歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪囲碁の攻め~苑田勇一氏の場合≫

2024-09-08 18:00:02 | 囲碁の話
≪囲碁の攻め~苑田勇一氏の場合≫
(2024年9月8日投稿)

【はじめに】


 今回も、引き続き、囲碁の攻めについて、次の著作を参考に考えてみたい。
〇苑田勇一『NHK囲碁シリーズ 苑田勇一流基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]

さて、先週の「囲碁フォーカス」では、攻めは相手の石を取りにいくこととは限らず、方向を意識して、上手に逃がすことがテーマの一つであった。
 今週の本日(9月8日)のポイントの一つは、強い石(眼形や根拠のある石)には響かないので、近づかないことが攻めの鉄則であるという。
 これらの考え方は、今回紹介する苑田勇一九段は、「生きている石の近くは小さい。
 逆に、生きていない石の近くは大きい」そして、「攻めることは追いかけて逃がすこと」と、その要点を指摘しておられる。
 苑田勇一氏の独特の囲碁の攻めの考え方が、本書を通して、学べる。
例えば、
・生きている石の近くは小さい。
 逆に、生きていない石の近くは大きい(10頁)
・攻めることは追いかけて逃がすこと(38頁、112頁、160頁)
・美人は追わず(120頁、137頁)
※美人を追いかけて逃げられたら、プライドが許さないだろうから、1回も攻めずに逃がす方がいいという意味の著者の造語か。弱そうで魅力的な石は追わないのがいいとする。)
・サバキはナナメに石を使う(158頁、160頁)
・ナナメは眼形が多く、弾力がある格好(162頁)
・攻めるコツは、相手の石をタテにすること。強いほうは、石をタテヨコに使うようにする。強い立場のほうが、ナナメに石を使ってはいけない(161頁、162頁)
 
 ちなみに、佐々木柊真氏(野狐9段)は、次のYou Tubeにおいて、
「【囲碁】ツケの使い道」(2022年5月6日付)
 「私の碁の根本を作った超良著」と、この苑田勇一九段の著書を絶賛している。

【苑田勇一氏のプロフィール】
・1952(昭和27)年生まれ。大阪出身。小川正治七段門下。
・大手合優勝6回。関西棋院第1位3回。
・1983年、1988年棋聖戦最高棋士決定戦決勝進出。
・1986年、1988年天元戦、1998年棋聖戦挑戦者。
・趣味はワイン



【苑田勇一『基本戦略』(日本放送出版協会)はこちらから】






〇苑田勇一『NHK囲碁シリーズ 苑田勇一流基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]
【目次】
1章 「生きている石」の近くは小さい
     大場は簡単にわかる
     「3つめの眼」を作らない
     「生きている石」はよりかためる
     「攻めること」は逃がすこと
2章 「囲う」「囲わせる」
     「囲う」と地は減る
     「囲わせる」と地は増える
     地を作らせない努力
3章 攻めず守らず
     攻めず守らず
     「攻めること」は逃がすこと
     攻める方向
     強いところは厳しく
     大事な方向
     強い石を刺激する
     石数の多いところで戦う
     特訓講座
4章 「サバキ」「競り合い」「幅」
     サバキはナナメ
     競り合い
     幅の考え方
5章 「三々と隅」大特訓
6章 とっておきの秘策




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


〇第1章 「生きている石」の近くは小さい
・THEME 大場は簡単にわかる~一間高ガカリ定石より
・THEME 「生きている石」はよりかためる
〇3章 攻めず守らず
・THEME「攻めること」は逃がすこと
・THEME攻める方向
・THEME強いところは厳しく

〇4章 「サバキ」「競り合い」「幅」
・THEMEサバキはナナメ
・THEME競り合い~三連星の布石より

〇5章 「三々と隅」大特訓
・三々入りの場合

・【補足】利き筋~星の定石(小ゲイマガカリ・二間高バサミ)より
・【補足】利きと味消し~You Tube囲碁学校より
・【補足】苑田勇一氏の実戦譜~片岡聡『布石 これだけはいけない』より
・【補足】苑田勇一九段の実戦譜~第14期天元戦第4局より






第1章 「生きている石」の近くは小さい


・この章では、碁の考え方、戦略をわかりやすく解説している。
・最も意識してほしいのは、石の効率であるという。
⇒石の効率を簡単に表現したものが、次の大切な考え方。
〇「生きている石の近くは小さい」
〇「生きていない石の近くは大きい」
この点、実例をあげて説明している。

THEME 大場は簡単にわかる~一間高ガカリ定石より


【1譜:一間高ガカリのひとつの形】
≪棋譜≫9頁、テーマ図

・黒は3とすぐ一間高ガカリ、白18までとなるひとつの形が出来上がった。
☆一段落したら、白黒それぞれ出来上がった姿が、生きているのか、まだ生きていないのかをまず確認すること。
【A図:右上の白は楽々生きている】


