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観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

ナチョ・リブレ 覆面の神様 Nacho Libre

2008年03月22日 | Weblog
監督・脚本:ジャレッド・ヘス
製作:ジャック・ブラック、デヴィッド・クローワンズ
   ジュリア・ピスター、マイク・ホワイト
製作総指揮:スティーヴ・ニコライデス、デイモン・ロス
脚本:ジャレッド・ヘス、ジェルーシャ・ヘス、マイク・ホワイト
音楽:ダニー・エルフマン
キャスト:
ジャック・ブラック(イグナシオ/"ナチョ")
アナ・デ・ラ・レゲラ(シスター・エンカルナシオン)
ヘクター・ヒメネス(スティーブン/"ヤセ" )
セサール・ゴンザレス(ラムセス)
エフレミ・ラミレッツ
リカルド・モントーニャ(ギレルモ)
ピーター・ストーメア
モイセス・アリエス
2006/米/92min. ☆☆☆★

 『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックが爆笑と感動のゴングを鳴らします。ロックの次はリングで爆笑。今度はルチャ・リブレ(メキシコのプロレス)で爆笑パフォーマンスを披露します。破壊的でハチャメチャだけど、なぜか憎めない陽気なスター、ジャックが、太った体をレスリングスーツに包み、マントを羽織ってルチャを気取る、その姿だけでも笑えるコメディー。誰にだって人生一度は輝く瞬間がある。そんな勇気と優しさを与えてくれる映画、それが『ナチョ・リブレ 覆面の神様』。かの「タイガー・マスク」の原案とも言われるメキシコの伝説的ルチャドール、フライ・トルメンタ(日本名:暴風神父)の実話がベースで、彼の物語はジャン・レノ主演の『グラン・マスクの男』としても映画化されています。監督は「バス男」で全米スマッシュヒットを記録した新鋭ジャレット・ヘス。登場人物の誰もが、ちょっぴり変わり者で不恰好、アドリブ(!?)と思われるジャックのセリフや動きはあいかわらず突拍子もないけど、根底に情があるから、見終わったあと温かい気持ちに。ジャックの弾けっぷりとやさしさを堪能できる作品です。製作&脚本は「スクール・オブ・ロック」「オレンジ・カウンティ」に続きジャック・ブラックと三度目の爆笑タッグを組んだマイク・ホワイト。
 素性を隠して子どもたちのために戦う物語だけ聞くと感動モノだが、ジャック・ブラックの怪演や、カルト的人気作『バス男』のジャレッド・ヘス監督によるとぼけた味の演出で、全編、苦笑と爆笑の連続。牛に蹴られたり、ハチの巣を突っついたりと、的外れな特訓シーンに腹を抱えてしまいます。ブラックお得意の歌もドラマにぴったりで笑いを倍増。さらに脇役キャラも強烈で、リング上でイグナシオとパートナーを組むやせっぽちのスティーブンや、対戦相手となる小さな猛獣のようなコンビなど、その個性は並ではありません。しかし最終的に、ただのオバカ映画になっていないのは、各俳優が体を張って演じているからでしょう。 笑って、笑って、最後にホロリとくる、コメディの見本のような作品です。
 監督は「バス男(原題Napoleon Dynamite)で衝撃的デビューを飾ったジャレッド・ヘス。出演者全てにちょっと"へん"な物語がついてまわる、その独特のスタイルは監督2作目にして既に確固たるものがあります。脚本は『スクール・オブ・ロック』の盟友マイク・ホワイト。「僕らが目指したのは、皆に広く受け入れられ、それでいて誰も見たことのないオリジナルな映画なんだ」と言う通り、『ナチョ・リブレ 覆面の神様』他に類をみない映画に仕上がっています。主演のジャック・ブラックが「ジャレッド・ヘスが監督を引受けてくれるならタイツだって裸だって何でもやるよ!」と言う通り、体当たりの演技で、これがルチャ・リブレ初挑戦とは思えないほどの華麗な肉体技を披露します。更に自らあみ出した<必笑技>の数々が、ルチャの華やかでエンターティメント性に富んだ世界にハマりにハマっています。
 共演は、メキシコ映画界のスター、ヘクター・ヒメネス。ストリート・ファイトには滅法強いが、リングではからきし弱いというおマヌケ演技と、タッグを組むジャック・ブラックとの強烈な絡みは絶妙です。ナチョが一目惚れするシスター役には、清楚な美しさが光り輝くメキシカン美女のアナ・デ・ラ・レゲラ。更にイングマール・ベルイマン作品の常連ピーター・ストーメアや、ラテン・エンターテインメント界の輝ける星リカルド・モントーヤなどが脇を固めています。
 メキシコ独特の美しい風景を紡ぎだすのは『美しい人』『夜になる前に』の撮影監督ハビエル・ペレス・クロベット。ナチョの色鮮やかなマントをはじめ色彩溢れる豊かな衣裳は『デスペラード』『マスク・オブ・ゾロ』のグラシエラ・マソン。ルチャ・リブレのエキサイティングな格闘シーンは『グラディエーター』『ラスト・サムライ』のスタント界の巨匠ニック・パウエル。そして、エスニック・サウンドに彩られた心地良い音楽は巨匠ダニー・エルフマン、と世界の才能が集結している点にも注目です。
  イグナシオ/愛称ナチョ(ジャック・ブラック)の両親は2人とも宣教師だ。母親は、スカンジナビア地方から来た宣教師、父親はメキシコ人の助祭士。互いを改宗させようとして恋に落ち、結婚をしてしまった2人はナチョを産んですぐに死んでしまう。二人の死後、ナチョは戒律が厳しくユーモアもない修道院の中で孤児として育てられる。成長してからは修道院の料理番を担当しているナチョだが、修道院にはお金がないために、まともな食材を使えない。おまけに、寝ている老人を死人と思い込んで祈りの言葉を捧げてしまったり・・・トホホな失敗の連発で、修道士のギレルモ(リカルド・モントーニャ)などからバカにされている。とはいえ、ナチョは 修道院の孤児たちからは慕われ、ナチョ自身も子供たちが大好きだ。ある日、ナチョは、新しい先生として修道院にやってきたシスター・エンカルナシオン(アナ・デ・ラ・レグエラ)にひとめ惚れしたことから、俄然、ヤル気を出す。ところが、町に食材を貰いに行くと、すばしっこくて神出鬼没の謎のやせた男に襲われ、チップスを奪われてしまう。落ち込んで歩くナチョだが、憧れのルチャ・リブレのスター、ラムセスの豪華な暮らしぶりを目撃、また賞金のかかったアマレス大会のポスターも見つける。先生のために食事のレベルをアップさせようと町に買い物に繰り出した彼だが、そのとき憧れのルチャ・ドール(メキシコのプロレスラー)のリッチぶりに遭遇。それを見たナチョは、賞金がかかったアマチュア大会にルチャ・ドールとして出場し、お金を稼ごうと決意。お金持ちになって、美人シスターやかわいい子供たちにおいしい食事をさせてあげようとする。相棒のスティーブン(ヘクター・ヒメネス)とともに厳しい特訓を積んだ後、修道院には秘密でリングに上がるナチョ。彼らは連戦連敗を重ねながらも、チャンピオンのラムセスと戦うチャンスを手にする。果たしてナチョは試合に勝てるのだろうか。


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