があります。

ある温度をBHが持った時に、それに一致した黒体輻射スペクトルで仮想粒子は対生成するのですが、エネルギーの高い粒子がBHに到達できる可能性が、エネルギーの低い方の粒子がBHに到達できる可能性よりも低くなる事が予想されるからであります。

そうなりますと、高エネネルギー側のスペクトルが低く抑えられる、というような事が起こりそうです。
その様な事もあり、代数的にBHの寿命を推定するというのは難しく、数値計算によるシミュレーションを回すのが妥当の様に思われます。

注2
ホーキング放射で放出されるエネルギーの上限はどうやらプランク質量をE=M*C^2で換算した値になる様です。
これは存在する光子1つが持ちうるエネルギーの最大値でもあります。<--リンク
他方でBHの温度は温度T=0.1227*10^(+24)/Mで計算され、BHの質量の減少につれていくらでも上昇が可能です。
そうして、ホーキングさんによれば「BHはその温度に応じた黒体放射スペクトルで放射を出す」との事ですが、放射される光子の上限振動数がプランク質量により制限を受ける為、それ以上の振動数は取る事ができず、高周波側がカットされる事になります。
つまりBHが小さくなると、あるいは消滅の直前まで行くとホーキング放射はもはや黒体放射スペクトルではなくなる、という事になりそうです。

追記(21/3/2)ホーキング放射計算機

寿命式の算出も載っています。そうして、こちらの導出の方が正確の様です。(山内さん紹介の導出手順にはちょっとしたタイプミスがある様です。)

以上の内容についてのコメント、ご感想などは
・不確定性原理と仮想粒子の対生成までお願いします。<--リンク


http://archive.fo/EGLgS
http://archive.fo/ZsG5s
http://archive.fo/X8zgq

コメント

ダークマター・それは形を作らないもの/

2019-03-11 07:00:22 | 日記
海の中に暮らす魚たちはきっとこう思っているでしょう。

「水なんていうものは、どこにもない。
だいたいそんなものは見た事はないのだから。」

そう言いながら水の中で一生を過ごすのでした。


プランクレベルのBHはお互いに衝突し合体する事は可能です。
しかしながら、その足し算は1+1=1であって、我々の物質世界のように1+1=2にはならないのです。

どれほどのプランクレベルのBHを、そうやって足していっても1個のBHにしかなりません。
つまり「ダークマターは形を作らない」と言う事になります。

他方で原子と言う形態は形を作る事が出来ます。
「あたりまえだ、そんなこと。」
まあ我々「形がある世界の住人」は当然そう思います。
しかしながら、これはこれでよく考えますと、非常に不思議な事でもあります。


形のある世界では「物をぶつければ、ぶつけられた対象物は壊れる」。
まあそれが常識と言うものです。
そうやって素粒子の世界にまで踏み込んでいきました。
しかしながら、それはどこまで行っても「形のある世界の話」でありました。

他方でプランクレベルのBHの世界では「お互いがぶつかればお互いがお互いを吸収する。」その結果は「BHは一つになる」のでした。

そうして「物質粒子はもはや大きすぎてプランクレベルのBHには吸収できない」、つまり「物質粒子とは衝突しない」、「単にその横を通り過ぎるだけ」なのです。

そうでありますから、従来常識の「未知の粒子は物質粒子との衝突で検出できる」というやり方はもはや通用しない、そう言う事になります。


ダークエネルギーの実体がマイナス質量のプランクレベルBHであるとすると、それが宇宙で一番多く存在する「質量を持つもの」になります。
そうして二番目がプラスの質量を持つプランクレベルのBH、別名を「ダークマター」といいますが、それになります。

それらの存在は質量をもちますが、ほとんど大きさをもちません。
そのことのおかげて宇宙の大半の空間は「空っぽのまま」であります。

さてそれで老子の出番になります。
「空間は空っぽであるから有用なのだ。」
老子はそのように看破しております。

まったくその通りでありましょう。
そのおかげで、バリオンからなる我々はまるで「この宇宙は我々形あるものが主人公」みたいな顔ができるという事になっている訳であります。