・右上の白は、三角印の黒(11, 二)(11, 四)(12, 六)などと囲まれ黒1とマゲられても、白2で楽々生きている。

【質問図1】
≪棋譜≫(10頁)

・黒番である。次の一手はどこであろうか。
※ヒントは、「生きている石の近くは小さい、生きていない石の近くは大きい」である。

【ポイント図1】
≪棋譜≫(10頁)

・黒21と星下に構えるのが、いい手。
※右上の白は生きているので、なるべく遠くに。
 近くが小さいということは、遠くが大きい。
※21よりA(4, 十)は「生きている石に近い」ので、よくない。
【2譜:白も生きている石(右上)に近寄らない】
≪棋譜≫(11頁)

・白も生きている石(右上)に近寄らず、左下に白22とカカリ。
・白26のヒラキまで、よくできる形。

【B図:右上の黒の死活~まだ生きていない】
≪棋譜≫(11頁)

※右上の黒はまだ生きていない。
・白1と迫られると7まで、とたんに眼がなくなり危ない。

【3譜:右下で黒は右上に声援を送る】
≪棋譜≫(11頁)

・黒27のカカリから31のヒラキまで、右上の黒に声援を送るのは、理にかなっている。
※生きていない石の近くは大きいから。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、7頁~11頁)


THEME 「生きている石」はよりかためる


「第1章 「生きている石」の近くは小さい」

【質問図1】
≪棋譜≫(25頁)

・白2の高目に、黒3とカカリ。
・白が4、6とツケ引いて、ひとつの形が出来上がった。
・白8ではa(11, 三)と一路広くヒラクのもあるが、著者のおすすめは、8と狭くヒラいておいて、しっかり生きておくものである。
☆右上の形が生きているか、生きていないかをよく見極めて、次の黒の手を考えよ。
 AからHの8か所のうちから、選べ。

【ポイント図1】
≪棋譜≫(26頁)


・答えはHの黒1、目外(もくはず)し。
※右上の白は生きている。生きている石の近くは小さい。すなわち生きている石の遠くは大きい。
 ⇒AからHで、一番遠いのがH。
※「近い」「遠い」は、碁盤の目にそって考える。
 まっすぐに、また直角に折れる(ななめには見ないこと)

【質問図2】
≪棋譜≫(27頁)

☆少し配置を変えてみる。
・黒が一間にハサんできた。次の白はどう対応するのがいいだろうか。
※目のつけどころは、やはり右上の形。

【ポイント図2】
≪棋譜≫(27頁)

※右上の黒はしっかり生きている。生きている石はもっと生かしてあげればいい。
⇒生きている石の近くは小さいという考えにも通じるが、生きている石をより生かすという考え方である。








(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、7頁~11頁)


【THEME 「攻めること」は逃すこと】


THEME 「攻めること」は逃すこと


「第1章 「生きている石」の近くは小さい」

【質問図1】
☆白が三角印の白と二間高にハサんできた。
 黒はどう応じるか。応用編である。



【1図】
・黒1のトビをまず頭に浮かべる人が多いのではないだろうか。
・白2の受けには、黒3とボウシして、黒の生きている石のほうに追いやるのは、いい調子だが、……。
・その前に白2と受けられると、黒からaと両ガカリする可能性をなくしていて、先に損をしている。


【2図】
・白4のケイマにも黒5とボウシしていくと……。
・白6まで、方向はいいのだが、黒も薄く心配。
※もっと厳しい、いい手がある。


【ポイント図1】
・黒1と肩にカケる手が厳しい。
※ aのハザマがあいていて心配に思うかもしれないが、右辺は黒の強いところ。
戦いは不利ではない。



変化図として、
①白aのハザマ
②白bの押しを考えている

【3図】
・白が2とハザマをついてきたら、黒は3とカケて5とノビを決める。
・白はオサえ込まれたらたまらないので、6とケイマはまず絶対。
・そこで黒7とオサえれば、黒は連絡できる。
※白a出の対策は、5図で説明する。


【4図】
・3図の白4で1と出てきたら、黒2とオサエ込んで十分。



【5図】
・白1には黒4とソウのが筋。
・aの出とbの切りを見合いにしている。


【6図】
・3図の白4で1、3と出切ってきたら、単に黒4と出るのがいい手。
・白は5とカカえるくらいだから、黒は6と一子を切っていいだろう。
・白が7と抜いて、黒は先手を取った。




【7図】
・黒の肩つきに、白2と押すのはどうだろうか。
・白2、4は車の後押しで悪形。
・黒は喜んで、3、5とノビていればいい。
・黒5となると、右下の白が弱くなったのがわかる。
・白6の守りは省けないだろう。



