ロンドン野郎

カナダのオンタリオ州ロンドン市で4年半暮らしたロンドン野郎。 この度本家大英帝国ロンドン市(近郊)へ参上。

ウォール・ストリート Wall Street - Money Never Sleeps.

2010-09-04 17:14:34 | ニューヨーク街歩き②

ウォール・ストリート アメリカの連邦証券取引所とニューヨーク連邦準備銀行を中心としたロアー・マンハッタンの一角は、言うまでも無くアメリカだけではなく世界の金融の中心です。

Img_1332

この小さな空間には世界経済が凝縮されていると同時に、M&A、サブプライム・ローンに象徴されるように、一攫千金を夢見て生き馬の目を抜くような戦いが日夜繰り広げられています。 サブプライム・ローンの破たんからリーマン・ショックという一連の経済危機でそれも変わったかと思いきや、『金融工学』に基づく『金融商品』という名前の博打(ばくち)の新手の手法は次から次へとちゃんと発明されています。 ここいらの連中は間違っても反省なんかするようタマじゃありません。

Img_1321

たまたま数日前の夜中ふと思い立って1987年の映画『ウォール街』をひさしぶりにDVDで観ました。 この映画はロンドン野郎が初めて購入したDVDソフトだったので、多少の思い入れはあるのですが、考えてみるとリーマンショック後に観るのは初めてだったかも知れません。 古い映画なのに改めて観るととても新鮮でした。

                     Wallstreet1

話の内容は1980年代の半ば頃のウォール・ストリート。 欲望は善と言い切る超大物投資銀行家のゴードン・ゲッコー。 彼にあこがれる駆け出し証券マン、バド・フォックス。 それに対するのが小さな航空会社で実直に整備部門で働く労働組合委員長のバドの父親。 野心に燃えるバドはゴードンに取り入り、認められ、汚い事にも手を染めながらも、大きな仕事を次々に任せられ、証券会社の中でもどんどん地位を上げて行きます。 そして、ついに本物の成功を手に入れたと思われた瞬間に自分やゴードンのやっていることの欺瞞に気が付くんですね。 でも、時すでに遅し、最後にはインサイダー取引の不正行為が発覚しで証券監視委員会に捕まってしまう。

Img_1829

ゴードン・ゲッコーを演じたマイケル・ダグラスはこの映画でアカデミー主演男優賞を取り、演技派俳優の地位を不動のものとし、バド・フォックスを演じたチャーリー・シーンにとっても大出世作になっています。 今見ても、内容的に現代にそのまま通じる斬新な切り口の作品です。 チャーリー・シーンとパパのマーティン・シーン(映画でもバドの父親役)との共演も見所です。

Img_1814

映画の中で、ゴードン・ゲッコーはこう言います。 『自分たちのやっていることは何も生まない。 ただ所有するだけ。 得る者と失う者しかいないゼロサムゲームだ』。 監督のオリバー・ストーンはこの映画でそういう世界を否定した筈なのに、あまりにも魅力的なゴードン・ゲッコーのキャラクター。 イーストリバーを望む高級コンドミニアム、自家用ジェット、お金を使うのが大好きなゴージャスな恋人、みたいな生活。 それに憧れてウォール・ストリートを目指す若者が増えたという皮肉な現象もあったようです。

Img_1327

DVDを観ながら、ちょっと思い立ってパソコンでウォール・ストリートを検索したんですね。 そしたら、目に飛び込んだ思いがけない文字『2011年春日本公開』。 えっ!? この映画の続編ができるんですね。 Wall Street - Money Never Sleeps しかも同じオリバー・ストーン監督、そしてマイケル・ダグラス主演。 YouTubeでトレイラーを観ると、前作のラストシーンの続きとして不正取引が発覚し、刑務所に収監されていたゴードン・ゲッコーが長い刑期を終えて出獄し、今の時代に蘇るんです。

                       Wall_street_money_never_sleeps_te_2 

考えてみれば1980年代。 この頃にはまだ金融工学という言葉も、今のような複雑なデリバティブ取引も、サブプライム・ローンも、それどころかインターネットさえ存在していなかったんですよ。 ゴードン・ゲッコーがこの現代で何を見て、何を考え、何をするのか、とても興味津々です。 アメリカでは今月24日封切り、日本では来春ということです。

なんか、楽しみだなぁ!