うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

初めての、家出

2021年07月19日 | カズコさんの事

母さんが、家出をした。

歩いて1分の、我が家に。

 

おはようございます。

夕方、玄関チャイムが鳴った。

なんだろう?と出てみると、

そこには、ちゃんとお洒落ウィッグを被った母さんが立っていた。

「どうしたの?」と聞くと、

「家出をしてきたんや!」と言うじゃないか。

まあまあ、入ってよっと迎え入れると、

なぜか、のん太が熱烈な歓迎をした。

のん太「おい、ばばぁ!のんらぞ。覚えてるか?」

 

母さんは、滅多なことでは我が家に来ない。

のん太と再会したのは、ジジババ保育園以来だから、2年振りだ。

 

さらに進んでいくと、次はおたまとたれ蔵だ。

おたま「ばあちゃだ!おらの事、おぼえてるか、ばあちゃ?」

 

おたまとは、何年振りだろうか?

おたまも、子猫の時はジジババ保育園に通った。

 

たれ蔵「お祖母ちゃん、お祖母ちゃん」

 

たれ蔵は、母さんの足の間で見上げてる。

たれ蔵も、短い期間だったが、ジジババ保育園出身だ。

やはり、2年振りの再会だ。

 

とりあえず、酒でも飲むかぁっということで、

私と母さんの酒盛りが始まった。

もちろん、あやもご挨拶をしに来た。

あや「祖母ちゃん、すごく久しぶりね。」

 

あやは、滅多なことでは来客に姿を見せない。

ということは、あやも母さんをちゃんと覚えているということだ。

 

「さて、わしは、これからどこに住もうか、考えとるんや」

と母さんは言う。

「ここに住んだらいいじゃん?」と笑うと、

「ここに居ると、ジジィが来るから邪魔くさいわ。

行くとこは、色々あるんや。友達もおるし、ミー(姪)も

わしが行ったると、喜ぶやろうしな。」

と、母さんは言った。

 

母さんには、そんな友人はもうない。

ミーのおばさんも、突然母さんが来たら、戸惑うに違いない。

母さんは目一杯の虚勢を張っている。

その虚勢は、認知症の母さんに妄想を描かせる。

 

私と猫達は、それから2時間余り、母さんを囲んで、

母さんの妄想交じりの希望や、父さんの悪口や

どうしようもない孤独感や歳を追う事の絶望を、

静かに聞いていた。

すると、ようやく、私の携帯に父さんからの電話が鳴り、

 

「お前の猫らは、皆、偉いもんやな~。

ちゃーんと、わしの話を聞いてくれとる。

よし、そろそろ頭も冷えたで、わし、帰ったろうかな?」と

母さんは納得にしたように、立ち上がった。

 

父さんからの電話を待っていたんだな?っと笑いそうになったが、

私と猫達は、笑いを堪えて、母さんを見送った。

 

気付けば、日本酒を1本空けていた訳だが、

母さんを実家に送っている私は、フラフラの酔っぱらいなのに、

母さんの足取りは、しっかりとしたものだった。

うんこ「カズコさん、まだまだお元気ね。」

うん・・・すげーよな。

猫っていう生き物も、凄いよな。

2時間で、すっかり人を癒しちゃうんだもん。

ありがとう、愉快な仲間達よ。