【8図】
・7図の白6で1のケイマでは、黒10まで、白は閉じ込められて苦しい。



【9図】
・黒7は「千両マガリ」。
・白8のハネにも黒9から13までぐいぐい押す。
・3つほど押したら黒15とケイマ。
・白は16と連絡した。
※みなさんは、攻めることは石を取ることと思っていないだろうか。
 攻めることは逃がすこと
と覚えてほしいという。
※白16まで、全局をよく見渡してほしい。
 白はつながったが、地はほとんどない。
 堅い壁も、右上の黒が強いので、何も働くところがない。
 それに比べて、黒はのびのびと、中央に立派な壁を築き、全局にプラスの影響を与えている。



【10図】
・続いて黒17と肩をつき、19とトンで、厚みと左下を連絡させるようにする。
※生きていない石どうしがつながると、効率のよい地模様が出来上がる。

(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、33頁~39頁)





【1譜】
・では、次の図。
・白4のコスミには、黒5で白6とオサエと換わってから、黒7とコスむのがいい手。
・黒は13と右下にカカった。
※右下の黒はまだ生きていないので、右辺は大きい。
 生きていない石の近くは大きい、のだった。
≪棋譜≫40頁、1~2譜

【2譜】
・白16のコスミにも、直接はあいさつせず、黒17と右上の白に迫る。
※黒はAと小さいところを打っていないのがうまい。
 右上の白は生きていない石。だから、近くは大きい。
≪棋譜≫40頁、E図

【E図】
・白16でE図の白1とヒラいたら、黒2と三々を占めて、安定する。
・黒はaを省いて、もっと大きいところに手が回っているのが、「石の効率がよく」、しゃれている。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、39頁~40頁)


【質問図2】
・白1と二間高バサミしてきた。
 黒の次の一手は?
・質問図1とは、右上の形が変わっている。

≪棋譜≫43頁、ポイント図、11~13図
【ポイント図2】
・黒は2とオサえて生き、まず自分の安全をはかる。
・白3のヒラキは、白は所帯を持つために絶対。
・右上の黒はしっかり生きたので……。

【11図】
・黒4と肩をついて、8までノビるのが、よい。
・白は右下が弱くなったので、9と守った。

【12図】
・黒10のマガリから16まで、ぐぐっと押し、18とケイマにカケて、白19と連絡させ、つながらせた。
※攻めることは逃がすこと。

【13図】
・壁を作ったあとは、反対側から左下の星とつながるように、黒20の肩から22とトビ。
※生きていない石を連絡して、石の効率を上げる。

(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、41頁~43頁)

3章 攻めず守らず


・石を取ること、攻めることが好き、という人は多いだろう。
 しかし、石を取ることと、攻めることは全く別のことだと著者はいう。
・攻めるとは、むしろ「追いかけて逃がすこと」なのだとする。
 得をする攻めを心がけて、石の方向を見極めてほしい。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、87頁)

3章 攻めず守らず

THEME 攻めず守らず


☆四子局を使って、「攻める」ことについて説明している。
・白が5と上辺を占めたら、黒は6と反対側の下辺に向かう。
・白7と迫ってくるのは、置碁には必ずといっていいほど、よく登場する。
☆どう受けていいのか、困っている人は、多いのではないだろうか。
 黒はどう対応するか。

【質問図1】

【1図】
・怖いからといって、黒1と隅を守るのは、白2のノゾキから荒らされてよくない。
※守るとかえっていじめられ、眼がなくなってくる。

【2図】
・黒1のコスミもよく見かけるが、白2とヒラかせ、楽をさせては失敗。

【3図】
・黒1と一間とハサむのは、厳しい手。しかし、おすすめしない。
・白は2のトビから、4とカケてくるだろう。
・黒7から白12まで黒は低位に追いやられた。
※攻めると自分の石も危なくなる。
 厳しく攻めると、反動で自分にもはね返ってくる。

【4図】
・では、黒1の二間バサミはどうだろうか。
 これも、ものの本いはよく出てくるが……。
・白が2、4とトブと、黒も囲まれては大変だから、3、5とトンで逃げる。

【5図】
・続いて、白が6とカカって8となると、三角印の黒が囲まれて弱くなる。
 黒よくない。これもおすすめではない。
※攻めると反動で、自分の石が危なくなる。
 攻めるのは得策ではない。

【ポイント図1】
・黒1と三間にゆるくハサむのが、いい。
※白に二間にヒラかせないけれど、Aと一間に狭くヒラく余裕、逃げ道は作ってあげる。
 白はつらいけれど、ヒラくことができる。
※攻めず守らずがいい。
 三角印の黒と白の真ん中でもある。力関係のセンターはいいところである。

