大浴場も2度目ともなれば手馴れたもんじゃ。
「ふん」露天風呂はここから入ればいいんだし、離れ小島でジャバジャバゴシゴシ洗えばいいんだし・・・快適快適 ルンルン(きゃっ
「さてさて、オンボロTシャツと短パンに着替えたら、無料マッサージチェアでモミモミしてもらおうっと・・」
うん??・・・脱衣所を出ようとして周りを見ると・・なんか重い空気。
着替えている人、半裸で扇風機の下で涼む人、あんまり変わりもしないのに鏡の前でドライヤーと格闘している人、体重計にバスタオルをかけて数値を見えないように小細工する人・・それなりにいるのだが・・。
浴衣に着替え終わっているのに何もしないで脱衣所の中に置物のようにいる人が何人もいる・・・うん??
まぁいっか・・無事に温泉に浸かれたんだからな。
●動かない謎の人達がこの後いい婆さんをエロの世界へ導くとはな・・。
チャ~ンス。無料マッサージチェアには誰もいない!!
それも2台とも使っている人がいない・・やった!!
最近はかなり高度なマッサージ技術を習得しているマシンも出てきているのだが、ここのはまぁ4年ぐらい前の標準タイプものだな・・。
コントローラーのリモコンもシンプル。
適当に全身マッサージを選択して目を閉じた。キモチよか~~。
何分経過したかはよくわからないが、婆さんの周りの酸素が突如減少し、お呼びでない二酸化炭素が急に増加したことが「気配」ではっきりわかった。
でも、若い時によく体験した金縛りにしては「生温かい」空気だ。
そろ~り、そろり目を開けていくと・・・婆さんは水族館の小さい水槽に入っている1匹のカレイ状態。
注)カレイは海底の砂に埋もれて生活する。それも海底の砂とほぼ同じ色なのでどこにいるか?はよくよく見ないとわからないのである。だから、自然と水槽を覗き込む形になってしまうのじゃ。
「どうかしましたか?→声にならない」
「婆さんなんかいけないことしましたか??→これも声にならない」
1言も声にならないので、仕方なく無料マッサージチェアから立ち上がった。
そしたら、私の回りに張り付いていた7.8人のうちの1人のオバサンが「無言のまま」すばやくわしの手にマッサージチェアのリモコンを握らせた。(なんでリモコンなんだ? どうせなら1万円くれ!)
1:いい婆さんはマッサージチェアの脇に立ってろ!
2:左から3番目のそこの女、ここのマッサージチェアに座れ!
3:もう1台のマッサージチェアには私が座るが、皆いいな?!
4:いい婆さんよ、マッサージチェアのリモコン操作をしろ!
上記の指示を一言も言葉を発さずに右の人差し指1本で見事にやってのけたのである。
すげ~技だ・・・!!
感心している場合じゃなかんべよ・・・。
「すいません・・私、専門家ではないんです・・(オロオロ)」
いきなり、7.8人の視線が1点に集まった。何かを決心したようだった。
2番の指示で既にマッサージチェアに座っていたオバサンが、音もなくいい婆さんの右の手首を「ぐいぃ」とつかみ、マッサージチェアの背もたれと自分の体の間に押し込み、お尻付近で円を2回描く。
「ええ~~っ! わしには一応、旦那と孫もいる身です。そ、そんな趣味はありません。お風呂上りにアミノサプリを買おうと思って200円なら短パンのポケットに入っていますので、それで勘弁して下さいぃぃぃ」→これはちゃんと声になった・・・。
と、言いながら、思いっきり自分の右手を取り戻そうとしているのにビクともしない・・。
この怪力オバサン連中は何者じゃぁ~~!!
