宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・22・BH(ブラックホール)が質量を減らす方法(3)

2019-05-07 13:50:34 | 日記
前回はニュートリノの放射について検討しました。
今回は光(γ線)の放射について検討しましょう。
ただし光の放射については「ホーキングさんが考えたこと・17」の結論によればニュートリノの放射に比べて
7.31*10^-14=0.0000000000000731の確率でしか起こらないのでした。<--リンク
加えて「ホーキングさんが考えたこと・18」の結論によればニュートリノの放射に比べて「17での理由とはまた違う理由で」発生確率が1/3になってしまうのでした。<--リンク

その結果、ニュートリノの放射に比べて光の放射の発生確率Pが
P=0.3333*7.31*10^-14=0.0000000000000244=100兆分の2.44。
これでは普通は「事実上は無視しても良かろう」という事になります。
まあしかしながら、何らかの理由でニュートリノの放射が制限されていた、とするならばBHは光を放射する事になりますので、一応どのような状況になるのか、確認だけはしておこうという事であります。

BHのホライズン半径が4Lpである状況を想定します。
このBHが吸収しそうしてまたホーキング放射出来る最低のエネルギーをもったγ線の波長は、BHホライズン直径と同程度の8Lpとなります。
そうして、プランク質量MpのBHの半径Rsが2Lpであることから、今回のBHの質量は2*Mpである事が分かります。

波長が8Lpの光のエネルギーEはE=生h*振動数ν=生h*C/(8Lp)
質量換算するとΔM=E/C^2=生h/(8Lp*C)=Pi/4*Mp
(Lp=sqrt(h*G/C^3)、h=生h/(2*Pi)、Mp=sqrt(C*h/G)による。)

もともとのBHの質量が2*Mpでしたからホーキング放射を出した後のBH質量Mは
M=(2-Pi/4)*Mp=1.2146*Mp
となる事が期待されます。
但しこの計算ではBHに飛び込んだ光が持っていた運動量Pを無視しています。


それで次は運動量Pを考慮した場合となります。
光のエネルギーE=P*C=生h*振動数ν
従ってP=生h*振動数ν/C=生h/波長λ=生h/(8Lp)
(あるいはP=Pi/4*Mp*C、E=Pi/4*Mp*C^2)

ホーキング放射を出した後のBHの質量Mが満足しなくてはならない式は
((2*Mp)*C^2-生h*C/(8Lp))=sqrt((P*C)^2+(M*C^2)^2)
ホーキング放射でBHが失ったエネルギーが生h*C/(8Lp)
他方でBHに飛び込んできた仮想粒子が持ち込んだ運動量がPです。

整理すると
M=Mp*sqrt((2-Pi/4)^2-(Pi/4)^2)
M=0.9265*Mp
運動量Pを考慮しない場合はM=1.2146*Mpでしたので
その差分がBHが運動量Pを吸収した事によるBHの運動エネルギー分となっています。

そして上記より光放射後のBHの移動速度をVとすると
P=Pi/4*Mp*C=M*V/sqrt(1-β^2)
但しβ=V^2/C^2

整理すると
Pi/4*C=0.9265*V/sqrt(1-β^2)
Wolframによれば
V=0.6466*C
BHは光速の65%で運動し始める事になります。

こうして光を放射するホーキング放射の場合は、一回当たりの放射エネルギーがニュートリノ放射の場合と比較して相当に大きいという事がわかります。
(ニュートリノ放射の場合はBHは光速の13%程度で走り出します。
他方で光放射の場合は光速の65%で運動し始める事になります。)

そして、その事が光を放射するホーキング放射がニュートリノ放射のホーキング放射の場合に対して起こりにくくなっている理由でもあります。
(光放射の場合はBHのその時のホーキング温度に不相応な高いエネルギーの光の対生成が必要となり、それは難しい事であって、従ってそのような光の発生確率は極端に低くなる事になります。)

さてそういう訳でこれ以降の検討においては、特に光放射に注目する必要がある場合を除いてはニュートリノ放射をホーキング放射のメインプロセスとして想定し、議論を重ねていきたいと考えます。


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