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将棋の日記

羽生棋聖防衛

2010-06-27 15:21:46 | タイトル戦&予選情報
羽生棋聖に挑戦する、深浦王位です。
棋聖戦の第3局が行われました。

先手:羽生棋聖(名人・王座)
後手:深浦王位

戦形:角換わり(後手四間飛車)


通常の一手損角換わりとは、少し違う手順に進みました。

通常は、▲7八金が入っているため△5五角の筋を気にしないで駒組みが出来ますが、本譜は、△5五角の筋を気にしながら駒組みしています。

例えば、△3三銀、▲1六歩、△5五角、▲3七銀とすれば、▲2八飛が利いているために△8八角成と出来ません。
しかし、△3三銀、▲6八玉、△5五角、▲3七銀、△8八角成より▲2八飛の効きが▲6八玉のために飛車が利いていません。 これは、後手が良いです。


格言には、「角交換の時には、5筋の歩は突くな!」と教えられています。
王手飛車の筋、何かと両取りの筋が生じるので、形勢を悪くすることが多いから言われています。

格言からすれば、▲5六歩はまったく考えられない手です。
▲5六歩は、本当の初心者または名人ぐらいしか思い浮かばない手です。
アマチュアの高段者では指さないし、初心者に教える時には、絶対にお勧めしない手です。

将棋の基本に忠実に指す場合は、▲5六歩はしないです。
本局は、羽生名人だからこそ、指せた手だと思います。
羽生名人の▲5六歩の真似をすると、大やけどをするので、辞めた方が無難だと思います。


実は、私の行っている将棋道場では、角交換をして、後手四間飛車にする方がいます。
私は居飛車で指すのですが、大体は▲8八銀、▲7七銀、▲8八玉、▲9八香、▲9九玉、▲8八銀、▲7九金と穴熊にして指すことにしています。
そういう意味では、羽生棋聖の▲5六歩や▲8六歩から銀冠にする作戦は、珍しい指し方だと思う反面、参考になる指し方になりました。


===== 補足 =====
学問(数学など)の勉強をすると、初学者という言葉を耳にします。
この場合の初学者とは、新しい分野については初めて学習をする意味で使われます。
例えば、高校の微分積分学を学んだ後に、初めて、複素解析の微分積分学を学ぶ時に、複素解析の初学者と使います。

将棋でも、指さない将棋ファン、入門者、初心者、初級者、有段者、奨励会、プロと色々な表現があります。

指さない将棋ファンは、ルールを知っている程度の将棋ファン。

入門者、初心者は、初段(道場など)を目指す方です。
<Yahooの辞書より>
入門者:学問・技芸などを学びはじめること
初心者:その道に入ったばかりで、まだ未熟な者。習い始め、あるいは覚えたての人。

どちらも、その道(将棋のこと)を学びはじめること、習い始めの方を指します。
なので、その道を学ぶということは、初めの目標は初段だと思います。

初級者は、道場とか何級と認定されている方です。
有段者は、道場とか何段と認定されている方です。
※アマチュアの正式な認定は、日本将棋連盟から発行されている免状を頂くことです。

奨励会は、プロの養成機関に所属している方です。
プロは、プロ四段以上の棋士です。
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△4五歩、▲5七銀となりました。
後手の△4五歩が目標になるのではないかと心配しました。
私だと▲4六歩の筋から逆襲する手順を考えたいです。


△4一玉ですか・・・!?

格言に「王飛接近するべからず」とあります。
王、飛車の当りが強いこと、王手飛車の筋になり易いこと。

これも、初心者は真似をしない方がいいです。
基本に忠実ならば、△6一玉、△7一玉、△8二玉とする方が堅実な指し方です。


プロの場合は基本を押さえて、その上で自由な発想のもとに指しているので、大丈夫です。
実際は、悪くなり易い変化が多いですが、そこは読んで悪くならないように指してます。


後手の△3九銀に対する対応が難しいと思いました。
1)▲1八飛、△2七角より飛、角の交換。
2)▲2七飛、△4九角よる飛、金の両取り
3)▲2九飛、△4九角、▲3九飛、△5八角成より後手に馬が出来る
4)▲2六飛、△8五桂、▲同桂(*)、△4四角と王手飛車の筋に入ります。
4)の(*)と取れない変化だと、先手が好んで指す変化ではないと普通は思います。


前図面の4)の変化があるので、▲3五歩となりました。
これが唯一の受けなんですね。

▲5六歩の時に書きましたが、5筋の歩を突くと、王手飛車の筋をいつも気にしないといけません。
本譜でも、王手飛車の筋になりました。
格言は本当なんですね。
この唯一の▲3五歩以下の変化に自身がなければ、▲5六歩は指せないということになります。
やはり、名人だから▲3五歩以下の変化を読み切れたのと思いました。


本局は、初めの手順から面白い変化になりました。
そして、初心者が真似をすると大やけどする指し方が多い将棋でした。


結果的に、羽生棋聖の3連勝となりました。
これで、羽生棋聖が棋聖を防衛しました。
通算タイトル獲得が77期となりました。

ふっと思いました、名人戦、棋聖戦とどちらも羽生三冠のストレート勝ちなんですね。


角換わり系の後手四間飛車の将棋の指し方は勉強になりました。
将棋の内容も見ていて楽しい将棋でした。

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