全国970箇所「道の駅」北海道~沖縄まで!!

自由、気ままにできるかどうか道の駅のゴム印スタンプを収集しています。現在120余スタンプですょ。Live to die

月23日(水)病院とのお付き合い

2010-11-08 20:07:33 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)

年中無休と銘打って始めた「閑話」なのに近ごろ休んでばかりいる。公約違反とお叱りを受けても甘受しなければならないほど頻繁に休刊に追い込まれているのだ。休刊せざるを得ない原因の大部分は病院とのかかわりである。

去年の春に患った脳梗塞、この春に白内障の手術した左目の経過を追跡するために病院から呼び出しがかかるのである。治療のやりっ放しではなく、その後の経過まで気配りしてくれるのはありがたいが、こちらの都合は一切お構いなし、医師の都合で病院側が一方的に決めた日付と時間に従わなければならない。

そして大概は朝の早い時間から午前中いっぱい、時には午後まで潰れてしまうこともあるから「閑話」を書く時間がなくなるのである。嬉しいことに今月の診察で両方とも12月まで呼び出しがないことになった。「経過良好」とお墨付きをいただいたのである。

しかしまだ無罪放免になったわけではない。いわば仮釈放の身であるから、脳の方は処方された薬を飲み続け、目の方も酷使を慎むなどの注意事項は守らなければならない。それは分かっているのだが痛くも痒くもないから病気を抱えていることをつい忘れてしまう。

去年の春まで病気らしい病気をしたことがなく、ほとんど病院とは無縁の生活を送ってきただけに、病気になって初めて健康のありがたさを知った。人間80歳にもなると、あちらこちらの部品にガタが来るのは当たり前かもしれない。そのいかれた部品を騙し騙し長持ちさせるには病院とも良い関係を維持することが大事だと思うようになった。


--------------------------------------------------------------------------------

6月24日(木)参院選公示

参院選が今日公示される。7月11日の投票で有権者はどんな選択をするのだろう。民主党が改選前の勢力を維持できれば引き続き政権運営することにGOサインが出たと思うだろうし、野党が議席を伸ばせば政権与党への批判が勝利したと言うことになろう。

菅総理の誕生で一時V字形の人気回復を見せた民主党だが、ここに来て支持が足踏みしている。消費税引き上げ発言が足を引っ張っているとの見方もあるが、消費税については自民党も同じような姿勢を示しているから増税批判とばかりはいえない。

有権者がいちばん迷うのは与野党どの政党を信頼したら良いのか判断材料が決定的に不足していることだと思う。政権交代を実現させた民主党は、政治とカネ、沖縄問題で味噌をつけ、子ども手当ては財源難で頓挫するなど、鳩山政権はこれといった実績を残さず政権の座を降りた。

自民党にとっては与党攻撃のチャンス到来と見えたが、現執行部に対する不信・不満が渦巻いて離反者が続出し、とても戦える状態ではない。そうなると政党不信に陥っている有権者の浮動票の行方が今度の選挙を大きく左右する要素になりそうだ。

浮気な1票をどう引きつけるか、選挙参謀の腕の見せどころである。しかし散々騙されてきた有権者の目は、容易なことで甘言に惑わされなくなっている。各種業界団体も中立の立場をとるものが多くなった。

地元選挙区から立候補する人の訴えを良く吟味して投票する以外に意思表示の術はない。果たしてどんな結果が出るのか、注目して投票日を待とう。


--------------------------------------------------------------------------------

6月25日(金)すごいぞ日本チーム

これが同じチームかと目を疑った。サッカーワールドカップの対デンマーク戦に臨んだ日本チームのことである。本田と遠藤の目が覚めるようなフリーキックが生んだ2点、岡崎が押し込んだ1点、いずれも相手に防ぐ余地を与えなかった文句なしの3点である。許した1失点はペナルティーキックによるものでこれは致し方ない。

岡田監督は試合前「負けるとは全く考えていない」と語っていたが、まさにその通になった。これで日本は決勝トーナメントに進むことが決まった。第一の難関を突破したばかりで目標としているベスト4進出ははるか彼方であるが、監督・選手とも自信を深め希望に満ちていることだろう。

開催地南アフリカへ乗り込む前の強化試合で日本チームは見るべき成績を残せなかった。それだけに最悪の場合1勝もあげられないのではないかと悲観的な見方すらあった。対戦相手は世界ランキングでみな日本より上位のチームだから無理もない。

流れを変えたのは緒戦の対カメルーン戦で勝利を収めたことだろう。これで日本チームは勢いづいた。次のオランダには惜敗したけれども、世界ランキング4位の強豪相手に善戦したことが、さらに日本チームを奮い立たせたに違いない。

日本チームは高さに勝るデンマークチームの壁に果敢に挑んだ。その攻撃的な姿勢がフリーキックのチャンスを生み正確なシュートが結果を導き出したともいえる。

決勝トーナメントで最初に当たる相手はパラグアイである。早いパス回しと粘り強い戦いが持ち味のチームだ。次回も4強といわず「優勝を目指す」と公言している本田を先頭に据えた陣容で臨むことになろうが思う存分暴れまわって欲しい。


--------------------------------------------------------------------------------

6月26日(土)サッカーと野球

サッカー日本チームの決勝トーナメント進出決定は一夜明けても興奮冷めやらず、日本中が沸き立っている感じである。子どもは「世界でプレーする選手になりたい」と目を輝かせ、にわかサッカーファンが日本チーム関連グッズを扱う店を繁盛させた。参院選が大事なことは承知しているが、いささか霞んでしまった感じである。

4年に1度開催されるワールドカップは、オリンピックと同じように世界中のサッカーファンの目を釘付けにする。そしてその度に良くも悪くも記憶に残るゲームが展開される。決勝トーナメントは16チームで争われるが優勝の栄冠を勝ち取るのはどのチームであろうか。

日本ではサッカーに比べて野球の方に人気があり、テレビ放映も野球に重点が置かれているけれども、世界的に見ればプレーヤーも愛好家もサッカーの方が断然多いのではないか。何度も訪れたヨーロッパ諸国で野球場を見かけたことは一度もない。またバットで球を打つ野球に似たクリケットのテレビ放映は観たことがあるが野球試合の中継は皆無であった。

世界的にサッカー人口が多いのは歴史が古いせいもあるだろうが、野球に比べて取っ付き易いことも関係しているようだ。野球は最低限野球ボールとグラブ、バットなどの道具と一定の広さのグラウンドを必要とするが、サッカーの練習なら手製のボール一つあれば狭い路地裏でも始められる。

もちろんサッカーも一流選手になるためには、それなりの道具やグラウンドと指導者を必要とするけれども、裸足で布製のボールと戯れる子どもたちの広い裾野が今日のサッカー隆盛を支えていることは間違いない。

野球とサッカーと、どちらかの肩を持つわけではないが、テレビでは同じくらいの比重でプロの試合を見せてもらいたいものだ。野球偏重は困るのである。


--------------------------------------------------------------------------------

6月27日(日)ゴーヤの花

ネットに絡ませて緑のカーテンを作ろうと植えたゴーヤ(ニガウリ)の花が咲き出した。直径2cmほどの黄色い花である。キュウリの花を小型にしたものだと思えば良い。オバナとメバナがある。両方なければ実を結ばないから、同じ時期に開くように出来ているのだろう。

メバナには将来実になる子房がついている。長さ3cmほどの小さなものであるが、立派なゴーヤに育つぞと宣言しているように、小さくてもイボイボがたくさんついている。野菜売り場に並んでいるゴーヤは緑であるが、完熟するまで蔓に成らせておくと次第に黄色になり、最終的には真っ赤に熟れて実が割れ黒いタネが飛び出す。完熟果は甘味があって食べられると聞いたが試したことはない。

ゴーヤはインド原産で、おもに熱帯アジア、中国、日本などで栽培されている。日本へは江戸時代に中国から入ってきた。最初は涼しげな葉と果実を観賞するために植えられていたが、沖縄や九州で未熟の果実を食用とするようになった。全国的に食べられるようになったのは最近のことである。

仄かな苦味があって夏場向きの食べ物であるが、キュウリなどに比べると傷みやすく保存が難しいので、消費は長い間生産地周辺に限られていたのだろう。豚肉(卵)、豆腐などと一緒に炒めたゴーヤチャンプルーが一般的な食べ方であるが、三杯酢で食べたり漬物にしてもおいしい。

わが家でゴーヤを初めて植えたのは20年ほど前のことだったと思う。沖縄からタネを取り寄せて栽培していた友人O君からタネを分けてもらって植えたのが始まりだった。まだゴーヤが珍しかったころである。ゴーヤチャンプルーをご馳走になったのもO君のヨットの上だった。O君はこの春帰らぬ人となった。ゴーヤの花を観てO君との交友の日々を思い出している。


--------------------------------------------------------------------------------

6月28日(月)野球賭博処分

野球賭博問題で腐りきった相撲界を立ち直らせるために、日本相撲協会の特別調査委員会は27日厳しい勧告をまとめ、今日協会側に通達する。勧告の内容は大嶽親方と時津風親方、大関琴光喜の3人はいちばん重い解雇を含む懲戒処分、武蔵川理事長を含む12人の親方に謹慎処分、さらに15人の力士と床山1人にも謹慎を求めるものである。調査委員会は今後約千人の協会員全員の調査を進めるというから、場合によっては処分者がさらに増える可能性もある。

勧告には強制力はないけれども、調査委員会は協会側がこの厳しい勧告を受け入れれば名古屋場所開催を「可」とする判断を示した。協会は今日の臨時理事会で対応を協議するが、おそらく勧告を受け入れて名古屋場所開催の道を選ぶものと思われる。

麻薬や賭博と関係なくまじめに稽古に励み土俵上で力を発揮したいと思っている大勢の力士、その姿を観たいと期待している相撲ファンのためにも名古屋場所開催は実現してもらいたい。

特別調査委員会は野球賭博問題の調査と処分を検討するための委員会だから、相撲協会そのものの改革については触れていない。しかし、麻薬や賭博などに汚染され易い体質を改めるには、前にも書いたように協会組織そのものにまで踏み込んだ根本的な改革が必要だと思う。

根本的改革には協会運営にもっと幅広い人材を投入すること、閉鎖社会の温床となっている部屋制度にもメスを入れることなどが不可欠であろう。そのどちらも長年の伝統と仕来りを突き崩すものだから強い抵抗が予想される。けれどもそれを乗り越えなければ協会の透明性が確保できないし、近代スポーツとして大相撲が生き残る道も開けないような気がする。土俵際に立たされた相撲協会に残された再生への道は険しい。


--------------------------------------------------------------------------------

6月29日(火)アジサイ

アジサイが梅雨を楽しんでいるようだ。さして広くもない庭に8種類のアジサイが植えてある。初めは山野に自生しているガクアジサイとありふれた青いアジサイだけだったが、頂き物で次第に種類が増えて梅雨時の庭が賑やかになった。

葉がカシワの葉そっくりで長い花穂に真っ白い花をつけるカシワバアジサイ、夜空に大輪の花を咲かせたようなガクアジサイの1腫・隅田の花火、名前は忘れたが咲き始めは薄緑で次第に純白に変化するものなど、それぞれに個性があって面白い。

アジサイは古くから日本にあった植物でガクアジサイが原種と見られている。それが園芸化されていろいろな品種が作り出されるようになったのは鎌倉時代からだと言われ、江戸時代には一般的な庭園植物になった。

アジサイが中国経由でヨーロッパへ紹介されたのは18世紀後半だった。それが元になって改良が重ねられ、多様な花色を生み出した。それが西洋アジサイあるいはハイドランジアの名で逆輸入され、在来種と並んで愛でられている。

わが家の庭にあるのは国産品だけのようである。しかし、昨日知人から頂戴した鉢植えのアジサイはどうもあちらものらしい。葉も花も分厚くて、ごつい感じがする。ブルー、緑、赤紫が入り混じった花色も変わっている。花が長持ちしてドライフラワーにしても色が変らないらしい。花が終わってら地植えしようと思っているが、わが家の環境に順応してくれるかどうか。


--------------------------------------------------------------------------------

6月30日(水)お疲れさん日本チーム

サッカーワールドカップ、日本チームの8強入りはパラグアイに阻まれた。しかし、PK戦にまでもつれ込むいい試合だった。監督も選手も応援した大勢のサポーターも悔しい思いをしたけれども、日本チームの活躍はすばらしかった。そして多くの人に感動と勇気を与えてくれた。お疲れさん、本当にありがとうとお礼を言いたい。監督も選手も胸を張って帰ってきて欲しい。

日本チームは姿を消しても、今朝までに決まった8強による戦いは続く。7月12日の決勝戦で栄冠を勝ち取るのはどのチームか。ヨーロッパ勢か南アメリカ勢か、最終的にはその辺りに絞られて来そうであるが、いずれ劣らぬ強豪ぞろいだからこれからの試合がますます面白くなる。

サッカーの面白さって何だろう。最大の醍醐味は一瞬も目を離せないほど目まぐるしく変る攻めと守り、スピード感にあるような気がする。サッカーから生まれたラグビーに比べるとその違いが際立っている。サッカーボールは絶えず動いている。それに正確なパス回し、神技とも思えるドリブル、意表つくロングシュートなど個人技の冴えも観客を魅了する。

先日の米誌TIMEにペレ、マラドーナ、ジダンと名だたる往年の名選手がマドリードのカフェでサッカーゲームを楽しんでいる写真が載っていた。これは世界的な有名ブランドの宣伝であるが、日本のサッカー選手の中からも長く記憶に残る世界的な名選手が誕生してほしいものである。

6月11日(金)茶番劇

2010-11-08 20:06:31 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
6月11日(金)茶番劇

亀井静香・国民新党党首が菅内閣の金融相を辞任した。亀井氏は郵政法案を今国会で成立させることに執念を燃やしていた。しかし民主党が先送りすることを決めたために、約束が違うと意地を張ってみたものの、結局は押し切られた形である。亀井氏は面子が潰れて辞めざるを得なかったのだろうか。

亀井氏は党首である自分の主張が通らず、党の姿勢も否定されたと思ったら、閣僚を辞任するとともに菅内閣との連立も解消すべきだった。それなら一応筋が通る。でも連立は続けるそうだ。民主党は参議院選挙後の臨時国会で郵政法案の成立を確約しているのだから、法案成立の時期が多少ずれるだけで党の主張は民主党の助けを借りて実現する。だから本当は亀井氏が辞任する必要すらなかったと思う。

でもそう思うのは素人で、郵政民営化に反対して自民党を飛び出した亀井氏としては、今国会での成立こそが大事で、それが叶わなければ責任を取って閣僚を辞めるのが格好いいと思ったのだろうか。その辺のこだわりがどうも分からない。

デパートでお母さんにおもちゃを買ってくれとせがんだ子どもが「この次ぎ買ってあげるからね」と言われても「今日でないとイヤだ」と駄々をこねている図を想像してしまった。子どもはふてくされてはみたものの、お母さんの庇護なしでは生きて行けないから家を飛び出したりはしない。子どもは自分の非力を知っているのだ。

日本の政局とやらはこの種のつまらぬ騒ぎが多すぎる。その都度調整と称して大の大人が何時間も協議するなんて愚の骨頂だ。


--------------------------------------------------------------------------------

6月12日(土)所信表明演説

菅首相就任後初の所信表明演説を聞いた。新内閣がこれから何をやろうとしているのか注目して耳を傾けた。全体の印象は悪くはないが、言いもらしがないように気を配ったせいか、原稿を棒読みする姿勢が目立ち、自分の信ずるところを自分の言葉で訴えかける迫力に欠けた。

その中で注目したいのは危機的な状況にある国の財政を立て直す決意である。そのために超党派の「財政健全化検討会議」の設置を呼びかけた。財政を破綻状態に追い込む原因を作った自民党が同じ土俵に上がるのは躊躇するだろうが、財政建て直しのためには国民的な論議が必要だという認識は正しい。

この問題はおいそれと結論が出る問題ではない。当面は国民の閉塞感を除去するための具体的な政策に着手する必要がある。しかしその点になると演説からは道筋がはっきり見えてこない。「戦後行政の大掃除」、「強い経済・強い財政・強い社会保障」と言っても、具体的にどういう手段で何から手をつけようとしているのか分からない。

辛うじて具体的目標を掲げた経済成長も、どうすれば達成できるのか裏づけがない。単なる努力目標なら誰でも作文できる。国民が聞きたいのはこうやれば出来るという構想なのだ。

「責任感に立脚した外交・安全保障政策」と言うのも分かりにくい。日米同盟を基軸とした現実主義外交を意味しているのだろうが、沖縄の将来をどのように考えているのかさえはっきりしない。「長年の過重な負担に対する感謝の念を深めることから始めたい」といわれても、沖縄県民の心には何も響かないのではないか。

所信表明演説だから総花的になるのはやむを得ないとは思う。けれども菅さんの昨日の演説にはがっかりした。菅さんが演説の結び近くで述べた「よし、やってみろ」と信頼する気分には残念ながらなれなかった。


--------------------------------------------------------------------------------

6月13日(日)ワールドカップ

ワールドカップ南アフリカ大会が2日目を迎えた。開幕戦は地元南アフリカとメキシコの対戦だったが1-1の引き分け、2戦目のフランス対ウルグアイも0-0で引き分けた。2日目は韓国が2-0でギリシャに快勝、鹿島アントラーズでプレーしている李正秀(イジョンス)が先制点をあげた。日本にご縁のある選手の活躍は嬉しい。

注目の日本チームはどうか。強化試合では思うような成績を残せず万全の調子とはいえない状態で現地入りしただけに、その後の調整がうまく行ったのだろうかと心配だ。明日の対カメルーン戦の結果如何が注目される。日本の対戦相手のカメルーン以外のオランダもデンマークもすべて日本よりは格上、実力に勝るチームである。

