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ルネサンスの歴史

2007-05-21 21:44:15 | 
ルネサンスの歴史 (上)

中央公論新社

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「チェーザレ」のおかげで、イタリア・ルネサンスの勉強をしようという気になりました。塩野七生さんの本などで部分的にはわかっているんですが、ブルクハルトははるか記憶のかなたにしかないし、第一、全体像を知らないのですよね。だいたい分裂しすぎてるし、政治、宗教、軍事、文化、科学と、いろんな面で変化がありすぎるんです。ルネサンスのイタリアって!

というわけで、コンパクトに読めるイタリア・ルネサンスの本ってないのか、と思ってみつけたのがこの本。上巻を読み終わったところですが、期待通りの本でした。

この本は神聖ローマ帝国皇帝であり両シチリア王国の国王だったフリードリヒ二世の死(1250年)から始まります。中世の終わりから、イタリア・ルネサンスが一番花開いた時代をえがいた上巻はアメリカ大陸発見(1492年)まで。下巻の副題は「宗教改革のイタリア」で、ルネサンスの爛熟から軍事的、政治的、文化的衰退が描かれていくようです。最後はジョルダーノ・ブルーノになってます。なるほど~。 しょっぱなに皇帝のイタリア統一の挫折、そこからくる混乱とエネルギーで黄金時代をむかえてヨーロッパの主役となるものの、ドイツ、フランスなどの侵入や宗教改革で衰亡していく、という流れになるわけですね。作者が何をねらっているのかはたいそうはっきりしています。

さて、この本は列伝形式です。時間軸にあわせて、事件ごとに追っていくのではなくて、主に人物にスポットライトをあてて描いていくという手法です。おかげで話はやや前後しますが、このやり方は成功しているんじゃないでしょうか。純粋のお話としても面白いし、イタリアの分裂ぶりに頭を混乱させないですむし、第一、いろんな分野で個性豊かな人物が次々に登場しては好き勝手するのがいかにもイタリア・ルネサンス。でてくる人たちをざっと上げてみると、

ボニファティウス8世ら教皇、フリードリヒ2世、ハインリヒ7世など神聖ローマ帝国皇帝、ダンテ、ペトラルカ、ボッカチオといった作家たち、メディチ家、ヴィスコンティ家、スフォルツァ家、エステ家といった僭主/君主から、商人や傭兵といった職能集団まで。おなじみの人物もいれば、アヴィニョン捕囚の時代にローマ護民官となったコーラ・ディ・リエンツォのように聞いたことがない人もいました。中には優雅なロレンツォ・メディチのような人物もいるのですが、たいていは本能の赴くまま体力にまかせ、強烈な欲望にしたがって生きている人が多いです。どこからこんなエネルギーがくるんでしょうと目をまるくしながら、面白いもので、次々とページをめくってしまいました。

下巻も楽しむことにしましょう。


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