話はまた突然飛んでしまうのですが、ロンドン野郎がカナダに駐在していたときの勤務先があったインガソル。 人口一万一千人のちょっとした農村地帯の村(町?)です。 オンタリオ州ロンドン市の中心部から東に約40キロ。
この日、銀行での野暮用で、お昼頃インガソルの中心へ車を走らせていました。 前の車が妙にノロノロしているので、良く見ると、何やら不思議な乗り物が。 これ、馬車です。 車が行きかう往来の中をトコトコ走っている。
説明するまでも無いのですが、これは文明と隔絶した生活を送っているキリスト教の一派、メノナイトの皆さんのコミュニティが、このインガソルの近辺にもあるんです。 キッチナーの近辺にはセント・ジェイコブズっていうまさにそういう人々の町があって、そこは観光地としても超有名なんですけど、このインガソル近辺ではもっと静かに自分たちが正しいと考える教えを守って暮らしているようです。
不思議だったのは、ロンドン野郎の勤務先の巨大自動車工場の年に一度の一般開放日に、こういう人々が家族連れで大勢見に来ていたこと。 溶接ラインで動く数百台のロボットを見てどう思ったのか。 『これが悪魔に魂を売った人々のなれの果て・・・』 ということを子供たちに教え、自分たちの信仰を再確認するための工場見学だったのではないかと、今でも真剣に思っています。 勿論、我々がその悪魔に魂を売った悪しき人々の代表です。
でも、彼らの拒否する文明って、どこで線を引くんでしょう。 何か基準があるのかな。 だって、こんな馬車だって、ガラスは付いているし、車輪には鉄の輪っかもハマり、鋼のサスペンションだって装備しているんですから。 病気になっても、薬は飲まないのでしょうか。 電話も無ければ、救急車も呼べませんよね。 ま、下らない事を考えるのはやめときましょう。
でも、、、、何を隠そう、タイタスはメネナイトっこなのです。ストラットフォードのメネナイトの牧場から買ってきたんですよ。子犬で、生後たったの数週間だっちゅうのに、なんと真冬でも馬小屋の中で親犬と一緒に飼われてて、この寒さで死んじゃうんじゃないかと、マイケルともどもかなり怒ったのを覚えてます。だから、タイタス、寒いの大嫌いなのか。。。。
行きついた宗教や主義主張って、何かにつけ善と悪を区別しがちなところがあります。 でも、そうは言いながらも我々のように毎日Eメールや携帯の情報に追いかけられているような生活が本当に良いのかというと、時々分からなくなる事もあったり。
今思い出すと、会社の仕事でもネットやEメールを使い出したのって、たぶん1995年くらいだと思うんですよね。 それ以前の生活ってどんなだったか、今考えるととても不思議です。
で、タイタス君。 メネナイトっこだったんですね。 今や”悪しき”文明に毒されてしまった?
たまたま東京である異業種交流の宴会に出席して、みんな携帯電話を誇らしげに持っているのを見て、ショックを受けて購入したんです。 個人でメールアドレスを持ったのもその頃でした。
今ではネット経由で、海外にいても日本の情報はなんでも手に入るじゃないですか。 そう言った意味では、15年くらい前の海外生活とはずいぶん変わったんじゃないかな。
ロンドン野郎のロンドン在住中はインターネットがまさに生命線Life Lineでした。