雨、9度、60%
母の身につけていたものは、スーツを一着、帯を二本残しただけで後は全部捨てました。仕立てられていない反物は残しました。手に取って捨てる捨てないを一瞬で判断した選択でした。急いでいたわけでもありません。今振り返っても、勿体無かったという後悔もありません。一瞬で取り残された帯二本、テーブルランナーかティーマットに仕立てようと思っていました。
その一つを昨日クッションに作り替えました。この帯を母が締めているのを見たことはありません。古い帯だと思います。パッと目を引くオレンジ色が私の気持ちを引きつけました。オレンジ、黄色、朱赤。きっと母は地味な色の着物にこの帯を合わせたような気がします。
仕舞ってあった茶箱から引っ張り出してきました。まだ私が住み始める前は、茶箱のふたを開けると母が住んでいた頃の家の匂いがふっと鼻につきました。今は鼻につく匂いもありません、私の家の匂いになって来始めています。傷みもなくいい状態の帯です。4つほど取れそうです。思い切り絹地にハサミを入れました。織りの帯ですから、絹といってもやや厚みがあります。脇はミシンで縫い、パンヤを入れて閉めるのは手縫いです。織りが色によって違っています。厚めの畝がある織りのところを手縫いするのは難儀でした。
座敷のソファーに置いてみます。オレンジ色が絨毯の赤とどう映るか心配です。ソファーの緑がうまく鮮やかな色を吸収してくれています。 違和感なく収まってくれました。この座敷には仏壇があります。父母の写真が飾ってあります。はて、母はどんな思いでこのクッションを眺めてくれているでしょう。
クッションなど買ってくればてっとり早いのですが、家にはまだまだ布がたくさんあります。クッションを必要としている椅子もたくさんです。一つ一つ家を自分の手で整えていきます。
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