歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪ピケティ『21世紀の資本』の目次とフランス語≫

2021-04-04 18:06:11 | フランス語
≪ピケティ『21世紀の資本』の目次とフランス語≫
(2021年4月4日)
 



【はじめに】


今回のブログでは、ピケティ氏の大著『21世紀の資本』の目次を、フランス語と日本語で紹介することである。

〇トマ・ピケティ(山形浩生・守岡桜・森本正史訳)『21世紀の資本』みすず書房、2014年
〇Thomas Piketty, Le capital au XXIe siècle, Éditions du Seuil, 2013.

 そして、ピケティ氏自身がその書の概要について、どのように記述しているのかを略述しておきたい。なお、重要な文章は、原文のフランス語でも付記しておく。
 なお、内容については、後日、詳しく紹介してみたいと考えている。
 また、バルザックの小説『ゴリオ爺さん』について、本書の中で言及していることは、つとに知られている。このテーマについても、後日詳しく論じてみたい。
(「第7章 格差と集中」の「ヴォートランのお説教」、「第11章 長期的に見た能力と相続」の「ラスティニャックのジレンマ」などは、バルザックの『ゴリオ爺さん』の登場人物である。経済学の本の目次に、フランスの小説の人名が登場すること自体、いかにもフランス人という印象を受ける)。

ところで、<著者略歴>によれば、ピケティ氏は、1971年、クリシー(フランス)に生まれる。パリ経済学校経済学部教授で、社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授である。
経済発展と所得分配の相互作用について、主要な歴史的、理論的研究を成し遂げた。特に、国民所得に占めるトップ層のシェアの長期的動向についての近年の研究を先導している。資本市場が完全になればなるほど、資本収益率rが経済成長率gを上回る可能性も高まるという。



【トマ・ピケティ(山形ほか訳)『21世紀の資本』みすず書房はこちらから】

21世紀の資本


【Thomas Piketty, Le capital au XXIe siècle, Seuilはこちらから】

Le Capital au XXIe siècle (Les Livres du nouveau monde) (French Edition)

さて、このピケティ氏の『21世紀の資本』は、You Tubeでも紹介されている。
例えば、日本記者クラブによるピケティ氏本人の会見についてである。
〇「トマ・ピケティ 仏経済学者『21世紀の資本』2015.1.31」(2.9万回視聴)
・「不平等是正を」と明快に持論を展開
・日本の政策課題は、「税制をもっと累進的にして富裕層により多くを負担させる一方、若者や低所得層には減税策をとること」などと主張した
・世界の主要国は、不平等がひどくなった時代のほうが経済成長率は高かったことを挙げ、再分配政策が繁栄の礎であると強調した

ピケティ『21世紀の資本』は、その他のYou Tubeにおいても、簡潔に紹介されている。
〇アバタロー「14分解説 21世紀の資本」(10万回視聴)
〇タコペッティ「トマ・ピケティの21世紀の資本を13分でわかりやすく解説する」(1.4万回視聴)
〇サラタメさん「11分で解説 21世紀の資本byトマ・ピケティ」(40万回視聴)
興味のある方はご覧いただきたい。

また、読書において、目次はその著作の全体像を把握するために、最も重要である。読書論を論じる際に、目次の重要性に着目する人は多い。
例えば、You Tubeにおいて、メンタリストのDaiGoさん(1986-、慶應義塾大学理工学部卒)、タレントの中田敦彦さん(1982-、慶應義塾大学経済学部卒)なども読書の際の目次に着目している。
〇DaiGo(You Tube登録者数235万人)「一度読んだら忘れない3つの読書術とは?」(81万回視聴)
 目次を見て、何が書いてあるかを予想するクイズを作って読むと、内容を忘れないと主張している。
〇中田敦彦(You Tube登録者数360万人)「中田敦彦のYou Tube大学 読書術①たくさんの本を速く読めるテクニック」(110万回視聴)
 目次は、「渾身の地図」であるから熟読すべきであると、読書術としての目次の重要性を力説している。



上記の記事なども考慮にいれて、ピケティ氏の『21世紀の資本』の目次を紹介してみたい。

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・ピケティの訳本の目次
・ピケティの原書(フランス語版)の章立て
・ピケティの原書(フランス語版)の目次
・ピケティによる本書の概要









訳本トマ・ピケティ(山形浩生・守岡桜・森本正史訳)『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)の目次は次のようになっている。

【目次】
謝辞
はじめに……1頁
 データなき論争
 マルサス、ヤング、フランス革命
 リカード――希少性の原理
 マルクス――無限蓄積の原理
 マルクスからクズネッツへ、または終末論からおとぎ話へ
 クズネッツ曲線――冷戦さなかのよい報せ
 分配の問題を経済分析の核心に戻す
 本書で使ったデータの出所
 本研究の主要な結果
 格差収斂の力、格差拡大の力
 格差拡大の根本的な力――r>g
 本研究の地理的、歴史的範囲
 理論的、概念的な枠組み
 本書の概要
 