それだけに1勝も出来ずに敗退する可能性が高い。でも欠点のないチームはない。カメルーンは守備がお留守になる欠点があるという。素早いパス回しで敵を翻弄すればチャンスが訪れるかもしれない。緒戦に勝って勢いに乗ることを期待している。

まあ、客観的にみれば日本が上位に食い込むことは難しい。日本が早々と姿を消すのは寂しいけれども、ワールドカップは世界に名だたる選手が母国の栄誉のために活躍する姿を存分に観られるまたとないチャンスである。

試合時間が日本時間の深夜に及ぶことが多く寝不足になる恐れがあるけれども、職場で居眠りする心配がない身分だから目覚めている限り観戦しようと思っている。

*明日と明後日の閑話は都合により休刊とします。


--------------------------------------------------------------------------------

6月16日(水)脳梗塞その後

閑話を2日休んだのは昨年患った脳梗塞のその後を検査するためだった。初日に頚動脈と下肢をエコー検査し、翌日担当医から検査結果の説明があった。それによると脳梗塞の引き金になった左頚動脈の狭窄部分は半年前と変らず安定しているし、左下肢に見られた血栓の痕跡はなくなったとのことで一安心した。また半年後に検査するので血圧抑制剤やコレステロール値を下げる薬を飲み続けるようにとのことだった。

自分では健康状態は良好でもう何の心配もないと思っているが、医者の目から見ればまだ油断はならないと言うことらしい。半年後には頭部のMRA検査をするそうだ。MRAと言うのは脳を細かく輪切りにしたような写真を撮って異常がないかどうかを調べる検査である。

その検査でも異常なしならば完治したことになり、もう薬も要らなくなるのかどうかは分からない。毎日朝夕、旅行先でも何種類もの薬を飲み続けなければならないのは煩わしいから、一日も早く解放されたいものである。

お世話になっているのは脳に関する専門病院であるが、広い待合室は診察の順番待ちの人でいっぱいだ。外見上は分からないが脳に関わる病気を抱えた人がこんなにも多いのかと驚く。「物忘れ外来」という窓口もあるから、物忘れが気になって来院する人もいるのだろう。

小生も脳梗塞が完治する前に「恍惚の人」になるかも知れない。家内も物忘れを気にしている。加齢に伴う単なる物忘れなら心配ないが、夫婦そろって「恍惚の人」になったらどうしよう。考えただけでもぞっとする。


--------------------------------------------------------------------------------

6月17日(木)夏向きの家

梅雨の晴れ間で太陽が顔を覗かせた昨日、冬から使っていた加湿器を掃除して外で乾かし、入れ替えに除湿機を出した。運転を始めるとポトリポトリと部屋の中の湿気が雫となって容器に溜まって行く。目には見えないけれども、どこもかしこもカビだらけになりそうなほど湿っているようだ。

梅雨の季節だから当たり前であるが、油断すると本当にカビが生えてくるので、晴れ間には努めて窓を開けて風を通すようにしている。従来の日本家屋は夏の蒸し暑さ対策に重点を置いて設計されていたようで、風向きを考えて窓を開ければ涼風が通り抜けるように出来ていた。

クーラーも何もない時代に考えられた生活の智恵は今でも随所に生きている。風通しを考えた開口部、西日を遮る簾(すだれ)、打ち水、アサガオやヘチマが作る緑陰、音で涼を呼ぶ風鈴など、あまりカネをかけずに出来る消夏法をむかしの人は考えた。わが家は昔ながらの工法で作られた日本家屋だから夏向きに出来ている。

それに反して今風の住宅は機密性が高まり暖冷房が効率的に行えるようになった。しかしその分風など自然の力を利用することはなくなり、夏も冬も電気や灯油の力を借りて室内の快適さを保たざるを得ないエネルギー浪費型の住宅になってしまった。

貧乏人には昔風の日本家屋の方が向いているような気がする。寒さは厚着をすれば凌げるし、蒸し暑い夏は戸を開け放てば過ごしやすい。やせ我慢と笑われそうであるが、夏日になると言う今日も通り抜ける涼風で快適に過ごせそうだ。


--------------------------------------------------------------------------------

6月18日(金)消費税引き上げ

消費税引き上げが現実味を帯びてきた。菅首相が昨日、税率をどうするかなどの増税案を今年度中にまとめる方針を明らかにし、さらに自民党が参議院選挙の公約に盛り込んでいる10%を参考にすると踏み込んだ発言をした。

与党と最大野党が歩調を揃えて消費税引き上げに臨むのだから、そう遠くない将来現実のものになるだろう。国家財政が破綻に瀕しているから、評判が悪くても背に腹は代えられぬというのが本音だろう。

しかし、増税で国家の懐に入ってくるお金を何に使うのか、低所得者ほど負担増を重く感じる、いわゆる逆進性の問題をどう解決しようとするのか、一方で取りざたされている法人税引き下げとの整合性をどうするかなど、これから詰めなければならない問題が山積している。

小生は基本的には消費税引き上げは止むを得ないと思っている。もちろん無駄の徹底的な排除が前提であるが、沈みかけた「日本丸」を救うためには仕方がない。ただ金持ちも貧乏人も同じように負担しろという論議にはついて行けない。

例えば食料品や日用雑貨など貧富を問わず消費せざるを得ない商品やサービスと、贅沢品、趣味性の高い品物やサービスに対する消費税率は当然差があって然るべきだと考えている。

具体的には先ず政府の税制調査会で税制抜本改革の一環として検討されることになるのだろうが、密室協議ではなく国民にも良く見える形で論議を進めてもらいたい。


--------------------------------------------------------------------------------

6月19日(土)相撲界の腐敗

相撲界は腐敗しきっている。もう救いようがないと思われるくらいだ。麻薬に汚染されたかと思うと今度は賭博である。そして暴力団との腐れ縁、恐喝事件も絡んでいる疑いがある。若い力士を指導する立場にある親方衆までが悪に手を染めていたと言うのだから空いた口がふさがらない。

何が伝統ある国技だ。こんな相撲界に対して税金を免除する特殊法人の特典を与えておく必要はない。即刻特殊法人を取り消し猛省を促してもらいたい。大関琴光喜は来場所の出場を辞退することで反省の態度を示そうとしているようだが、そんなことで済む問題ではあるまい。

麻薬に手を出すこと、賭博に参加することは両方ともれっきとした犯罪である。犯罪は厳正に処罰されなければならない。犯罪を犯すか否かは突き詰めれば個人の順法精神、倫理観の問題であるが、相撲界全体に悪を大目に見るような風潮はなかったのだろうか。もしそうだとするならば問題の根は深い。

相撲は本来神社への奉納が起源だった。地元の有力者が勧進元になってそれを取り仕切る慣わしであったが、当然運営にはお金がかかる。それを調達するために氏子の有力者から寄附を集める必要があった。浄財なら問題は起こらないが、中には賭場の稼ぎやいかがわしいカネも含まれていたに違いない。

相撲は初めから危険なカネ、それを提供する組織と接近する可能性が高かったのではないのか。それが古い体質を残したままの現代相撲界にまで影響を及ぼしているかどうかは分からないけれども、相撲界は一般社会では許されない犯罪行為も、内輪で内緒でやるなら許されると言う誤った認識が広がっていたのではないかと思われる。

相撲界は落ちるところまで落ちた。こうなったら相撲協会を解体して出直すぐらいの覚悟で改革に当たらないと再生への道は開けないのではないか。相撲が透明性のある近代スポーツとして生まれ変わるには部屋制度を含めた徹底的な見直しが必要だと思う。


--------------------------------------------------------------------------------

6月20日(日)対オランダ戦に学ぶもの

サッカーワールドカップ優勝候補のオランダはさすがに強い。昨日対戦した日本は善戦したが及ばなかった。惜敗ではあったが負けは負けである。これが実力の差というものだろう。しかし、この1戦を通じて日本チームは多くのことを学んだと思う。

第一は世界的強豪と言われるチームに対しても相手を研究しつくし組織力、チームワークを活かせば互角に戦える自信を持ったことだろう。確かにオランダに勝つことは出来なかったが、ドローに持ち込むチャンスは何度かあった。

第二は危険を犯す積極さが大事だと気づいたのではないか。日本は実力に勝る相手に対して攻撃はさておいて守備を固める体勢で臨んだ。勢いオランダのボール支配率が圧倒的に多くなり、日本は相手の攻撃の芽を潰すことに専念せざるを得なかった。ということは相手のペースに合わせて動くことであり、自主的に動くよりは体力消耗が大きい。

守りを固めることは相手に得点しにくくさせることは出来ても自らの得点に結びつけることは難しい。辛抱強く機会を窺ってカウンター攻撃を仕掛けると言っても好機が訪れるとは限らない。だからある程度の危険は覚悟のうえでもっと積極的に攻撃を仕掛けるべきではなかったか。

1点を先取されてから中村俊輔を投入して攻撃のリズムを掴もうとしたがうまく機能しなかった。守りから攻撃への切り替え、リスクを犯す勇気がもっと早い段階からみられたらと悔やまれる戦いだった。25日の対デンマーク戦で一段と成長した日本チームの姿を見せて欲しいものである。

*21、22日の閑話は臨時休刊します。

6月3日(木)日本の政治は良くなるか

2010-11-08 20:04:34 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
6月3日(木)日本の政治は良くなるか
いずれ辞めることは分かっていたが、こんなに早く退陣するとは思わなかった。鳩山首相退陣は小生にとって意表をつくものだった。小沢幹事長辞任と言うおまけつきである。首相は退陣の理由として普天間問題の躓きと自らの政治とカネの疑惑を挙げた。身奇麗な民主党として再生するためには、小沢幹事長にも辞めてもらわなければならなかったのだろう。

鳩山首相と小沢幹事長が身を引くことで、新鮮なイメージをかもし出し、民主党の人気上昇を狙ったのだろうが、本当のところは目先の参議院選挙対策だったのではないか。そうでなければ政権担当にあれだけ意欲を燃やしていた鳩山首相が急に辞める訳がない。

しかも自らの判断というよりは、地方支部を含めた民主党内の「お家の事情」で辞めざるを得なかったのが真実に近いような気がする。明日にも新代表を決め党役員人事を刷新したうえで新内閣を発足させる。いわば電光石火の勢いで態勢立て直しを進めざるを得ない切羽詰った状況にあるのだろう。

さて、これで日本の政治に新しい展望が開けるのだろうか。民主党を中心とした政権が出来てから8ヶ月、子ども手当ての支給が始まり、事業仕分けなど新しい試みも始めたが、党の体質は自民党とさほど変らないように見える。

だだ長いこと野党だった政党が与党になって1年足らずで力量を評価するには早すぎる。明日誕生するはずの新内閣がどんな政策を展開するのか、新役員による党が内閣をどうバックアップするのか、しばらく様子をみてから採点しようと思っている。


--------------------------------------------------------------------------------

4日(金)菅内閣に注目

鳩山さんの後は菅さんが引き継ぐことになりそうだ。後継者がどんな仕事をするかは蓋を開けてみなければ分からない。けれども、菅さんは鳩山さんみたいな「夢追い人」ではないようにお見受けする。もっと地に足がついた政策を実行してくれるのではないか。

鳩山さんは「友愛」をモットーに掲げる哲学の人だった。座右の銘とか信条とか身を律する何かをもっている人は多い。けれども政治の世界ではそれを表に出さず、国民が今いちばん求めているものは何かを見極め、実行できるものから手をつけて行くことが肝心だ。

鳩山さんの最初の施政方針演説を聴いて印象に残っていることがある。それは「友愛」とか「命を守る」とか、いわば抽象的な言葉と耳に心地よい形容詞の多用である。でも具体的な施策に言及することは少なかった。

多くの国民が聞きたいのは中身の薄い抽象的な演説ではなくて、泥臭くてもいいから具体的な政策である。国民はそれによって今の政府を支持するか否かを判断する。気に食わなければ次の選挙で意思表示をすれば良い。

菅さんには去年の総選挙で掲げた民主党のマニフェストを含めた政策の見直しをぜひやってもらいたい。その結果、約束を縮小しあるいはご破算にすることがあってもやむを得ない。カネもないのにあれもこれもと手を出して、これ以上国の借金を増やしてはならないと思う。そして実行できるものから地道に実績を積み重ねてもらいたい。

今日中に菅内閣が発足する。そして首相としての菅さんが施政方針演説でどんなことを述べるのか注目している。


--------------------------------------------------------------------------------

6月5日(土)短命内閣は困る

第49代首相になった菅氏はしばらく考える時間が欲しいと、4日中に党人事・組閣を進めることを避け7日に党人事、8日に組閣する意向を明らかにした。果たしてどんな顔ぶれになるのか分からないが、党人事は小沢色を弱める方向で選考するだろうし、閣僚の入れ替えは国会の会期末と言うこともあり小幅にとどめることになりそうだ。

ただあまり非小沢色を強めると小沢グループの反発を招き、挙党体制が組めなくなるから舵取りが難しい。菅首相の頭の中には仙石官房長官、枝野幹事長の構想があったようだが、決定を先送りしバランスのとれた党・内閣人事を考える時間的余裕を持ちたかったのだろう。

菅さんは地盤も看板も鞄も無いところから政治の世界に飛び込んだ。草の根の活動を通じて一歩一歩指導者の地位まで登りつめた苦労人である。それだけに世襲の政治家とは一味も二味も違った感覚を持っているように思われる。

新首相誕生を聞いた人々の反応も、そのような菅さんの庶民性に期待する声が多かった。どうかその期待を裏切らないで欲しい。国の借金をどのようにして減らして行くのかも菅さんに課せられた重要課題だと思う。今すぐとは言わないけれども選挙に響くからと敬遠されかちな増税問題にも果敢に取り組んでもらいたい。国家百年の計を立てるには避けて通れない道である。

大臣の名前を覚える間もないうちに首相がころころ交代するのはやめてもらいたい。悪い政権に居座られるのは困るが、日本が国際社会で生きて行くために必要な諸外国と信頼関係を結ぶためにも、ある程度の長期政権であって欲しい。菅さん、頼んまっせ!。


--------------------------------------------------------------------------------

6月6日(日)フキは意外な優れもの

昨日の雨で植物が生き生きしている。野生のフキを摘もうと庭に出たものの、サンダル履きでは足もズボンも濡れてしまうので長靴に履き替えて出直した。葉柄が50cm近くまで伸びている。長さが同じくらいのものを選んで摘んできた。その方が湯がくときに楽だからである。

フキは庭に食べきれないほど生えているので買ったことはない。菜園に野菜がなくなるこの時期はただで手にいるフキがありがたい。塩を入れたたっぷりの熱湯で湯がくと鮮やかな緑色になる。冷水で冷やしてから皮を剥く。

袋に入れて冷蔵庫に入れておけば数日は新鮮に保てるから、その間にいろいろな料理に使う。チリメンジャコ、ワカメ、タケノコなどとの煮つけが好きだ。フキだけを炒めてゴマを振ったものや煮びたしも旨い。

たいして栄養素はない食べ物のようであるが、食物繊維が豊富で腹の掃除には役立ちそうである。そう思って食物成分表を見たら意外なことが分かった。今が出盛りのサヤエンドウの茹でたものと比較してみる。ナトリウムはエンドウのほぼ百倍、カリウムが約6倍、カルシウムが4倍強、リンがほぼ同じなどサヤエンドウよりも多く含んでいる成分が多い。その人の健康状態にもよるが、他の食物と組み合わせることによって利用価値が高い食品だと思う。

今朝摘んだフキはこの原稿を書くためにまだそのままにしてあるが、なるべく早く茹でよう。フキは鮮度が落ちにくい野菜であるが、なるべく取りがけを茹でて使った方が旨いに決まっている。熟成が進んで食べごろを迎える肉や魚と違って野菜は新鮮さが命である。


--------------------------------------------------------------------------------

6月7日(月)ワサビダイコン

ワサビダイコンが花盛りである。セイヨウワサビ、ホースラディッシュの名でも知られているアブラナ科の植物である。花は直径1cmほどの小さな白い十字形の花で穂の下の方から上に向かって順次咲いてゆく。冬は地上部が枯れてしまうけれども、根は冬越しして春先に新芽を出す。

地際から出る新芽は切れ込みの多いギザギザした葉であるが、成長にしたがって長楕円形の大きな葉に変る。そしてトウ立ちをはじめちょうど今ころ花を咲かせるのだ。この野菜で利用するのは根である。直径3~5cm、長さ30~50cmほどの根は白くて繊維が多い。この根には強い辛味と香気があり日本ワサビと同じように摩り下ろしたり刻んで使う。辛味成分は日本ワサビと同じであるが、牛肉のたたきやコールドミートにはこちらの方が合う。

ヨーロッパ南東部原産と思われるこの植物は明治初期にアメリカ経由で日本へ渡ってきた。繁殖力が強くあまり土地を選ばないので作りやすい。北海道では川沿いの湿地で野生化しアイヌワサビと呼ばれているそうだ。

工業的には粉ワサビの原料に用いられる。乾燥粉末に薄緑の色素で色づけしたものが粉ワサビとして売られている。練りワサビも大概はワサビダイコンが主原料である。原料表示が厳しくなったので本ワサビを装うことが難しくなり、「本ワサビ入り」とか書いてあるのはセイヨウワサビが主体だと思って間違いない。シニグリンという辛味成分は両者とも同じだからどちらでも良いようなものであるが、摩り下ろしたときの粘り気と香りは本ワサビに敵わない。刺身には断然本ワサビの方が合う。

鉢植えには向かないが、庭がある方は1本植えておくと便利な植物である。


--------------------------------------------------------------------------------

6月8日(火)ホトトギス・カッコウ・ツツドリ

裏山でホトトギスがしきりに鳴いている。巣のありかを知られたら托卵されるとも知らずにウグイスが縄張り宣言をしている。わが家ではホトトギスの声は良く聞こえるが、カッコウの声はほとんど聞いたことがない。近縁の鳥であるが住む場所が違うのだろうか。

