京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「寄り道してくれない?」

2023年07月20日 | 映画・観劇
パリのタクシー運転手シャルルは、92歳の女性マドレーヌをパリとは反対側にある施設まで乗せることになった。
マドレーヌの持ち物は、小さなスーツケース一個だった。
先方との約束の時間には間に合わない。
シャルルを相手に思い出が語られ、彼女の願いに添って寄り道をして回り、最後は二人でディナーを愉しんだから…。


パリで過ごした多くの時間。思い出の風景、場所に別れを告げる胸の内を思うと切ないが、
それにしてもの壮絶な人生の回想に、しばしば息を呑んだ。
「そういう時代だったのよ」と言うだけで身の上嘆きはしないが、厳しい人生であったことは確かだ。でも同時に甘美な思い出を持ち合わす。

どの場面であったか。いとしい者たちの写真をみていれば、良い想い出をよみがえらせることができる、とマドレーヌ。
 ひとつ怒れば一つ歳をとる。
 笑うとひとつ若返るのよ。

タクシー料金は未払いのまま、再会を約束した。
シャルルは妻を彼女に合わせたいとも思い、娘と3人で訪問する。が、…思わぬことが待っていた。

「袖振り合って縁をも活かす」というようだけれど、血のつながりがなくても、また、時間の多少にかかわらず、心が触れ合うなら何かが起こるかもしれない。偶然ながらも訪れる、人の世の縁の大切さをやはり覚えておこう。

― 意識しないような短い時間が絶え間なく経過して、たちまち最期は来る
とは清川妙さんだった。
知らずしらず背負い込んだ積年のお荷物は棚卸しに努め、身辺こざっぱりと暮らす。そしたら最後の持ち物はスーツケース一つの量にまとめられるものかしら…?
人生、「寄り道」だけは多い方がいいのかもな。

さてと、映画のテーマはどう考えればいいのかな…。 

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