一番初めに行った海外はニューヨークだった。
2001年の10月の終わりで、ニューヨークシティマラソンに参加するためだった。
初めての海外だったからとても楽しみで、マラソンの練習とともにいろいろなことを準備していました。
ニューヨークに行ったらブロードウェイでミュージカルを観たかったので、その年の夏前から読み始めたのが岩波文庫のヴィクトル・ユーゴー著『レ・ミゼラブル』の全4巻で、分厚かったのでとても難儀をしたのを憶えています。
当時はノースウェスト機でJFK空港に着いた後、バスでコンベンションセンターまで連れられて行ってエントリーの手続きが終わった頃には辺りはもう暗くなっていました。
その日はどうしていいかもわからずにホテルの前の路地で、ベンダーから買った1ドルのホットドッグを食べただけで空腹を抱えたままベッドに潜り込みました。
そして次の日、朝起きて同じツアーの人たちとデリでサンドイッチを食べた後、初めて訪れたのはグランドゼロ。
9.11のテロが起こったのはたった2ヶ月前のことだった。
そしてグランドゼロを訪れた後は歩きました。
初めて訪れた場所では、なるべく歩いてみるようにしています。
そうすると空気というか、何か漂っている雰囲気のようなものがわかるから。
だからその時も歩きました。
グランドゼロをずっと北に向かってインペリアル劇場まで笑。
東京でいうと、秋葉原から新宿まで靖国通り沿いに歩いちゃったくらいかな。
インペリアル劇場までブロードウェイで一本なのですが、チャイナタウンとかリトルイタリーとか回ってみようということで結局とんでもない距離を歩いたことになる。
そんなこんなで初のニューヨークで、グランドゼロの次に向かったのが『レ・ミゼラブル』を上映していたインペリアル劇場だったのですが、当時は今以上に英語のわからなかった私ですら感動して涙を流したのを今でも憶えています。
その後もマンハッタン中を歩き続けて、日曜日のNYCマラソン当日には足が棒のようになってしまいタイムはひどいものでしたが、それも今は笑い話。
そんなことを思い出した『レ・ミゼラブル』でした。
人生で後何回、『レ・ミゼラブル』と出会うだろう。
願わくばその時もフレッシュな状態でいられますように。
いつまでも『レ・ミゼラブル』に感動できる自分でいたいな。