京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

むらさきなるもの

2024年04月28日 | 日々の暮らしの中で
清少納言は『枕草子』(88段)で、「めでたきもの」に
「色あひふかく、花房ながく咲きたる藤の花の、松にかかりたる」をあげ、
「花も絲も紙もすべて、なにもなにも、むらさきなるものはめでたくこそあれ」と賞賛する。



淡い青味のある紫色の花房を垂らして、しとやかに優美に咲く藤の花。
淡く澄んだ紫色は、平安人の美意識にかなう〈色の中の色〉であったと。


賀茂川沿いに少しばかり奥へと歩いて行くと、ヤマフジが目に入る。
丹精された藤棚の美しさもよいが、自然が見せてくれる姿に出会う楽しみは大きい。
世はゴールデンウイーク。それぞれ自分たちの人生、世界を大切に、あれこれ心をつくした工夫の中で過ごしているのだろう。
夏日を記録した京。昨年より19日も早いと報じていたが、晩春を彩るヤマフジを訪ねた。


路傍はシャガの花が咲き乱れ、オドリコソウは踊り子が隊列を崩し、離脱者あり。
移りゆく季節はとどめようがない。

わずか小一時間ほどの散策だが、なにやら静かな充実感が…。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (sk_oyazi)
2024-04-29 07:25:13
去年の秋もですが、
春もまた、
あっという間に過ぎ去った気がしますね。😄
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藤の花 (りりん)
2024-04-29 10:51:47
こんにちは

手入れの行き届いた藤の花も美しいのですが
こういう山野に咲く藤の花が好きなんです。
散策しながら感じる、木々の息吹
自分も息を吹き返せる素敵な時間ですね。
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秋も春も  sk_oyaziさん  (kei)
2024-04-29 11:27:55
こんにちは。
秋は紅葉を楽しみ、春には木々の芽吹きに始まり
桜の開花を心待ちにして…
散り始めればもうあたりは新緑に包まれてますね。
ほんと、あっという間に過ぎるようです。
短いからこそ、この移ろいを愛でもし楽しんでもいるのですよね。
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山野の樹々の息吹  りりんさん (kei)
2024-04-29 11:40:11
こんにちは。

木々の息吹の中に身を置くと、そうした生気がわが身にも作用しますよね。
これは確かです(笑)、よね。
川向うにはあちこちフジが咲いていますが、人間の手が入らず自然そのものです。
かるく手で触れて感触も楽しんで、きれいな色ですね。
山野に楽しむ、りりんさんのお疲れ回復にもよさそうです。
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やまふじ (Rei)
2024-04-30 20:50:11
街中の人工的な藤棚の花しか見たことありません。
山の中の藤の花、初めて拝見しました。

お嬢さんのご家族がお国へ帰られて3年なのですね。
お三人のお孫さんたちは大きくなられたことでしょう。↓
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川べりを行きますと Reiさん (kei)
2024-04-30 21:38:35
街中にお住まいですと日常には縁遠いかもしれませんね。
手入れの行き届かない沿道に、なにかの木に絡みついて房を垂れています。
やがて葛の葉が覆い尽くす場所です。

子供の成長は早いですね。
学校行事も相次いで、下二人は楽しめているようです。
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