京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

早いが取柄手抜き風

2024年06月16日 | 日々の暮らしの中で
昨夕、大門を閉めようと外に出たとき、「あーっ、あめ、あめだ」という声が聞こえました。
「あめがふってきたぁ」
近所の小学生です。はずんで聞こえたのは子供心にも一雨の有難さを欲していたのか、ただ単にこちら側の思いだったのか。
しばらくの間、乾いた大地に沁み込む雨の匂いが屋内まで届いていましたが、やがて本降りに。
夜は久しぶりの雨音のなかで本を読んだりしていた。


店頭に新らっきょうが並び出した頃、何年か前に向田邦子流のらっきょうの生醤油漬けを真似たことを思いだしていた。
洗って水けをきったものを漬け込むだけで、2日もすると食べごろになるというものだった。

「早いが取柄手抜き風」の酒の肴だったり料理?が多く記されているが(『夜中の薔薇』)、ただしそれらは決まったように〈いい皿に〉〈九谷の四角い皿に〉〈とっておきの双魚の青磁の皿に〉〈魯山人の俎板皿に〉と、好きで集めている瀬戸物のあれこれを使い、見栄えも盛る。
らっきょうを盛る小皿は、毎年お気に入りの〈「くらわんか」の天塩皿〉と決まっているのだった。
こういう心の持ち方こそ日常うんと真似たいところ。

例のらっきょう漬けはあの年だけのこと。
今夏は、向田流「枝豆の醬油煮」を試してみようかと思いついた。
枝からサヤを手で千切ったものを塩磨きして、うぶげを取り除き、さっと茹でて、酒、醬油、味醂にほんの少し水を足して煮る。出汁も使わず、水だけで。「このほうが自然の味でおいしい」と言われる。大鉢に、山と盛ってみよう。
最初はそこそこで。
コメント (2)
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