その瞬間は一過性のものだったとしても、もし心のどこかに蓄えられていれば、なにかを探して生きていくうちに目覚めることもあるだろう。
若い時にこそ知っておく、触れておいて欲しい。そう思って、中学生には難しいとは思ったが高校生の胸に働きかけてみた。
文芸評論家としてのお名前を知るくらいだった加藤典明さん。難病を得て2019年5月に71歳で急逝された。書評で『大きな字で書くこと』を知って購入したのが8月半ばだったから、ずいぶん長いことをかけて読み継いだ。141ページほど、単に読むのが遅いということにもなるが、少しずつときどき手に取って…という読書もある。

【小さな字でぎっしりと書いてきた。簡単に一つのことだけ書く文章とはどういうものだったか。それを私は思い出そうとしている。大きな字で書いてみると、何が書けるか】(「大きな字で書くこと」)
【自分の中にもう一人の自分を飼うこと。ふつう生活している場所のほかに、もう一つ、違う感情で過ごす場所を持つこと。それがどん詰まりのなかでも、自分のなかの感情の対流、対話の場を生み、考えるということを可能にする。それは、むろん、よく生きるためにも必要なことである】(「もう一人の自分を持つこと」) これは2019年3月2日に記されている。
読んで氏の思いをためて…、今一度、二度も三度も、巻頭の詩に戻る。
病床で最後に記したという自作詩「僕の本質」。
「僕の本質は / いま / 表と裏を見せながら庭に落ちる / 一枚の朴の葉//」
「誰にも言えないことを抱えることは / 一枚の朴の葉にとって / 大切なことであろう //
表と裏があることは / 一人の人間が人間であるための / 本質的な条件なのだ//」
病床から贈られた言葉を、若い子たちと一緒に耕してみたいと本日の寺子屋サロンで紹介してみた。

若い時にこそ知っておく、触れておいて欲しい。そう思って、中学生には難しいとは思ったが高校生の胸に働きかけてみた。
文芸評論家としてのお名前を知るくらいだった加藤典明さん。難病を得て2019年5月に71歳で急逝された。書評で『大きな字で書くこと』を知って購入したのが8月半ばだったから、ずいぶん長いことをかけて読み継いだ。141ページほど、単に読むのが遅いということにもなるが、少しずつときどき手に取って…という読書もある。

【小さな字でぎっしりと書いてきた。簡単に一つのことだけ書く文章とはどういうものだったか。それを私は思い出そうとしている。大きな字で書いてみると、何が書けるか】(「大きな字で書くこと」)
【自分の中にもう一人の自分を飼うこと。ふつう生活している場所のほかに、もう一つ、違う感情で過ごす場所を持つこと。それがどん詰まりのなかでも、自分のなかの感情の対流、対話の場を生み、考えるということを可能にする。それは、むろん、よく生きるためにも必要なことである】(「もう一人の自分を持つこと」) これは2019年3月2日に記されている。
読んで氏の思いをためて…、今一度、二度も三度も、巻頭の詩に戻る。
病床で最後に記したという自作詩「僕の本質」。
「僕の本質は / いま / 表と裏を見せながら庭に落ちる / 一枚の朴の葉//」
「誰にも言えないことを抱えることは / 一枚の朴の葉にとって / 大切なことであろう //
表と裏があることは / 一人の人間が人間であるための / 本質的な条件なのだ//」
病床から贈られた言葉を、若い子たちと一緒に耕してみたいと本日の寺子屋サロンで紹介してみた。

私が故郷の戻ってから十数年間、最初は何がきっかけだったか忘れましたが、小・中学校で同年だった人たちと「遊びの会」を続けて、時折、幹事もしています。
学校時代には付き合いのなかった人も、この会を通して、まるで旧知の仲のような付き合いをさせてもらっているのですね、やはり、人と人の繋がりは面白いし価値のあるものと理解しています。
でも、性格の違いは今更修正も効かず、多々問題も起きます。
そんな時は、まず自分自身の意見を引っ込めて他の意見を取り入れるようにしますが、こんなことが続けとストレスがたまり壊れそうになり、こちらの苦労を分かってるのか?何故、皆と協調できないの?と逆恨みしたり・・・
「表と裏があることは / 一人の人間が人間であるための / 本質的な条件なのだ」
この言葉がグサッと胸に刺さりました。
典明氏の意図とは違うかもしれませんが、「友人であることより人間であることを優先している」と勝手に理解し、腑に落ちた感じです。
素敵な詩をご紹介くださって感謝!です。
時々「寺子屋」がブログに登場していますが
若い方たちの学びの場なのでしょうか?
そこで教えていらっっしゃるのかしら?
自分の中にもう一つの自分>表裏一体などの言葉が
浮かびましたが、
人は誰でも二つの側面があるでしょうね。
難しく考えたことありませんが、
私の場合揺れ動く心はいつもです。
写真はJessieちゃんですね。面白い写真です。
「もう勝ってばかり言って!」「私の苦労も想像してよとか!」とか?
言い出せない思いで爆発しそうになる心境も真実でしょうし、
和やかに集まれて、つながりに感謝の心境になれるのも一方の真実ですよね。
ご自分の心への正直さ?と、それでも何とか会の開催に向けてなさる努力の葛藤…。
きっと何度も体験されてらっしゃるので、
ご自分に引き寄せて典明さんの言葉を味わえるのですね。
うまくいかないときの自分を全否定せず、裏の、別の自分も大事にして
程よくつり合わせていけたらなあと思うのでした。
詩は気に入った節の一部引用です。
今日は降ったりやんだりの雨で、気温が下がりました。
ちょっと時間もあって、ちょうど読み終えたところだったりで
話題の提供でした。
人は一つの感情で動くのでもなく、相反するような思いとも同居していますよね。
心は揺れますね。状況次第でゆらゆらよく動きます。
どれも自分。若いうちは思い込みも強く、激しく深かったりしますが、
過ぎずに駄目ならこっちの自分で?とうまくバランスが取れればいいですよね。
好奇心旺盛な表情、いつまでも活き活きとと思います。