第Ⅰ部 所得と資本
第1章 所得と産出……41頁
 長期的に見た資本-労働の分配――実は不安定
 国民所得の考え方
 資本って何だろう?
 資本と富 
 資本/所得比率
 資本主義の第一基本法則――α=r×β
 国民経済計算――進化する社会構築物
 生産の世界的な分布
 大陸ブロックから地域ブロックへ
 世界の格差――月150ユーロから月3000ユーロまで
 世界の所得分配は産出の分配よりもっと不平等
 収斂に有利なのはどんな力?

第2章 経済成長――幻想と現実……77頁
 超長期で見た経済成長
 累積成長の法則  
 人口増加の段階
 マイナスの人口増加?
 平等化要因としての人口増加 
 経済成長の段階
 購買力の10倍増とはどういうことだろう?
 経済成長――ライフスタイルの多様化
 成長の終わり? 
 年率1パーセントの経済成長は大規模な社会変革をもたらす
 戦後期の世代――大西洋をまたぐ運命の絡み合い
 世界成長の二つの釣り鐘曲線
 インフレの問題
 18、19世紀の通貨大安定
 古典文学に見るお金の意味
 20世紀における金銭的な目安の喪失
 
第Ⅱ部 資本/所得比率の動学
第3章 資本の変化……119頁
 富の性質――文学から現実へ
 イギリスとフランスにおける資本の変化
 外国資本の盛衰
 所得と富――どの程度の規模か
 公共財産、民間財産
 歴史的観点から見た公共財産
 イギリス――民間資本の強化と公的債務
 公的債務で得をするのは誰か
 リカードの等価定理の浮き沈み
 フランス――戦後の資本家なき資本主義

第4章 古いヨーロッパから新世界へ……147頁
 ドイツ――ライン型資本主義と社会的所有
 20世紀の資本が受けた打撃
 米国の資本――ヨーロッパより安定
 新世界と外国資本
 カナダ――王国による所有が長期化
 新世界と旧世界――奴隷制の重要性
 奴隷資本と人的資本

第5章 長期的に見た資本/所得比率……172頁
 資本主義の第二基本法則――β=s/g
 長期的法則
 1970年代以降の富裕国における資本の復活
 バブル以外のポイント――低成長、高貯蓄
 民間貯蓄の構成要素二つ
 耐久財と貴重品
 可処分所得の年数で見た民間資本
 財団などの資本保有者について
 富裕国における富の民営化
 資産価格の歴史的回復
 富裕国の国民資本と純外国資産
 21世紀の資本/所得比率はどうなるか?
 地価の謎

第6章 21世紀における資本と労働の分配……207頁
 資本/所得比率から資本と労働の分配へ
 フロー ――ストックよりさらに推計が困難
 純粋な資本収益という概念
 歴史的に見た資本収益率
 21世紀初期の資本収益率
 実体資産と名目資産
 資本は何に使われるか
 資本の限界生産性という概念
 過剰な資本は資本収益率を減らす
 コブ=ダグラス型生産関数を超えて――資本と労働の分配率の安定性という問題
 21世紀の資本と労働の代替――弾性値が1より大きい
 伝統的農業社会――弾性値が1より小さい
 人的資本はまぼろし?
 資本と労働の分配の中期的変化
 再びマルクスと利潤率の低下
 「二つのケンブリッジ」を越えて
 低成長レジームにおける資本の復権
 技術の気まぐれ
 
第Ⅲ部 格差の構造
第7章 格差と集中――予備的な見通し……247頁
 ヴォートランのお説教
 重要な問題――労働か遺産か?
 労働と資本の格差
 資本――常に労働よりも分配が不平等
 格差と集中の規模感
 下流、中流、上流階級
 階級闘争、あるいは百分位闘争?
 労働の格差――ほどほどの格差?
 資本の格差――極端な格差
 20世紀の大きなイノベーション――世襲型の中流階級
 総所得の格差――二つの世界
 総合指標の問題点
 公式発表を覆う慎みのベール
 「社会構成表」と政治算術に戻る
 
第8章 二つの世界……281頁
 単純な事例――20世紀フランスにおける格差の縮小
 格差の歴史――混沌とした政治的な歴史
 「不労所得生活者社会」から「経営者社会」へ
 トップ十分位の各種世界
 所得税申告の限界
 両大戦間の混沌
 一時的影響の衝突
 1980年代以降のフランスにおける格差の拡大
 もっと複雑な事例――米国における格差の変容
 1980年以降の米国の格差の爆発的拡大
 格差の拡大が金融危機を引き起こしたのか?
 超高額給与の台頭
 トップ百分位内の共存
 
