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今日のフォト。 2020年11月、奈良・飛火野。
飛火野は美しい紅葉と、鹿がお出迎えしてくれました。
物語はフィクションです。
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「大和の鹿・サクの物語」
大和の森に、サクという老鹿が住んでいました。
サクは生まれた時、森の鎮守に可愛がられた鹿で
人間と話ができ、未来を予測する力を与えられました。
サクはこれまで、たくさんの人間を救って来ました。
人生には、予期せぬ出来事が幾度も訪れます。
サクは困難を回避し、進む方向がわかるのでした。
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ある日の朝、生きることに疲れた旅人が
サクに、進むべき路を 尋ねました。
サクは、はっきりとは答えなかったけれど
旅人はサクと話をし、自信を取り戻し
元気に里に、帰って行きました。
それからその旅人は、大和の村で成功を収め
村人から、尊敬される人になりました。
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大和の森に住む鹿たちは
常にサクに守られて、生きてきました。
鹿たちはサクに、とても従順でした。
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若い鹿たちは恋をして、子供が生まれ
森では幾つもの家族が、仲良く暮らしていました。
サクは、鹿の群れを統治し
鹿たちにとっては、平和で穏やかな森でした。
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鹿たちが、人間と共存できるようになったのも
サクのお陰でした。
サクは、決して人間を 襲ってはいけないと教えました。
人間は優しくて、鹿の味方になってくれる存在だと。
だからここでは、人間と鹿が仲良くなれるのです。
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サクは、未来を知っていました。
嵐が来ることも。
世界中を震撼(しんかん)させるような病気で
人間たちが、苦しむことも知っていました。
サクは未来のできごとを
心に秘めたまま、生きてきました。
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人間も鹿も、予言された中で生きるより
何も知らずに生きる方が、幸せだからです。
サクは、嬉しいこと、悲しいこと、辛いことが来る未来を
決して打ち明けることは、ありませんでした。
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幸せは、突然に。
不幸せも、突然に。
先に幸せがわかると、怠慢になる。
先に不幸せがわかると、絶望的になる。
幸せと不幸せは、常に合わせ鏡。
そこから学ぶことこそが
賢者に与えられた、思考なのです。
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未来がわかるサクは、自分の命が
残り少ないことを 知っていました。
けれどサクは、凛々しく、雄々しく生きていました。
それが「神の鹿」の姿だと、思っていました。
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サクは、ごく普通の老鹿です。
大和の森には、神さまの鹿がいます。
老鹿に出会ったら・・・
一度「サク」って、呼んでみてください。
もしそれがサクなら、きっと振り返ってくれます。
美しい大和路は、今 ゆっくりと冬に向かっている。