晴れ、26度、88%
まだ、香港に来て間もない頃のことです。長く香港に住む方達からいろいろなことを教えていただきました。日本人学校に通う息子には、毎朝お弁当を作ります。使うお米に迷いました。香港の人たち、タイからはいって来るロングライス ジャスミン米が好きです。中国産のロングライスも売られていました。長くいらっしゃる方達から、ロングライスはおにぎりに出来ないし、冷めると食べれたものでないことを聞いています。日本米のようなショートライスは、オーストラリアからはいって来る2種類とカリフォルニア米の錦だけしかありません。錦は随分いいお値段ですから、オーストラリア産のお米を使っていました。美味しいとかいう段階の問題ではありません。それしかなかったのですから。今から、25年以上も前のことです。
今は地元のスーパーマーケットにすら、日本産の日本米が売られています。日本の米の産地も北から南まで揃っているほどです。お醤油や味噌だって、すぐに手に入ります。日本人が生活するには、不自由がなくなりました。主人もその恩恵にあずかって、おいしい日本産の日本米をいただいています。もちろん、日本産の日本米どんなお安いものでも、タイ米に比べると10倍以上の高値です。
日本にいると、タイ米など食べる必要がありません。どこの、誰々さんが作った有機のお米などという選択肢はあるでしょうが。戦時中か戦後、日本に若干ロングライスが入った時期があったそうです。その時のことを知る母は、ナンキン虫のような形のおいしくないお米だったと言います。そういえば17年ほど前、日本の干ばつ時にロングライスが送られて来たことを聞いた覚えがあります。日本米と一緒に炊いても、美味しくないと新聞に不評が出ていました。
この私、日本人が臭いまずいという、ロングライスが好きです。タイからのロングライスは、ジャスミン米ともいわれています。つまり、香りがいいということです。香りと言っても、日本のお米の香りとは違って、確かに花のような香りです。この匂いが、日本の方に臭いと言われる原因です。日本米は、粘米、と香港ではいわれるようにおねばがあります。ところがロングライスは、粘りません。沢山食べても、お腹にもたれません。
私の主食のロングライスですから、時にはおにぎりを作ります。皆さんがおにぎりには出来ないわよ、と仰ったロングライスのおにぎりです。写真のおにぎりまだ湯気が出ています。炊きたての熱々を握ると、おにぎりになります。しかも、このまま冷めても、美味しくいただけます。
このロングライスのおにぎりを作る度に思うことがあります。ロングライスではおにぎりなんか作れない、冷めたら美味しくないと教えてくださった方のうち、何人の人が実際にロングライスをおにぎりにしたのかしら?口から口に言い伝えられて来たこと、時には、思い込みがあるんだろうなと思います。
ロングライスのおにぎりなんて食べる必要もないのでしょうが、このおにぎりを食べながらなんだか得をしたような気になります。
体験の伴わない言葉は空虚、という言葉を以前に習ったことがあります。実際に体験してみないと・・・ですね。
多いのよね、実体験のない言葉って。