さて、今まで見てきた様に「ダークマターはプランクスケールのBHだ」が当たっているとしますと、我々はBHの海の中に住んでいる事になります。

そうしてこう言うのです。
「プランクスケールのBHなど見たこともない。
そんなものはどこにもないのだから。」

さあこれでは「我々は海の中で暮らす魚たちと大差はない」と言う事になってしまいます。


以下ご参考までに
宇宙を形成する謎の超物質「暗黒物質(ダークマター)」とは?<--リンク

PS
ニュートリノと言うものも物質とはあまり反応しません。
地球なんか平気で素通りします。
(この辺りの性質はダークマターと一脈通じるものがあります。)

しかしながらこいつがあるおかげで超新星爆発が出来るのです。
その結果は中質量のBHの誕生、そうして中性子星が出来、2つの中性子星が衝突、合体すると多くの重金属類の生成がそこで行われます。

そうして、そういう星の衝突の結果生まれた生成物が集まって地球が出来、我々が今こうしてここにいるのですから、ニュートリノにもそれなりに感謝してもいいと、これはたしかカミオカンデの研究でノーベル賞をもらった偉い学者さんがそのように言っていたと記憶しています。

PS
原始ブラックホール程の働き者はめったにいない。

まずはダークマターとなって銀河を作るお手伝い。

それが済んだら今度はダークエネルギーとなって、宇宙がしぼむのを防ぐ仕事を受け持つ。

そして形ある者どもが住める宇宙をそうやって作りあげて維持していく。

しかも人知れず、あたりまえのように、誰にも感謝されることも無く成し遂げていく。

本当に宇宙のしくみというのは「匠の技」としか言いようがないものでありますなあ。

PS
ボイドとフィラメント

まあとにかくこれを見てほしい。

宇宙のボイド(Void)空っぽの所、ぐらいの意味か<--リンク

光っている所が銀河のつながり、フィラメントとか呼んでいる。
そうして、何もない所(の様に見える所)がボイド。
宇宙と言うのはこうやって見るとまるでスポンジである。

そうして、実際にスポンジを作るにはそこにガスをいれて泡を作らなくてはいけない。
それで何のことは無い、宇宙だって同じことをやっているだけ。
そこにマイナス質量のプランクレベルのBHを集めているだけの事。
しかしながら、光に反応しないので「何もない、空っぽの所」と人類は言っているだけのお話です。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

目次一覧です。


http://archive.fo/RMSZL
http://archive.fo/kOQ5R

コメント

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・9・ダークエネルギー優位に至るまでの宇宙展開の歴史/

2019-03-05 07:57:08 | 日記
「3・熱暴走するBH」で議論した様に星が重力崩壊したBHは蒸発するどころか、重量が増えるばかりです。<--リンク
そうでありますから、恒星を起源とするBHはダークマターとなるプランクレベルのBHには決してなる事はできません。

そうしますと、このプランクスケールのBHはいつ誕生したことになるのでしょうか?
それはビッグバンの直後ということになるでしょう。
原始BH(PBH)と呼ばれているものがそれになります。

小さな質量のBHが相当量(宇宙のエネルギーの9割ほど)つくられたものと思われます。
それらのBHがホーキング放射によって急速にプランクスケールのBHになっていきました。
その結果として、大量のダークマターが出来上がりました。

あとはダークマターと通常の物質粒子の相互作用によって星が生まれ、銀河が生まれた、という現在のよく知られたシナリオが展開していきます。
しかしながら、このような時間が経過する中で、ダークマターからダークエネルギーと称される反発力を生み出すものが誕生し始めます。

それは「6・その後のBHの運命」で論じた様に、一応の安定状態にあるプランクスケールのBHに仮想粒子がトンネルするによってBHの中に飛び込むことによるホーキング放射の発生によりおこります。
そのホーキング放射プロセスの結果、プラスの質量を持つBHからマイナスの質量を持つBHへとBHの状態の変化、あるいはBHの相転移が起こります。

このマイナス質量をもつプランクスケールのBHはマイナス質量をもつ点粒子と見なす事ができ、宇宙で銀河とダークマターが存在していない場所を埋めていきます。
このマイナス粒子の集団はお互いに反発力を及ぼし合い、さらには銀河とダークマターにも反発力を及ぼします。

こうして、この粒子の総数が一定数を超えた所で宇宙の再膨張、再加速という現象が始まったという次第であります。


さてここでちょっとした計算をしましょう。
以下Wiki/ダークエネルギーのページからの引用です。<--リンク
『宇宙は減速膨張から加速膨張へ 66.2億年前に移行し、現在では宇宙のエネルギーの72.9%(観測誤差1.4%)を暗黒エネルギーが占めていることが測定されている。
・・・
その後、宇宙の加速膨張が発見され、さらにインフレーション理論の説明のためダークエネルギーの概念が導入された。
ある計算では、ダークマターを含めた物質を約30%、ダークエネルギーを約70%にした場合にうまくいくことが確認されている[8]。