【1譜】
・白2とトンできたら、黒3とまずコスミツケ。
・3は大切な手で、Aのノゾキを緩和した。
・黒5、7とツケノビてモタれ、右辺の白の攻めを見せる。
※上辺の白は三間幅で強いので、かためてもいい。
※白8でBのノビは、Cの出から切りが狙えるときの手である。
・三角印の黒があるので、白8とコスんではずす。

【2譜】
・黒9のツケから黒13とツイで、しっかり隅を守る。
※三角印の黒があるので、白Aはこわくない。

【6図】
・このあと、白1の打ち込みには、黒2の上ツケでいいだろう。
・黒14まで連絡できているのが長所。
※白aとワタる手があるが、地にならず小さい。
 石の効率が悪いといえる。

(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、88頁~92頁)

質問図3


【質問図3】
・一見、ぬるいような黒1の「攻めず守らず」がいい手だと説明した。
・白が2とヒラいてきたときの対応を考えてみよう。

【ポイント図3】
・三角印の白は狭いので、少しつらい手。
・黒は3とコスミツケておくのがよく、白4と立たせて、黒5とモタレ攻めするのが調子。

【1図】
・白8のコスミから黒13まで、前に出てきた形。
・三角印の黒のおかげで、白aの狙いがなくなっている。

【2図】
・黒15も大切な「交通整理」。
・黒19まで下辺が盛り上がって、黒好調。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、97頁~98頁)

3章 攻めず守らず

「攻めること」は逃がすこと


【質問図1】
・右辺で黒と白がにらみ合っている。
・黒番である。三角印の白を攻めたくなるが……。どうしたらいいのだろうか。

【1図】
・黒1とコスんで攻める、という人がほとんどでは。
※1は白を攻めている。攻めるのはよくない。
・白は2と付けてサバいてくる。
・黒5と白をあおって、攻めを続行したくなる。

【2図】
・白は10と肩をついて、強い石をかためながら、さばいていくのが得策。
・黒は13と逃げたが、まだ治まっていない。
※追いかけたら逃げるのは、人間関係でも、碁でも同じ。
・白は10でaなど弱い石を攻めるのはよくない。
・白14まで白は左辺、下辺のどちらからも真ん中の黒を狙っていける。
※どこが大きいのか、判断できることが重要。

【3図】
・1図の黒3で1と押しても、白6まで白がいいだろう。

【4図】
・黒1のトビは白2のツケから連絡される手があるので、よくない。

【5図】
・黒1も白8まで、やはり白は連絡できる。

【6図】
・白10とコスむのがいい形。
・11の切りを狙いながら、頭を出す。
・白18とトビ出して、白よし。

【7図】
・2図では、a(白10)がよいと説明した。
・白1、3では、左辺の白模様に追い込んでよくない。
・白5とハサんでも、模様のできるところが見あたらない。
※得がない攻めはいけない。続いて黒bのカカリも厳しい。

【ポイント図1】
・黒1と弱い石の三角印の白は攻めないのが、いい。
※弱い石を見ると攻めたくなるのが人情かもしれないが、そこをぐっとこらえて、反対側へ向かう。
・白2と押してきたら、黒3とトビ。
・黒7とマガって、なるべく右辺の石から遠ざかる。
・黒9まで、下辺が黒っぽくなった。
※白2は三角印の白を弱くして、マイナスなのである。

【8図】
・ポイント図1白2で、2とツケてくるのも無理。
・三角印の黒がaにあったら、白bの出がみえみえで、とても3の強手は打てない。

【9図】
・黒7、9は両方とも種石。断固として逃げる。
・黒13とポンと抜けば、黒がいいだろう。

【10図】
〇白は抜いた形をよく見てほしい。
 上辺に向かう黒は、厚くていい形。
※攻めなければさばかれない。

【11図】
・白2とトンできたらどうするか。
※考え方は同じ。攻めてはいけない。
・黒3と押して、右辺の白にはさわらないようにする。
・黒5と自分の用心は大切。

【12図】
・上辺に黒が構えているので、白を追い込まないようにする。
・黒9まで、黒は好調。

【13図】
・11図の黒3を3とトブのもある。下辺を大切にする打ち方で有力。
・白は4、6とトンで逃げた。
※下辺を大切にするときには、下辺と反対に向かい、上辺を大切にするときには、下辺に向かう。
 反対に進むのがコツ。

【14図】
・黒7から9と下辺に根を下ろし、黒好調。
※のちに黒aの打ち込みも狙っている。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、105頁~111頁)

THEME 強い石を刺激する


【1譜】
・攻めの方向を考えていく。
≪棋譜≫136頁、質問図1

【質問図1】
・白22のトビまで、よくできる形になる。
 次の黒の手が問題。
【1図】
・黒1、3と白を攻めたくなる人が多い。
・しかし、白2から8まで、弱かった石が強くなってしまう。
※「美人は追わず」というのを思い出してほしい。
 弱そうで魅力的な石は「追わず」
【2図】
・黒1と芯を止めて攻めるのは、白2、6と逃げられ、上辺の黒のほうがかえって弱くなってしまう。

