マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

奈良散歩6(飛火野)

2020年11月24日 | お写んぽ




今日のフォト。 2020年11月、奈良・飛火野。
飛火野は美しい紅葉と、鹿がお出迎えしてくれました。


物語はフィクションです。






            










「大和の鹿・サクの物語」






大和の森に、サクという老鹿が住んでいました。


サクは生まれた時、森の鎮守に可愛がられた鹿で
人間と話ができ、未来を予測する力を与えられました。


サクはこれまで、たくさんの人間を救って来ました。


人生には、予期せぬ出来事が幾度も訪れます。
サクは困難を回避し、進む方向がわかるのでした。










ある日の朝、生きることに疲れた旅人が
サクに、進むべき路を 尋ねました。


サクは、はっきりとは答えなかったけれど
旅人はサクと話をし、自信を取り戻し
元気に里に、帰って行きました。


それからその旅人は、大和の村で成功を収め
村人から、尊敬される人になりました。










大和の森に住む鹿たちは
常にサクに守られて、生きてきました。


鹿たちはサクに、とても従順でした。










若い鹿たちは恋をして、子供が生まれ
森では幾つもの家族が、仲良く暮らしていました。


サクは、鹿の群れを統治し
鹿たちにとっては、平和で穏やかな森でした。










鹿たちが、人間と共存できるようになったのも
サクのお陰でした。


サクは、決して人間を 襲ってはいけないと教えました。
人間は優しくて、鹿の味方になってくれる存在だと。


だからここでは、人間と鹿が仲良くなれるのです。










サクは、未来を知っていました。


嵐が来ることも。


世界中を震撼(しんかん)させるような病気で
人間たちが、苦しむことも知っていました。


サクは未来のできごとを
心に秘めたまま、生きてきました。










人間も鹿も、予言された中で生きるより
何も知らずに生きる方が、幸せだからです。


サクは、嬉しいこと、悲しいこと、辛いことが来る未来を
決して打ち明けることは、ありませんでした。










幸せは、突然に。
不幸せも、突然に。


先に幸せがわかると、怠慢になる。
先に不幸せがわかると、絶望的になる。


幸せと不幸せは、常に合わせ鏡。


そこから学ぶことこそが
賢者に与えられた、思考なのです。










未来がわかるサクは、自分の命が
残り少ないことを 知っていました。


けれどサクは、凛々しく、雄々しく生きていました。
それが「神の鹿」の姿だと、思っていました。










サクは、ごく普通の老鹿です。
大和の森には、神さまの鹿がいます。


老鹿に出会ったら・・・
一度「サク」って、呼んでみてください。
もしそれがサクなら、きっと振り返ってくれます。


美しい大和路は、今 ゆっくりと冬に向かっている。







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