第9章 労働所得の格差……316頁
 賃金格差――教育と技術の競争か?
 理論モデルの限界――制度の役割
 賃金体系と最低賃金
 米国での格差急増をどう説明するか?
 スーパー経営者の台頭――アングロ・サクソン的現象
 トップ千分位の世界
 ヨーロッパ――1900-1910年には新世界よりも不平等
 新興経済国の格差――米国よりも低い?
 限界生産性という幻想
 スーパー経営者の急上昇――格差拡大への強力な推進力
 
第10章 資本所有の格差……350頁
 極度に集中する富――ヨーロッパと米国
 フランス――民間財産の観測所
 世襲社会の変質
 ベル・エポック期のヨーロッパの資本格差
 世襲中流階級の出現
 米国における富の不平等
 富の分岐のメカニズム――歴史におけるrとg
 なぜ資本収益率が成長率よりも高いのか?
 時間選好の問題
 均衡分布は存在するのか?
 限嗣相続制と代襲相続制
 民法典とフランス革命の幻想
 パレートと格差安定という幻想
 富の格差が過去の水準に戻っていない理由は?
 いくつかの部分的説明――時間、税、成長
 21世紀――19世紀よりも不平等?

第11章 長期的に見た能力と相続……392頁
 長期的な相続フロー
 税務フローと経済フロー
 三つの力――相続の終焉という幻想
 長期的死亡率
 人口とともに高齢化する富――μ×m効果
 死者の富、生者の富
 50代と80代――ベル・エポック期における年齢と富
 戦争による富の若返り
 21世紀には相続フローはどのように展開するか?
 年間相続フローから相続財産ストックへ
 再びヴォートランのお説教へ
 ラスティニャックのジレンマ
 不労所得生活者と経営者の基本計算
 古典的世襲社会――バルザックとオースティンの世界
 極端な富の格差は貧困社会における文明の条件なのか?
 富裕社会における極端な能力主義
 プチ不労所得生活者の社会
 民主主義の敵、不労所得生活者
 相続財産の復活――ヨーロッパだけの現象か、グローバルな現象か?

第12章 21世紀における世界的な富の格差……446頁
 資本収益率の格差
 世界金持ちランキングの推移
 億万長者ランキングから「世界資産報告」まで
 資産ランキングに見る相続人たちと起業家たち
 富の道徳的階層
 大学基金の純粋な収益
 インフレが資本収益の格差にもたらす影響とは
 ソヴリン・ウェルス・ファンドの収益――資本と政治
 ソヴリン・ウェルス・ファンドは世界を所有するか
 中国は世界を所有するのか
 国際的格差拡大、オリガルヒ的格差拡大
 富裕国は本当は貧しいのか

第Ⅳ部 21世紀の資本規制
第13章 21世紀の社会国家……489頁
 2008年金融危機と国家の復活
 20世紀における社会国家の成長
 社会国家の形
 現代の所得再分配――権利の論理
 社会国家を解体するよりは現代化する
 教育制度は社会的モビリティを促進するだろうか?
 年金の将来――ペイゴー方式と低成長
 貧困国と新興国における社会国家
 
第14章 累進所得税再考……514頁
 累進課税の問題
 累進課税――限定的だが本質的な役割
 20世紀における累進税制――とらえどころのない混沌の産物
 フランス第三共和国における累進課税
 過剰な所得に対する没収的な課税――米国の発明
 重役給与の爆発――課税の役割
 最高限界税率の問題再考
 
第15章 世界的な資本税……539頁
 世界的な資本税――便利な空想
 民主的、金融的な透明性
 簡単な解決策――銀行情報の自動送信
 資本税の狙いとは?
 貢献の論理、インセンティブの論理
 ヨーロッパ富裕税の設計図
 歴史的に見た資本課税
 別の形態の規制――保護主義と資本統制
 中国での資本統制の謎
 石油レントの再分配
 移民による再分配
 
第16章 公的債務の問題……567頁
 公的債務削減――資本課税、インフレ、緊縮財政
 インフレは富を再分配するか?
 中央銀行は何をするか?
 お金の創造と国民資本
 キプロス危機――資本税と銀行規制が力をあわせるとき
 ユーロ――21世紀の国家なき通貨?
 欧州統合の問題
 21世紀における政府と資本蓄積
 法律と政治
 気候変動と公的資本
 経済的透明性と資本の民主的なコントロール

おわりに……601頁
 資本主義の中心的な矛盾―― r>g
 政治歴史経済学に向けて 
 最も恵まれない人々の利益
 
 凡例…… i
 図表一覧……95
 原注……17
 索引……Ⅰ







Thomas Piketty, Le capital au XXIe siècle, Éditions du Seuil, 2013.
フランス語の原著のSommaireは次のようになっている。