≪棋譜≫138頁、ポイント図1

【ポイント図1】
・白の強いほうの石に働きかけながら、まずは自分の弱い石の強化をする。
・黒23とトンで、25と大きく構える。

【2譜】
・白26、28のトビには、黒27、29と大きく包囲することができる。
※右下の星と連絡できれば、黒よし。
【3譜】
・黒は31と白をおびやかしながら、右下隅をかためていく。
・黒37のノゾキもいいタイミング。
➡中央の黒が厚くなった。

【7図】
・ポイント図1の白24で、上辺は無視して、1と逃げるかもしれない。
・黒2ツケが狙い。
※ツケて上辺の白をかためながら、自分を強化する。
・黒8までの姿は大変厚い。
※黒はaにあると、だぶっている感じがする。
 こう厚くなると、bから攻めていきやすくなる。

【8図】
・2譜の黒27で黒1と攻めるのは、方向違い。
・白8までトバれると、真ん中の黒のほうが薄くなり、失敗。

【9図】
・ポイント図1の黒25で黒1も悪くはないが、黒3まで白を封鎖できないので、少しぬるいかもしれない。

【10図】
・白aのトビでは重いので、白は動かず、白1、3と守るのが好手。
※右上の黒はしっかり生きている。
 生きている石の近くは小さい。

≪棋譜≫142頁、11~12図

【11図】
・白が1と二間に一歩進めれば、黒は2と止める。
・白3とトンだときがチャンス。
・黒4から決めていくのが、うまい。

【12図】
・黒8と出て、10と戻るのが肝要。
・黒12とノゾいて、14とトンで、黒が好調。
※白はまだまだ治まっていない。
 生きていなくて、石数が多いところが大きい。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、136頁~142頁)

4章 「サバキ」「競り合い」「幅」
〇サバキはナナメ

4章 「サバキ」「競り合い」「幅」


〇サバキはナナメ
・石の強弱は、石数を数えればある程度わかる。
 石数の差が3つ以上あるときに、弱いほうの立場はサバくことになる。
・サバくコツは、ツケて、石を斜めに使うことである。
 反対に強い立場のほうは、石をタテヨコに使う。

〇「競り合い」はお互いに生きていない石が接触したときにでき、碁の骨格が決まるので、理解しておくのは、大変大事である。

〇「幅」は文字どおり、石の間が何路かを数えればわかる。
・3路以下なら狭い、4路以上なら広いというのが目安。
 幅の概念はすべての考えに共通して加える。
(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、157頁)


【THEME サバキはナナメ】


【質問図1】
☆右辺の黒模様に白が三角印の白と打ち込んで、黒が三角印の黒と鉄柱に受けた場面。
 白番で考えてほしい。
 三角印の白をどう動いたらいいのだろうか。



【1譜】
・白1と一間にトンで逃げるのを、考えた人は多いのではないだろうか。
 1だと黒2とノゾかれて重くなり、よくない。
※黒のノゾキは、白にサバかせず眼形を奪う好手である。
※攻めるコツは、相手の石をタテにすることである。
 右上方面は黒石が圧倒的に多いところであるので、工夫が必要。



【質問図2】
☆質問図1の答えを説明する前に、もうひとつ質問する。
 黒は右上の白をどう攻めるか?
※攻めは直接働きかけるだけではない。
 どう利用するか、どう利益をあげるかが問題である。



【ポイント図1】
・黒4と左上から手をつけ、右上には直接攻めないのがいい。
※左下の黒はまだ生きていない。
 また三角印の黒には幅があるので、左辺を大切にすることを考える。



【2譜】
・上辺の白は眼があり強いので、黒16からツケていく。
・黒20とケイマして、白21と連絡させる。
※攻めることは逃がすこと。
・黒22まで、幅のある左辺の生きていない石が模様になってきた。
※白は右辺から上辺に連絡しただけで、まったく実がついていない。
 黒大成功。
 白は三角印のトビではうまくなかった。
☆では、白はどうしたらよかったのだろうか?

