京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

どんなふうに本と暮らす

2022年12月09日 | こんな本も読んでみた
『名残りの花』(澤田瞳子)、『花下に舞う』(あさのあつこ)の読後の思いの収めどころを作りつつ、『最後の読書』(津野海太郎)の読み飛ばしていた章を埋めた
齢を重ねるごとに、人はどんなふうに本と暮らしているのだろう。記憶力や視力の低下という現実問題を抱え、それでも読書があるのは。
「知る楽しみ」が私自身にも自分の喜びとしてあるからだと共感した。


明治と改まり何もかもが、人の心まで変わってしまった時節に、27年の幽閉を経て戻った鳥居胖庵、77歳。
取り残された「不幸を嘆き、人のせいにし、世を妬んだって、現実は何一つ変わらない」。
「人は決して、新しさのみを糧に生きるわけではありません」と苦難でありながら能役者を目指す若者がいる。
胖庵は彼に眩しさを感じつつ、世間の推移に左右されず、守りたいと思うものを捨てずに己の道を精進して生き抜けと見守る。
「生きていかねばならぬのだ」。己を曲げない。それは心を閉ざして生きることとは異なる。

退屈で退屈で、わくわくと、知的興奮に駆られるなどとんとないまま…。
それが最終章になり一変した。
作者は何を伝えようとしているのか。意図するものを感受したいと、耐えたな、今回。


風に吹き寄せられ、散り積もった落ち葉は、根っこを覆い、温め、土に還る。
それは、「ページが1枚ずつ重なって本となり、読んだ人の心を温め、滋養となっていくのと同じだ」(『モンテレッジオ 小さな村の旅する本屋の物語』)。 ー 知るよろこび、がある。

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2 コメント

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Unknown (nekodrip)
2022-12-10 14:16:38
あさのあつこさんの作品いいですよね。好きな作家さんです。
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あさのあつこ作品 nekodripさん (kei)
2022-12-10 17:45:50
こんばんは。
コメントありがとうございます。

この続巻が出ましたが、単行本で買うには…。
そうしますと3年近く?も文庫化を待つことになり、辛いところです。
お好きな作家さんなのですね。
またご紹介くださいね。
おかげさまで一人新しい作家さんを知ることができ、感謝しております。
返信する

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