鳥類図鑑によるとホトトギスは森林を好みカッコウはもっと開けた環境を好むそうだ。托卵相手もホトトギスはウグイス、カッコウはモズ、オオヨシキリなどである。わが家の近辺でカッコウが鳴かないのは開けた環境がないからだったのだ。また世界的にみるとホトトギスが住んでいるのはアジア東部に限定されているのに対して、カッコウはアジア、ヨーロッパ、アフリカと分布範囲が広い。

そういえばヨーロッパの端っこに当たるアイルランドでカッコウの鳴き声を耳にしたのを思い出した。あれは確かアイルランド西海岸の離島・アラン諸島の一つだったと思う。まさかカッコウがいるとは思えない荒涼とした原野だったので驚いたのを覚えている。もう今から6年も前のことだ。西洋音楽にも登場するほどカッコウはヨーロッパ人にとって身近な鳥である。けれどもホトトギスは彼らにはなじみのない異国の鳥なのだ。

どちらの鳴き声も初夏を告げる風物詩の一つであるが、好みを言えばカッコウの方が好きである。どこかのんびりしていて明るい感じがする。それに対してホトトギスは声が鋭く、せわしなく、悲壮な感じさえする。単なる思い込みかもしれないが、そう思われるのである。

今の季節山歩きするとツツドリの声がする。これもカッコウやホトトギスに近い鳥であるが、鳴き声が竹筒を叩いたようなポポッポポッポポッと聞こえるのでその名がついたと言われる。大自然の中で聞くツツドリの声も良いものだ。


--------------------------------------------------------------------------------

6月9日(水)菅内閣頑張れ

菅内閣が発足した。政治とカネで不透明感がある鳩山、小沢両氏が表面から退いたことで民主党への期待が再び高まった。これが持続するか否かはこれからの実績次第であるが、新内閣は出来ることから着実に手をつけて、ぜひ「最小不幸社会」実現に向かって邁進してもらいたい。求められるのは実行力である。

閣僚の顔ぶれは11人が再任で、いささか新鮮味には欠けるけれども、全体としては若返った感じを受ける。新しく入閣した人は菅首相をはじめ7人である。この人々の平均年齢は57.1歳、残った閣僚の平均年齢が59.6歳だから、現実にはほんの少し若返っただけだ。しかし40歳代の閣僚が4人、50歳代4人が名を連ねている。

若いだけが取柄ではないけれども、年功序列と派閥均衡でヨボヨボの爺さんばかりが目立った自民・公明時代の内閣に比べると、何かやってくれそうな気がするのだ。

菅首相は就任会見で経済・財政・社会保障の立て直しを目標に掲げた。前にも小欄で触れたことだが、自民党政権が長年にわたってズルズルと積み重ねてきた借金財政を改めない限り、日本は本当に元気を取り戻すことは出来ない。借金をしないで必要なことをしようとすれば、税金を増やすことも必要になるかもしれない。

痛みを伴っても子孫に借金のツケを回すことは止めなければならない。徹底的な無駄の排除に努めるのはもちろんであるが、同時に財政の危機的状態を国民に説明し納得してもらって、たとえ評判を落としてでも必要とあらば増税にも踏み切る勇気を持つことを新内閣に期待する。それなくしては経済活性化も社会保障の充実もあり得ないと思うからだ。


--------------------------------------------------------------------------------

6月10日(木)無題

梅雨入り前のひと時、幸い好天に恵まれて戸外の仕事が捗った。耕して施肥し2週間ほど経過した菜園の土を均し黒いマルチを被せた。薄いフィルムであるが、これの有る無しで作物の生育が大分違う。効用はいろいろある。第一に雑草が生えない、第二に太陽熱を吸収して地温が上がる、第三に梅雨時の長雨でも泥の跳ね上がりを防ぎ植物が健康に育つ。

良い事ずくめのようだが、植える作物の種類によってフィルムに開ける穴の間隔を変えるのが結構面倒臭い。同種類の作物をたくさん作る農家用には、最初から専用の穴が開けられたマルチが売られているけれども、同じ畑にに何種類かの作物を植える家庭菜園では、面倒でも自分で穴を開ける以外にない。それでも昨日までにサヤインゲンの種をまき、バジル、パセリ、イタリアンパセリの苗を植え終わった。

だが葉物野菜のような作物は間隔を空けずにタネを筋蒔きにして、成長に従って間引きしながら作るものもある。このような作物の場合は、マルチをどのように使えば良いのか要領が分からない。これからの季節チョウが盛んに産卵し青虫の被害が多くなるので、農家ではマルチを使わずにトンネルかハウスで畑を丸ごと覆ってしまうのかもしれない。

これから収穫期を迎えるサクランボが木ごと巨大なハウスに覆われているのを初めてみたときにはびっくりした。雨に弱いサクランボを保護するにはあの方法が最も優れているのかもしれないが、農業もあのようになるとカネ食い虫の装置産業のように見える。

だから粒よりのサクランボは宝石のように高価なのかもしれない。貧乏人は実割れしていようが色づきが少々悪かろうが構わないから、もっと安いサクランボを食べたい。高品質を目指す農家の努力には敬服するが、果物も野菜も1級品ばかりである必要はないような気もする。庶民用にもっと安い作物も作ってくれないかなあ。家庭菜園の話が愚痴になってしまった。

5月21日(金)要らざるドングリ

2010-11-08 20:03:23 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
5月21日(金)要らざるドングリ

今日は晴天で気温が上がるという。雨上がりの空気は気持ちが良い。しかし見上げた空は晴れてはいるものの、たっぷり水蒸気を含んでいるのか乳白色に近く、遠くは霞んでいる。まさか中国大陸から飛んで来た黄砂のせいではあるまいな。

庭に出ると、若葉を広げたコナラから4~5cmの茶色い紐状のものがひっきりなしに落ちて来る。役目を終えた雄花である。葉腋につく雌花は見えないが、ドングリの豊作になると厄介だ。秋に熟して落ちるドングリは意外に遠くまで転がって、予想もしないところから幼木が生えてくる。

最初は草に紛れて見えない。しかしこの時期に見つけて始末しないと、2年目からしっかり根を張って引き抜くのに苦労する。それでも見落としがたくさんあって毎年剪定鋏で切り取っている。

自然界ではコナラが密集して生えているのを見たことがない。おそらく多数芽生えても条件が悪ければ淘汰されて途中で枯れてしまうのだろう。わが家の庭に生えているコナラは1本だけだから、幼木は伸び伸びと育つ可能性が大きい。だから厄介なのだ。要らざるドングリは不作であれと呪いたくなる。

今年は変な天気の割りにカリン、ユスラウメなどの花が多く、実もたくさんなりそうだ。花が終わったユスラウメにはもう小さな実がたくさんついている。サンショウの実も豊作のようである。実が紅白で美しく甘いユスラウメは、ほとんど小鳥に食べられてしまうが、渋いカリンと辛いサンショウは小鳥が食べないので収穫が楽しみである。


--------------------------------------------------------------------------------

5月22日(土)「國際生物多様性の日」

「國際生物多様性の日」があるとは知らなかった。今日がその日に当たると言う。おそらく国連主導で1992年に採択された生物多様性条約を記念する日なのだろう。

現在地球上に生息する生物は700万種から2000万種の間と推定されている。膨大な数のように思われるけれども、地球環境の変化で急速に数を減らしているのだそうだ。環境変化の多くは、森林伐採による生物の宝庫である熱帯雨林の破壊、地球温暖化による気候変動、海洋汚染、酸性雨など人間の生活が原因となって引き起こされたものである。

人間はゴキブリやシーラカンスに比べたら地球上の新参者に過ぎない。その人間がわがもの顔に振舞った結果、他の多くの生命を絶滅に追いやっている反省を背景に、トータルで生物多様性を保持しようと作られたのが上記の条約である。

人間は動物、虫、植物など数え切れない生物に囲まれて生活している。現代生活に不可欠の原油や天然ガス、石炭なども過去の生物からの贈り物である。人間がそれを独り占めして使い果たし、現在生きている他の生物に迷惑をかけっぱなしというのは、どうみても理不尽である。

役に立たない生物は一つもないという。人間にとって不快なゴキブリ、カメムシ、毒ヘビだって無意味に存在しているのではない。細菌もバクテリアもそうなのだろう。今大騒ぎしている口蹄疫のウィルスだって存在理由があるに違いない。

人間も多様な生物の一員であることを自覚して共存共栄を図るべきなのだろう。そうとは分かっているのだが、今朝家に入り込んできた小さなアリを2匹殺してしまった。


--------------------------------------------------------------------------------

5月23日(日)口蹄疫

宮崎県で広まった口蹄疫の防除措置がやっと本格的になった。疫病が発生したときに適切な対処をしていれば、もっと狭い範囲で感染を食い止められたのではないかという批判はあるが、今はとにかくこれ以上被害が増えないように疫病の封じ込めと沈静化に全力を注いでもらいたい。

今回の騒ぎが起こるまで、恥ずかしながら小生は口蹄疫が何であるかも蔓延の恐ろしさも知らなかった。口蹄疫と言うからには口と蹄(ひづめ)にかかわる家畜の病気だとは思っていたが、犬猫のように蹄を持たない動物には感染の恐れがあるか無いかも知らなかったのである。

口蹄疫は偶蹄類を犯すウイルス性伝染病だから犬猫は関係ない。今回殺処分の対象になっているウシとブタ以外でも偶蹄類であれば感染する可能性がある。家畜としてのヒツジやヤギはもちろん、動物園で飼育されているラクダやシカ、さらには野生のシカ、カモシカなども例外ではない。

病原菌は病気になった動物の口や蹄など病変部に大量にあり、水泡が破れて汚染された家畜舎の床、家畜の唾液や呼気からも広がる。家畜の発病に気づかなければ病原菌は人間を介して広まることもある。

昨日から始まった家畜へのワクチン接種は病気の発生源から半径10km圏内の約16万5千頭を対象にしたもので、円の外側から発生源に向かって包囲網を狭める形で進める。そして最終的にはワクチン接種を行った家畜全部を処分するという。

専門家はこの対策で口蹄疫の拡散が抑えられ防除は完結すると踏んでいるが、ぜひそうあって欲しいものである。大打撃を受けた畜産農家に対する支援や損害補償など残された問題は多い。けれども現在は疫病を押さえ込むことが先決だ。


--------------------------------------------------------------------------------

5月24日(月)首相の背信?

鳩山首相は昨日、沖縄の仲井真知事に会い普天間飛行場の移設について名護市辺野古周辺に代替滑走路を建設する考えを初めて明らかにした。鳩山首相は会談の冒頭、県外移設の約束を守れなかったことをお詫びすると陳謝し、断腸の思いの決断だったと述べた。これに対して仲井真知事は「たいへん遺憾だ」と応じ辺野古への移設は困難との見解を示した。

政府は今後具体的な移設スケジュールを検討することになるが、地元の反対は根強く、政府の方針を納得してもらうには一波乱も二波乱も予想される。改めて思うのは、鳩山政権が出来てから現在に至るまでの約半年は沖縄にとって何だったのかと言うことである。

鳩山首相は普天間移設に関連して当初は「少なくとも県外」と明言し、辺野古周辺の埋め立てについては「自然に対する冒頭」とすら発言していた。沖縄の人々はこの首相の姿勢をみて政権が変ったから自民党とは違った何かをしてくれるに違いないと思ったことだろう。

それが首相自らが決めた5月末というデッドラインが近づくにつれてトーンダウンし、いつの間にか「少なくとも県外」が「できる限り県外」に後退し、「自然に対する冒涜」である埋め立てをやめて杭を打って滑走路を作る案を浮上させ、挙句のはてに前政権とアメリカの間で合意した案に限りなく近い政府案を提示せざるを得なくなった。これは政治家としての背信行為ではないのか。

沖縄県民はただ踊らされただけで、現段階では米軍基地負担軽減の具体策は何も示されていない。鳩山首相の考えが変ったのは「勉強すればするほど沖縄における米軍抑止力の重要性に気づいたため」という。今ごろ気づくとは間が抜けているし、米軍の抑止力について徹底した検討が行われた形跡も無い。すべては首相の頭の中で構築されたことを土台に事が進められているように見える。

沖縄県民の落胆は大きい。そして一国の安全保障にかかわる重大問題を国会でろくに審議もせずに推し進めて良いものだろうか。


--------------------------------------------------------------------------------

5月25日(火)雨の日の乗り物

天候の変化が目まぐるしい。昨日は所用で午後に外出したが。嵐のような横殴りの雨で傘は役立たず、びしょ濡れになった。雫が滴り落ちる傘を持って乗客が乗り込むのでバスの中もびしょびしょ。何とも気持ちが悪かった。幸いバスが空いていたので濡れた傘を押し付けられることはなかったが、満員だったらと思うとぞっとする。

最近は市中心部では屋根をかけたバス停が多くなり、バスを待つ間に傘の雫を切り他人に迷惑をかけないように準備することも出来るようになったが、傘をさしてバスが来るのを待つ停留所ではどうしようもない。間もなく始まる長い梅雨時の外出を考えると憂鬱になる。

乗り物内の不快感を軽減する方法はないものだろうか。濡れた傘を包み込むカバーを持ち歩くことぐらいしか思い浮かばない。デパートや銀行など大勢の人が出入りするところに備え付けられている透明の袋のようなものである。あれを傘の柄に結び付けておけばいつでも利用できる。ただで手に入るものだから大いに活用しようではないか。

同時にバス会社にお願いしたいのは梅雨時にバス内の湿度を下げる工夫である。大概のバスは冷房装置を備えるようになった。家庭用のエアコンには除湿機能がある。バスの冷房装置も同じ機能がついているのだろうから、雨の日は除湿運転をしてもらいたいものだ。そうすれば乗客は気持ち良く過ごせるし窓ガラスが曇って外が見えなくなることもなくなる。

経費の問題が付きまとうけれども、冬の暖房を止めればひねり出せるのではなかろうか。冬に外出する人はそれなりの防寒対策をしているのだから車内の暖房は本来要らないものだと思う。暖房はエンジンが発する熱を利用しているのであれば話は別であるが。


--------------------------------------------------------------------------------

5月26日(水)イグネ

近所の医院へ常用の薬をもらいに行った。以前は家内に頼んで薬だけ出してもらっていたが、診察をしないと医者の収入が上がらないので、たまには本人も顔を見せてくれと言われてから、2週間に一度は「先生」のご尊顔を拝することにした。

診察室に通されて「お変わりありませんか」と問われ、血圧を計るだけで聴診器を当てるわけでもなく診察は1分もかからずに終わってしまうのだが、それで「先生」は何百円か稼ぐのだろう。まあそれはいいとして、今日は珍しく「先生」からご下問があった。

「イグネという言葉はお分かりですか。前の患者さんとの会話に出てきて分からなかったものですから」とおっしゃる。「もちろん分かります」と答えたら「生まれはどちらですか」と問う。生まれも育ちも仙台だと告げたら、街中育ちなのに田舎のことも良くご存知でと感心されたが、イグネは郊外の農家で良く見かけた風景であった。

「先生」もイグネを見たことはあるはずだが、それを何というか知らなかったのだろう。ところでイグネとは一体何に由来し漢字ではどう書くのだろうと気になって、家に戻ってから調べてみた。その結果分かったことは概略次のような事柄である。

先ず漢字では「居久根」と表記するのが一般的である。おそらく「家久根(」いえくね)から生じた言葉だろうという。然らば「久根」とは何か。それは屋敷の境の垣根・生垣を指す「くね垣」を略したものだ。かくしてイグネは隣家との境や屋敷の周囲に植え並べた樹木を指すようになった。

この言葉はおもに福島県、宮城県および岩手県南部で用いられる。山形県、秋田県、青森県ではイグネのようなわざわざ植えた境界林は少ないという。「先生」の質問のお陰で少し勉強させてもらった。


--------------------------------------------------------------------------------

5月27日(木)新しいデジカメ

愛用していたコンパクトデジタルカメラが故障した。カメラ店で診てもらったところ重症だという。メーカーに送って直してもらうほかない、いくら費用がかかるかも分からないという。もともと娘が使っていたお古だから、この際新しいのを買うことにした。

店員がどのメーカーにしましょうかと聞くので、これまでと同じメーカーの最新バージョンにすることにした。画像をコンピュータに取り込んで印刷に使うソフトも、同じメーカーなら使い勝手が良いと思ったからである。

値段は別売りのメモリーカードを含めて3万1千円余(値引き値段)。デジタルカメラが出たばかりのころに比べると、ずいぶん安くなったものである。おまけに撮影しようと思う被写体を写す液晶画面がカメラサイズとほぼ同じ大きさになって見易くなったほか、液晶画面にタッチするだけでいろいろな機能が使えるなど飛躍的に便利になった。

でも便利・高性能と使いやすさは必ずしもイコールではない。うちへ戻ってガイドブックと首っ引きで使い方を勉強したが、ちょっとやそっとでマスターできそうもない。それでも電池を充電し、メモリーカードを初期化して撮影は出来るようになった。カメラとコンピュータを接続して画像を取り込むことにも成功した。

しかし、印刷の段階になってハタと困った。前のソフトにはあったレイアウトの各種パターンが新しいソフトには見当たらないのである。はがきサイズとかL版とか印画紙のサイズは選べても、その半分だけに印刷する方法が分からない。分かってしまえば「なーんだ」と思うような簡単なことなのかもしれないが、当分試行錯誤が続きそうである。良い頭の体操になる。


--------------------------------------------------------------------------------

5月28日(金)知事会の反発

鳩山首相は昨日東京で開かれた全国知事会に出席し、沖縄で行われている米軍訓練の一部を各都道府県に分散して受け入れるよう協力を要請した。米軍基地の75%が集中する沖縄の負担を少しでも減らそうという考えだろうが、それならなぜもっと早くから知事会に働きかけなかったのだろう。米軍基地問題は日本国全体で論議すべき事柄だと思うからだ。

