車を出すため、駐車場を歩いていた時のこと。
マイカーは下段に収容されているため、昇降用カギを取り出して手に持っていたら、なんとなく落としてしまった。老化現象の一部かも知れない。
すぐに拾おうとしたが、なぜか見当たらない。
おかしいな、「異次元の裂け目」に吸い込まれてしまったのだろうか。
駐車場の手前に溝があり、5センチほどの蓋の隙間から下に落ちてしまったらしい。
隙間から見てみると、下の溝の中にカギが見えた。
よし、と思って蓋を持ち上げようとしたが、10センチ以上はあるコンクリート製なのでびくともしない。
マズイなと思ったが、そこは冷静沈着な私である。
管理事務所に行って事情を話したら、50センチくらいの棒の先にカギ状のものが付いているものを貸してくれた。
私も技術者の端くれである。
このカギの救出に、会社生活35年の技術の蓄積が試されている。
ここで失敗したら、これまでの私の人生はなんだったのだろうかということになるに違いない。
数分の作業で無事にカギを引っ掛けて持ち上げることに成功した。
カギにキーホルダーを取り付けていたのがラッキーだった。
カギだけでは引っ掛ける部分がなくて、うまく行かなかったに違いない。
この成功は私にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩である。
そんなこんなで、今日も無事にテニスに出かけることができたのであった。