そうしたら、さっき見事な「人差し指1本指示」の見事な技を披露してくれたオバサンが、薄笑いを浮かべてたった一言
「腰」
「え?腰ですか? 腰が痛いんですか? じゃ、この手離して下さい」→意味不明
きっと、この時婆さんはすごい形相をしていたに違いない。
婆さんの必死さが通じたのか、右手を離さないとリモコン操作が出来ないとただ思っただけなのか、すごい力で引き寄せられていたわしの右手を離してくれた。
人によって腰の位置は違うし、マッサージの強弱にも好みってもんがあるから聞いてから・・と思ったが、この言葉を発さない異星人集団の気をマッサージチェアに向けないことには、わしは無事に爺さんと孫娘が待つ321号室には戻れないと思ったので、力を込めて「最強」「最速」「腰の部分固定」とセットした。
動き出したマッサージチェアについての感想を仲間に伝え始めた。ああ~あそこの国の方だったのか・・早くそう言ってくれよ。
動き出したとあれば、もう、いい婆さんは用なし・・だよね。
でも、まだ右手の手首には強く握られた痕が赤く残ってる。
このままじゃ、なんかやられっぱなしだよなぁ~。
よし、ここは一発・・・・。
鍬を持って畑を耕し、腰をトントンと叩いて「ふぁぅ~」と言うパントマイムをしてみた。
これがなんと大うけ、バカ受け・・・。
最初、この7.8人は全部クロ~ンさんかと思ってた。
ヘアースタイルなんか1mmも違わない長さだし、アイロンパーマのカールは全部同じ方向だし、顔はみんな浅黒くてシワシワで一切表情を出さないから、全員同じ人だと思ってた。
笑えば・・顔が違うじゃん。
この方々は、隣のお国の方で、職業は農業。日本で言えばJA=農協が主催する「一生に一度だけの海外旅行」に参加したオバサン達だと勝手に推測した。
あの並外れた怪力といい、指の関節がボコボコ硬く出っ張っていて、少なくても「セレヴ」などと言う人種ではないとは思ったからね。
さっきのパントマイムで笑ってくれたんだから、まんざら婆さんの推測も外れてはなかったようじゃ。
「お疲れ様でした」
と言って、小さなワイングラスを手渡すオジサンがいた。
「ジュースです。体にいいんですよ。無料です。」
「ありがとうございます・・ぐいぃ・・・」
・・・妙な味・・・
「これなんのジュースですか?」
「リンゴ酢とはちみつのジュースです・・売店で・・(ダラダラ)」
「あっ、ありがとうございました。アミノサプリを買って部屋に戻ります」
--------------------------------------------------------------
国際交流ってサスペンス・・・。
そんでもって、腰痛は世界共通症状なのだと身を持って知ったある日の早朝だった。
-続く-
「ふん」露天風呂はここから入ればいいんだし、離れ小島でジャバジャバゴシゴシ洗えばいいんだし・・・快適快適 ルンルン(きゃっ
「さてさて、オンボロTシャツと短パンに着替えたら、無料マッサージチェアでモミモミしてもらおうっと・・」
うん??・・・脱衣所を出ようとして周りを見ると・・なんか重い空気。
着替えている人、半裸で扇風機の下で涼む人、あんまり変わりもしないのに鏡の前でドライヤーと格闘している人、体重計にバスタオルをかけて数値を見えないように小細工する人・・それなりにいるのだが・・。
浴衣に着替え終わっているのに何もしないで脱衣所の中に置物のようにいる人が何人もいる・・・うん??
まぁいっか・・無事に温泉に浸かれたんだからな。
●動かない謎の人達がこの後いい婆さんをエロの世界へ導くとはな・・。
チャ~ンス。無料マッサージチェアには誰もいない!!
それも2台とも使っている人がいない・・やった!!
最近はかなり高度なマッサージ技術を習得しているマシンも出てきているのだが、ここのはまぁ4年ぐらい前の標準タイプものだな・・。
コントローラーのリモコンもシンプル。
適当に全身マッサージを選択して目を閉じた。キモチよか~~。
何分経過したかはよくわからないが、婆さんの周りの酸素が突如減少し、お呼びでない二酸化炭素が急に増加したことが「気配」ではっきりわかった。
でも、若い時によく体験した金縛りにしては「生温かい」空気だ。
そろ~り、そろり目を開けていくと・・・婆さんは水族館の小さい水槽に入っている1匹のカレイ状態。
注)カレイは海底の砂に埋もれて生活する。それも海底の砂とほぼ同じ色なのでどこにいるか?はよくよく見ないとわからないのである。だから、自然と水槽を覗き込む形になってしまうのじゃ。
「どうかしましたか?→声にならない」
「婆さんなんかいけないことしましたか??→これも声にならない」
1言も声にならないので、仕方なく無料マッサージチェアから立ち上がった。
そしたら、私の回りに張り付いていた7.8人のうちの1人のオバサンが「無言のまま」すばやくわしの手にマッサージチェアのリモコンを握らせた。(なんでリモコンなんだ? どうせなら1万円くれ!)