Sommaire
Remerciements……9
Introduction……15
Première partie. Revenu et capital……69
Chapitre 1. Revenu et production……71
Chapitre 2. La croissance : illusions et réalités……125

Deuxième partie. La dynamique du rapport capital/revenu……181
Chapitre 3. Les métamorphoses du capital……183
Chapitre 4. De la vieille Europe au Nouveau Monde……223
Chapitre 5. Le rapport capital/revenu dans le long terme……259
Chapitre 6. Le partage capital-travail au XXIe siècle……315

Troisième partie. La structure des inégalités……373
Chapitre 7. Inégalités et concentration : premiers repères……375
Chapitre 8. Les deux mondes……427
Chapitre 9. L’inégalité des revenus du travail……481
Chapitre 10. L’inégalité de la propriété du capital……535
Chapitre 11. Mérite et héritage dans le long terme……599
Chapitre 12. L’inégalité mondiale des patrimoines au XXIe siècle……685

Quatrième partie. Réguler le capital au XXIe siècle……749
Chapitre 13. Un État social pour le XXIe siècle……751
Chapitre 14. Repenser l’impôt progressif sur le revenu……793
Chapitre 15. Un impôt mondial sur le capital……835
Chapitre 16. La question de la dette publique……883

Conclusion……941
Table des matières……951
Liste des tableaux et graphiques……963







Thomas Piketty, Le capital au XXIe siècle, Éditions du Seuil, 2013.
フランス語の原著のTable des matières(pp.951-961, 目次)は次のようになっている。

Sommaire……7
Remerciements……9

Introduction……15


Un débat sans source ?
Malthus, Young et la Révolution française
Ricardo : le principe de rareté
Marx : le principe d’accumulation infinie
De Marx à Kuznets : de l’apocalypse au conte de fées
La courbe de Kuznets : une bonne nouvelle au temps de la guerre froide
Remettre la question de la répartition au cœur de l’analyse économique
Les sources utilisées dans ce livre
Les principaux résultats obtenus dans ce livre
Forces de convergence fondamentale : r > g
Le cadre géographique et historique
Le cadre théorique et conceptuel
Plan du livre

Première partie. Revenu et capital……69


Chapitre 1. Revenu et production……71


Le partage capital-travail dans le long terme : pas si stable
La notion de revenu national
Qu’est-ce-que le capital ?
Capital et patrimoine
Le rapport capital/revenu
La première loi fondamental du capitalisme : α=r×β
 La comptabilité nationale, une construction sociale en devenir
La répartition mondiale de la production
Des blocs continentaux aux blocs régionaux
L’inégalité mondiale : de 150 euros par mois à 3000 euros par mois
La répartition mondiale du revenu : plus inégale que la production
Quelles forces permettent la convergence entre pays ?

Chapitre 2. La croissance : illusions et réalités……125


La croissance sur très longue période
La loi de la croissance cumulée
Les étapes de la croissance démographique
Une croissance démographique négative ?
La croissance, source d’égalisation des destins
Les étapes de la croissance économique
Que signifie un pouvoir d’achat multiplié par dix ?
La croissance : une diversification des modes de vie
La fin de la croissance ?
Avec 1 % de croissance annuelle, une société se renouvelle profondément
La postérité des Trente Glorieuses : destins croisés transatlantiques
La double courbe en cloche de la croissance mondiale
La question de l’inflation
La grande stabilité monétaire des XVIIIe et XIXe siècles
Le sens de l’argent dans le roman classique
La fin des repères monétaires au Xxe siècle

Deuxième partie. La dynamique du rapport capital/revenu……181


Chapitre 3. Les métamorphoses du capital……183


La nature de la fortune : de la littérature à la réalité
Les métamorphoses du capital au Royaume-Uni et en France
Grandeur et chute des capitaux étrangers
Revenus et patrimoines : quelques ordres de grandeur
Richesse publique, richesse privée
La fortune publique dans l’histoire
Le Royaume-Uni : dette publique et renforcement du capital privé
À qui profite la dette publique ?
Les aléas de l’équivaleuce ricardienne
La France : un capitalisme sans capitalistes dans l’après-guerre

Chapitre 4. De la vieille Europe au Nouveau Monde……223


L’Allemagne : capitalisme rhénan et propriété sociale
Les chocs subi par le capital au Xxe siècle
Le capital en Amérique : plus stable qu’en Europe
Le Nouveau Monde et les capitaux étrangers
Le Canada : longtemps possédé par la Couronne
Nouveau Mode et Ancien Monde : le poids de l’esclavage
Capital négien et capital humain