2003年から、宇宙背景放射を観測するWMAP衛星の観測に基づいて、宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質で、人類が見知ることが出来る物質の大半を占めていると思われる水素やヘリウムは4%ぐらいでしかない、と説明されるようになってきている。』

宇宙の構成や加速膨張に転じた時期など不確定ではありますが、一応上記の値を使います。
今現在、74%が暗黒エネルギー(DE)、22%が暗黒物質(DM)で通常物質が4%。
66億年前に減速膨張から加速膨張に変化。

プランクレベルBHがダークマターであり、それが最終的に質量の絶対値は同じですが符号がマイナスになったプランクレベルのBHに変化しそれがダークエネルギーの実体である、とします。
そうして、宇宙のスタート時にはダークマターが96%でダークエネルギーはゼロ%とします。

それで137億年後の現在、DMが22%、DEが74%になったという訳です。
この場合1億年につき 1-0.9893=0.0107(1.07%)がダークマターからダークエネルギーにトンネル・ホーキング放射プロセスによって変化した、とすると137億年後には96%あったDMが22%にまで減り、そのかわりDEが74%となります。

この比率で変化してきたとすると、さて宇宙スタートから137-66=71億年ではDMとDEはどうなっていたのでしょうか?
DM=44.7%ーー>通常物質の4%と合算で48.7%
DE=51.3%
まあそれなりに減速膨張から加速膨張に移っても良さそうな気配であります。
ちなみにこの変化比率ですとDMのちょうど半分がDMからDEに移るのに必要な時間は64.3億年となります。

以上、大変におおざっぱな計算ではありますが、それなりに話は合いそうであります。

PS
ダークエネルギーはどうなのか?
・宇宙、あと1400億年は「安泰」 すばる望遠鏡で調査(2018年9月27日 asahi)<--リンク

『・・・その結果、宇宙を広げる暗黒エネルギーはそれほど増えておらず、宇宙は年齢の10倍ほどの時間(約1400億年)は存在できることが分かった。・・・』

ええ、せいぜい増えても1億年で1%程度ですからねえ。
それでも420億年(今から283億年後)にはダークマターの量は1%程度になり残り95%はダークエネルギー、当方の読みではマイナス質量を持つプランクレベルのBHと言う事になります。

さて、ビッグバンから1400億年後のダークマターの量はどれくらいになっているでしょうか?
上記の数値から計算しますと0.00003%、残りの95.99997%はダークエネルギー、になります。

しかしながら420億年辺りでダークエネルギーの増加もお終いになりますので、記事にあります様な『膨張が速くなり過ぎて宇宙が引き裂かれる「ビッグリップ」』というような現象は起こらないと言えそうです。

PS
皆さんは風船を膨らませた後はどうされますか?

せっかく膨らませた風船から空気が逃げない様に吹き込み口を縛りますね。

我々の宇宙のダークエネルギーもそれと同じ働きを受け持っているかのごとくです。

そしてそれがダークマターが姿を変えたマイナス質量をもつBHである、としたら、これはいったい誰がそんなうまい手を考えたのかと、本当に驚いてしまいます。


以下ご参考までに。
「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 前編<--リンク
「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 後編<--リンク