ところが、案の定知事会の反応は冷たいものだった。「できる限りのことをしたい」と前向きの反応を示したのは橋下・大阪府知事だけで、他の知事からは首相の対応に対する異論が相次いだ。端的に言えば「負担の肩代わりはご免だ」と言うことである。

首相はここでも準備不足を露呈した。負担を沖縄に過重に押し付けてはならないと言う「正論」を以って協力を要請すれば、知事会から色よい返事が返ってくると思っていたのだろうか。前にも書いたとおり、沖縄の負担軽減問題は「総論賛成、各論反対」なのである。選挙で選ばれる知事は地域住民が望まない、あるいは危険が危惧される案件をすんなり受け入れるはずがない。

そのことは当初から想定内のことだったはずである。だからこそ普天間問題が俎上に上ると同時に知事会への働きかけを始めるべきだった。それなのに受け皿を用意しないで「少なくても県外」などと不用意な発言を繰り返した首相は明らかに誤っていた。

今日打ち出す予定だった普天間移設に関する政府方針も土壇場に来て社民党の強い反発に会い、今日の発表を見送った。政府方針を閣議決定にするのか閣議了解にするのか、それとも首相発言にとどめるのかさえ決めかねている。すべては首相がまいた種なのだから、最後は首相が決断する以外に道はない。


--------------------------------------------------------------------------------

5月29日(土)普天間は片付いたか

鳩山首相はいったん見送るかに見えた普天間移設に関する政府方針を28日夜に召集した臨時閣議で閣議決定した。同日午前中に発表した日米共同声明の手前、政府方針を決めない訳には行かなくなったのだろう。

これに先立って、福島社民党党首が閣議決定への署名を拒否したため、消費者担当相の職務を罷免する事態になった。社民党はこれによって連立政権から離脱する方向に向かうのではないか。

迷走に迷走を重ねた普天間移設問題はこれで一つの区切りを迎え、今後は辺野古移設実現に向かって動き出そうとするだろうが、地元名護市が移設反対で固まっているから動きが取れない事態になる恐れがある。その結果、普天間が事実上使われ続けることになったら最悪だ。

そうなったら民主党政権が沖縄にしたことは何だったのかと言うことになる。沖縄県民に与えた混乱と失望感はあまりにも大きい。「沖縄を傷つけてしまった」と首相が陳謝して水に流せるような傷痕ではない。

政権与党である民主党も傷ついた。民主党を支持して去年の総選挙で政権交代を実現させた有権者の多くが鳩山内閣に失望した。そのことは内閣支持率の急降下が如実に示している。鳩山首相は参議院選挙の前に、どうしても普天間問題を片付けておきたかったのだろうが、参議院選挙でこの問題が蒸し返されて民主党の足を引っ張る可能性がある。

民主党の混乱に乗じて自民党が息を吹き返すかと言えば、これも容易ではない。民主党も自民党も頼りにならないとなれば、有権者の多くは支持政党なしの浮草になる。日本の政治は行き先が見えない不毛の時代を迎えるのだろうか。


--------------------------------------------------------------------------------

5月30日(日)冷夏の恐れ

5月も末だと言うのに肌寒い日が続く。朝晩まだストーブのお世話になっている。いったいどうなっているのだろう。このまま梅雨寒、冷夏と続いたら農業や観光なと多方面に大きな影響が出て来そうである。

東北地方の太平洋側は北からヤマセが流れ込みやすい。オホーツク海高気圧が卓越すると、この傾向が強まるようだ。例年なら高温多湿な亜熱帯気団が梅雨前線を押し上げて梅雨明けとなるのだが、一般的に太平洋高気圧と言われる南方高気圧の勢力が弱いと梅雨明けがはっきりせず、冷夏になることが多い。

お天気は地球規模の気象条件に左右され人為的に変えることは出来ないから、やきもきしても始まらない。けれども夏は夏らしく暑い夏であって欲しい。

暑い夏で思い出すのは小学生時代の夏休みである。宿題そっちのけで遊びを優先し、休みが終わる頃に毎年慌てたものであるが、校庭で行うラジオ体操には欠かさず参加して汗を流した。升目のついた紙片に参加した印のハンコを押して貰うのが楽しみだった。

井戸に吊るして冷やしたスイカを食べるのも楽しみだった。紐を結んだバケツにスイカを入れそろそろと井戸の中に下ろす。バケツの底が水面に達したところで紐を固定して冷えるのを待つ。外で遊びまわって汗だくになったからだを冷やしてくれたスイカの味は忘れられない。

暑い夏だからこそラジオ体操もスイカの味も印象に残っている。今年の夏は暑くなってくれるのだろうか。天候の推移が気にかかる。冷夏はご免だ。


--------------------------------------------------------------------------------

5月31日(月)どうする鳩山さん

朝日新聞の世論調査によると鳩山内閣の支持率は17%まで下がった。普天間問題が大きく影響していることは言うまでもない。総スカンを食って退陣した福田内閣、麻生内閣に続いて3代連続の10%台落ち込みである。

社民党には離縁され党内の風当たりも一段と厳しさを増す中で、鳩山首相は今後どうするつもりなのだろう。本人は引き続き政権を担う意欲を持っているが、党内には現内閣の元では参議院選挙は戦えないという声もある。

かと言って首相の首をすげ替えるだけなら、野党時代に自民党政治を「政権たらい回し」と散々批判した言葉がそのままUターンして民主党に向かってくる。ここまで人気が落ちたら鳩山首相は退陣し、総選挙で国民に信を問えと、野党の一部には勇ましい意見もある。しかし現段階で解散総選挙の選択肢はない。

残るは現体制で目前に迫った参議院選挙を戦い、その結果如何で党内体制の見直しを行い、内閣改造で難局を乗り切ろうとするのではなかろうか。これがいちばんありそうな筋書きに見える。

民主党政権は先の総選挙で有権者に約束したことがたくさんある。そのどれ一つとってもまだ満足な結果は出ていない。それと党首と幹事長の政治とカネの問題が有権者の民主党離れを加速させ、鳩山首相の普天間を巡る迷走がとどめを刺した。

田舎芝居なら「大根役者ひっこめ」といいたいところだが、総選挙という国を挙げての一大イベントで有権者が選んだ党と党首が主役なのだから、もう少し様子をみる以外にないのではなかろうか。

*都合により明日と明後日の閑話は休刊します。

5月11日(火)仙台礼賛

2010-11-08 19:44:46 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
5月11日(火)仙台礼賛

また気温が低くなるそうだ。ところによっては霜が降りる心配もあるそうだから農家は気が抜けないだろう。夏を思わせる気温に半袖シャツを引っ張り出したのに、また長袖に逆戻りと面倒臭いばかりでなく体調管理が難しい。

上京した8日と9日は両日とも夏を思わせる高温だった。大都会の暑さは大気の気温ばかりではないようである。自動車のエンジンが発散する熱、電車のモーターから出る熱、コンクリートジャングルが反射する太陽熱、大勢の人間の人いきれなどが加わって、天気予報を上回る気温になっているのではなかろうか。

田舎者は人ごみに揉まれて頭がくらくらする気分だった。仕事の都合で住むのは致し方ないとして、できることなら東京、大阪、名古屋といった巨大都市には住みたくない。手前味噌ではないが、仙台ぐらいの規模の地方都市が住むにはちょうど手ごろのような気がする。

市街地中心部なら、その気になれば端から端まで歩いて行ける。市中心部から車でものの15分も走れば市街地を取り囲む緑豊な丘陵地帯に行き着き、30分くらいで太平洋の波打ち際に行くことも出来る。

国立劇場や常設の寄席、特徴ある美術館などはないけれども、一応の文化施設はあり、足りないところは新幹線で東京まで行けばいい。大都市に比べれば住居費が安いし、物価も比較的安い。おまけに旨くて安い食べ物が豊富にある。

転勤で住んだことがある勤め人が定年後に住みたいところの上位に揚げるのが仙台だという。仙台は何時までも緑豊で住みよい都市であって欲しいと願っている。


--------------------------------------------------------------------------------

5月12日(水)野生のフキ

菜園のホウレンソウもユキナもトウ立ちして食べられなくなった。全部引き抜いたあとに何を植えようか。その前に耕して施肥し、しばらく土を休ませなければならない。手っ取り早いのは二十日大根、長く収穫できるのはインゲンか。まあ、ゆっくり考えることにしよう。

野生のフキが食べられるようになった。これから7月半ばまで利用できる。何の手入れもしないのに毎年良く育つ。食べる部分は葉柄であるが、穴があるのと無いのが混在している。外見では区別しがたい。

熱湯に潜らせてから皮を剥く。野生のフキはアクが強いからしばらく水に浸して置いてから調理する。煮つけがシンプルで面倒がない。カレー味に仕立てても旨いと聞いたが試したことはない。フキはキク科の植物で日本原産の野菜である。朝鮮半島と中国にも分布しているそうだが、食用にしているかどうかは知らない。

子供のころはフキがきらいだった。独特の香りと苦味になじめなかったのである。苦味をうまいと感じるようになるのは大人になってからのようである。余所の国にフキに似た食感の野菜があるだろうか。フキと同じように葉柄を食べるルバーブが外見は似ているが、こちらはタデ科の植物で酸味がある。皮を剥いて食塩を振り生食したりジャムに加工する。

フキはやっぱり日本独特の野菜であるようだ。外国暮らしが長い人は梅干が恋しくなると言うが、フキも食べたくなるような気がする。


--------------------------------------------------------------------------------

5月13日(木)再び普天間問題

政府は沖縄・普天間飛行場の移設計画を5月中に決着させることを断念した。鳩山首相はまた前言を翻さざるを得なかった。急いで変な結論を出すよりはいいかもしれないが、また約束を破ったと思われても仕方がない。

沖縄に重くのしかかる米軍基地の負担を少しでも減らそうと言う現政権の姿勢は間違っていない。国民の大多数もそう思っているだろう。でも、そう思う人の大部分は総論賛成、各論反対なのだ。普天間の一部機能移設先として浮上した徳之島の反応をみれば明らかである。

言っては失礼だが砂糖キビ栽培以外にはこれといった産業もない離島にしてこうなのだから、本土の人口密集地なら基地反対の声はもっと大きくなる。沖縄県民の苦痛は忘れて反対を叫ぶに違いない。

沖縄の負担を国内問題として処理するには限界がある。沖縄にある基地をどこにもって行こうとしても移転先は反対するに決まっている。アメリカが占領下の沖縄で土地を取り上げ有無を言わさず基地を作ったのとは事情が違う。

日本に復帰してもアメリカ占領当時とほとんど変らない重荷を背負わされている沖縄問題を基本的に解決に導くには、日本がアメリカと直談判して基地を少しでも減らす以外に道はないのだ。鳩山首相は政権の座についた後に、在沖縄米軍の抑止力の重要性に気づいたと寝ぼけた事を言って、普天間の基地機能をほとんどそのまま沖縄に残すと言うにいたっては、何をか言わんやである。

誰のための抑止力か考えてみるがいい。アメリカが真っ先に考えるのは自国の利益である。日本は多大の犠牲を払って基地を提供する見返りとして、アメリカの抑止力の傘の下に入れてもらっているに過ぎない。それも有事のときは日本は後回しになると思っていた方がいい。

基地を提供している日本はアメリカに対してもっと率直にものを言い、沖縄基地縮小の方向に持って行くことこそ沖縄県民のためになる。時間がかかり迂遠なようだが政府は方針を転換した方がいい。


--------------------------------------------------------------------------------

5月14日(金)手抜き菜園

家庭菜園用の各種苗が売られている。ナス、トマト、キュウリ、ピーマン、セロリ、パセリ、ネギ、トウモロコシ、枝豆などなど、狭い菜園はすぐ満杯になってしまうほど豊富な種類が出回っている。

今年のように天候が不順な年には、温度管理や施肥が行き届いた専門家が育てた苗を買ってきて移植した方が、素人は失敗しないで済む。また少量多品種を育てるなら、タネまきから始めるより経済的でもある。

しかし家庭菜園の本当の楽しみは、面倒でもタネから育てることだと思う。ちっぽけなタネが大地と水と太陽の力を借りて芽を出し育って行くさまは神秘に満ちている。ある程度大きくなった苗を求めてきたのでは植物にとってとても大事な赤ん坊時代を見ないでしまうようなものだ。

生まれたばかりの植物は人間の赤ん坊のように抵抗力が乏しい。遅霜にやられたり、チョウの幼虫に食い荒らされることもある。失敗を糧にして経験を積み、ひ弱な赤ん坊を丈夫に育てられるようになってこそ、素人農業の醍醐味を味わえるのだと思う。

いろいろな実験を試みるのも家庭菜園の楽しみだ。トウ立ちしたホウレンソウは先端に蕾をつけ開花の準備をしている。草丈は50cm近くなりまだ伸びそうだ。いったいどれだけ大きくなるものだろう。今年は放ったらかして験してみようと思っている。

ホウレンソウを伸び放題にする理由はもう一つある。ホウレンソウの畝の間で育って花を咲かせているサヤエンドウの髭蔓が、両側のホウレンソウにすがり付いて支柱代わりにしているからだ。支柱を立てる手間が省けるうえに、タデ科植物であるホウレンソウの花も見られる。手抜きも良いものだと思っている。


--------------------------------------------------------------------------------

5月15日(土)小鳥の贈り物

小鳥が運んできたタネから芽生えたのか、隣家との境に近いところに名も知らぬ木が生えている。10年ほどにはなるだろうか、今では樹高2mほどになった。その木に今年初めて花が咲いた。枝先や葉腋から出た円錐花序に白い小さな糸状の花がたくさんついている。

植物に詳しいお向かいの奥さんに聞いたらアオダモだという。モクセイ科トネリコの仲間で北海道から本州、四国、九州まで広い範囲の山地に自生する。今のところ邪魔にもらないが、図鑑で調べると樹高15mほどまで成長するというから、あまり大きくならないうちに切り倒した方が良さそうだ。

アオダモという名は枝を切って水につけると、水が青く変色するからだそうだ。材は器や家具などに使うほか、粘りが強いので野球のバットにも加工されるそうだ。散策したときに気づいたことはなかったけれども、親木はおそらく裏山に生えているのだろう。

庭にいろいろな木が生えてくる。中でも多いのがサンショウ、コナラ、アオキ、ヤツデなどだ。サンショウは幼木のうちから鋭い棘が生えているので草むしりの時は注意しなければならない。コナラは毎年落ちるドングリから芽生えるので見つけ次第引き抜いてもなくならない。アオキとヤツデは葉が大きく目立つので比較的対処しやすい。

たまにカクレミノ、ニシキギなど庭木として観賞用に植えられるものも生えてくる。近所にないものが生えてくるのは小鳥が運び屋をしているのだろう。頻繁に小鳥が訪れプレゼントをくれる庭は楽しい。


--------------------------------------------------------------------------------

5月16日(日)ミヤコワスレ

部屋に何がしかの花があると心が和む。立派な花である必要はない。わが家の居間に飾るのは庭から摘んできた季節の花である。今朝までは遅咲きのスイセンとムスカリ、ピンクのチューリップ一輪だった。チューリップが散りそうになったので取り替えることにした。

今を盛と咲いているのはピンクと黄色のサクラソウ、青紫のラショウモンカズラ、赤いヤマツツジ、橙色のレンゲツツジなどであるが、切花にはどれも適さないものばかりである。何か良いものはないかと探すと、咲き出したばかりのミヤコワスレが目についた。濃紫色とピンクの二種類ある。

山地に自生するミヤマヨメナのうち色鮮やかで大き目の花をつける一群をミヤコワスレと称しているが、人里はなれた山地にひっそりと咲く花なのでミヤコワスレと名づけたのだろうか。野生のキクの仲間だから切花にしても丈夫で長持ちする。

数本摘んできて一輪挿しに活けた。活け花の心得があるわけではないので、無造作に投げ入れただけである。格好はともあれ、改良が重ねられたチューリップやスイセンとは違った野生の趣がある。

ミヤコワスレの次に咲くのは何だろう。間もなくフジが開花するが、これは室内に飾るわけには行かない。となると次の候補はヒメシャガかダッチアイリスだろうか。いずれもアヤメ科の植物で切花に適している。そうこうしているうちに梅雨入りしアジサイが咲き誇る。年中花を絶やさないようにしたいが、これがなかなか難しい。


--------------------------------------------------------------------------------

5月17日(月)あの世からの便り

「あの世からの便り」なるものに生まれて初めてお目にかかった。去る3月14日に他界した友人O君の便りである。彼は質の高いブログを書いていた。亡くなってから2ヶ月が過ぎ、ブログはまだ残っているかと気になって昨日覗いてみたら「祝解脱? 彼の岸より」と題する文章が載っているのに気がついた。

死んだ人が執筆できるはずはない。用意周到な彼のことだから、死期を悟ったときに予め用意していたのかと思って読み始めた。過去のこと、病状などのくだりは抵抗なく読めたが、後半は本人が書いたものでないことは明らかである。

後半は東京から駆けつけた娘さんが、看病疲れの奥さんを気遣って家に帰ってもらったその夜に、娘さんに見守られて息を引き取るまでの経緯が認められている。この部分は本人に書けるわけがないから、生前に「最後のことは加筆してくれ」と依頼していたのかもしれない。しかし全体を通じて本人が書いたものと錯覚させる洒脱な文章である。

「まあ、好きなお酒をチビチビやりながら、皆さんの到着をお待ちするとしますか(酔)。それではお元気で、この世の生活を悔いのないようお過ごしください。」で終わるあの世からの便りは心に残る最後のブログになった。