1:いい婆さんはマッサージチェアの脇に立ってろ!
2:左から3番目のそこの女、ここのマッサージチェアに座れ!
3:もう1台のマッサージチェアには私が座るが、皆いいな?!
4:いい婆さんよ、マッサージチェアのリモコン操作をしろ!
上記の指示を一言も言葉を発さずに右の人差し指1本で見事にやってのけたのである。
すげ~技だ・・・!!
感心している場合じゃなかんべよ・・・。
「すいません・・私、専門家ではないんです・・(オロオロ)」
いきなり、7.8人の視線が1点に集まった。何かを決心したようだった。
2番の指示で既にマッサージチェアに座っていたオバサンが、音もなくいい婆さんの右の手首を「ぐいぃ」とつかみ、マッサージチェアの背もたれと自分の体の間に押し込み、お尻付近で円を2回描く。
「ええ~~っ! わしには一応、旦那と孫もいる身です。そ、そんな趣味はありません。お風呂上りにアミノサプリを買おうと思って200円なら短パンのポケットに入っていますので、それで勘弁して下さいぃぃぃ」→これはちゃんと声になった・・・。
と、言いながら、思いっきり自分の右手を取り戻そうとしているのにビクともしない・・。
この怪力オバサン連中は何者じゃぁ~~!!
そうしたら、さっき見事な「人差し指1本指示」の見事な技を披露してくれたオバサンが、薄笑いを浮かべてたった一言
「腰」
「え?腰ですか? 腰が痛いんですか? じゃ、この手離して下さい」→意味不明
きっと、この時婆さんはすごい形相をしていたに違いない。
婆さんの必死さが通じたのか、右手を離さないとリモコン操作が出来ないとただ思っただけなのか、すごい力で引き寄せられていたわしの右手を離してくれた。
人によって腰の位置は違うし、マッサージの強弱にも好みってもんがあるから聞いてから・・と思ったが、この言葉を発さない異星人集団の気をマッサージチェアに向けないことには、わしは無事に爺さんと孫娘が待つ321号室には戻れないと思ったので、力を込めて「最強」「最速」「腰の部分固定」とセットした。
動き出したマッサージチェアについての感想を仲間に伝え始めた。ああ~あそこの国の方だったのか・・早くそう言ってくれよ。
動き出したとあれば、もう、いい婆さんは用なし・・だよね。
でも、まだ右手の手首には強く握られた痕が赤く残ってる。
このままじゃ、なんかやられっぱなしだよなぁ~。
よし、ここは一発・・・・。
鍬を持って畑を耕し、腰をトントンと叩いて「ふぁぅ~」と言うパントマイムをしてみた。
これがなんと大うけ、バカ受け・・・。
最初、この7.8人は全部クロ~ンさんかと思ってた。
ヘアースタイルなんか1mmも違わない長さだし、アイロンパーマのカールは全部同じ方向だし、顔はみんな浅黒くてシワシワで一切表情を出さないから、全員同じ人だと思ってた。
笑えば・・顔が違うじゃん。
この方々は、隣のお国の方で、職業は農業。日本で言えばJA=農協が主催する「一生に一度だけの海外旅行」に参加したオバサン達だと勝手に推測した。
あの並外れた怪力といい、指の関節がボコボコ硬く出っ張っていて、少なくても「セレヴ」などと言う人種ではないとは思ったからね。
さっきのパントマイムで笑ってくれたんだから、まんざら婆さんの推測も外れてはなかったようじゃ。
「お疲れ様でした」
と言って、小さなワイングラスを手渡すオジサンがいた。
「ジュースです。体にいいんですよ。無料です。」
「ありがとうございます・・ぐいぃ・・・」
・・・妙な味・・・
「これなんのジュースですか?」
「リンゴ酢とはちみつのジュースです・・売店で・・(ダラダラ)」
「あっ、ありがとうございました。アミノサプリを買って部屋に戻ります」
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国際交流ってサスペンス・・・。
そんでもって、腰痛は世界共通症状なのだと身を持って知ったある日の早朝だった。
-続く-