この作者、デビュー作「報復」を読んで好きになった作家さんです。
続く「報復 ふたたび」も、とっても面白かったです。
そして、最新作「心神喪失」も迷うことなく、購入してしまいました。
全二作は、題名の通り続き物でしたが、今回の「心神喪失」は、新しいキャラのまったく別物の作品です。(検察官ものってところは、一緒
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あらすじは、
マイアミの高級住宅で、外科医の妻・幼い子供三人が惨殺される事件が発生する。
そして、容疑者として挙がったのは、現場で重症を負いながらも、命の助かった外科医の父親だった。
緊急ダイヤル911に、幼い6才の娘が、殺される前に必死で助けを求めた「たすけて...やめて、パパ!!」という声が、残っていたのだ。
正義感の強い女性検察官ジュリアは、この事件の裁判において、上席検察官リックの補佐として、次席検察官に任命され、初めての殺人事件を担当することとなる。
裁判がはじまり、弁護側は、犯人となった外科医で父親の犯行時の“心神喪失”を訴えてきた。
優秀な外科医であった父親の、あまりに突然の強行。
弁護側は、精神病の一種「統合失調症」による妄想にとり憑かれた結果の犯行であり、無罪を主張してきたのだ。
死刑を求める検察側は、犯人を有罪とするには、心神喪失が詐病であることを、証明しなければならなくなった。
そのことにより、ジュリアは自分の過去と向き合うことになる・・・
感想は
無罪になるために容疑者が、“心神喪失”を主張する話は多くありますが、この作品で取り上げられた「統合失調症」は、ある日、まったくの正常だった人が、急に発病(若年に多い)し、その原因は未だ解明されていません。しかし、家族に一人でも発症者がいると、その他の家族・血縁に発症する確立は高くなるようで、遺伝子的なものによるところが多そうですが、原因遺伝子の発見には、至っていません。
突然に起こる精神病なので、詐病との認定も難しく、また精神病に関しては、精神科医の診断に頼るもの(科学的な根拠はない)なので、その認定に関しても、難しいところです。(作品内で説明されていました
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「やはり」な顛末でしたが、ジュリアの過去を思えば、それもやむなしでした。
著者あとがきを読むと、「病を憎んで、人を憎まず」っていうのが、訴えたいことのようでしたが、遺族からすれば、その病も犯人の一部で、病だからといって、犯人を憎まないってことには、出来ないですよね。
「精神病ならば、善悪が分からないといって、人を殺しても許されるのか?」
罪には問われず、措置入院しても、経過が良好ならば、何年かで釈放されてしまうのでは、遺族の無念、もしかしての繰り返しがあった時に、どうするのか。
病によるものであっても、殺人を犯した完全治癒の認められない精神病者を、野に放つのは、賛成できないと思いました。まして、日本なら、そういった人たちの情報開示は、まずされないでしょうし、隣人がそうであっても、わからないでしょう。
読み物としては、面白かったですが、前二作には、到底及びませんでしたね。
ちょっと、がっかりでした