「O君、こちらも遠からず行くからね。飲み過ぎて体調を崩さないように気をつけて」。あっ、そうか、死んだ人間が二日酔いになることなんぞ、もうあり得ないのだ。

*都合により明日の閑話は休みます。


--------------------------------------------------------------------------------

5月19日(水)エビネ

数年前に植えたエビネが今花盛りである。日陰で湿り気が多い場所が気に入ったのか、年々株を増やしている。一時流行ったエビネブームでも見向きもされなかったようなありふれた品種であるが、ほの暗い場所に純白の花が浮き立って見える。

エビネはむかしから山野に自生していたもので、手に入り易かったので活け花の材料に使われることが多かったようである。江戸時代の花道書にはエビネを花材として取り上げたものが多いそうだ。

今では花材としてよりは鉢植えで鑑賞するのが普通になった。日本のエビネは基本的には19種であるが、交雑で生まれた変種も多く登録品種名は数百種の及ぶと言う。その珍種を集めて楽しむ愛好家が「えびね協会」と言う親睦団体まで作っているそうだ。

わが家のエビネはご近所から頂戴して植えたものであるが、植えた覚えがないのに勝手に生えてきて今年花を咲かせたものがある。それはオダマキである。

花名は花の形が紡ぎ糸を巻き取る糸巻きである苧環(おだまき)に似ているからだという。花色は様々あるようだがわが家のは濃い紫だけである。どうせ生えるなら白やピンクなども取り揃えてほしいものである。

同様に数年前勝手に生えてきたオトメユリは今年は4個の花が咲きそうだ。日本のユリの中ではいちばん開花が早い品種で、薄ピンクの花がヒメサユリの別名があるほど可憐である。タネを採取してもっと増やそうとしているがなかなか実を結ばず、一度だけ結実したタネをまいたが発芽しなかった。今年は人工授粉を試みようと思っている。


--------------------------------------------------------------------------------

5月20日(木)山菜の楽しみ

山菜の最盛期である。市場には各地から集められた山菜が並んでいる。山菜の王様と言われるタラの芽や芽だしが早いコゴミはもう終わりかけているが、ワラビ、ミズ(ウワバミソウ)、アイコ(ミヤマイラクサ)、シドケ(モミジガサ)、ウルイ(オオバギボウシ)、ウド、野生のフキなどはまだ当分出回る。

山菜の魅力は人工栽培で季節外れのものもあるが、大概は季節限定の天然ものであることことと、普通の野菜にはない独特の香りや食感を楽しめることだ。出盛の今いろいろな山菜の味を堪能したいと思っている。

山菜には地域差ががある。環境の違いで採取が容易なものとそうでないものがあるからだろう。例えば日本海側で人気のシオデ(ショデコ、ヒデコ)は太平洋側にはあまりないようである。シオデはアスパラガスのような歯触りで好きな山菜であるが仙台ではみかけない。

また地域によって好みも違うような気がする。太平洋側で盛んに食べられるイヌドウナ(ボンナ、クワダイ)は日本海側では似たようで若干違うヨブスマソウ(ホンナ、ホナコ)の方が人気がある。

わが家の庭には移植した山菜の何種類かが育っている。アイコ、シドケ、ミズ、ワラビ、ユリワサビ、フキなどであるが、庭先にあると少々固くなっても先端の柔らかいところを料理の彩りに使えるので重宝している。

今年も山菜採りに山に入った人が熊に襲われて怪我をしたニュースが伝えられている。幸い命を失った人はいないが山菜採りに夢中になって道に迷う人もいる。山菜採りは楽しいが単独では入山しないようにしたいものである。

5月1日(土)芽吹きの季節

2010-11-08 19:34:01 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
5月1日(土)芽吹きの季節

風薫る5月である。「風薫る」は初夏の爽やかな風が吹くことで、俳句の世界では夏の季語である。実際この頃に吹く風は若葉の匂いを運んでくることがある。山菜取りに山に入ったときなど、薫風に包まれて何とも心地よい思いをすることがある。

わが家の庭の落葉樹も芽出しの時期を迎えた。アカシデ、コナラ、サンショウなどが枝先に小さな若葉をつけ日に日に大きくなって行くのが分かる。コナラの若葉は展開し始めると一時期銀緑色に輝く。葉を覆っている白い毛が太陽光を乱反射してそう見えるのだろう。葉が開ききると毛が落ちて輝きを失い濃い緑になる。

サンショウの若葉はもう少しで摘めるようになる。香り高い若葉は日本料理に良く合う。タケノコと新ワカメ、サンショウの芽の取り合わせは絶妙だ。栽培技術の進歩でサンショウの若芽は年中手に入るようになったが、以前は春の一定期間だけ楽しめる季節限定のスパイスだった。

粉山椒、実の佃煮など保存が出来る形で季節の壁を乗り越えようとした先人の努力は大したものだが、新芽を使う前に両手の掌で叩いたときに嗅ぐ独特の香りには遠く及ばない。山椒の香味成分はジペンテン1-シトラールという物質、辛味成分はサンショウオールである。


--------------------------------------------------------------------------------

5月2日(日)若鶏腿肉のロースト

今年のGWは天候に恵まれている。5日までは全国的に晴れるところが多いようだ。自動車道は故郷や行楽地に向かう車で混雑している。道路が混むのが分かっているのに一斉に自動車で移動することもなかろうと思うのだが、子どもの学校も休みのときでないと家族旅行はできないし、新幹線や飛行機を利用すると高くつくから致し方ないのだろう。

車を持たず、どこへ行く予定もない小生は、暖かい春の日差しを浴びて庭仕事をしたり、昼寝を楽しんだりしている。今朝は菜園のホウレンソウと菜の花を茹でてお浸しをつくり、お向かいからいただいた野生のフキを煮て朝食のおかずにした。家内が孫の顔を見に上京したので、目下のところ独り暮らしである。

元々料理も食べるのも好きだから食事の用意は苦にならない。今朝は野菜ばかりでは栄養が偏ると思って、刻みメカブを入れた納豆でたんぱく質を補給することにした。先日観たNHKテレビの「試してがってん」で日本人のお年寄りは、たんぱく質不足による栄養失調が多いと知ったからである。

老人になると牛肉や豚肉よりも魚に嗜好が移る人が多いようだ。脂ぎって噛みにくい獣肉より魚の方が淡白で柔らかく食べやすいからだろう。ところが魚でたんぱく質の必要量を摂取しようとすると、1日に普通の切り身3切れを食べなければならないそうだ。獣肉に比べて水分が多いからだろう。

幸いなことに小生は獣肉、鶏肉、魚肉なんでも好きな上に大豆製品も好物だから「たんぱく質が足りないよ」の心配はない。このごろはまっているのがフライパンで出来る若鶏腿肉のローストである。余分な皮下脂肪を除き塩コショウして味を馴染ませた腿肉を熱したフライパンに皮を下にして入れる。脂が出てジュウジュウ言い出したら弱火にしてアルミホイルを被せ、その上に重しを載せtる。

皮がぴったりフライパンに接するようにするためだから重石は水を入れた鍋でいい。皮がこんがりキツネ色になり、肉の大部分が白っぽくなって火が通った頃合に天地をひっくり返しで焼き上げる。水は全く使わないから皮がパリパリ、肉はジューシー。適度に切って付け合せの野菜と盛り合わせれば立派なメインディッシュになる。


--------------------------------------------------------------------------------

5月3日(月)平和憲法

今日は憲法記念日である。普段は憲法があることすら忘れて暮らしているが、戦後の日本が平和で繁栄できたのは平和憲法と称される現行憲法に負うところが大きい。現行憲法は基本的人権、国民主権、一切の戦力と戦争放棄を謳い、徹底した平和主義、三権分立を根本特質とした世界に冠たる憲法だと思う。

自由にものが言えなかった戦前を知らない大多数の国民は、現行憲法のありがたさを本当に分かっているのだろうか。1945年日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏した。ポツダム宣言には、軍隊の解体、民主主義の復活、主権在民、言論の自由など、現行憲法の土台となる考えが明記されていた。

天皇の地位の扱いなど紆余曲折はあったが、現行憲法はその考えに基づいてアメリカ主導で制定された。徹底した平和主義、戦力の放棄はその後朝鮮動乱、ベトナム戦争などアジア情勢の大きな変化で試練を受けることになる。

アメリカは朝鮮動乱もベトナム戦争も日本を基地として戦った。もしも日本に軍隊があれば当然利用しただろう。でも平和憲法があったお陰で日本は戦争に直接巻き込まれることがなかった。それどころか日本は戦争特需で潤い、戦後の復興が進むことになる。

アメリカはおそらく日本に平和憲法を押し付けたことを悔やんだだろう。1950年6月、朝鮮動乱が勃発して日本占領のアメリカ軍が手薄になり、アメリカは日本国内の治安維持のためと称して日本政府に軽武装の警察予備隊創設を認めた。これが今の自衛隊の前身になる。平和憲法の手前大ぴらに軍隊を作るわけには行かなかったので警察予備隊なんて訳の分からないものを作ったわけだ。

そうして日本はアメリカ公認でヤミの武装を始め、なし崩しに戦力なき軍隊は大きくなって行くが、今までのところ平和憲法の根幹を揺るがすまでには至っていない。タカ派の暴走を抑える意味でも現行憲法は機能していると思う。

今日も絶好の行楽日和。GWで浮かれ騒ぐことが出来るのも、みんな平和憲法のお陰だと感謝して過ごそうではないか。


--------------------------------------------------------------------------------

5月4日(火)みどりの日

一日と言えないほど草木の緑が濃くなる。今日は「みどりの日」だ。この休日は確か4月29日の昭和天皇誕生日が変身したものだったが、29日が「昭和の日」に衣替えした関係で5月4日に追いやられたのだったと思う。経緯はどうあれ連休が増えることはいいことだ。

今朝畑の片隅にアスパラガスが5本出ているのを見つけた。大ききものは25cmほどに伸びているから数日前に出てきたのだろうが気づかなかった。傍らのギョウジャニンニクが幅広い葉の間から蕾をもたげてきた。薄ピンクの葱坊主のような花を咲かせる。

カリンの蕾も膨らんできた。これもピンクの可憐な花である。今年は花数が多いようだ。去年実成りが少なく一休みしたから今年は豊作になるかもしれない。白と紫のイカリソウも花盛りになった。

コンパクトに仕立てているフジも今年は蕾をたくさんつけた。今朝数えてみたら80数個ある。樹高が低いので花房が地面に届いてしまうが、下から見上げるように藤棚を作ったらどこまでも伸びるから盆栽風に切り詰めて楽しんでいる。

地べたを這い回り放っておくとはびこって始末に困るツルニチニチソウが鮮やかな藤紫色の花を開いている。繁殖力旺盛な点ではジャノヒゲといい勝負で、邪魔にならないところでは二者を競合させている。今のところどちらが優勢ともいえないが、花は前者、実はジャノヒゲが美しく平和共存できるならそれに越したことはない。

今日もいい天気のようだ。久しぶりに裏山の散策に行ってみようか。それとも少し遠いが水辺公園にしようかな。


--------------------------------------------------------------------------------

5月5日(水)見通しの甘さ

鳩山首相が就任後初めて沖縄を訪問し、仲井真知事と高嶺県議会議長らと会い普天間飛行場の一部機能を県内に移設させる方針を伝えた。首相は移設計画の全容をまとめて説明したわけではないが、徳之島も移設先として検討していることを認めた。

鳩山首相の一連の言動、行動をみていて思うのは、首相は誠実な人柄ではあるが政治家としては落第、失格であると言うことだ。沖縄の負担を軽減したいという姿勢は正しいと思う。しかし思ったことを実現可能性を良く検討しないうちに軽々しく話すのは良くない。

沖縄県民に普天間飛行場の県外あるいは国外移設の夢と希望を抱かせたのは首相自身だったのではないか。それが県外移設を求める9万人の大集会となって現れた。

昨日の沖縄訪問で、首相は「抑止力という観点から(国外移設は)難しいという思いになった」と言い「沖縄にも負担をお願いしなければならない」と述べた。多くの沖縄県民はその発言を「何を今さら」という感じで受け取ったのではないか。

日米安保条約で縛られている限り、全部県外・国外に簡単に移設できないことは政治家ならずとも知っていたはずである。首相が本当に県外移設が出来ると考えていたのであれば、夢見る人であり、見通しが大甘だったと言わざるを得ない。

地元沖縄で総スカンを食らい、一部機能移設先と名指しされた徳之島の反発を買い、首相の5月末決着の約束はお先真っ暗である。残された時間は少ない。さてこれからどうするのか。首相は何度でも沖縄に足を運び説得を試みるらしいが、それで納得してもらえると思っているとしたら、これも見通しが甘すぎる。誠意を見せれば納得してもらえるなんて、お人好しの坊ちゃん政治家が考えそうなことだ。誠実さはときに人を裏切ることになる。


--------------------------------------------------------------------------------

5月6日(木)臨時休刊


--------------------------------------------------------------------------------

5月7日(金)ギリシャの波紋

地球は狭い。ギリシャの経済危機がユーロ圏を揺さぶり円高が進み世界的な株安に波及した。地球上のどこかで起こったことがすぐ日本にも影響してくる。その意味で地球は狭くなったとつくずく思うのである。

経済のことはよくわからない。けれども円高は輸出を鈍らせ、株安はせっかく持ち直しかけている景気の足を引っ張りかねないことぐらいは想像できる。株安は企業年金にも暗い影を落としている。年金資産の運用益が予定を下回り、年金財政が破綻しかけているケースが多いと聞く。

企業年金はともかく、国の年金の方は大丈夫なのだろうか。高齢化が進んで年金を受け取る人はどんどん増えている。一方、その年金を支えている働く人が減少し、企業の体力も落ちているから、国が税金でてこ入れしない限りこちらも楽観は許されない。

若い人たちは自分たちが老人になったとき、果たして年金がもらえるのかどうか危ぶむ声が多く聞かれる。若い人に老後の心配をさせるのは由々しき問題だ。国は当てにならないから自分の力で老後の備えをする人もいるだろうが、それが可能なのは一部の恵まれた人だけで、大部分の人はろくな蓄えも出来ないうちに職を離れることになる。

せっかく世界一の長寿国になっても、老後の生活に不安が付きまとうようでは一流国とはいえない。年金改革の話はどうなっているのだろう。

*8日と9日の閑話は休みます。


--------------------------------------------------------------------------------

5月10日(月)多様な新緑

閑話を休んだ2日間上京していた。新幹線に乗ったのは何年ぶりだろう。車窓から眺めた新緑が眩しく目にしみた。萌え出た若葉がいちばん美しい季節である。先日利用したタクシーの運転手が緑が多い東北大学・川内キャンパス付近を走りながら、一年中でいちばん好きな季節だと言っていたが同感である。

新緑と一言に言っても仔細にみれば千差万別である。銀色に輝く緑、黄色に近い緑もあれば、赤味がかった緑もある。それぞれを的確に現す日本語があるはずであるが浅学にして多くを知らない。そしてその多様な緑が一刻も同じ色に止まることなく、やがて深緑に変って夏を迎える。

われわれは何の不思議もなく眺めているけれども、このような樹木の装いの変化は、四季がはっきりしている地域でしか体感できない貴重なものなのだろう。年中濃い緑が支配する熱帯や亜熱帯では、落葉樹が一斉に芽吹く季節の感動は味わえないように思えるのである。

樹木の緑ばかりではない。草の緑も変化に富んでいる。トリアシショウマの赤い芽だし、クサソテツの淡い緑、フキの葉の深緑など、どれ一つとして同じ緑はない。一括りにされた多様な緑が目に飛び込んでくると、それを文字でどう表現すればいいのか戸惑ってしまう。

画家や優れた文学者ならそれを表現する術を知っているのだろうが、小生はただ美しい、きれいだと思うだけなのは情けない。おいしいものを食べて「おいしーい!」としか表現できない人と同じだ。それは食べ物に対する一種の冒涜である。それと同じように新緑をみてただ美しいとしかいえないのは、感性の欠如であると同時に自然の色彩の多様さに対する冒涜であるような気がして、シュンとしている。

4月21日(水)空の危機管理

2010-11-08 19:32:37 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
4月21日(水)空の危機管理

アイスランドの噴火が収まりつつあるようだ。一時1万m以上の高空まで達した噴煙と火山灰が3千mぐらいになったと言う。それに伴って欧州と各国を結ぶ空の便も半数が再開された。しかしロンドンのヒースロー空港のように再開の目途が立たないところもある。

今回の混乱は、現代生活の重要な部分が航空便に依存していることを印象付けた。足止めを食った多くの旅行者はもちろんのこと、貨物便の欠航で大きな影響を受けた業種も多かった。生花の大市場であるオランダから花が来なくなって花屋さんが困った。生サーモンを目玉商品にしていた寿司屋さんが困惑し、チーズ専門店はイタリアのモッツァレラが来なくなると慌てた。

花や一部の食料は我慢すればいいが、医薬品の原料など欠航が長引いたら命にかかわる問題に発展しかねない物資も含まれていたようである。火山の噴火で航空便が麻痺することはめったに起こらないことであるが、今回の事件は危機管理のあり方に一石を投じたと言えよう。

食料も工業原料も海外からの輸入に頼っている日本は、大量輸送には船便を使っているけれども、鮮度が勝負の食料や軽い工業製品には航空便が欠かせない存在になっている。だから、それが使えない状態が長引いたときにどうするかが問われる。

残念ながらそうした観点からの分析や対策がニュースにはならなかった。これだけ航空網が発達し世界の隅々と結ばれているのだから、迅速な対応があって然るべきだったと思うのである。相手が自然現象だからやむを得ない事情もあろうが、少なくとも飛行の安全をもっと早く判断し、影響を最小限にとどめることはできたはずである。例えばジェットエンジンを搭載した無人機を飛ばして安全を確認するなどの方法は現在の技術で解決できる問題なのではなかろうか。


