今日はNHKで手塚、石森という超有名な漫画家の特集をしていた。
BSでこの二人の特集を組んでいるので、その宣伝かも知れない。
「石森」は名前の運勢が悪いというので、後から「石ノ森」という名前に変わっている。
昔からのファンとしては違和感があるので、そのまま石森という名前を使わせてもらう。
この二人は年令が違う訳で、同列に並べるのは間違いであろう。
私見を言わせてもらえれば、結局石森は神様を超えられなかったと思っている。
番組では、手塚を「マンガの神様」、石森を「マンガの王様」と呼んでいた。
「鉄腕アトム」はあまりにも有名な作品だが、これをアニメでしか知らない世代が多い。
最初にアトムのアニメを見た時、とてもがっかりしたことを憶えている。
「よーし、いくぞー」などど、意味不明の掛け声で悪玉ロポットをやっつけるのはアニメのアトムだけで、マンガのアトムはもっと大人びてシリアスな印象だった。
最初に手塚のマンガを見たのは、「0(ゼロ)マン」という作品。
マンガにSFを持ち込んだのは、手塚治虫ではなかろうか。
あるいはSF作家の先駆者と呼ぶべきかも知れない。
石森の「サイボーグ009」の単行本は、取り敢えず全部揃えたつもりだった。
主人公の009は、夜空の流れ星になって消えたはずだが、その後また復活したらしい。
手塚治虫は「理論派」、石森章太郎は「感性派」と言って良いと思う。
手塚のマンガは理論的で、冷静沈着な思考に裏打ちされた物語である。
それに対して、石森のマンガは感性豊かなストーリーが多い。
「ミュータント・サブ」という叙情的なマンガがあって、とても好きだった。
「COM」という雑誌に載った「ファンタジーワールド ジュン」という石森の実験的なマンガを憶えている。
ストーリーはほとんどなく、「詩」を絵で表現したと言えるような作品だった。
手塚はこれを「マンガではない」と酷評したという。
その後、あれは間違いだったと石森に詫びたらしい。
手塚がとても人間的で、しかも器の大きな人物だったと思える逸話である。
ふたりとも60歳で亡くなったと聞いた。
なにか、不思議な因縁があったのかも知れない。