今週も、忘れぬようにと、
手の甲に、様々な文字を書きました。
おはようございます。
昨日は、「黒」と書いて、
黒い油性ペンを求めてスーパーに立ち寄って、
黒コショウを買ってきた。
でかしたぞ、私。
そういえば、黒コショウが欲しいって、
数週間前からずっと思ってたもん。
でかしたぞ。
ところで・・・
私の手は、一体いつからメモ帳と化したのだろう?
そうだ、思い出した。
かれこれ、20年も前のことだ。
主婦だった私は、ある時パートに出る事にした。
選んだ先は、とあるマンガ喫茶だった。
えらく繁盛している店で、常に満席の状態。
にもかかわらず、システムが酷くアナログな店だった。
利用時間は、すべて手計算。
ついでに、店を回すスタッフの数は、2人だ。
調理場は店長1人で回し、
ホールとドリンクと会計は、すべて私の仕事だった。
もう、独り舞台だ。
この人員の数だけでも、充分に経費節約なのだが、
クルーザーを買ったローンに苦しむ店長は、
さらに経費を削減していた。
「おかっぱさん、うちはね、注文伝票ないから。」
えっ?
「注文は全部、頭で覚えて。」
なに言ってんだ?こいつめ!
恐る恐るメニューを見てみると、
おびただしい品数に驚愕した。
・カリビアン
・カリビアンセット(A・B・C)
・バイキング
・バイキングセット(A・B・C)
・オーシャンスパゲティー
・オーシャンセット(A・B・C)
この辺りまで確認して、私は思った。
浮かれてる。
こいつ、クルーザ買って、浮かれてる。
その後も、海に関する命名とは別に、
普通にオムライスやらオムカレー・オムハヤシ、のセット、
サンドウィッチ各種に、パスタ数種、のセット等々、
恐ろしく、そして、ややこしいラインナップが続いていく。
そもそも、このマンガ喫茶の利用客の多くは、
お独り様の男性だった。
独りで来て、マンガを読みながら、食事をする方が多くて、
で、直前・食中・食後に、何かしらの飲み物を注文してくる。
そういうお独り様が、数十人お越しになれば、
私は、もうパニーックだ。
狂喜乱舞の独り舞台の演目は、ホラーだ。
アクション・ホラーだ。
ただでさえ、要領が悪い上に、
記憶力がちょっとした小鉢レベルの私が、
次から次へと飛んでくる注文を、頭で覚えられる訳がない。
ここだ。
この瞬間、私の手はメモ帳と化したのだ。
書いて書いて書きまくった。
来る日も来る日も、私の左手はメニューでいっぱいになる。
そんな、ある日。
最初の頃は、「早く頭で覚えられるようになれ」と、
叱ってばかりの店長が、
私に、新しい黒い油性ペンを贈ってくれた。
「ほら、ボールペンだと書き辛いだろ?」と微笑みながら。
私は、感激のあまり、涙ぐみ、
店長?いいんですか?
わ・・私、手に書いてもいいんですね?
と、喜んでみせると、店長は照れくさそうに言った。
「君の事、お客さんの間で評判になってるんだ。
びわ法師あらわるってね。」
びわ・・・ほうし?
(※びわ法師=
耳なし芳一のように、手が文字で埋まっていた事から付けられた、あだ名)
おーい、うんこさんや?
うんこ「ここに、うんちゃんのオヤツあるかしら?」
ないよ。
うんこ「むっ!」
うんこ「オヤツ、うんちゃんのオヤツオヤツオヤツ・・・」
怖い、怖いって。
ボリボリボリボリ
母さんのカバンが破れるから~!
やめれって!
うんこ「う・・んちゃ・・のおや・・つお・・・やつおやつ」
怖いから。
うんこ「はっ!おじさんがオヤツを・・・」
それは、おじさんのだぞ。
うんこ「おくれ、オヤツおくれ」
ダメだってばさ。
うんこ「嗅がせとくれ、せめて嗅がせとくれよぉ」
必死やな。
うんこ「ドケチ母さんや、うんちゃんのオヤツ、メモして!」
はいはい、オヤツね。
手の甲に・・・おっと!!
黒いペン、買わなくっちゃね~。