女刑事の死 (ハヤカワ文庫 HM (309-1))ロス・トーマス早川書房 このアイテムの詳細を見る |
古本屋で見つけた小説です。
あらすじは
若い女刑事が、車の爆発により死亡した。爆発現場は、彼女の所有するアパートの前の通りだった。ワシントンで上院調査監視分科委員会で働く兄のベンジャミン(ベン)・ディルは、妹死亡の知らせを受け、葬儀のため帰郷するが、帰郷は葬儀のためだけではなく、自身の働く分科委員会からの密命も受けていた。帰郷したベンの前に、妹の友人で弁護士のアンナ・モード・シンジという女性が現れ、妹が高額の生命保険に入っていたことを知り、高額保険金の受取人はベンだといわれる。そして、一刑事の給料で購入できるはずもない不動産(アパート)を所有していたことも知る。両親亡きあと、兄妹二人きりの家族で、年の離れた妹とは、仲が良く手紙や電話のやり取りもして、お互いに気をかけていたのに、ベンの知らない顔をもつ妹を知り、殺害された妹の事件の真相を突き止めようと、事件を追うベンだったが、事件を追うほど、ベンが密命を帯びた案件と、妹の殺害事件は絡まっていく。妹は悪事に手をそめていたのか。そして、妹殺害の犯人は、一体、誰なのか・・・
感想は
この作品、発表年が1984年ということで、設定がもう過去の遺物ですね。電話は、まあ良いとして、兄妹間で手紙のやり取りって、E-mailの普及した現代では、ノスタルジックですね。しかし、この手紙という距離・時間差が、ラストを上手く締めています。
読みはじめは、殺害された妹の事件を追う兄の物語かと思いきや、どちらかというと、ベンの分科委員会からの密命の話が前面に出てきて、この話がどっちに進むんだろうと思いました。そして、妹の事件の真相を知ったあとの、ベンの行動(立場?)は、思いもよらないものでした。
ある意味、奥が深く、読ませる作品でした。
あとがきの作品説明によると、作者のロス・トーマスは、1926年に生まれ、1966年にデビューし、1995年に亡くなるまでに、25の長編を発表、16の作品が邦訳されているのだそうです。今作「女刑事の死」が邦訳された最後の作品らしいです。
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