アンタ鬼や……。

　友人がかなりいいデッキを買ってきたのにまだ１度しか勝てないでいるほぼ不敗のデッキ、通称・黒デッキがある。
　今日は頑張ってデッキを作った。
　ワンターンキルを備えたデッキである。
　このデッキなら勝てるんじゃないか……
　そう思って黒デッキに勝負を挑んでみた。
　あっさりと、１話のカズマのごとくあっさりと、殺られた……？
　ライフこそ4500ポイントまで削れたものの、黒デッキはまだ２手も３手も秘策を残したまま、切り札を隠したままに、圧勝した。
　つ、強すぎる……
　これは、この強さは、聞きしに勝る伝説の人斬り、緋村抜刀斎のごとき……
　私は愕然とした。
　彼はワンターンキルなんて発動させてくれない。
　準備する暇(いとま)さえ与えない、反撃する暇さえ与えてくれない、冷徹非道、最強無比。
　とか言いつつ。
　実はそれすら凌ぐデッキを開発したのだからやはりキャリアは侮れない。
　コンボを決める前に瞬殺される。
　恐ろしい。
　震撼する。
　でも。
　いつか。
　倒してみせる！

　って、自分との勝負で何を燃えているんだろうか、私は(苦笑)。
　ともかく勝ちたい。
　ワンターンキルさえ決まれば勝てるんだ。
　これはさながら「本気でやればできるよそれくらい」という言い訳だ。
　勝ち目のない勝負でも、万が一勝機が見えてくるかもしれない、というだけの、ただの神頼みなのだ。
　もう少し実力が必要か……？
　対策が見つからない……
　黒デッキを倒せるのはあのデッキだけなのか？
　ワンターンキルなんて大道芸は通用せんのか？
　とにかくしばらくは意地でもやってやる。
　１回くらいは勝てるでしょう、と思うんだけどなぁ……
　がんばれ私(青デッキ)!!