KWD ダークマター ダークエネルギー ブラックホール 

http://archive.fo/mBMls
http://archive.fo/gFGWv
コメント

ダークマターは興味深いですね

2019-03-04 01:17:27 | 日記
・【解説】ダークマターない銀河を発見、なぜ重要?<--リンク

ダークマター探しは本当に興味深いですね。

そうして、「キノコ(松茸)は千人の股をくぐる」と言われます。<--リンク

私には「ダークマターは万人の股をくぐっている」様に見えて仕方がないのであります。


第二章
ホームズさん曰く、「犯人は目の前にいる」と言ったとか、言わなかったとか。

頭の上に持ち上げたメガネはなかなか見つかりません。

えらい人が「そこは探したけれどなかったよ」と言われれば、初学者はなかなか探しには行きません。

ましてや自分が一度探した所をもう一度探す、ということは、、、いや、日常生活であればしょっちゅうやってますが、ダークマター探しではやりませんね、皆さん。

そうしてとうとう「ダークマターなぞは存在しない」と言いだす始末です。

まあそんな事をいうのでしたら「プランクレベルのBHの可能性」を考えた方がよほど生産的の様に思うのですが、さてどうなんでしょうかねえ。

いずれにせよ、いずれは「ホーキング放射で本当にBHは蒸発するの?」という疑問に戻ってくる様に、戻らざるを得ない様に思われます。


第三章
物理学者も人間である、ということ。

人でありますから、思いこみ、先入観、そういうものから逃れる事は出来ない様です。

しかしながら、多くの物理やがいるおかげで、思いこみも千差万別となります。

この多様性が人の場合は強みとなります。

そうして決着は観測でつける、自然に聞くのであります。

いったいどちらが正しいのか、と。

他方でAIが物理をやっても、いくら数多くのAIを投入した所で似たような答えが返ってくる様に思われます。

それが今の所の地球上のAIの実力、というところでしょうか。

そうでありますから、多様性は歓迎すべき事でありましょう。

そうして、決着は「自然に聞く」のであります。


第四章
百家争鳴(ひゃっかそうめい)のダークマター探し
『いろいろな立場にある人が自由に議論をたたかわせること。
多くの学者や専門家が何の遠慮もなく、自由に自説を発表し、活発に論争し合うこと。』

状況はまさしくそうであります。

しかしながら、大きく分けるならば、「ダークマターは幻だ」というグループと、「いや実在する」と言うグループに分けられそうです。

「ダークマターは幻だ」というグループは、地上での直接観測ができないのは、そのような物理的な実在がないからだ、と主張するでありましょう。
そうして、ダークマターの役割を、たとえば修正重力理論、あるいはマイナス質量の粒子の存在などというもので肩代わりさせようとします。<--リンク

ちなみに、「マイナス質量の粒子」が実在しても地球の重力場によって地上からは弾き飛ばされますので、地上での直接観測はできない、ということになります。
そして、実は同じ理由で銀河系内部にはこの粒子は存在できず、したがって宇宙空間にでて観測しても無駄、ということになります。

他方で、「いや実在する」と言うグループでは、「今まで検出できていないのは、探す方法が悪いのだ」と言う事になるのでしょうか。
そうして当方の主張もこのグループに属しますが「探す方法が悪い」のではなく「プランクレベルのBHは原理的、状況的に検出するのは至難の業」という主張となります。

その難易度というのは、重力波の検出と比較した場合、どれぐらいのものになるのでしょう?

重力波の検出はやり方が分かっていました。
あとはノイズとの戦い、SN比をどれだけ高められるか、と言う事でした。

しかしながらプランクレベルのBHの検出ときたら、やり方すら分かっていません。
秒速200Kmで例えば10日に一個、検出器の中を飛んで行く、ほこりゴミほどの質点を、その質点が及ぼす重力の効果だけで検出する、などと言う事は、今の地球上にある技術ではどう考えても無理な事の様に思われます。

さて上記が原理的に難しい事の説明でした。
それでは状況的に難しいというのは何でしょう?
XMASS(ダークマター観測実験)を例として取り上げましょう。<--リンク

『2013年の改修作業後、順調に行われてきた暗黒物質探索用データの取得を完了し、本日XMASS-I検出器から液体キセノンを回収しました。』
液体キセノンが約1トンとの事ですので、比重3.06から検出球の体積が326.8m^3と分かります。

半径が約4.3mで衝突断面積(円形)が57m^2。
これですとプランクスケールBHを1日で0.17個の観測が可能。<--リンク
2013年秋から2019年2月までで5.5年の稼働として全観測個数は341個。

1000回に一回のキセノンとの反応があったとしても、発光が観測できた確率は33%程度。
実際は1000回に一回も反応するとは思えず、ラッキーであったとしても10000回に一回程度かと。
これだと5.5年動かして1回の発光を観測できた確率は3.3%。

以上が「状況的に難しい」という事の内容になります。

ちなみに当方の主張は「プランクスケールBHの衝突断面積はゼロ」ですので、XMASSの様な「物質粒子との衝突を検出するというやり方」では原理的に検出不可能と言う事になります。
つまり「どれだけ大きなXMASSを作ってみてもダークマターは観測できない」と言う事であります。


第五章
人類が直接検出できないもの
人類はいままで宇宙から地球に届いている、物理的に実在するものは何であれ検出し観測してきました。
たとえばそれはニュートリノであったり重力波であったりした訳であります。