--------------------------------------------------------------------------------

4月22日(木)贅沢への慣れ

昨日のぽかぽか陽気が一転してまた寒くなった。4月も残り少なになったと言うのに、まだストーブのお世話になっている。週に一度灯油を補充しにやってくるタンクローリーがもう来なくなる時期だと思うが今日も給油して行った。去年12月ころから使い出した灯油代がいくらになったか知らないが、いつもの年よりは余計にかかったはずである。

リモコンのボタンを押せば屋外に設置してある機械にスイッチが入り、灯油バーナーで熱せられた液体が循環して室内機から温風が吹き出す便利なストーブのお陰で、厳冬期も寒い思いをしないで済んでいる。

老いたからだにはありがたいことであるが、100%輸入に頼っている原油がストップしたら灯油ストーブは何の役にも立たない。ストーブばかりではない自動車は走らなくなり物流が麻痺する。ハウス栽培の農産物も作れなくなる。

日本はお金さえ出せば原油を何時でも好きなだけ買えるという前提で社会も経済も運営されている。いったんこの前提が崩れたら、日本はめちゃめちゃになる。資源小国の日本はエネルギー源のみならず食料の半分以上、レアメタルの大部分など生活に直結した多くの資源を海外に依存している。

こう考えると、日本の現状は平和とお金持ちという恵まれた条件の上に成り立っている稀有な成功例に見えてくる。隙間風の通る寒い部屋に置かれたコタツ一つで暖をとっていた時代を経験しているだけに、今の快適な暮らしが空恐ろしくさえ思えるのである。そう思いながら今日も温風ストーブに火をつけている。ハングリー精神を忘れて久しい。暖衣飽食は人間を堕落させる。


--------------------------------------------------------------------------------

4月23日(金)安物発泡ワイン

久しぶりに輸入食料品を扱う店を覗いてみた。ときどき安売りするからだ。大きな移動式ワゴンに値引き商品が並べてある。キャップを覆っている金属箔が破れたスペイン産発泡ワイン、賞味期限が迫ったイタリア産ジュース各種、商品入れ替えのためと称するベルギー産のお菓子など、いずれも定価から50円~100円値引きされている。

訳あり商品でも安全性に問題があるわけではないだろう。甘い物好きの家内にはお菓子、自分のためには発泡ワインを求めた。いずれも嗜好品で、なければないで済ませられるるものだが、たまにはささやかな贅沢が許されるだろうと思った。

夕食のとき発泡ワインを開けることにした。長いこと瓶を立てて置いたせいかコルクの栓が乾いてビクとも動かない。濡れ布巾を被せて悪戦苦闘していると、突然バンと鋭い音がして栓が天井にぶち当たり、瓶から勢い良く泡が吹き出した。

布巾を被せていたからこぼれた量は少なかったので、細かい泡が立ち上る琥珀色の液体を楽しむことが出来た。少し繊細さに欠けるきらいはあったが、600円という値段を考えれば許せる味であった。

世界で最も有名な発泡ワインはフランス・シャンパーニュ地方の特定ワイナリーで作られるシャンパンである。その他の地域で製造されるものはフランス産でもシャンパンを名乗ることは許されずヴァン・ムスーと呼ばれている。スペイン産発泡ワインはフランス産に比べると少し荒々しい感じがする。しかし色・泡立ちともそれほど遜色はない。

家内は普通のワインより発泡ワインの方が酔いの回りが早いと言う。アルコール度数は同じだからそんなことはないと思うのだが、ひょっとしたら炭酸ガスが何らかの影響を与えているのだろうか。


--------------------------------------------------------------------------------

4月24日(土)仕分け第2弾

家計でも国家の財政でも無駄をなくした方がいい。昨日は仕分け第二弾が独立行政法人を対象に行われた。その結果9法人28事業のうち8事業を廃止することを決めた。現状維持は2事業だけ、残りは規模や予算縮減、見直しの判定だった。仕分けは26日~28日も行われることになっており、どんなものが無駄と判定されるか注目される。

ただし前政権が組んだ政府予算を対象に去年の秋行われた第1弾の仕分けと違って対象が限られているので、無駄を省いて財源を捻出するという観点からは大きな期待は持てない。でも一般人には見えにくい公的機関の財布の中身とその運用を公開の場で論議する意義は大きい。

昨日の仕分けには会場を訪れた人はもちろん、直接会場に足を運ばなくてもテレビ中継やネット生中継などを通じて多くの人が見守った。またツイッターの書き込みが多かったのも今回の特徴である。こうしたことを通じいて多くの国民が納めた税金の使い道に関心を持つのはいいことだ。

仕分けの仕事は情報公開の一つである。だから一回こっきりではなく継続して行うことが大事だ。仕切り人が改善を要望したことが実現されているかどうか、進捗状況がどうなのか、納税者には知る権利がある。そのためには決まったサイトにアクセスすればいつでも現状が見られる仕組みを作っておく必要があると思う。

話はそれるが政治とカネの問題も政治家でない仕分け人によってメスを入れてもらいたいものだ。どこから手を着ければいいのか、泥水のように濁っていて困った世界だと思う。


--------------------------------------------------------------------------------

4月15日(日)お花見

昨日近所に住む新聞社OBのお花見会をした。曇り空で風が少し冷たかったが、天気予報では日差しも望めそうだった。ときどき霧雨が落ちて来たが濡れるほどでもなかった。宴を始めて1時間ほどしたころ、遠くで雷が鳴り怪しい雲行きとなった。

用心のため傘を持ってきていたので少々の雨は気にもしなかったが、空が急に暗くなり一陣の風が吹いたと思うと、雨交じりの雹(ひょう)が降り出した。大きさは直径5mmから1cmほどで、芝生のクッションの上を面白いように飛び跳ねた。満開のサクラもこれから咲こうとしているサクラも、雹のつぶてに傷めつけられた。無情の降雹は5分ほどでピタリと止んだが、窪地に溜まった雹が時ならぬ冬景色を作った。

青いシートがびしょ濡れになった。これでは花見を続行することは出来ない。同じメンバーの花見はかれこれ30年ほど続いているが、途中で中止を余儀なくされたのは初めてである。天候のせいとは言いながら、どうも落ち着きが悪いので、弁当を作ってくれた小料理屋に戻って熱燗と刺身で飲みなおした。

昼酒の酔いは回りが早い。1人が居眠りを始めたので解散したが、さっきの雹はウソのようにカンカン照りの空が眩しかった。今日は朝から青空が広がっている。気温も上がるらしい。お花見は今日にすればよかったのだろうが、荒れ模様で中止の花見は長いこと印象に残り忘れえぬものとなるだろう。


--------------------------------------------------------------------------------

4月26日(月)沖縄県民大会

米軍普天間基地の県内移設に反対する沖縄県民大会が昨日開かれた。県知事はじめ各自治体の首長、一般住民など約9万人(主催者発表)が集る大集会となり「県内移設を断念し、国外・県外へ移設するよう強く求める」という決議を採択した。

政府が基地の一部機能移設先と考えて水面下の働きかけをしていた徳之島住民も先に移設反対を表明しており、政府はいっそう苦しい立場に追い込まれた。政府が言う5月決着とは一体何を指すのかはっきりしないが、住民の強い反対を押し切ってまで政府案を強行できるものだろうか。

沖縄には日本国内にある米軍基地の75%が集中している。沖縄は1972年5月15日に施政権が返還されるまでアメリカの占領下にあった特殊事情を考えても異常である。本来は沖縄が日本に返還されたときから日本政府は沖縄の米軍基地の整理縮小に取り組むべきだったと思うが、沖縄返還密約に見るとおり、日本政府はアメリカの顔色を窺うばかりで何の手も打たなかった。

ヘリコプターの大学構内への墜落と言う事態を契機に普天間基地移設が検討されたが、それも最初から県内移設しか検討されなかった。そうした政府の態度に対する沖縄県民の鬱積した不満が一気に噴出したのが今回の県民大会だったような気がする。

沖縄県民の負担を軽減するには日本全体の問題として考える必要があることだが、米軍基地はどこも受け入れたくない。そればかりか沖縄の問題はどこか遠い国の問題みたいに関心を持たない国民の方が多い。そればかりではない、アメリカも沖縄から基地を動かしたくないのだ。そこに日米安保条約に基づく基地問題が一筋縄ではいかない難しさがある。

でも安全保障の問題は世界情勢の変化に伴って大きく様変わりすることがある。その様変わりが沖縄の重要性にどのような影響を与えるか分からないけれども、日本政府はなるべく自国が有利になるように機を捕らえて基地縮小に取り組むべきだし、安保条約そのものの改定にも努力すべきだ。基本的にはその過程でしか沖縄県民の負担軽減は出来ないのではないか。


--------------------------------------------------------------------------------

4月27日(火)不起訴相当

東京第4検察審査会は、鳩山首相の資金管理団体を巡る偽装献金問題で、東京地検が先に首相を不起訴処分にしたことについて、不起訴相当とする決議をした。簡単に言え鳩山首相はこの件に関しては嫌疑不十分だから起訴はしないことが最終的に決まったと言うことだ。

これで東京地検特捜部の捜査は終わることになるが、12億円もの大金が動き、それがどのように使われたのかも首相は知らないなんてありうることだろうか。決議をした検察審査会も首相が何も知らなかったとする上申書には疑問があると異例の付言をしている。

そりゃあそうだろう。親に支給する子ども手当てなら子どもが知らなくても当然であるが、母親が毎月千五百万円ずつ長期にわたって子供に渡したのに、当の子どもが全く知らなかったとは常識では考えられない。

以前にもこの欄で指摘したとおり、仮に何も知らなかったとすれば、鳩山首相は自分に関わる大金なのに他人任せで全く関心を持たない異常な金銭感覚の持ち主と言うことになる。お金持ちの坊ちゃんとして何不自由なく育つと、そういうことになるのだろうか。二ヵ月に一度銀行口座に振り込まれる僅かな年金を心待ちにしている小生にはとても理解できないことである。

検察は首相本人の事情聴取もしなかった。だから首相の言い分は上申書に書かれた「知らぬ存ぜぬ」以外には何も残っていない。このまま幕引きとなったのでは観客は納まらない。千両役者なら舞台(国会)に出てちゃんと説明してもらいたい。それがなければ木戸銭を返せといいたくなる。


--------------------------------------------------------------------------------

4月28日(水)片や起訴相当

昨日は検察審査会が鳩山首相に対して不起訴相当の決議をしたことを書いたが、今日は別の検察審査会が小沢民主党幹事長を起訴すべしと議決したことについてである。民主党党首である鳩山首相と幹事長である小沢氏の扱いが正反対になった最大の理由は何か。

それは検察審査会が、土地購入を巡る収支報告書に虚偽の記載をし提出したことについて、担当者に任せていて自分は関与していないとする小沢氏の供述が「きわめて不合理、不自然で信用できない」と判断したからである。より具体的に言えば土地購入直後に小沢氏が銀行への融資申込書に署名・押印したのはなぜか。それは土地購入原資の出所を隠すための偽装工作で、すでに起訴されている元秘書との共謀が強く推認されるとしている。

東京地検特捜部はこの議決を受けて再捜査に乗り出すが、再び不起訴にしたり原則3ヶ月以内に処分を出さなかった場合は、審査会が再審査し起訴議決すれば強制起訴されることになる。おそらく事実関係は裁判で争そわれることになるだろう。

市民から選ばれた審査員11人全員が一致して起訴相当の議決をしたのは、小沢氏の言い分にそれだけ深い疑念を持っていて、「秘書に任せていた」といえば政治家の罪は問われなくて済むことに対する怒りがあったのだろう。

民主党は党の要である小沢幹事長が俎上にのぼることで、参議院選挙を控えいっそう苦しい立場に追い込まれた。民主党のお家事情はどうあれ有権者は真実を知りたいと思っている。暗部を白日の下に曝す勇気がなければ民主党の再生はないのではないか、


--------------------------------------------------------------------------------

4月29日(木)情けない「腹案」

鳩山首相が沖縄・普天間飛行場の移設案を固めた。鹿児島県・徳之島に既にある空港と沖縄県名護市辺野古に新たに建設する桟橋方式滑走路を併用する計画である。これがさも自信ありげに言っていた「腹案」なのか。正直言って聞いて呆れる。

沖縄県民の負担軽減を声高に言い、日米間で合意していた辺野古移設をそのまま実行することはあり得ないと再三言っていたのに、蓋をあけてみたら結局は従前の辺野古移設案に徳之島の飛行場をくっつけた案しか考え付かなかったとは情けない。

しかもこの「腹案」が実現する可能性はきわめて低い。辺野古も徳之島も住民の多くは移設反対で固まっている。それを政府の意思で強行しようとすれば大混乱になりかねない。またアメリカはヘリコプター部隊と地上部隊の分離配置に基本的に反対しているので、米軍の説得も難しい状況にある。

「腹案」は問題の根本的解決には程遠く、言ってみれば外国の基地と言う汚染を拡散させるだけではないのか。そのためにまた税金ががっぽり使われる。先に触れたように沖縄の負担を本当に軽くするためには、アメリカ軍の日本国内駐留を認めている日米安保条約を改定する必要がある。

日米同盟関係から言って安保条約そのものをなくすわけには行かないけれども、米軍施設の配置・規模などを定めている条項を改定することは可能である。沖縄県民の負担をすぐ軽くすることは出来ないにしても、政府が安保条約改定に真正面から取り組むことなしに基地問題の根本的解決はありえないのだ。

現行の日米安保条約を締結してから既に50年経っている。半世紀も経つのに条約そのものが一度も見直されなかったことの方が不思議である。放ったらかしておいた自民党、政権交替した民主党もアメリカに対して安保条約改定交渉を持ちかける勇気がないとすれば情けない話だ。

新しい世界情勢を踏まえたうえで新しい日米安保条約交渉を行い、その過程で沖縄の負担軽減を図るのが本筋だと思う。


--------------------------------------------------------------------------------

4月30日(金)庭は春爛漫

春が遅い仙台もようやく寒さから解放される気配である。これから来月5日までは好天が続き気温も平年並みか高めになるようだ。わが家の庭も春爛漫の装いになって来た。

今朝ワラビを見つけた。まだ先端が開いていないから出てきたばかりだろう。最初の1本を見つけた周りを探すと他にも出ていた。茹でてアク抜きし昼のおかずにしようと摘んできた。カンゾウの若芽も旨そうである。アイコ(ミヤマイラクサ)、ユリワサビも出てきた。ユリワサビは白い小さな花をつけ始めている。熱湯をかけ密閉容器に入れておくとぴりりと辛い酒の肴になる。ミズ(ウワバミソウ)やシドケ(モミジガサ)も芽生えてきた。

先日居酒屋でアマドコロのお浸しがでた。これも春を告げる山菜の一つである。わが家の庭には近縁のナルコユリが生えていて、これも食用になるが、味はアマドコロに及ばない。アマドコロの方がその名の通り甘味があって旨い。

オオイヌノフグリ、オドリコソウ、ラショウモンカズラ、イカリソウなど春を彩る草花が次々咲き出した。追いかけるようにサクラソウもピンクや黄色の花を開くだろう。エビネはまだ芽が出たばかりである。

菜園は菜の花の真っ盛りだ。できるだけ蕾のうちに摘んで食べているが、夫婦二人では消化しきれずに菜の花畑になるのである。去年の晩秋に種をまいて冬越しさせたサヤエンドウにも花が咲き出した。間もなく収穫できるのが楽しみである。

4月11日(日)ウナギ完全養殖

2010-11-08 19:30:21 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
4月11日(日)ウナギ完全養殖

数日前の新聞にウナギの完全養殖に水産総合研究センターが世界で始めて成功したと言う記事が載っていた。素人にはこのことがどれほどの意味を持つのか、とっさには分からなかった。これまでは天然の稚魚(シラスウナギ)を養殖するしかなかったものが、卵から稚魚、さらに成熟させた親から採卵して稚魚を育てることが出来るようになったのだという。

これはまさに画期的なことである。食いしん坊は、人工的にシラスウナギを生産できるようになれば養殖ウナギが今より安く食べられるようになるかもしれないと下司なことを考えたが、実は日本の河口付近にに回遊してくるシラスウナギの採取量が、50年前の20分の1程度まで落ち込んで危機的状態なのだそうだ。

そこでヨーロッパ産のシラスウナギも輸入して急場を凌いでいると聞いたことがある。まさか青い目のウナギになるわけでもあるまいが、できることならニホンウナギのかば焼きを食べたい。だから国産のシラスウナギを安定的に供給できるようになれば御の字である。

ただし今のところ生まれたばかりの幼生に最適な餌が分かっておらず、成魚まで成長させるのに天然の倍以上の年月を要するなど問題点も残っているそうだ。

そういえばウナギを久しく食べていない。食通で知られた池波正太郎さんが推奨する浅草・前川の天然ウナギなんて贅沢は言わないから、せめてちゃんとしたウナギ専門店で焼きたてのかば焼を食べたいものだ。かば焼きの前に白焼きと骨のカリカリで一杯やるのもいいな。スーパーでプラスティックのトレイに入れて売られている代物がウナギと名乗るのは遠慮してもらいたい。


--------------------------------------------------------------------------------

4月12日(月)花の愛で方

昨日の暖かさはどこへやら、今朝は冷たい雨が降り冬に逆戻りしたように寒い。近所のサクラの蕾が大分膨らんできたのに、この気温では開花がまた先送りになるだろう。去年は入院騒ぎでお花見に行けず、病院の庭にある1本のシダレザクラで我慢する以外になかった。

1年ぐらいお花見に行けなくでもどうと言うことはないけれども、あのときほど健康の大切さを痛感したことはない。間もなく退院できると分かっていてもそうだったのだから、長い入院生活を送っている人の心境はいかばかりかと思った。

