チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

やじろべえ

2019年06月29日 | 身の回りのもの

曇、24度、91%

 30代の半ばから40代にかけて、とても精神的に調子の悪い時期がありました。半年近く、右の耳が聞こえませんでした。病院に行きませんでしたが、原因はわかっています。おそらく自律神経失調症だったのだと思います。毎日毎日、精神的にのしかかってくる言葉を主人から浴びせられました。振り返ってみると、あの頃が一番辛い時期でした。仕事をしていたことが唯一、心の支えだったと思います。

 当時、街を歩いていると、なぜか「やじろべえ」が目に付きました。ユラユラ揺れる「やじろべえ」を見ていると、危ういのにうまくバランスをとります。その危うさに自分の現状を重ね合わせていたのかもしれません。3つほど「やじろべえ」を買いました。家のそこかしこに置きました。この辛かった時期をどうにか切り抜けて、随分と精神的に強くなりました。心が落ち着きを取り戻し始めると、一つ一つと「やじろべえ」を手放しました。

 一つだけ残した「やじろべえ」はインドのおじさんが釣りをする「やじろべえ」です。インドに行った時買った物ではなく香港で売っていたものです。天秤棒を担ぐような姿の「やじろべえ」ではありません。 お顔だって奇妙なインドのおじさんです。インドの人形はこのような顔をしたものが多くあります。インドに行く度、この「やじろべえ」を探します。手作りの実に素朴なものです。残念なことに今だに巡り会いません。

 今は鴨居の上に立たせています。釣り糸の下には魚も付いていますが、黄色い魚もおじさんの黄色い服も色が褪せてきました。こんな小さなものに心慰められた頃があったのだと、ユラユラさせます。今だにバランスの悪い私です。「やじろべえ」のようにおっとっとと均衡を保っています。


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