03/17 私の音楽仲間 (467) ~ 私の室内楽仲間たち (440)
空気に抵抗
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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ズノーだけじゃないよ!?
ロシアに生まれたグラズノーフは、主に管弦楽曲で
知られています。
バレェ音楽や、8つの交響曲。 それにヴァイオリン
協奏曲も有名ですね。
室内楽の分野では、2曲のピアノソナタ、7つの
弦楽四重奏曲がありますが、ほかに、弦楽五重
奏曲も1曲だけ残しています。
これは1891~92年に書かれたとされています
(Op.39)。 生まれは1865年ですから、まだ 20代
半ばの作品になります。
この曲はイ長調が基調ですが、頻繁な転調が目立つ
箇所もある。 曲を聞いたことがなかった私は、自宅で
練習しながらボヤいたものです。
「何だ、これ。 まるで “転調のための転調” だな…。」
特に第Ⅰ、第Ⅳ楽章が面倒でした。 譜読みは簡単な
ほうがいいので、文句タラタラ。
第Ⅱ楽章はスケルツォ。 ヘ長調で、“Allegro moderato”、
2/4拍子です。
特徴はピツィカート。 二連符や三連符が、5つのパートで
交錯します。
この元気のいい音楽と交互に現われるのが、“歌” の部分。
Vn.Ⅱや Viola が活躍します。
今回は、Violin 私、San.さん、Viola が Sa.さん、チェロは
Si.さん、Y.Su.さんの五人でした。
[譜例]は Vn.Ⅰ のパート譜で、楽章の一番最後です。
[演奏例の音源]は、2小節目の “O” からスタートします。
途中で “poco più sostenuto”、つまり “ゆっくりの部分”
が、二度ほど割り込んで来ます。
これは、先ほど触れた “歌” の部分で、ここでは回想風に
顔を出しているのです。
テンポの異なる二つの部分が、うまく対比できると、楽章の
終りが締まりますね? でも、なかなか難しいようです。
技術的には、音の形を使い分けなければいけません。
“>” と “<” を。
それぞれ、“減衰” と “後膨らみ” です。 “後膨らみ” は
言い過ぎかもしれませんが、少なくとも「音を持続する」…
必要があります。
…というのは、格式張った表現ですね。 極論すれば、
「付き合いがいいか、悪いか」…です。
合奏に携わっていると、周囲に同化することが、しばしば
求められますね。 いわゆる「空気を読みなさい!」です。
しかしそれも、時と場合による。 「仲間に付き合う」ので
はなく、「敢えて空気に抵抗する」ことも、また必要です。
それが、作曲者の構想なのですから。
[音源サイト]