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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

人を結ぶのりしろ

2025年04月01日 | 今日も生かされて

境内の隅っこで、古い家具を電動のこぎりで処分していると、向かいに住むSさんが戻ってきて車が車庫に収まるのが見えた。
「どこ行ってたんですか」 入って来たので聞いてみた。
「うん?」
「パチンコ?」 いつだったかパチンコが好きだと聞いたことがあったからたずねたが今や卒業したらしい。「ちがうわ」と笑って返事があった。

「なにしてるねん」
…って御覧の通り。解体すれば処分の費用も安くなるから頑張っているのだと言っても、
「したろか?」とは言ってくれない。手伝う義理もないのだが。


家に入らず、しばらく話していくには、
寺の総代になったという。そこに墓地の管理責任者の役も加わり、もう一つ、檀家で作るなんやらの委員もかぶっているというから、「もてもてですわね」と応じた。

わたしと同い年のSさん。総代を受ける年齢かと、わが身の齢を忘れて密かに驚きもしたが、良いお年頃だった。
宗派は同じでも、寺は別。
「そやさかい」「そやさかいな…」と話が続く人で、「そやけえ」と、たまに入るのもまた彼の癖?なのか。
生涯独身できている。そのあたりは彼のプライベートな話だから控えたい。
おっとりとした良い方だ。「そやけー、そやけー」が耳につくくらいで難はない。

我が家でも年度替わりで新年度の世話方さんの寄り合いを予定しているが、役員さんは継続でお願いする年にあたっている。
何をするにも“高齢化”の言葉がついてくる。少しでもご門徒の関りを多く得ていく工夫こそ欲しいと思うが、会食しながら、あれこれの話も出るだろうか。アタマがお堅い人ばかりじゃないはずだけど…。


Sさんのおっとり感は、きっとのりしろとなって人を結びつけるだろう。細身にも貫禄がついて、いつになく張り切って見える。笑みが滲むようなのも、気持ちが充実している証しかもしれない。今度会ったらそう言ってみよう。


不平の嵐に花を散らせず、楽しく花見をしましょっと。明日はあたたかくなるらしい。
コメント (4)
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