芥川の作品集や『掌の小説』(川端康成)の中から時おりランダムに読み返すことはあるけれど、どちらかと言えば好まないということもあって、進んで短編小説を読むことは本当にまれだと思っている。
そんな中で、ずいぶんかかったけれど澤田ふじ子さんの『花暦 - 花にかかわる十二の短編』を大満足の中で読み終えた。

一編ごとに、ヒロインの日々の営みの中で花が深い関わりを持ち、運命さえも変えていく展開を見せる。
限られた紙面(原稿用紙13枚だとか)の中で、歴史や風土、文化、人情にも触れた12の人生を見せられながら、澤田ふじ子が描く世界のつながりの色濃さが、読後の満足感となったようだ。
もちろん構成の巧みさも大きい。
ひとつ読み終えるたびに、(おぉー!)(いい!)(巧いなー!!)と唸った。
久々に短編の妙味を味わった気がしている。
無駄を省いた端正な文章。語り過ぎない中で、繊細な思いが込められている。
とりわけ結末部分については、語られない行間に感動が生まれる。
〈いいたいことすべて書く必要はありません。
短い文章で書き尽くせば(言い尽くせば)よいのです〉
乙川勇三郎氏の作品にあった一節だが、改めて心に刻みなおしたい。

空が暗くなって一雨あったりしたが、そろそろ梅雨明けになるのだろうか。
花茎を伸ばしハゼランの花が咲きだして、葉陰にはこんな茶っぽい小さな蛙が2匹姿を見せるようになった。
そんな中で、ずいぶんかかったけれど澤田ふじ子さんの『花暦 - 花にかかわる十二の短編』を大満足の中で読み終えた。

一編ごとに、ヒロインの日々の営みの中で花が深い関わりを持ち、運命さえも変えていく展開を見せる。
限られた紙面(原稿用紙13枚だとか)の中で、歴史や風土、文化、人情にも触れた12の人生を見せられながら、澤田ふじ子が描く世界のつながりの色濃さが、読後の満足感となったようだ。
もちろん構成の巧みさも大きい。
ひとつ読み終えるたびに、(おぉー!)(いい!)(巧いなー!!)と唸った。
久々に短編の妙味を味わった気がしている。
無駄を省いた端正な文章。語り過ぎない中で、繊細な思いが込められている。
とりわけ結末部分については、語られない行間に感動が生まれる。
〈いいたいことすべて書く必要はありません。
短い文章で書き尽くせば(言い尽くせば)よいのです〉
乙川勇三郎氏の作品にあった一節だが、改めて心に刻みなおしたい。

空が暗くなって一雨あったりしたが、そろそろ梅雨明けになるのだろうか。
花茎を伸ばしハゼランの花が咲きだして、葉陰にはこんな茶っぽい小さな蛙が2匹姿を見せるようになった。