Chapitre 5. Le rapport capital/revenu dans le long terme……259


La deuxième loi fondamentale du capitalisme : β=s/g
Une loi de long terme
Le retour du capital dans les pays riches depuis les années 1970
Au-delà des bulles : croissance faible, épargne forte
Les deux composantes de l’épargne privée
Biens durables et objets de valeur
Le capital privé exprimé en années de revenu disponible
La question des fondations et des autres détenteurs
La privatisation du patrimoine dans les pays riches
La remontée historique du prix des actifs
Capital national et actifs étrangers nets dans les pays riches
À quel niveau se situera le rapport capital /revenu mondial au XXIe siècle ?
Le mystère de la valeur des terres

Chapitre 6. Le partage capital-travail au XXIe siècle……315


Du rapport capital /revenu au partage capital-travail
Les flux : plus difficiles à estimer que les stocks
La notion de rendement pur du capital
Le rendement du capital dans l’histoire
Le rendement du capital au début du XXIe siècle
Actifs réels et actifs nominaux
À quoi sert le capital ?
La notion de productivité marginale du capital
Trop de capital tue le capital
Au-delà de Cobb-Douglas : la question de la stabilité du partage capital-travail
La substitution capital-travail au XXIe siècle : une élasticité supérieure à un
Les sociétés agricoles traditionelles : une élasticité inférieure à un
Le capital humain est-il une illusion ?
Les mouvements du partage capital-travail dans le moyen terme
Retour à Marx et à la baisse tendancielle du taux de profit
Au-delà des « deux Cambridge »
Le retour du capital en régime de croissance faible
Les caprices de la technologie

Troisième partie. La structure des inégalités……373


Chapitre 7. Inégalités et concentration : premiers repères……375


Le discours de Vautrin
La question centrale : travail au héritage ?
Inégalités face au travail, inégalités face au capital
Le capital : toujours plus inégalement réparti que le travail
Inégalités et concentration : quelques ordres de grandeur
Classes populaires, classes moyennes, classes supérieures
La lutte des classes, ou la lutte des centiles ?
Les inégalités face au travail : des inégalités apaisées ?
Les inégalités face au capital : des inégalités extrêmes
L’innovation majeure du Xxe siècle : la classe moyenne patrimoniale
L’inégalité totale des revenus : les deux mondes
Les problèmes posés par les indicateurs synthétiques
Le voile pudique des publications officielles
Retour aux « tables sociales » et à l’arithmétique politique

Chapitre 8. Les deux mondes……427


Un cas simple : la réduction des inégalités en France au Xxe siècle
L’histoire des inégalités : une histoire politique et chaotique
De la « société de rentiers » à la « société de cadres »
Les différents mondes du décile supérieur
Les limites des déclarations de revenus
Le chaos de l’entre-deux-guerres
Le choc des temporalités
La hausse des inégalités françaises depuis les années 1980-1990
Un cas plus complexe : la transformation ds inégalités aux États-Unis
L’explosion des inégalités américaines depuis les années 1970-1980
La hausse des inégalités a-t-elle causé la crise financière ?
La montée des super-salaires
La cohabitation du centile supérieur

Chapitre 9. L’inégalité des revenus du travail……481


L’inégalités des revenus du travail : une course entre éducation et technologie ?
Les limites du modèle théorique : le rôle des institutions
Grilles salariales et salaire minimum
Comment expliquer l’explosion des inégalités américaines ?
La montée des super-cadres : un phénomène anglo-saxon
Le monde du millime supérieur
L’Europe : plus inégalitaire que le Nouveau Monde en 1900-1910
Les inégalités dans les pays émergents : plus faibles qu’aux États-Unis
L’illusion de la productivité marginale
Le décrochage des super-cadres : une puissante force de divergence

Chapitre 10. L’inégalité de la propriété du capital……535


L’hyperconcentration patrimoniale : Europe et Amérique
La France : un observatoire des patrimoines
Les métamorphoses d’une société patrimoniale
L’inégalité du capital dans l’Europe de la Belle Époque
L’émergence de la classe moyenne patrimoniale
L’inégalité du capital en Amérique
La mécanique de la divergence patrimoniale : r versus g dans l’histoire
Pourquoi le rendement du capital est-il supérieur au taux de croissance ?
La question de la préférence pour le présent
Existe-t-il une répartition d’équilibre ?
Entails et substitutions héréditaires
Le Code civil et l’illusion de la Révolution française
Pareto et l’illusion de la stabilité des inégalités
Pourquoi l’inégalité patrimoniale du passé ne s’est-elle pas reconstituée ?
Les éléments d’explication : le temps, l’impôt et la croissance
Le XXIe siècle sera-t-il encore plus inégalitaire que le XIXe siècle ?

