京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

お薦めできない ?

2022年01月12日 | 日々の暮らしの中で

5歳の女の子みいちゃんがお母さんにお使いを頼まれる『はじめてのおつかい』は、子供たちと繰り返し読んだ絵本の一冊でした。
1月上旬、「絵本の世界に父親の登場がない」「古い価値観の刷り込みが心配」「名作だから安心、ではない」などといった指摘とともに、絵本の多様な読み方を考えさせられる記事がありました。

『はじめてのおつかい』は書庫に下げたというところもあって、正直なところ、それほどまでに「お薦めできない」作品だとは思いもしなかったことです。「ジェンダー(文化的・社会的性別)の視点から」でした。つまり、性別による役割分業、男の子女の子のイメージ、などの固定化とか。

一人でお使いに出るみいちゃんの不安や頑張り、目的を果たせた喜び、ほめてもらう嬉しさ等々、一緒に疑似体験しながら子供の心に何かが残れば、それは形のない宝物となります。絵本は読み手の自由な想像力、解釈、受け止め方があってよいのでは。一つの読みしかできない作品は、イメージが乏しいと思うのです。長く読み継がれてきたお話の世界を、そこに紡がれた言葉を、どう読むか。

『はじめてのおつかい』では、もっと純粋に、みいちゃんの心細さや安堵感、喜びの心のそばにいて、読み継ぎたい作品だと思うのです。
この作品にジェンダー、ジェンダー…。指摘を理解はしても、すべてに共感できるとはいいがたい。あまり声高に言いたくありませんのですが、こんなこと思うのはとりもなおさず私の価値観が古いのですかね…。とばかりは思っていないのですが。だからそれがやっぱり古い?



もう娘家族の所に送ることもないだろうと、昨年末に『ちびくろサンボ』を処分してしまいました。これはサンボ少年の呼称が「黒人差別」に当たると、ずいぶん前に指摘があり、すでに絶版です。
サンボから取り上げた服や傘を、互いに奪い合うことになった4頭のトラたち。〈…トラはぐるぐるぐるぐるまわって、とけてバターになっちゃいました。お母さんにパンケーキを作ってもらい、サンボは11枚(?だったかな)も食べました〉、とかで終わったような。擦り切れるほど読んだ一冊でした。

点訳時、時流に乗るばかりでなく選択眼もきちんと持ち合わせたいと思って…。

 (ゴールドコーストで休暇を楽しむ娘家族。コロナ感染拡大で24日の始業は延期だそうな)

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4 コメント

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三人のお孫さんたち (Rei)
2022-01-12 18:58:59
皆さんもう大きくなられて、この種の絵本は
卒業ですね。
絵本の世界にもジェンダーなのですね。
そうそうあちらは日本と逆、季節は夏でした。
コロナが収束して思うように行き来できるようになるといいですね。
私の残り少ない人生、今ならまだ歩けますのに
思うところにいけなくてとても残念です。
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個々の問題意識の反映でしょうか… Reiさん (kei)
2022-01-12 22:24:13
この場合のジェンダー問題。
声を大にして主張したくはないのですが、どうなんだろうと疑問は持ちます。
京都市男女共同参画センター・ウイングス京都では書庫に下げたそうです。
薦められない絵本は、所蔵の500冊以上を調べて20冊近くあったということ。
具体的にお訊ねしてみたくなりました。

名古屋市の覚王山揚輝荘、二葉館、博物館での「大雅と蕪村展」など
名古屋にお住まいの方がブログで紹介くださってるのを拝見しております。
Reiさには遠いのかしらと思いながら…。
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最良の対策は? (伊豆の花)
2022-01-14 11:44:44
おはようです。

最近、ジェンダーに限らず、何かと「差別」が問題とされていますが、個人的意見として、自分自身が実際に差別を受けないと正しく理解出来ないのでは・・・と思う事があります。
程度が違い過ぎますが、私自身の場合、それなりに勉強をし、長く働いていたにも関わらず、男性社員から、「女のくせに生意気に」とか陰口をたたかれた時もありましたし、モノ申すと「女らしさが無い」とか言われてきました(自分でもそう思っていたから反発はしなかったですが)。
でも、そんな時に一番情けなかったのは、問題提起した事に、同じ立場と思っていた女性社員から「貴女は私達と違うから」という言葉が返って来て、私に共感してくれなかった事でしたね。
差別を受けたと感じるのは、結構、個人的な感覚なのだなと、その時、少し理解しましたよ。


大局的に「差別禁止」を唱える事は賛成ですが、個々に集中的な攻撃をするより、案外、同じ立場にいる仲間の意識改善が大切ではないかという思いは持っていますよ(海外事情は分かりません)。
私の拙い経験上からの考えですから、きっと、標準的な最良の対策ではないとは思いますが・・・
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見直すこと考え直すこと、伊豆の花さん (kei)
2022-01-14 17:11:08
こんにちは。
人種、宗教、風習、価値観、…ジェンダー、様々にある違いを尊重し支え合える社会であり、生き方ができるようになるといいですね。難しいですが。そのために人としての叡智を尽くす…。

こうあるべきだ、自分の考えが正しい、と思い込んでいますと、枠外はすべて否定や排除につながってしまいがちですね。
「同じ立場にいる仲間の意識改善が大切ではないか」
声高に主張しなくても、おっしゃるように身近なところから輪を広げていくことの大切さ、必要性を思います。

「トイレに“男性”が入ってきた」と警察に通報した女性がいたことが、このところ新聞の声欄で何度か話題になっています。
社会が熟していないとか、意識が薄いとか言うのはきれいですが、自分自身を見つめましても、
きっとその場では意識の中に不快感とか嫌悪感みたいなものが生まれ、通報までいかずとも場所を変えるかしただろうと思ったものです。
まずは自分の意識改革?
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