外国には日本のお花見のような習慣はないようだ。でも四季折々の花を愛でる心に変りはない。7月スイスのアルプ(山麓の牧草地)は色とりどりの花で彩られる。黄色のキンバイ草、濃いブルーの春リンドウ、ピンクのサクラソウ、黄色花弁で芯が橙色のウサギグサ、それから忘れてはならないエーデルヴァイスなどなど。マッターホルンやアイガーなど名だたる山の雄姿を眺めながら、短い初夏に一斉に花開くアルプの花を愛でる旅は忘れられない魅力がある。

自然界を離れたところでも花は随所に見られる。ヨーロッパ各国の家々では窓辺を季節の花で飾る習慣がある。ゼラニウム、ベゴニア、マリーゴールド、サルビアなど季節によって異なるが、自分も楽しみ同時に道行く人も楽しませるあの習慣は日本にはない。

園芸が盛んなイギリスはきれいな庭造りに励む人が多い。庭仕事をしている人を見かけたら、「見せてもらってもいいですか」と声をかければ、見知らぬ人でも相好を崩して庭に招じ入れてくれる。そして自慢の花々の講釈を始めるのだ。

日本人も花を愛することでは引けを取らないと思うけれども、自ら楽しむことには長けていても他人に見せるディスプレーや花を媒介とした社交という点では遅れをとっているような気がする。


--------------------------------------------------------------------------------

4月13日(火)臨時休刊


--------------------------------------------------------------------------------

4月14日(水)モクレン・コブシ

昨日の暖かさに誘われて仙台でもサクラが開花した。去年より6日遅いという。やれやれ、やっと春が来たと思ったら、昨夜から強風とともに寒さがぶり返し、咲きそろうまで時間がかかりそうである。今年は各地とも開花してから気温の低い日が続いたところが多く花が長持ちしたそうだ。仙台の花の見ごろは来週になりそうである。

サクラに先駆けて今ちょうど見ごろなのはモクレンである。仙台市の幹線道路の中央分離帯に植えられているモクレンは二種類ある。赤紫の花が咲くシモクレンと純白のハクモクレンである。どちらも改良された園芸種で見事な花をつけている。18世紀にヨーロッパに紹介され向こうで改良された品種が多い。

春の里山でひときわ目立つのがコブシである。モクレンの仲間で落葉樹がまだ芽出ししないうちに咲くので人目を引く。大木は樹高20mにも達するそうだ。タムシバと混同されることが多いがコブシの花は基部が桜色か薄緑色なのに対してタムシバは純白なので区別がつく。

北国の人はサクラよりもコブシの花に春を実感すようである。里山に咲くコブシは農作業の目安にもなっていた。かつて山菜採りに通った里山にコブシの大木があった。枝先にびっしり花をつけたさまは壮観であった。大きなヤマザクラもあった。遠くから見ると赤っぽい若葉と一緒に咲く淡紅白色の花がボーッと霞んで見えた。コブシと同じ頃に咲いていたと記憶する。

嬉しいことに、わが家の後の山にもヤマザクラが数本ある。ソメイヨシノのような華やかさはないけれども、人手が加わらない素朴な風情が好きである。古くからサクラの名所と言われてきた吉野山や嵐山のサクラも本来はヤマザクラである。


--------------------------------------------------------------------------------

4月15日(木)野菜が高い

野菜類が高騰している。低温が災いしているのだと言う。育ちが悪く中には途中で腐ってしまうものもあり品薄だから値段が上がる。それはある程度やむを得ないと思うがキャベツ1個で400円もするのには驚いた。

値段が変らないのは、天候に左右されないモヤシや人工照明・液肥で栽培するサラダ菜、ジャガイモなど保存が利く根菜類ぐらいなものである。野菜の高騰は肉も魚も高いから野菜にシフトして節約している家計に少なからぬ打撃を与えている。

畑で作る野菜が高値なら、今の季節は野草を食べて凌ぐ手がある。その気になって探せば、食べられる野草はたくさんある。わが家の庭には30cmほどに伸びたフキノトウ、ハコベ、ユキノシタ、野生化したミツバなどが生えている。その他に冬越ししたホウレンソウ、トウ立ちしたユキナも当分食べられる。

大きくなったフキノトウはは花を毟り取って茎の部分だけをフキの葉柄のように煮付けると旨い。ハコベは若いところを選んで摘めばお浸しにして食べられる。ユキノシタはてんぷらがいい。近所の原っぱにはツクシやタンポポが生えている。これも立派な食材だ。

庭も無ければ近所に原っぱもない所に住んでいたらどうすればいいと問われるかも知れない。それなら乾燥野菜をお奨めする。技術の進歩で戻せば新鮮な野菜と同様に使えて値段も安定している。ポパイじゃないが野菜類の缶詰も上手に利用すれば高いものではない。

天候を変えるわけには行かないから、ここは工夫で乗り切るしかあるまい。天候が安定するまでもう少しの辛抱だ。


--------------------------------------------------------------------------------

4月16日(金)地震に対する貢献

地球上のあちらこちらで大規模な地震が起きている。一見動かないように見える大地だが、実は地球のマントルに浮かんだプレートに乗っかっていて絶えず動いている。そのプレート同士がぶつかり合う境目にひずみが溜まると、耐え切れなくなって岩盤が急激に動き地震が起きる。だからプレートが動きを止めない限り地震は地球上からなくならない訳だ。

それが最近のチリ沖地震、ハイチ地震、中国・青海地震などとなって現れたのである。科学の進歩で地震もある程度予知が出来るようになったけれども、どこで何年何月何日にどれぐらいの規模の地震が起きるというような正確な予知は出来ない。せいぜいある地域に何十年以内に何十%ぐらいの確率でマグニチュード○○程度の地震が起きるといった程度のものだ。

漠然とした予知でもないよりはましである。近い将来大規模な宮城県沖地震が想定されると聞けば、それなりの身を守る備えや非常食の用意、避難先などを考えておくことが出来る。しかし、今回のチリや中国の地震の場合は、何の予告もなしに地震が襲ったのではなかろうか。映像で地震後の町並みの様子を見る限り、公共建造物の耐震化もほとんど進んでいないように見受けられる。

世界的規模で地震の巣といわれる多発地帯の調査が進んでいる。先進国は自力で対策を立てることが出来るけれども、それができない国々に対しては、地震に対するノウハウを蓄積した日本の智恵を役立てることが可能なはずである。

スマトラ沖地震と大津波の後に日本の助言で周辺諸国の対策が進んだように、地域住民と一緒になって地震対策に貢献できる道は必ずあるような気がする。


--------------------------------------------------------------------------------

4月17日(土)雪と噴火

4月の降雪はそんなに珍しいことではない。しかし、広い範囲でしかも積もるほど降るのは稀なことだ。東京では41ぶりのタイ記録だという。この時期、冬タイヤから普通タイヤに履き替えたドライバーが多いだろう。事故を起こさないように慎重な運転が求められる。

この雪で高騰が続いている野菜の値段がさらに上がることはないだろうか。わが家の菜園もすっぽり雪に覆われてしまった。こうなると、ただで手に入る野菜でも摘みに出るのがためらわれる。農家はそんなことは言っていられないだろうが、収穫の能率が落ちるに違いない。寒波による農作物被害は後になってじわじわと影響が出てくる。

一方、日本から遠く離れたアイスランドの火山が爆発し、1万m以上の高空に吹き上げられた火山灰がヨーロッパ北部の空を覆った。そのため直接関係のない国も巻き込んで大規模な空路麻痺が起こっている。風で火山灰が流されてしまえば影響はなくなるが噴火はまだ続きそうだと言うし、灰も当分北欧上空にとどまることになれば影響は大きくなる。

火山灰の航空機に対する影響は、視界が悪くなることかと思ったら、それより怖いのはエンジントラブルだと言う。エンジンの高熱で溶けた火山灰がタービンで冷やされて再び個体に戻り排気口付近に付着する。そのため空気の流れが悪くなり推力が落ち最悪の場合エンジンが止まってしまう恐れがあるのだという。火山灰に突っ込んだ航空機が四つあるエンジンすべてが止まってしまい緊急着陸した例が過去に2件起きている。今回関係する空港がいち早く閉鎖措置をとったのはそうした危険を避けるためでもあったのだろう。

今のところ噴火の影響は航空機に限られているけれども、今後火山灰が高空に達する噴火が長引けば異常気象を起こす恐れもあり油断はならないという。


--------------------------------------------------------------------------------

4月18日(日)三神峰公園のサクラ

昨日に比べると気温が高くなり仙台でも16度ぐらいまで上がるそうだ。でも低温で開花が足踏みしたサクラはまだ見ごろを迎えていない。毎年近所に住む新聞社OBが集って花見をしているが、今年はまだ日程を決めかねている。幹事泣かせの気まぐれ天気だ。

今後の気温次第であるが、見ごろは今週半ばから週末にかけてだろうか。毎年行く三神峰公園にはソメイヨシノのほかに遅咲きのシダレザクラやヤエザクラもあるので花見が出来る期間が長い。敗戦まで陸軍幼年学校、戦後は旧制二高が一時その校舎に間借りしていた由緒ある場所であるが、校舎は取り払われて広い芝生が広がっている。いま花見に訪れる客の大部分は、そんな歴史を知らないだろう。

子どものころを振り返ってみると、三神峰は俗世間から隔絶された陸の孤島のようなところだった。唯一の交通機関は、仙台南部の長町と秋保を結ぶ「秋保電鉄」だけだった。元々秋保地区で産出する石材を運ぶために作られた軌道で、客を乗せる小さな電車が1日何往復か運行されるに過ぎなかった。

日曜ともなると、将来の陸軍士官の卵たちが娑婆の空気を吸いに電車で街に出て来る。子供心にその姿がとても凛々しく見えたのを覚えている。そのころからあったサクラも何本かは残っているのだろうが、大部分は戦後公園として整備するときに植えたものだろう。

かつて幼年学校に学んだ人たちが近年植えた若いサクラもある。陸軍幹部を夢見て仙台で青春時代を過ごした卒業生が植えたサクラを、戦争も旧軍隊も知らない花見客が愛でている。それでいいのだとは思うけれども、小生の年代の者にとっては歴史の移り変わりを抜きにしては眺められないサクラである。


--------------------------------------------------------------------------------

4月19日(月)夢のような話

相次ぐ巨大地震や噴火の頻発は太陽の活動と関係があると言う説がある。地球は太陽の子どもだから親の体調が子どもに影響を与えることはありうる。太陽の黒点の活動が鈍い時期には地球の内部エネルギーが解放されて、地震や噴火活動が活発になるのだそうだ。去年から今年にかけてがちょうどその時期に当たると言う。

事の真偽は分からないけれども、もしそうだとすれば人間は打つ手がない。黒点は太陽表面に現れる黒いしみのような現象である。そしてほぼ11年周期で活動が活発になることが分かっている。黒点の数が多いときは太陽の活動が活発な時期であり、反対に黒点の数が少ないときは地球に達する紫外線、Ⅹ腺、微粒子線も少ないという。

そのことと地球上の地震や噴火がどう結びついているのか素人には分からない。ただ宇宙は神秘に満ちていて人知はその一部を知ったに過ぎないから、不思議な相関関係があったとしてもおかしくはない。

夜空を見上げたとき見える無数の星の光だって、百数十億光年という想像を絶するような長い年月をかけて地球に到達したものもある。その光を発した星はもう存在しないかもしれない。人類はまだ地球の外へ一歩を踏み出したばかりである。宇宙全体からみれば地球から至近距離の月に到達したことはあるが、地球のすぐ外側の軌道を回っている火星にすら行ったことがない。

オバマ米大統領は2030年には火星にミッションを送ると宣言した。それまで生きている可能性は少ないけれども、あの赤い星に人間が立つ姿を見てみたいものである。火星人がいるとは思わないが、水の存在は確認されているから、何らかの生命体がいる可能性はある。夢のような話は想像するだけでも楽しい。


--------------------------------------------------------------------------------

4月20日(火)帽子の流行り廃り

今日は暖かくなりそうだ。お花見を何時にするか迷っていた幹事が24日の土曜日に決めたと連絡して来た。弁当は魚屋から小料理屋に転向した近所の店に用意してもらうことにした。金曜日までは雨模様だが24日は日が差すらしい。

花冷えは困るがお花見には風のない薄曇がちょうどいい。カンカン照りは眩しいし、髪の毛が薄くなった、というよりはほとんど無くなった頭への直射日光はきつ過ぎる。帽子を被れば良いじゃないかと言われそうだが、帽子を頭に載せたまま酒を飲む気はしない。

帽子で思い出したことがある。それは帽子着用の流行り廃りである。小生が子どものころは成年男子のほとんどが帽子を被っていた。秋から春まではソフト、初夏から初秋まではパナマかカンカン帽が主流であった。盛夏にはサファリ帽を愛用する人もいた。

それが戦時中はカーキ色の戦闘帽に駆逐され、戦後は物資不足もあって無帽が当たり前になった。大学生に角帽はお定まりのスタイルであったが、小生が大学に入った昭和25年には角帽着用の学生はほとんどいなかった。

戦後の混乱期が過ぎて生活が豊になっても、一部の洒落者を除いて大人の帽子はなかなか復活しなかった。ソフトもパナマのカンカン帽も影を潜めて、ベレー帽、ハンチング、チロルハットといったある種の職業や好みを反映する帽子が細々と命脈を保っていた。

それがここ数年、若者を中心にカジュアルな帽子が勢いを盛り返している。そして今回の帽子ブームに特徴的なことは、頭を飾るファッションの一部として定着しつつあることだ。帽子は屋外で被るものという常識はもう通用しない。

部屋に入っても帽子を脱ごうとしないし、目上の人を訪問するときも帽子を被ったまま。そのことに何の違和感も感じないらしい。帽子を被ったままレストランで食事している風景も当たり前になった。エレベーターの中では帽子を脱ぐと言う西欧の作法もクソ食らえとばかりに若い帽子族は闊歩している。

4月8日(木)閑話再開

2010-11-08 19:28:46 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
4月8日(木)閑話再開

今日から閑話を再開。2日に白内障が進んだ左目を手術、大事をとって休刊していた。6日に術後の経過を診察してもらったところ順調だと言うことなので一安心。次は13日に診察を受けることになっている。

さて、手術の結果どうなったか。元々右目が正常に見えていたのでたいして不自由はなかったけれども、断然違ったと感じたことが二つあった。一つは物がダブって見える現象がなくなったこと。二つ目は距離感が正常に戻ったことである。

日中はさほど気にならなかったが、夜になると交通信号や外灯ががダブって見えていたのは左目がおかしかったためだったのだ。レンズを交換した結果乱視もなくなったらしい。物がはっきり見えるようになったこと以上に嬉しいのは、距離感が戻ったことである。片方の目をつぶると誰でも距離感がつかめなくなるが、手術前は左目がほとんど見えない状態だった。

それが左目も見えるようになったので距離感が正常に戻った。手術前いちばん困ったのは階段など段差があるところを歩く場合。両眼が見えていれば瞬時に段差を感じ取って対処できるのだが、それが難しかったのである。

という訳で、背筋を伸ばし真っ直ぐ前を向いて歩けるようになった。これで少しはじじむささが軽減されるのではかかろうか。


--------------------------------------------------------------------------------

4月9日(金)ピンクの花

庭続きの東側斜面に今年もカタクリが咲き始めた。俯いてひっそり咲く花がつつましい。花を下から覗いてみた人は少ないと思うが基部にある濃紫色のW模様が美しい。この模様は花粉を運ぶ昆虫をひきつける役目をしていると考えられている。わが家のカタクリは全部で50株ほどであるが、めったに人が訪れない山中には足の踏み場もないほど群生しているところがある。

本物の片栗粉はこうした場所から掘り出した鱗茎から作る。今市販されているものはほとんどがジャガイモやトウモロコシでん粉から作った代用品である。鱗茎や葉は茹でて食べるとおいしい。でもタネが芽生えて花が咲くまで7~8年もかかり繁殖が遅い植物だから、2枚ある葉の1枚だけをいただいてくるのが礼儀だろう。

日本ではピンクのカタクリしか見たことがないけれども、北米には15種類もあるそうだ。カナディアン・ロッキー山麓をトレッキングしたとき、見渡す限り黄色のカタクリが咲いているのを見て仰天したことがある。

もう一つピンクの花を咲かせる野草にショウジョウバカマがある。山地の明るい湿地に多くみられる。わが家の庭にも3箇所に居ついている。山をならして造成した住宅地だから元々生えていたものの生き残りだろう。花期が長く、咲き終わるころには花茎が30cm近くまで伸び、その後も伸び続けてタネが熟すころ50cmほどになる。背伸びしてタネを遠くまで飛ばそうとしているのだろう。

今満開のウメの花も薄ピンクである。メジロが花の蜜を吸いに頻繁に訪れる。スズメも一緒のことがある。彼らも蜜を吸うのだろうか。メジロより嘴が太くて吸蜜には適さないと思うのだが。カリンの花もピンクであるが、まだ咲きそうにない。同じころ咲くと思っていたが記憶違いのようだ。


--------------------------------------------------------------------------------

4月10日(土)密約

沖縄返還を巡って日米間で交わされた密約があったのかどうか。東京地裁は昨日、密約の存在を認め、国に文書の開示を命じる判決を下した。杉原裁判長は「国民の知る権利をないがしろにする国の対応は不誠実だ」とも述べた。

この判決は国民の知る権利を重視した点で画期的なものといえる。外務省・国は一貫して密約がないと主張してきた。米国立公文書館で複数の密約文書が見つかり、その文書にサインしたのは自分だと、沖縄返還時の外務省アメリカ局長だった吉野文六氏が証言しても、「知らぬ存ぜぬ」と白を切ってきた。

それに対して昨日の判決は、外務省の密約はないと言う主張の立証が不十分であると断じ、仮に密約文書が破棄されていたとしたら「相当高位の立場の者が関与した」と組織ぐるみで処分した疑いがあると言及している。

