MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

空気に抵抗

2013-03-17 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

03/17 私の音楽仲間 (467) ~ 私の室内楽仲間たち (440)



               空気に抵抗




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




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 ロシアに生まれたグラズノーフは、主に管弦楽曲で
知られています。

 バレェ音楽や、8つの交響曲。 それにヴァイオリン
協奏曲も有名ですね。



 室内楽の分野では、2曲のピアノソナタ、7つの
弦楽四重奏曲がありますが、ほかに、弦楽五重
奏曲も1曲だけ残しています。

 これは1891~92年に書かれたとされています
(Op.39)。 生まれは1865年ですから、まだ 20代
半ばの作品になります。



 この曲はイ長調が基調ですが、頻繁な転調が目立つ
箇所もある。 曲を聞いたことがなかった私は、自宅で
練習しながらボヤいたものです。

 「何だ、これ。 まるで “転調のための転調” だな…。」

 特に第Ⅰ、第Ⅳ楽章が面倒でした。 譜読みは簡単な
ほうがいいので、文句タラタラ。




 第Ⅱ楽章はスケルツォ。 ヘ長調で、“Allegro moderato”、
2/4拍子です。



 特徴はピツィカート。 二連符や三連符が、5つのパートで
交錯します。

 この元気のいい音楽と交互に現われるのが、“歌” の部分。
Vn.Ⅱや Viola が活躍します。



 今回は、Violin 私、San.さん、Viola が Sa.さん、チェロは
Si.さんY.Su.さんの五人でした。




 [譜例]は Vn.Ⅰ のパート譜で、楽章の一番最後です。

 演奏例の音源]は、2小節目の “” からスタートします。







 途中で “poco più sostenuto”、つまり “ゆっくりの部分”
が、二度ほど割り込んで来ます。

 これは、先ほど触れた “歌” の部分で、ここでは回想風に
顔を出しているのです。




 テンポの異なる二つの部分が、うまく対比できると、楽章の
終りが締まりますね? でも、なかなか難しいようです。



 技術的には、音の形を使い分けなければいけません。

 “” と “” を。

 それぞれ、“減衰” と “後膨らみ” です。 “後膨らみ” は
言い過ぎかもしれませんが、少なくとも「音を持続する」…
必要があります。




 …というのは、格式張った表現ですね。 極論すれば、
「付き合いがいいか、悪いか」…です。

 合奏に携わっていると、周囲に同化することが、しばしば
求められますね。 いわゆる「空気を読みなさい!」です。



 しかしそれも、時と場合による。 「仲間に付き合う」ので
はなく、「敢えて空気に抵抗する」ことも、また必要です。

 それが、作曲者の構想なのですから。




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