【ポイント図2】
・白1とツケるのがよいだろう。
※ツケはお互いに強くなりましょう、という意味のある手である。
 立場が弱いほうがツケることになる。
※立場が弱いかどうかは、石数を数えて判断する。
 3つ以上少ないと、まず弱いといってよいだろう。


【1図】
・黒2のハネに白3と引くのは、重くよくない。
※まずツケて、そのあとサバキはナナメに石を使う。
 反対に考えれば、黒は三角印の黒も狭く幅がないから、黒は強い立場。
 なのに2はナナメに石を使っている。
※強いほうは、石をタテヨコに使うようにするのがコツ。



【2図】
・1図の白3では1とハネて、石をナナメにつかうのがいい手。
※強いほうは、黒2とツイでタテヨコに使えば、相手がナナメに使いにくくなる。



【3図】
・白3と隅に入り込むのも好手。
・黒が厚くなったので、白9のトビは絶好点。



【4図】
・3図の黒6で1とオサえるのは、白2と切られてよくない。
・白10まで、白がサバいた形。


【5図】
・3図の白3で1とツグのは重くよくない。
・黒4とツケるのが厳しく、黒8まで白がたいへん。


【6図】
※ナナメは眼形が多く、弾力がある格好。
 強い立場のほうがナナメに石を使ってはいけない。
・黒1のハネ(ママ、切りか?)だと白4、6と上から下からとアテられ利かされたあと……。


【7図】
・白10まで、白は簡単にさばかれてしまった。
※自分がナナメに石を使うと、相手もナナメになるので、強い立場、石が多いほうはナナメにしてはいけない。



【8図】
・黒1とハネるのも、ナナメでよくない。
・白8でaとツグと重くなり、捨てられなくなり、さばけなくなる。
※4、6、三角印の白は取られてもいい。
 何もなければ、右上の黒は一手で地になっているはずだったので、地にするスピードが遅くなり効率を悪くしている働きがある。

※攻められたときの眼の足しになれば、十分な成果。
 三角印の黒はまだはっきりと生きていないので、生きていない石の近くは大きいという鉄則を思い出してもらえば、自然に白8とトブことが浮かんでくるだろう。



【9図】
・黒としては1と、石をタテヨコに使うのがいい。
・黒5が少し、すましすぎ。


【10図】
・黒1と切って行きたい。
・白6まで、白は二子は取られたけれど、2と気持ちよくたたいたことに満足。
※黒白、どちらもうまくやっている図。


(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、158頁~163頁)

【質問図3】
☆形を変えてみよう。白番。
 三角印の白と打ち込んだ石をどうするかが問題。
※タテかナナメか、今まで説明したことをよく思い出してほしい。
 


【11図】
・白1の一間トビに逃げるのでは、重い発想。
・黒2とタテに石を使われると、また白は3とトバざるをえない。
・黒4のトビが絶好で、三角印の白も生きていないので、白が苦しい展開となる。



【ポイント図3】
・上辺は黒が6つ、白が1つ。
※白が打っても2つで差が四子もあるので、さばく場面ということがわかる。
 生きていなくて石数が多いところが大きい。

・白1とツケて、3、5、7とナナメに使う。
・黒8のアテに10にツイではいけない。
※ツグとタテに石を使うことになり、さばけなくなる。
 サバキとは、端の石を捨てることでもある。

・黒が10と抜いたので、左上の黒は生きた。
※生きた時点でそのまわりの土地の価値が暴落する。
・右上の黒はまだ生きていないので、右辺の弱い石から動き、白11と右上方面に向かう。



【12図】
・前図黒4では1とアテるのが正着。
・白に2、6と石をタテヨコに使わせているから。
・白12まで白は生きた。
(黒aとノゾいてきても、白b、黒c、白d)
※生きている石のまわりは小さいので、ゆめゆめeとツイではいけない。
 石数が多く、お互いに生きていないところをさがして、黒13と上辺の白の生きている石からなるべく遠くに打ち込む。



(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、164頁~166頁)

以上で、【THEME サバキはナナメ】は終わり。
 次は【THEME 競り合い】
4章 「サバキ」「競り合い」「幅」

THEME競り合い~三連星の布石より


【テーマ図】三連星の布石(1—41)

【質問図1】
・競り合いは、お互いに生きていない石が接触したときにでき、碁の骨格が決まるので、考え方を知っておくのは、大変重要。
・黒は三連星、白は二連星の布石。
・白が12と押してきた。
☆黒番である。どう応じるか。
 ヒントは、白にある欠陥を狙うこと。



【ポイント図1】
・白の欠陥を狙って、まず黒13と出て、15と切る。
・15、17と断点がふたつあるときは、価値の小さいほうから、切るのがコツ。
・黒19が、「競り場」。
※石どうしがぶつかりあっているところで、重要な急所にあたる。
・黒21のノビに対しては、Aと押したくなるかもしれない。
※黒Bとハネられたとき、白Cと切ることができないなら、Aと押して競り合ってはよくない。
 白Cだと、黒Dに切られて、白のほうが取られてしまう。
 かといって、Cで白Eとオサえるのでは、「競り負け」していることになる。
 Eのオサエは最初から考える必要はない。

