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舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

斉藤さん

2008-01-10 23:40:24 | 徒然話
観月ありささん主演の新ドラマ『斉藤さん』が昨日から始まりました。
私はたまたまこれを見て、そして、一発で斉藤さんに惚れました。

「斉藤さん」は30歳の主婦でとにかく正義感が強く、ゴミの出し方、マナーのおかしな高校生、危ない歩き煙草などの悪や不正があれば声を上げてこれを糺さずにはいられない女性です。

自分で許せないと思うものをそのままにはしておくまいという決意の強いこと、ほとんどアメリカ人のようです。
まあアメリカ人がみんなそうではないですが、私は何度も何度も「許せないことに対し断固として抗議しているアメリカ人」をハワイで見ているのでそういう印象が強いです。たいてい白人の方ですね。

そういうアメリカ人の皆さんもこの斉藤さんも、黙ってやり過ごした方が簡単にスルーしてしまえるようなシチュエーションであっても、過ちを過ちのままにしておくことがどうしても許せないのです。

第一話を見る限り、斉藤さんの怒りはもっともだと思う部分も多い一方で、押し付けがましく感じられることも少なくなく、またそこで他人にまで自分の意見を押しつけない方がいいのでは?と思うところもしばしばでした。

しかしそんなことはおかまいなしに私は斉藤さんに惚れました。理想の女性といってもいい。
それは斉藤さんの行動ではなく、彼女の心意気ゆえです。
正義感だけでなく生き方のすべてにおいて、斉藤さんには揺るがぬ自分の意志というものがあります。そして他者がどうあれ、自分はあくまでもそれを貫く人なのです。

たとえば不正を糺そうとしたときに政治家の名前をちらつかされても、「それと何の関係があるの?」と一蹴。政治家の名前を聞いてどれだけほかの人間が口をつぐもうと、たとえ一人だけになっても一度出した意見は曲げないのです。

こういう生き方をしていると日本の社会ではしばしば爪弾き者にされ、孤立無援になります。
もちろん斉藤さんも息子の通う幼稚園のお母さん連中から仲間はずれにされて、彼女たちの食事会にもただ一人斉藤さんだけは一緒に呼ばれません。

そういう状況ですから、お母さんグループに入っている人々は口々に「斉藤さんは新参者のお母さんに取り入って仲間にしようとしている」などと好き勝手なことを言っていますが、あんたらどれだけ莫迦なんですか。斉藤さんがそんなことしたがるわけないでしょう。
自分が莫迦だからといって、他人も同じような莫迦と思っちゃいけません。

斉藤さんは「不本意ながらひとりぼっちでいる」わけじゃない、好きこのんでそうしているだけです。あるいは、特につるみたい相手がいないからつるんでないというだけのこと。
そしてこれこそ私が斉藤さんに惚れた一番の理由です。

たまたま気の合った仲間と親しく付き合うのは、とてもいいことだと思います。
しかし「自分に仲間がいない」という状況をおそれて大して気の合わない相手のご機嫌を伺い、媚びへつらい、自分の意見を殺してまで付き合う仲間は本当に「仲間」といえるんでしょうか。

それが趣味のサークルとかなら共通の話題などから気の合う仲間も自然と出てくるかもしれません。しかし近所付き合いや保護者の集まり、学校のクラスメイト(そもそも私はクラスメイトという言葉を好まない、なぜなら彼らはたまたま同じ教室に振り分けられただけであってそれは「メイト」ではないから)のような無作為に集まった人間同士では、必ずしも気の合う人が見つかるとは限らないでしょう。
そういう時、必死になって仲間を作って相手のことをたいして知りもしないのに友達呼ばわりしたりするのはおそろしく不自然なことのように思えます。

私は高校も大学も地元でないところに行きましたので、初対面のたまたま隣り合った者同士がいきなり親しく声を掛け合い、なんとかして仲間を作ろうとする人々を何度も見てきました。
そういう人々の群れに私は加わらなかったので、しぜん入学から数カ月後にはほかの人々がみなグループを作っている中、一人でいることが多くなりました。

すると不思議なことを聞いてくる人がいる、「ラナちゃんはどうしていつも一人でいるの?」と。
一人でいるのに理由が要るのでしょうか。それを言ったらほかの人たちが必死になって群れたがる理由こそ私には謎なのだけれど、私にとってはその時読んでいる本の続きの方がよほど直裁に知りたい情報だったので、深く追求することはしませんでした。

そんな学生生活を送っていても1年の終わりには気の合う人が見つかってきます。特別友達を探す努力をしなくても、本当に必要な仲間なら必ずお互いに引き合うようにして見つかるものです。
そういう仲間の作り方だから、私が友達と呼ぶ人はごく少ないけれど、みんな私のような偏屈者と付き合ってくれる奇特な...いえ、人間のできた人ばかりで、そういう人たちがいてくれればそれで十分だと思っています。


だから斉藤さんのような人に対しては私自身とても共感できる部分があり、どうせなら斉藤さんくらいその生き様を徹頭徹尾貫きたいものです。
まあ、いくら正義でもあまり他人にまで押しつけるとあのドラマのように問題も起きてきますから、せめて自分の中でだけはしっかり揺るがぬ矜持を持っていたいですね。

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