Chapitre 11. Mérite et héritage dans le long terme……599


L’évolution du flux successoral sur longue période
Flux fiscal et flux économique
Les trois forces : l’illusion de la fin de l’héritage
La mortalité sur longue période
La richesse vieillit avec la population : l’effet μ×m
Richesse des morts, richesse des vivants
Quinquagénaires et octogénaires : âge et fortune à la Belle Époque
Le rajeunissement des patrimoines par les guerres
Comment évaluera le flux successoral au XXIe siècle ?
Du flux successoral annuel au stock de patrimoine hérité
Retour au discours de Vautrin
Le dilemme de Rastignac
Arithmétique élémentaire des rentiers et des cadres
La société patrimoniale classique : le monde de Balzac et de Jane Austen
L’inégalité patrimoniale extrême, condition de la civilisation dans une société pauvre ?
L’extrémisme méritocratique dans les sociétés riches
La société des petits rentiers
Le rentier, ennemi de la démocratie
Le retour de l’héritage : un phénomène européen puis mondial ?

Chapitre 12. L’inégalité mondiale des patrimoines au XXIe siècle……685


L’inégalité des rendements du capital
L’évolution des classements mondiaux de fortunes
Des classements de milliardaires aux « rapports mondiaux sur la fortune »
Héritiers et entrepreneurs dans les classements de fortunes
La hiérarchie morale des fortunes
Le rendement pur des dotations universitaires
Capital et économies d’échelle
Quel est l’effet de l’inflation sur l’inégalité des rendements du capital ?
Le rendement des fonds souverains : capital et politique
Les fonds pétroliers vont-ils posséder le monde ?
La Chine va-t-elle posséder le monde ?
Divergence internationale, divergence oligarchique
Les pays riches sont-ils si pauvres ?

Quatrième partie. Réguler le capital au XXIe siècle……749


Chapitre 13. Un État social pour le XXIe siècle……751


La crise de 2008 et la question du retour de l’État
Le développement d’un État social au Xxe siècle
Les formes de l’État social
La redistribution moderne : une logique de droits
Moderniser l’État social, et non le démanteler
Les institutions éducatives permettent-elles la mobilité sociale ?
Méritocratie et obligarchie à l’université
L’avenir des retraites : répartition et croissance faible
La question de l’État social dans les pays pauvres et émergents

Chapitre 14. Repenser l’impôt progressif sur le revenu……793


La redistribution moderne : la question de la progressivité fiscale
L’impôt progressif : un rôle localisé mais essentiel
L’impôt progressif au XXe siècle : l’éphémère produit du chaos
La question de l’impôt progressif sous la IIIe République
L’impôt confiscatoire sur les revenus excessifs : une invention américaine
L’explosion des salaires des cadres dirigeants : le rôle de la fiscalité
Identités nationales et performance économique
Repenser la question du taux marginal supérieur

Chapitre 15. Un impôt mondial sur le capital……835


L’impôt modial sur le capital : une utopie utile
Un objectif de transparence démocratique et financière
Une solution simple : les transmissions automatiques d’informations bancaires
À quoi sert l’impôt sur la capital ?
Logique contributive, logique incitative
Ébauche d’un impôt européen sur la fortune
L’impôt sur le capital dans l’histoire
Les régulations de substitution : protectionnisme et contrôle des capitaux
Le mystère de la régulation chinoise du capital
La question de la redistribution de la rente pétrolière
La redistribution par l’immigration

Chapitre 16. La question de la dette publique……883


Réduire la dette publique : impôt sur le capital, inflation ou austérité
L’inflation permet-elle de redistribuer les richesses ?
Que font les banques centrales ?
Création monétaire et capital national
La crise chypriote : quand l’impôt sur le capital rejoint la régulation bancaire
L’euro : une inonnaie sans État pour le XXIe siècle ?
La question de l’unification européenne
Puissance publique et accumulation du capital au XXIe siècle
Juridisme et politique
Réchauffement climatique et capital public
Transparence économique et contrôle démocratique du capital

Conclusion……941


La contradiction centrale du capitalisme : r>g
 Pour une économie politique et historique
Le jeu des plus pauvres

Table des matières……951
Liste des tableaux et graphiques……963
Du même auteur……971-972




上記の目次を見て気づくことは、章や節のタイトルで名詞が多いのは普通であるが、節のタイトルが文の形をとっているものがかなりある。とりわけ、疑問文の形がそのまま節の見出しになっている場合が目立つのが特徴的である。
例を挙げてみよう。

【はじめに】
・分配の問題を経済分析の核心に戻す
Remettre la question de la répartition au cœur de l’analyse économique

【第1章】
・資本って何だろう?
Qu’est-ce-que le capital ?

・収斂に有利なのはどんな力?
Quelles forces permettent la convergence entre pays ?

【第2章】
・購買力の10倍増とはどういうことだろう?
Que signifie un pouvoir d’achat multiplié par dix ?