そうでありますから、ダークマターも地球に届いている物理的な実在ですから、必ず検出できると考えるのは無理からぬ事であります。

しかしながら上記で述べましたように、今回ばかりはそうはいかない可能性があります。
そうであるとすれば「確かに目の前にあるのだがその物理的な実在を観測できない」という、これは人類にとっては初めての経験と言う事になります。
あるいは「初めての敗北」とも言えます。

・ダークマターの分布の謎を「共鳴現象」がひも解く:<--リンク
注目の新理論から見えてきたこと

『もし「重力」がダークマターを引き付ける唯一の力であり、ダークマター粒子に反発し合う特性がないとすると、ダークマターの分布はどのような銀河にとっても中心部が高密度になるはずだ。
しかし、観測データはそうではないことを示している。
ダークマター粒子が「特定の速度」で衝突するときにだけ、ビリヤードのボールのように散乱する「共鳴現象」が起こるなら、粒子がより均等に広がっている矮小楕円銀河の分布を説明することができる。・・・』

さて、真偽の程はどうでしょうか?


第六章
ダークマター代替え理論
ネットで少し探した結果、3つ見つかりました。
(まだほかにもあるやもしれませんので、ご注意願います。)

・宇宙は「暗黒流体」に満ちている? 新説を巡る科学者とメディアの責任を考える(WIRED 2019.01.21)<--リンク
ジェイミー・ファーンズ
『宇宙がどのように機能しているかを説明するために、大半の研究者は一般相対論の方程式を利用すると同時に、暗黒物質と暗黒エネルギーの存在を認めている。

だがファーンズはその代わりに、負の質量をもつ暗黒流体が存在する可能性があると主張する。
ファーンズの論文は、多数の仮定を立てている。例えば、宇宙は方向によって異なる膨張率をもつこと、負の質量が存在すること、自然発生的に自己を生む何かがあるという見解などだ。

ファーンズは暗黒物質と暗黒エネルギーを排除し、それらの代わりに「負の質量をもつ流体」が宇宙に充満しているとする。』

ダークエネルギーの正体がマイナス質量を持つ粒子である、というならばその部分については同意いたします。


・「暗黒物質」は存在しない? 大胆な仮説を提唱した物理学者の長き闘い(WIRED 2017.04.02)<--リンク
エリック・ ヴァーリンデ
『重力は「見かけの力」にすぎないという衝撃的な論文を2010年に発表した、理論物理学者のエリック・ ヴァーリンデ。
昨年末、彼は暗黒物質(ダークマター)は存在しないという論文を新たに発表した。
さらにオランダでは、宇宙における重力分布の測定データが、彼の理論と一致するという研究結果も発表されている。・・・』

・ダークマター存在せず? - 「エントロピック重力理論」と観測データが一致(マイナビ 2016/12/22 )<--リンク
マーゴット・ブラウワー、
『ライデン天文台(オランダ)の天文学者マーゴット・ブラウワー氏らの研究チームは、宇宙における重力分布の測定データを分析し、「エントロピック重力理論(ヴァーリンデ理論)」と一致する結果を得たと報告した。
エントロピック重力理論は、2010年にアムステルダム大学の理論物理学者エリック・ヴァーリンデ教授が発表した重力についての新理論。
重力とは「電磁気力」「強い力」「弱い力」と並ぶ自然の基本的な力ではなく、実は「見かけの現象」に過ぎないとする理論であり、・・・』

人はしばしばデータの中に「自分がみたいもの」を見てしまう、そういう存在であります。


・本当は存在しない?暗黒物質/ 日経サイエンス  2002年11月号<--リンク
M.ミルグロム(ワイツマン研究所)
『 ・・・「力は加速度に比例する」という有名なニュートンの第2法則を,極めて小さな加速度の下では「加速度の2乗に比例する」とした修正ニュートン力学を提唱したのだ。
不思議なことにこのように修正を施すと,暗黒物質の存在を想定しなくても驚くほど矛盾なくさまざまな観測結果を説明できる。
そのうえ修正ニュートン力学が予想したいくつもの現象も,その後の観測で確認された。
・・・
修正ニュートン力学は暗黒物質論の代替論として最も優れており,長く支持されている。』

