雨、26度、91%
私は、あまり化粧をしません。40才になるまでは、化粧水に口紅だけでした。学生時代は、しっかりと化粧をしていました。ところが、子供を早産してしまい、子供に面会に未熟児室に入るとき腕まで洗い、除菌室を通り、すっぽりと白い前掛けまで着せられます。顔に塗った白粉のようなものは子供にいいはずがありません。それでも、その病院の看護婦さんが、赤ちゃんはお母さんの口元を見て、言葉を覚えるから口紅は塗っていた方がいいのよ、とも教えてくれました。以来、化粧水と口紅だけ。
両方の母親や周りの友人は、そんなことしていたら、歳をとってツケが来るから、と私に言いますが、もともとズボラです。しかも香港に来てからは、乳液やクリームなんて塗った途端に汗が出てくるような気がします。主人に付いて、この日差しの強い香港の山や海を日焼け止めもせず歩いたのは30代から40代の初めです。よく焼けていました。
主人と一緒に出席しなければならない場所も、年々増えて行きます。流石に、素肌に口紅だけでは済まなくなりました。ひと通り、上に塗るものも持ってはいますが、目の周りのものはからっきしダメです。アイシャドウ、アイライン、マスカラ。目をよくゴシゴシとかいてしまうので、数時間後には目の周りは悲惨なことになっているはずです。
日焼け止めのBBクリームなるものを使うようになったのは、昨年のことです。相変わらず口紅は塗っていますが、ほとんど化粧などしているようには見えないと思います。
そんな私が、実は10年近くも頬紅だけは掃いています。
その頃教えていた中学生の女の子と、繁華街でばったりと出会いました。学校の休みの日だったか、可愛い私服にしっかりとお化粧をしています。お母さんには言わないでね、と彼女。まだ、化粧し初めです。とにかく、しっかりと塗っています。目も口も。ほっぺたは、まるでオテモヤのように丸く頬紅が塗られていました。その様子がとても可愛くて、それで、私も頬紅をはたくようになったのです。
彼女のあの時の顔は、頬紅おかげでポッと灯が付いたように明るく見えました。その彼女も、今はもう子供のお母さんです。私が頬紅を掃くといっても、うっすらと付けるだけです。だって、10年近くも同じ頬紅です。まだ、なくなりません。
年とともに、顔色も明るさを失います。40代の私に明るい顔の持つ意味を教えてくれたのは、ずっと年下の教え子でした。
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