・年率1パーセントの経済成長は大規模な社会変革をもたらす
Avec 1 % de croissance annuelle, une société se renouvelle profondément

【第5章】
・21世紀の資本/所得比率はどうなるか?
À quel niveau se situera le rapport capital /revenu mondial au XXIe siècle ?

【第6章】
・資本は何に使われるか
À quoi sert le capital ?

・過剰な資本は資本収益率を減らす
Trop de capital tue le capital

・人的資本はまぼろし?
Le capital humain est-il une illusion ?

【第7章】
・「社会構成表」と政治算術に戻る
Retour aux « tables sociales » et à l’arithmétique politique

【第8章】
・格差の拡大が金融危機を引き起こしたのか?
La hausse des inégalités a-t-elle causé la crise financière ?

【第9章】
・米国での格差急増をどう説明するか?
Comment expliquer l’explosion des inégalités américaines ?

【第10章】
・なぜ資本収益率が成長率よりも高いのか?
Pourquoi le rendement du capital est-il supérieur au taux de croissance ?

・均衡分布は存在するのか?
Existe-t-il une répartition d’équilibre ?

・富の格差が過去の水準に戻っていない理由は?
Pourquoi l’inégalité patrimoniale du passé ne s’est-elle pas reconstituée ?

・21世紀――19世紀よりも不平等?
Le XXIe siècle sera-t-il encore plus inégalitaire que le XIXe siècle ?

【第11章】
・21世紀には相続フローはどのように展開するか?
Comment évaluera le flux successoral au XXIe siècle ?

【第12章】
・インフレが資本収益の格差にもたらす影響とは
Quel est l’effet de l’inflation sur l’inégalité des rendements du capital ?

・ソヴリン・ウェルス・ファンドは世界を所有するか
Les fonds pétroliers vont-ils posséder le monde ?

・中国は世界を所有するのか
La Chine va-t-elle posséder le monde ?

・富裕国は本当は貧しいのか
Les pays riches sont-ils si pauvres ?

【第13章】
・社会国家を解体するよりは現代化する
Moderniser l’État social, et non le démanteler

・教育制度は社会的モビリティを促進するだろうか?
Les institutions éducatives permettent-elles la mobilité sociale ?

【第15章】
・資本税の狙いとは?
À quoi sert l’impôt sur la capital ?

【第16章】
・インフレは富を再分配するか?
L’inflation permet-elle de redistribuer les richesses ?

・中央銀行は何をするか?
Que font les banques centrales ?


ピケティによる本書の概要


上記の目次からもわかるように、「本書の概要」(Plan du livre)において、ピケティ氏自身、『21世紀の資本』の概要を記している。ここで紹介しておきたい。

本書は全16章で、それが4部に分かれる。

第Ⅰ部 「所得と資本」 は2章構成である


 そこでは、基本的な概念を紹介している
【第1章】
・国民所得、資本、資本/所得比率の概念を紹介している
En particulier, le chapitre 1 présente les concepts
de revenu national, de capital et de rapport capital /revenu,

・世界の所得分布と産出がどう推移してきたかを大ざっぱに描き出す
puis décrit les grandes lignes d’évolution de la répartition
mondiale du revenu et de la production.

【第2章】
・もっと詳細な分析
Le chapitre 2 analyse ensuite plus précisement

・人口増加率と産出の成長率が産業革命以来どう推移したかを示す
l’évolution des taux de croissance de la population et
de la production depuis la révolution industrielle.

※この第Ⅰ部には、目新しいことは何も書いていないと著者自身断っている。 だから、こうした概念や18世紀以来の世界経済の成長史を知っているなら、ここは飛ばして、第Ⅱ部に移ってよいという。

第Ⅱ部 「資本/所得比率の動学」は4章構成である


第Ⅱ部では、資本/所得比率の長期的な推移の見通しと、21世紀に国民所得が労働と資本の間でどう分配されるかを世界全体で検討している。
L’objectif de cette partie est d’analyser la façon dont se présente en ce
début de XXIe siècle la question de l’évolution à long terme du
rapport capital /revenu et du partage global du revenu national
entre revenus du travail et revenu du capital.

【第3章】
・18世紀以来の資本の変容を見る
・長期的なデータが最も揃っているイギリスとフランスの例から始めている

【第4章】
・ドイツと米国を検討する

【第5章】【第6章】
・分析の地理的な範囲を情報源の許すかぎりの全世界に広げる
Les chapitres 5 et 6 étendent géographiquement ces analyses
à la planète entière, autant que les sources le permettent,

・こうした歴史体験から教訓を引き出すことで、今後数十年にわたる資本/所得比率の動向、および資本と労働の構成比率を予想できるようになる
et surtout tentent de tirer les leçons de ces expériences histo-
riques pour analyser l’évolution possible du rapport capita /
revenu et du partage capital-travail dans les décennies à venir.