・競り負けするときには、最初から22と「ごめんなさい」としておくほうがいい。



【1譜】
・黒23も競り場。
※三角印の白も、三角印の黒も生きていなくて、石数が多いので、価値が高いところ。
 三角印の白は、四角印の黒(14, 二)を取り切っていないので、まだしっかり生きたとはいえない。
※黒23に対して、けんかして負けるのなら、白はAとあやまるのも、立派な手。
※白28でBにハネていたら、迷わず黒は28に切る。
・黒29にカカったのは、四角印の黒(14, 二)を利用しようと考えている。





【2譜】
・白が30と守ってから、31と押すのが大切な手順。
※30がきたことによって、三角印の黒がほぼ動けなくなり、上辺の白は生きた。
 生きたら、どんどん地にさせるのがいい。
・黒は33と三々に入って、41まで稼いだ。




【質問図2】
・手順を少し戻す。
 黒がAとマガらず、1とカカってきたら、白はどう打つか?


≪棋譜≫172頁、ポイント、1~3図



【ポイント図2】
※生きていない石のそばは大きい。
・競り場、白2が急所。
・黒3のヒラキには応じず、白4と急所に一撃するのが厳しい。



【1図】
・黒が5と断点を守り、7と封鎖してきたら、白は8のハネから、10と切るのが手筋。


【2図】
・黒11と切ると、白12のホウリ込みがうまい筋で、黒は12を抜くことができない。


【3図】黒21ツグ(白16)
・右上の黒も取れそうだが、白16の割り込みから、18と切って丸めるのも筋で、26と黒はシチョウにかわって、つぶれてしまった。
※生きていない石のそばが大きい。





【4図】
・白としては、2譜の白30で、1とマガるのが好手。
・白3まで競り勝っており、両者うまく打っているといえるだろう。
※なお、三角印の黒で1と押すのは、aとノビられて、上辺への狙いがなくなり、よくない。
 押したくないときには、bとケイマにはずすのがコツ。



(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、167頁~172頁)




5章 「三々と隅」大特訓


【質問図8】
・黒が一間に受けているときの三々入り。


【ポイント図8-1】
・黒2、4とオサえると、黒8までが、よくある形。
 さてこのまま白が手を抜くと……?

【ポイント図8-2】
・コウになる手段が残る。

(苑田勇一『基本戦略』日本放送出版協会、2001年[2004年版]、204頁)

【補足】利き筋~星の定石(小ゲイマガカリ・二間高バサミ)より


・利き筋などについては、私のような素人のわかりにくい分野である。
 幸い、You Tubeにおいて、利き筋について要領よく簡潔に解説している動画がある。
〇小林さんちの囲碁
 「【囲碁】利き筋って何?」(2021年8月1日付)
 この動画では、小林孝之三段(NHK学園専任講師、日本棋院準棋士)が、星の定石(小ゲイマガカリ・二間高バサミ)を題材に利き筋について解説しておられる。
 利き筋=先手と捉えられるとする。

・利き筋=先手になるうる箇所として、次の9通りの利き筋があるとする。
図でいえば、△印が利き筋になる。
①3の九
②2の十
③3の十
④4の十
⑤5の十
⑥3の十一
⑦2の十一
⑧4の十一
⑨3の十二
≪棋譜≫利き筋、You Tubeより


⑨3の十二の場合が利き筋であることの証明~シチョウ
≪棋譜≫利き筋、シチョウ


〇星・小ゲイマガカリ10二間高バサミについて
 この定石は、石田芳夫『基本定石事典(下)』(日本棋院)に次のようにある。
【6図】(定型)
続き
≪棋譜≫石田、定石下、387頁

・白1とここで出てくるのは、黒2、4と切って、白の形に傷を作る。
・白9と抵抗すれば、黒10から16まで、白を封鎖して、右辺にa、b、c、dの利き味を見る。
※この型は黒が十分で、白1は最近見られなくなった。
(石田芳夫『基本定石事典(下)』日本棋院、1996年、387頁)

・【補足】利きと味消し~You Tube囲碁学校より
〇石倉昇九段「戦いの極意 第6巻 味を残す打ち方」(2018年7月23日付)
〇小林覚九段「さわやか開眼コース 第3巻 利きと味」(2017年10月23日付)
〇佐々木柊真氏「【囲碁】「利かし」と「味消し」」(2021年9月15日付)

【補足】苑田勇一氏の実戦譜~片岡聡『布石 これだけはいけない』より


・次の著作の「第3章 石の効率と働き」の「緩急をつける<研究局6>」(118頁~131頁)において、苑田勇一氏の実戦譜が載っている。
〇片岡聡『布石 これだけはいけない』フローラル出版、2001年[2003年版]

【研究局6】
 黒 片岡聡
 白 苑田勇一

≪棋譜≫118頁、片岡VS苑田

【第1譜】(1—19)あっさり
・白10のハサミまでは、黒白立場は違うが、研究局3とまったく同じ進行。
・著者は両ガカリではなく、あっさりと三々にフリカワる黒11を選んだ。
※「どう打っても一局」の場面

