ここで、ご紹介しよう。
担任の先生は教師暦28年の男性で新規特別支援学級立ち上げは
すーさんの学級で2校目というベテランである。
名は角之進 先生
↑ これは仮名である。
冷静沈着、
「正しく聞く耳、常にここにあり」、
武術を持って敵に向かい、
声のトーンはバスバリトン、
婆さんの「うっかり八兵衛」バリのズッコケには全く興味なし、
まるで、水戸黄門に出てくる
渥美角之進(あつみ かくのしん)のイメージであった。
そして、もう1人、市の補助教員としてウラ若き乙女、
名はサニー 先生
↑ これも仮名である。
言葉数少なく、
動きの速度はAndante(アンダンテ=歩くような速さ)、
母なる大地に迷わず到着できそうな後姿、
婆さんの毒牙に一生涯かかることのない、
ハニカミ笑顔の小公女のイメージである。
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さて、自閉症児すーさんが
小学生として黄色い帽子をかぶって
ランドセルを背負って、
「小学校」をイメージして歩き出す新生活が始まって
1週間が過ぎようとしていたある日のことじゃった。
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昇降口ですーさんを待っていてくれた角之進先生の手には
すーさんが好きな「どうぶつの森」のキャラクターが印刷された紙が
3センチ程の厚みで乗っていた・・・
という話は前回の記事で書いた。
爺さんはその厚みに「すごい」とつい言ってしまったほどじゃった。
すーさんの筆箱は「どうぶつの森」
まだ、すーさんがどの学校に通うことになるのか決まっていない今年2月に購入した。
4月から通う学校が決まっていないことなど理解できるはずもなく、
ただ、このどうぶつの森の筆箱を毎晩枕元に置いて
筆箱 = 小学校 とインプットしていたすーさんである。
そして、角之進先生が爺さんに言ったそうだ。
「すーさん、どうぶつの森が好きなんですね?」
「よく、筆箱をジッと見ています」
「興味のあるものには集中しますが、そうでないものには集中力持続は難しい」
・・・とも。
まっこと・・そうであろうということは爺婆共よーわかっておった。
じゃが、角之進先生が、この次の「手」として、
3センチの厚みのどうぶつの森のキャラ達を
どうやってすーさんとの時間に使用するのかが、
エベレスト級に 知りたい
角之進先生はどうぶつの森のキャラ達を各種カードにして「飴」にした。
巨大タコ(すーさん)はどうぶつの森キャンディーを食べたくて課題に向き合う。
婆さんだったら、
ホレホレ釣竿の先にキャンディーをブル下げるのが定番だが
角之進先生はたぶん・・だけど、もっとスマートな見せ方だったであろう。
どんな手法だったかは聞くことはできていないが、
すーさんにとっては学校生活のワンシーンになっておることだろう。
すーさんは先生にキャラクターの名前を積極的に教えているらしい。
それだけではない、数日後のすーさんの誕生日に
角之進先生とサニー先生からすーさんの好きなキャラ達が笑っている
手作りのバースデイカードを貰って帰ってきた。
すーさんは無条件で喜び、爺婆もあったかい気持ちになった。
で、角之進先生とサニー先生の気持ちを受け取った婆さんは、
22cmの上履きが少々すーさんの足に合わず、階段でプッカ状態だと聞いて
21.5cmのオリジナル上履き制作をすることを決めた。
ジャーーン
左右のプリントにバラつきはあるものの
剥げたり、
ゴムが溶けてアイロンから有毒な煙が立ち昇ろうとも
真面目工作員をした。
これでやっと、婆さんの新入学の出番が終わった気がした。
角之進先生、サニー先生、どうぞよろしくお願い致します。