第Ⅲ部 「格差の構造」は全6章から成る


【第7章】
・労働からの所得の分配による格差がどのくらいで、資本所有の格差と資本所得による格差がどのくらいなのかという規模感を説く
Le chapitre 7 commence par familiariser le lecteur
avec les ordres de grandeur atteints en pratique
par l’inégalité de la répartition des revenus du travail
d’une part, et de la propriété du capital et des revenus qui en
sont issus d’autre part.


【第8章】
・こうした格差の歴史的な力学を分析する
・まずはフランスと米国の比較から始めている

【第9章】【第10章】
・その分析を歴史的データの揃っている(WTIDにデータのある)すべての国に拡大する
・そして労働に関わる格差と資本による格差を分けて検討する
... en examinant séparément les inégalités face au
travail et face au capital.

【第11章】
・長期的にみた相続財産の重要性の変化を検討する

【第12章】
・21世紀最初の数十年における世界的な富の分配見通しを検討する

※これまでの3部は、事実を確立して、そうした変化の原因を理解しようとするものである

第Ⅳ部 「21世紀の資本規制」は4章構成である


※第Ⅳ部の狙いは、第Ⅰ部から第III部までから得られる規範的、政策的な教訓を引き出すことである
L’objectif est de tirer les leçons politiques et normatives des parties précédents,

【第13章】
・現在の状況に適した「社会国家」がどんなものかを検討する

【第14章】
・過去の経験と最近の傾向に基づいて、累進所得税の見直しを提案する
Le chapitre 14 propose de repenser l’impôt progressif sur le revenu à la
lumière des expérience passées et des tendances récentes

【第15章】
・21世紀の条件に対応した資本への累進課税がどんな形になりそうかを描く
Le chapitre 15 décrit ce à quoi pourrait ressembler un impôt
progressif sur le capital adapté au capitalisme patrimonial du
XXIe siècle, ...

・この理想化されたツールを、政治プロセスから生じそうな他の各種規制と比べてみる
・そうした規制としては、ヨーロッパにおける富裕税から、中国における資本規制、米国での移民制度改革、多くの国での保護主義復活など、いろいろある

【第16章】
・目下重要となりつつある公的債務の問題と、それに関連して自然資本が劣化しつつある時代における公的資本の最適な蓄積という問題を扱う
Le chapitre 16 traite de la question
lancinante de la dette publique et de celle ― connexe ― de
l’accumulation optimale du capital public, dans un contexte
de détérioration possible du capital naturel.

【最後にひと言】
・ピケティ氏は、本書の題名について断わりを付記している。
 フランス語で2013年に(英語では2014年)刊行された本書を『21世紀の資本』と名付けたことについては、ご寛容をお願いするという。
(2063年や2013年に資本がどんな形をとるかについて、自分が予測できないことは自覚している)
・所得と富の歴史は常に根深く政治的であり、混乱に満ち、予想外のものだと、本書で示している
 l’histoire des revenu et des patrimoines est toujours une
histoire profondément politique, chaotique et imprévisible.

・この歴史がどう展開するかは、社会がどのように格差をとらえ、それを計測して変化させるために、社会がどんな政策や制度を採用するかに左右される
Elle dépend des repésentations que les différentes sociétés se
font des inégalités, et des politiques et institutions qu’elles se
donnent pour les modeler et les transformer, dans un sens ou
dans un autre.

・今後数十年の間に、そうしたものがどう変わるかを予見できる者は誰もいない。それでも歴史の教訓は有用だ。というのも、それは、これからの1世紀でどんな選択に私たちが直面するか、そしてそこにどんな力学が作用するかを、見通すのに役立つからだ
Nul ne peut savoir quelle forme prendront
ces retournements dans les décennies à venir. Il n’en reste
pas moins que les leçons de l’histoire sont utiles pour tenter
d’appréhender un pue plus clairement ce que seront les choix
et les dynamiques à l’œuvre dans le siècle qui s’ouvre.

・本書は論理的に言えば、『21世紀の夜明けにおける資本』という題名にすべきだっただろう。
その唯一の目的は、過去からいくつか将来に対する慎ましい鍵を引き出すことであるという。
歴史は常に自分自身の道筋を発明するので、こうした過去からの教訓がどこまで実際に役立つかはまだわからないとする。
(ピケティ氏は、それをその意義をすべて理解しているなどと想定することなしに、読者に提示しようという)

(トマ・ピケティ(山形浩生・守岡桜・森本正史訳)『21世紀の資本』みすず書房、2014年、36~38頁。Thomas Piketty, Le capital au XXIe siècle, Éditions du Seuil, 2013, pp.66-68.参照のこと)

【トマ・ピケティ(山形ほか訳)『21世紀の資本』みすず書房はこちらから】
21世紀の資本




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