蒲生邸事件 (文春文庫)宮部 みゆき文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
宮部 みゆきさんの『蒲生邸事件』を、読みました。
あらすじは、
東京の大学入試に失敗してしまった孝史は、東京の予備校受験のため、2週間前の大学入試のときにも利用した“平河町一番ホテル”へと、再び訪れていた。
古びた冴えない小さな“平河町一番ホテル”。
そのホテルのエレベーター横の壁には、『旧蒲生邸』の写真と『陸軍大将 蒲生憲之』の肖像写真が、飾られていた。
そのホテルで、孝史は一人の男と出会う。
その男は、なんとも言えず、人を不快にさせる負のオーラを纏った様な、その男の周りには、常に影がかかっているような暗いイメージの男だった。
その男と出会った次ぐ日、何かの異変で、目を覚ました孝史は、火の気に包まれたホテル内にいた。
何とか、逃げようと試みたが、火の回りが速く、逃げ道を塞がれてしまった。
「俺は、死ぬ」と思ったそのとき、孝史の前に“あの男”が現れ、俺を助けてくれたのだが・・・
宮部みゆき作品の好きな知人に薦められて読み始めた『蒲生邸事件』ですが、最初の10Pぐらい読んで、“ある男”が登場したあたりで、その男の描写部分に、ちょっとホラーっぽい感じがして、惹きこまれずに、借りたその本を返そうとしたのですが、貸してくれた知人の「もうちょっと、読んでみなよ。面白いから」の一言に、「じゃあ、もう少し頑張って読んでみるよ」と続けて読み始めたら、確かに面白かったです。
登場人物の“ある男”には、特殊な能力があり、孝史は火事に包まれたホテルからの、その男との逃走の際に、その男の能力により、大変な経験をしてしまいます。
しかし、その経験が、孝史を「今日を精一杯に生きる」という、大きく成長させる物語でした。
登場人物も、とても個性的で、それぞれの登場人物の考え方や、発言や立ち居振る舞いなども、とても丁寧に描かれていて、一本の映画を見ているように、情景を思い描くことが出来て、とても楽しい作品でした。
登場人物、それぞれの考え方には、とても共感できるものでした。
登場人物の一人“貴之”が、「臆病に生き抜いてみせる」と言い放つ台詞があるのですが、人間なら誰しも感じる感情だと思います。
そんな貴之を、自分は臆病者だとは思いません。
自分が、貴之だったとしても、きっと同じに違いないと思います。
この“貴之”ひとりについても、とっても良く深く描かれていて、読み応えがありました。
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