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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

ほめるにしろけなすにしろ

2025年05月01日 | 催しごと

「卯月ばかりの若楓、すべて万の花・紅葉にもまさりてめでたきものなり」
と兼好法師が書いている。この筋に楓はなかったように思うが、「五月は新緑の月」。目にもやさしく、ずっとたたずんでいたい心地よさだ。
今日から春の古書大即売会が始まった。
会場のみやこめっせへ、琵琶湖疎水の西側に沿って北へ歩いた。

  

背表紙を追いながら何気に手に取って、数冊選んで帰る
この『追悼の達人』(嵐山光三郎)で追悼されているのは、明治・大正・昭和の文士49人。
子規、紅葉、八雲、眉山、敏、漱石、…賢治もいるし、かの子さん、鏡花、光太郎とか太宰、…実篤に小林秀雄。

「追悼ハ珠玉ノ感涙文芸デアル」とある。

ぱっと開いたところに、「内田魯庵  毒舌家が死ぬと、どう言われるか」。

魯庵が死んだのは昭和4年、享年62。
翻訳家として出発し、小説も書き、人生後半は丸善の顧問に。大杉栄の理解者だったそうな。
文芸批評、社会風刺の舌鋒は鋭く、「辛辣骨を刺す批判」で人気者を次々にやり玉にあげ、敵が多い人物だったようだ。
「毒舌家は消耗品である」「時流にのって鋭い警句をとばし、権威にたてつき、反骨ファンのヤンヤの喝采を浴びても、所詮、時間とともに忘れられる」と著者は言っている。
魯庵はすでに忘れ去られた論客だが、いわゆる毒舌家が死んだら敵対した人物がどう反応するかの視点で、さまざまな追悼、追悼文が引用され紹介されている。 
「ちょっと面白そうね」「異議なし」 で、400円で手に入れた。

「ほめるにしろけなすにしろ、追悼する人もまた試される」
  この言葉、状況を変えて、さまざま当てはまる。

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