常識的に考えてこの種の外交文書は当事国双方が保管するのが当たり前である。米国立公文書館で見つかったのと同じ文書が日本の外務省にもあったに違いない。それが現存しないとは奇怪な話である。無くなったら無くなったで、その経緯を明らかにしてもらいたい。沖縄返還に絡む重大な歴史資料が行方知れずになった裏に、国や外務省の作為が感じられる。

本来アメリカが負担すべき沖縄の現状回復補償費400万ドルを日本が肩代わりしたのはなぜなのか。国民に知られたくない理由があったからその密約が無かったことにし闇に葬ったのではないか。今後このような点が明らかになるかどうか分からないけれども、今回の判決が外務省の秘密主義、情報秘匿癖に風穴を開ける一歩になればと期待している。

3月21日(日)黄砂

2010-11-08 19:27:20 | ★③(は)お父さんの閑話365日(転載)
3月21日(日)黄砂

今日は彼岸の中日である。昨日までの穏やかな天気が一変して荒れ模様になった。強風で木々が大きく揺れている。この風に乗って中国大陸から黄砂が飛んできているそうだ。南に見えるはずの丘陵も東に光る太平洋も、ボーッとかすんで今日は見えない。天気予報では晴れマークがついていたのに、太陽の光は黄砂に阻まれているのか薄ぼんやりしている。

黄砂は中国北部の黄土地帯の細かい砂が強風で舞い上がり遠くまで運ばれる現象である。中国本土を横切り、東シナ海を越えて日本にも降り注ぐのだから、よほど細かい塵のような砂の微粒子なのだろう。今朝のテレビで観た北京の様子は、視界が悪く自動車はライトをつけ道行く人々はマスクをして濃い霧の中を歩いているようだった。

このような日には洗濯物を屋外で干せない。黄色の微粒子が付着してしまうからだ。駐車中の自動車も火山灰が降ったように黄砂におおわれる。黄砂の被害は大陸に近い西日本ほどひどいようである。

この厄介物の黄砂は本当に何の役にも立たないものなのだろうか。ナイル川が運ぶ土砂が河岸に肥沃な耕地を形成したように、何らかの恩恵があっても良さそうなものである。日本は中国の砂漠地帯緑化に力を貸している。多分黄砂が発生するのはこの地帯の地面がむき出しになっているせいだろう。それなら緑化すればいいと素人は単純に考えるけれども、何年経っても黄砂の被害がなくならないのは、水利とか何か難しい事情があるのだろう。

人間の数が年々増え続けている。だから現在使われていない砂漠地帯も将来は食糧基地に変えることも視野にに入れなければなるまい。地球規模の乾燥地帯を緑野に変えることができる時代が来るかもしれない。


--------------------------------------------------------------------------------

3月22日(月)紅梅

昨日の強風の中、庭の紅梅が開花した。蕾が開いたばかりだから花びらがしっかりしていて風に飛ばされることもなく、今朝は三分咲きになっている。このウメは転居して間もなく植えたもので、かれこれ40年近くなる。

大粒の実がなるウメであったが、剪定を行わず肥料もやらないから実がほとんどつかなくなった。それでも花だけは毎年きれいに咲いて楽しませてくれる。手入れをしてもウメは老木になると実つきが悪くなるものらしい。また開花時期が重なる別種のウメが近所にないと結実しにくいとも言われている。

ウメの原産地は中国で日本へは遣隋使か遣唐使が持ち帰ったらしい。7世紀から8世紀にかけて日本各地に広まったようだ。その証拠に、万葉集にはウメを詠んだものが118首収録されていて、サクラの50首よりも関心が高かったようである。

花は香り高く美しく実も利用できると三拍子揃ったウメであるが、不思議なことに栽培されるのは極東地域だけで、ヨーロッパなど西には伝わらなかった。同じ中国原産のモモやアンズが西にも伝播したのに、なぜウメは取り残されたのであろうか。実の酸味が強烈で敬遠されたのかもしれない。

日本人は古くからウメに馴染んできたにも拘わらず、ウメを題材にした俚諺・諺の類は意外に少ない。有名なのは「梅に鶯」ぐらいなものであるが、ウメに来るのはウグイスではなくてメジロである。実用的なところでは「梅は伐(き)れ桜は伐るな」がある。「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」とも言う。「梅を望んで渇きを止む」は酸っぱいウメを想像して喉の渇きを癒すことを言うが、現在ではほとんど使われていないようだ。


--------------------------------------------------------------------------------

3月23日(火)ギョウジャニンニク

春と冬の名残がせめぎ合い一進一退している。しかし次第に春が優勢になって桜便りも聞かれるようになった。この季節、いろいろなものが芽生える。クロッカスが花盛りになり、ヒヤシンスの蕾も大きくなってきた。

畑の片隅に淡い緑の新芽が出てきた。ギョウジャニンニクである。数年前6株買って植えたものが次第に増えて、今朝数えてみたら23本の芽が出ていた。若芽や根茎を刻んで醤油漬けにすると、ニラに似た匂いがする薬味になる。冷奴などに載せると旨い。しかし23本ではまだ数が少ないので、利用はもう1年待とうと思う。

生で利用するほか、お浸し、辛し和え、てんぷら、油炒め、卵とじなど利用範囲が広い。近年その使い勝手のよさに注目したのか、畑で栽培したものが市場に出回るようになった。しかし栽培ウドと同じように、畑で作ったものは飼い馴らされたように迫力に欠ける。あと1ヶ月ぐらで力強い天然ものが出てくるまで待とう。。

ギョウジャニンニクは主としてブナ林などの林床に自生するユリ科ネギ属の多年草で、日本では近畿地方以北、朝鮮半島、東部シベリアなど広い範囲に分布する。アイヌネギの別名があるようにアイヌの人々は滋養強壮剤として古くから親しんでいたようである。

毎年庭に出てくるコゴミ、アイコ、ワラビなどの山菜はまだ姿を見せない。ギョウジャニンニクは北方型の山菜だから春の目覚めが早いのだろう。


--------------------------------------------------------------------------------

3月24日(水)茎立ち菜

スーパーの野菜売り場にツボミナが並んでいる。コゴミやタラの芽もある。ツボミナは今が旬であるがコゴミやタラの芽は仙台付近の自然界ではまだ生えていない。人工栽培か暖かい地方で採れたものを並べているのだろう。

食材はなるべく地元で採れたものを選ぶようにしているが、地元産が輸送費が少なくて済む分だけ安いとは限らない。茹でたワラビ、ゼンマイ、タケノコなどは運賃をかけて輸入した中国産の方が地元産よりはるかに安い。こうなると地産地消も懐具合と相談しながらとなる。

野菜でいちばんカネがかからないのは家庭菜園で育てたものである。土を耕し肥料をやり乾燥すれば水やりするなどの手間はかかるけれども、収穫したものはただみたいな気がする。ただし作物は限られているから、同じ種類の野菜を何日も続けて食べざるを得ない。

今は冬を越した茎立ち菜が毎日のように食卓に上る。黄色い花がちらほらと咲き出したころが食べごろである。取ったらすぐに茹でられるように鍋をコンロにかけてから摘みに行く。ほとんど汚れていないけれども念のため水洗いして沸騰したお湯に潜らせる。お湯に塩を一つまみ入れておくと緑がいっそう鮮やかになる。

歯ごたえが残るように茹ですぎないことが肝心だ。余熱で柔らかくなりすぎることがあるから冷水で冷やした方がいい。手をかけて調理する必要はない。茹でたものを適当に切って出し醤油やマヨネーズなど好みの味付けでいただくと、ちょっと苦味がある春の味が口中に広がる。

ユキナもトウ立ちしそうな気配である。ホウレンソウもぐんぐん大きくなる。無駄なく胃袋に収めるには覚悟して取り掛からなければならない。

*明日は早朝から出かけるので閑話は臨時休刊します。


--------------------------------------------------------------------------------

3月26日(金)タマリンド

「初物」が一つ増えた。家内が知人にいただいたタマリンドなるものを初めて食べた。外見は脆くて褐色の皮に包まれたソラマメのようなものである。皮は簡単に割れる。中には暗赤紫色で長楕円形をした実が4~5個入っている。

実は乾燥アンズのような弾力があり、その中に真っ黒なタネが1個入っている。食べる部分は果肉の部分で仄かな甘みと酸味があって爽やかな感じがする。インドから東南アジアにかけての広い地域で栽培されているマメ科の植物で、樹高20m以上の巨木になるそうだ。

タマリンドは実がナツメヤシに似ているので「インドのナツメヤシ」の意味でつけられた名前だと言う。生で子どものおやつにするほか、ジャムやシャーベット、酒にも加工され、タネの粉末は小麦粉の代用に用いる。また花、葉、若いさやは野菜としても利用できるという。

いただいた実はタイ産と聞いた。家内の知人が豆のさやとタネを染色剤とする目的でお持ちのものを別けていただいたのであるが、実を食べた後のさやとタネはお返しすることになっている。味わいのある黄色い染め物になるそうだ。

樹高20mといったら8階建てのビルほどの高さである。そんな巨木に無数の豆がぶら下がっている様はさぞかし壮観であろうと想像する。世の中にはまだ知らない植物や食べ物がたくさんある。また初物に出会えば、その都度75日長生きするから、なかなか死ねないことになる。


--------------------------------------------------------------------------------

3月27日(土)菅家さん無罪

「足利事件」で17年半も服役させられた菅家利和さんが、昨日宇都宮地裁で開かれた再審で無罪判決を言い渡された。検察側も控訴しないと地裁に申し立てたので、菅家さんの無罪が確定した。「菅家さん、おめでとう」と言いたいところであるが、菅家さんが獄中で失った17年半の歳月を考えると、考え込んでしまう。失われた歳月は取り戻せないからだ。

また今回の再審でも冤罪がなぜ起きたかについての解明はなされなかったのは残念である。人生をめちゃめちゃにする冤罪、この恐るべき誤審が起こる原因にメスを入れない限り、冤罪の根を絶つことは難しいのではないか。

犯罪が起これば警察は犯人逮捕に全力を挙げる。それは当然であるが、犯人にたどり着くまでの過程と取調べに齟齬があるかもしれない。警察は常に原点へ立ち返っての検証が求められる。警察が捕まえた容疑者を起訴するかどうかを決める検察の取調べにも冤罪に繋がる問題がある。このことは菅家さんの証言と取調べの録音テープで明らかになった。

無実の人は誰もが潔白を分かってもらえると考える。けれども警察に捕まって動揺した人は、たとえ自分が犯罪を犯していなくても、警察の執拗な追及に耐えられなくなることがある。密室の取調室で長時間追求され、心身ともに疲れ切った頃合を見計らって「お前がやったんだろう」とどやされ、一転して猫なで声で「全部話してしまえば楽になるよ。刑だって軽くなる」とでも言われたら、ウソをいう容疑者が出てもおかしくない。

このような事態を避けるために取り調べの可視化は必要だし、逮捕された時点での弁護士との接見など権利の履行を妨げるようなことがあってはならない。取調べの全面可視化については警察・検察ともに消極関であるが、冤罪を防ぐための突破口はこれが最も効果的であると思う。


--------------------------------------------------------------------------------

3月28日(日)訳の分からないニュース

訳の分からないニュースが多い。およそ2年前に起きた中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、毒物を入れた容疑者が捕まったという。なぜ今ごろと思う。国内では国民新党の亀井氏がぶち上げた郵貯限度額を2千万円に引き上げるなどを骨子とした郵政再編構想。亀井氏は鳩山首相の了解を得て発表したと言い、鳩山首相は聞いていないと否定している。どちらかがウソを言っているに違いない。

まずギョーザ事件で変だと思うのは、中国側は初めから本気になって事件解明に努めたのかという疑問である。日本の警察は日本国内で毒物が混入されたとは考えられないと、その理由を中国側に伝えていた。にも拘わらず事件解明が遅々として進まなかったのはなぜか。

中国側は第一に中国産食品の安全についてイメージダウンを避けたかったのだろう。でも現実には中国産食品に対する不信感が一挙に高まり、冷凍ギョーザ以外の食品の輸出も激減した。加えて昨年6月には中国国内でも同じ会社が製造した冷凍ギョーザで中毒事件が発生し、日本で毒物が混入したと言う主張は覆った。

冷凍ギョーザ毒物事件は単に食品の問題ではなく日中関係にも影を落とす結果になり、中国当局も事の重大さに気づいて捜査に本腰を入れ今回の容疑者拘束にこぎつけたのではなかろうか。中国側はこれで日中関係改善ができると期待しているのだろうが、中国産食品に対する消費者の不安が拭えたわけではない。

亀井氏の発言の方はどうなるのだろう。首相は閣議決定していない内容だから改めて話し合うと言っている。しかし、外部に一度出てしまった問題を覆すのは容易ではない。亀井氏はそこを狙ってわざと首相の了解を得ずに発表したのかもしれない。連立政権を維持するには国民新党の協力が必要だ。結局は鳩山首相が折れて亀井氏の作戦勝ちとなる可能性が高い。

仮にそうなった場合起こるであろう民間金融機関圧迫の懸念など、諸々の問題は論議されないまま先送りされる恐れもある。もっと有権者に分かる政治をしてもらわないと、現政権はますます人気を失う。


--------------------------------------------------------------------------------

3月29日(月)中国経済の歪み

冷凍ギョーザに毒物を混入した容疑で拘束された中国人・呂月庭容疑者の両親は息子を案じながら河北省・石家荘の山間部で暮らしている。水道も電話もないレンガ造りの家で20アールほどの畑を耕して生計を立てているが、年収は2千元、日本円で2万7千円ほどだという。

この貧しい家で20歳過ぎまで暮らした呂容疑者は、就職先を探して故郷を後にする。たどり着いたのが毒物ギョーザ事件を起こした天洋食品だった。そこで10数年間働いたが正社員にはしてもらえず、臨時工員のままだった。

低賃金と長時間労働という過酷な労働条件に呂容疑者は次第に不満を募らせてゆく。結婚して夫婦共働きになった。その妻が妊娠し出産のために休暇をとったときに、会社はボーネスの支給を拒んだ。それが不満が爆発する引き金になり、会社への報復のために毒物混入に走ったと報じられている。

低賃金・長時間労働の実態がはっきりしないけれども、社会主義国と言いながら資本主義国顔負けの労働搾取が行われているのではないかと疑いたくなる。何年働いても正社員にしないのは、労働力を安く使う手段として日本でも行われていることであるが、中国の経済発展が労働者の犠牲の上に成り立っているという事実を否定するわけには行かない。

容疑者の両親の暮らしも中国経済の歪み・格差を反映したものに他ならない。中国政府は沿岸部の発展、内陸部の停滞と言う構図を改めようと動き出しているものの、いつその成果が出るか分からない。他国の政策に口出しするのではないが、歪みを放置するとまた同じようなことが起こるのではないかと危惧するのである。


--------------------------------------------------------------------------------

3月30日(火)冬野菜の終わり

もうすぐ4月だというのに今朝の仙台は氷点下まで冷え込んだ。咲き始めた庭のウメがなかなか満開にならず足踏みしている。気温が上がると一斉にトウ立ちする冬野菜も栄養を蓄えたまま成長が止まっている。

ホウレンソウは今がおいしさの末期だろう。寒さを乗り越えるために分厚くなった葉にたっぷり糖分を蓄えていておいしい。キャベツも冬物の方が葉は強(こわ)いけれども味がいい。ニンジンやゴボウのような根菜類も冬の方が旨いと思う。

先日、ジャガイモのタネイモを売っているのを見かけた。代表的な品種のダンシャクとメークインだ。タネイモが出回っているのは芽出しの季節を迎えているからである。と言うことはもうジャガイモの貯蔵は難しい季節になった。台所にあるものも芽が動いていた。完熟したリンゴと一緒に箱に入れておけば発芽が抑えられると聞いたが、それよりは使い切るだけ新しい物を買ってきた方がいい。

スーパーで「春掘りジャガイモ」が売られていた。今ごろ新ジャガイモが出るわけがないから、去年収穫したものを何らかの方法で土の中に貯蔵しておいて、今の時期に出荷したのだろうが、新ジャガイモのような肌をしていて旨そうに見え、普通のものより値段も高かった。

リンゴやジャガイモなどは貯蔵技術の発達で長い間新鮮に保つことができるようになったけれども、葉もの野菜をそのままの形で長期間保存するのは難しいようだ。冬野菜を夏に食べたいと思っても当分無理なのだろう。それよりは旬の野菜に目を向けた方が賢いと分かっているけれど、冬野菜に別れを告げるには未練が残る。


--------------------------------------------------------------------------------

3月31日(水)明日から当分休刊

明日入院して明後日左目の白内障を手術する。だいぶ以前から物がダブって見えるのが変だとは思っていた。乱視のせいだと思い込んでいたが、そればかりではなく左目の白内障が進んでいたのである。

手術は通院でもできるのだが、病院が遠いので2泊3日の入院を選んだ。その方が術後のケアも万全だと思ったからである。手術は安全・簡単だと言っても、目にメスを入れてレンズを交換するのだから、傷が癒えるまで細心の注意を払う必要がある。手術した目を擦ったり圧迫したりは禁物で、1ヵ月ぐらいはサングラスなどで保護しなければならないと言う。

それだけでも煩わしい話であるが、当分の間、土いじりなど庭仕事も避けるように言い渡された。土には細菌がうじゃうじゃいるから感染が心配なのだと言う。そんなこと言ったら外出もできないではないかと思ったが、余計なことは聞かないで置いた。

ともあれ手術が終われば左目も驚くほど良く見えるようになるらしい。数年前に白内障の手術をした家内は「こんなに皺があったかしら」と己が顔に驚いたほどである。物が良く見えることは喜ばしいことだ。ついでに物理的な視力ばかりでなく、世の中のできごとを良く観察し分析する眼力も良くなれば嬉しいのだが、これは眼科の先生の領域外のことである。

まあ、そういう次第で明日から当分「閑話」は休刊せざるを得ない。多分来週半ばには再開できると思うが、それまでごきげんよう。