記事にある様に「本当に不思議」ですねえ。


第七章
ダークマターをさがせ!
・ダークマター」検出へ、欧州の原子核研究機関が新たな実験計画(AFPBB News 2019/03/06)
『【AFP=時事】欧州合同原子核研究機関(CERN)は5日、暗黒物質(ダークマター)に関連する素粒子を探すための新たな実験を計画中であることを明らかにした。
・・・
 今回の実験の目的は、いわゆる暗黒光子(ダークフォトン)やニュートラリーノなどの仮説上の粒子を探すことだ。
これらの粒子もまた、ダークマターに関連するとされる。
実験は2021年から2023年までの間に始まる見込みとなっている。』

CERNがようやくダークマター探しに本腰をいれる事になった模様です。


・ダークマターの超巨大嵐、太陽系を覆いながら地球を通過中(GIZMODO 2018.11.22)<--リンク

さて、XMASSはこの嵐を観測できたでしょうか?
PS
残念ですが日本国内での直接観測は今回で一応終了した模様です。
・液体キセノンを用いた暗黒物質直接探索実験の新たな展開の提案<--リンク
『XMASS 実験が現在の 1 相式をそのまま延長する形で XMASS-1.5 を実現しても、世界の研究に追いつけないことは委員の共通の認識となった。
研究グループが研究計画の変更を提案するのは妥当である。
また、海外で進展中の G2 実験、具体的には XENONnT への参加は、有力な計画である。・・・』


・宇宙の謎「消えたバリオン」問題が新たな観測手法によって解明へ(Gigazine) 2018年09月25日<--リンク

宇宙はなぞに満ちています。

・ダークマターの3次元地図の作成に成功 - すばる望遠鏡・HSCの初期成果が発表(マイナビ2018/02/27)<--リンク

すばるもがんばっております。


第八章
ダークエネルギーはどうなのか?
・宇宙、あと1400億年は「安泰」 すばる望遠鏡で調査(2018年9月27日 asahi)<--リンク

ここでもすばるが活躍しています。



http://archive.fo/L6EG0
http://archive.fo/clBF0
コメント

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・8・BH(ブラックホール)は熱いのか?

2019-03-03 14:53:23 | 日記
いや、BHは熱を持たないでしょう。

それはBHのホライズンは熱を持たないと言う事であります。

ホライズンがある真空で、ちょうどホライズンが位置する所で仮想粒子の対生成が起きた場合の事を考えます。

その時はBH側に飛んだ粒子はもちろんBHに飲み込まれます。

それで、BHと反対側に飛んだ仮想粒子は、これはしかしながらホライズンの定義からBHホライズンから外に出る事はできず、その粒子に質量があるならば速度は光速未満でしょうから、最終的にはBHに吸収される、そういう運命でしょう。

そうであれば、ホライズンから粒子が飛び出してくることはない、つまりはホライズンは温度を持たないのであります。
(BHの外側の観測者にはそう見えます。)

粒子が飛び出してくる空間、それはどれほどホライズンに近くともホライズンではなく、BHの外側の空間、外側の真空です。

そうでありますから、もし「熱い」というのであれば、BHの外側の空間が熱いのであって、BHそのものは少しも熱くはないという事になります。

そして「熱い」-->温度を持つーー>エントロピーがある、というロジックでBHがエントロピーをもつ、というのであれば、それは間違った表現であって、BHを取り巻く、粒子を発生させている空間がエントロピーを持つのであります。


さて、BHが温度を持っていて「熱くなる」からBHは最後には蒸発する、そう言う説明、そう言う表現がなされます。

いやいや、BHは熱くありませんから「蒸発はしない」のです。

そうして、誰が言い出したのかは知りませんが「蒸発」と言うコトバをつかうことで、あたかも水が蒸発するかのように、跡かたが何も残らずに消えてしまうというイメージが我々の頭の中に植え付けられます。

そうして脳と言うものは思考のラベル化、省エネ化をする器官でありますから、「そうかBHは蒸発して消えるのか。」、「そうであれば今後はその事については考えなくて良い。」とこうなる訳であります。


ホーキング放射はBHの蒸発プロセスではありません。

それはBHのホライズン近傍で発生した仮想粒子対の内の一つの粒子とBHの衝突、そしてその粒子のBHによる吸収というプロセスであります。

そのようなプロセスの結果としてBHから離れてゆく粒子が仮想粒子ではなくなり、現実の粒子として観測され、それがホーキング放射という名前を持つものになります。

KWD ダークマター プランクスケール ブラックホール

http://archive.fo/oEHXF
コメント