【第2譜】(20)細分化狙い
・白は20のカカリ。
※白(14, 三)でなく、こちら側のカカリは、局面細分化の狙いがある。
 局面を細分化して、コミに物を言わせようという手法。
(白(14, 三)との善悪はいえない)
※著書では、ここをテーマ局面としている。
➡白のカカリを迎え、きわめて常識的な応接でよい。
 中国流のこの部分にカカえられたときは、対応は決まったようなもの
・定法通り、黒21とコスミツケて、黒23と受けておく。
(黒21は白(18, 四)の拒否に他ならない)
・白24とヒラかせても、黒(17, 十一)の存在で寸のつまった二間ビラキ。
※白22と立たせてはいるが、まだまだ攻めの狙える石。
 攻めが狙えるということを言い換えれば、黒の右下一帯が地になりやすいともいえる。
※なお、黒23と受けておけば、碁の推移によっては、黒(6, 二)も有力な狙いになる。

【第3譜】(21—26)狙い含み
・白24に黒25のトビ。
※これでは右下一帯の完全な守りには、なっていない。
 ただし、白に圧力をかける手には、なっている。
※加えて、右下を一手で守り切る適当な手が見当たらない。 
 それなら、いっそうのこと黒25とトンで、二間ビラキの白への攻めと、ある狙いをテンビンにかける。
※黒25に白は白26と打って、二間ビラキを補強した。
 ここでテーマ場面としている。黒25と打ったからには、ただ右下を守る気にはなれない。
➡黒25とトンだ手には、複合的な狙いがあった。
 ひとつは、白の二間ビラキへの攻め。そして、もうひとつは、黒27への打ち込み。
※白が白26と二間ビラキを強化したので、黒27ともうひとつの狙いを決行するのは、必然の帰結。
※黒25は、以上の狙いだけでなく、場合によっては、右下を丸々地にする手に化ける可能性もある。
➡このように、狙いが複合的な手ほど、効率がいいといえる。

【第4譜】(27—31)
・白28に黒29、白30に黒31は、ともに大事な手。
※黒が利かされたと見るのは、誤り。
 こう受けて、「自動的に」右下が固まった、地になったと見るべきである。
 これも、黒27で白6を攻めに出た効果。
※攻めは「押して引く」「引いてまた押す」という緩急が大切。
 攻めっぱなしで、あとに何も残らない、という攻めであってはならない。
 黒29、31と「引い」たお陰で、右下が強化され、そこそこの黒地がついている。

【第5譜】(32—39)25目確定
・白は34のコスミツケでワタリを防ぎ、白36から逆襲に転じた。
※今度は黒が黒27をサバく番であるが、生きた碁とは、こういうもの。
※この間、黒は右下に約25目の地を確定させている。
 白が一子を強化するために、それだけの資本を投下したということ。
 サバキに回るのは、やむを得ない。

【第6譜】(40—53)治まる
・黒41から45まで、下辺で世帯を構えることができた。
※左下の白は、まだ確定地とはいえない。
 ただし、手をつけていくためには、黒一団の強化も必要。
・それが、黒47のハネから黒49、そして53。
※これは黒一団の単なる強化だけでなく、上辺の白をも意識している。
 中央が強くなれば、黒(6, 二)や黒(6, 五)が狙いやすくなる。
※単一の働きしかしない手というのは、そうそうない。
 要はその働きを、打ち手が認識しているかどうかである。
(片岡聡『布石 これだけはいけない』フローラル出版、2001年[2003年版]、118頁~131頁)

【補足】苑田勇一九段の実戦譜~第14期天元戦第4局より


・次のYou Tube(囲碁学校)において、苑田勇一九段は、第14期天元戦(1988年)をみずから振り返っておられる。
〇苑田勇一九段「苑田勇一 飛天流名局選」(2015年12月24日付)

・とりわけ第14期天元戦第4局(黒番・趙治勲九段との対局)は、苑田勇一九段の棋風である「西の宇宙流」(中央を志向する独創的な棋風)といわれるだけあって、スケールの大きさが現れた好局であったようだ。詳しくは、「苑田勇一 飛天流名局選」とりわけ、22分~35分あたりをご覧いただきたい。
・ちなみに、囲碁棋譜.COMより70手までの棋譜を添えておく。

【第14期天元戦第4局】
1988年12月21日
 黒 趙治勲
 白 苑田勇一
〇白のスケールの大きさ
・白54手目のボウシ(8, 八)、70手目の白(12, 五)のケイマ
208手 白半目勝ち
【棋譜】(1-70)

(囲碁棋譜.COM 趙治勲対苑田勇一 第14期天元戦第4局)