ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

「関心領域」

2024-06-27 08:40:34 | 映画
本日も同じく、重たい曇り空。
毎日、時折降る雨に洗濯物を出したり引っ込めたり。
でも、午後から明日にかけては本格的な雨になるそうです。
梅雨ですからね。
仕方ありません。

さて。
昨日は「関心領域」映画を観てきました。
多分、世界史の中で、私が一番興味があるだろうと思う
第二次世界大戦下のユダヤ人迫害。
映画の題材としても多く扱われています。
この映画では、アウシュビッツ収容所の所長・ルドルフ・ヘスの
日常を淡々と描いています。

所長の家は、なんと。
収容所と壁一つ隔てた所にあります。
一日中響くボイラー音、銃声、悲鳴。
煙突から絶え間なく出る煙。
それらを見ながら、聞きながら、そして多分、匂いも嗅ぎながら
妻は自分好みの庭を設えることに熱中し
夢見た以上の生活だと満足します。

収容者から巻き上げたブラウスや毛皮のコート。
貴金属。
その背景には目を向けず、目の前にある瀟洒な物だけに
自分の関心を寄せます。

映画自体、本当に淡々と、そういう日常を描いています。
塀の後ろにあるものを、皆理解していながら
見ない。

人間は、自分の関心のあるものだけに目を向けるということでしょうか。
私はある意味では、
自分の心を守るために、敢えて見ない、心を寄せないという手段を
無意識でとっているのではないかと思いました。
甘いかな。
甘い考えでしょうね。

妻は、家や庭を自分の好みに仕上げることに熱中し
夫は、いかに効率的に収容所を運営するかに熱中する。

心が強いのか、弱いのか。
強いから、現実を無視できるとも思えるし
弱いから、目の前の関心事にだけ集中するとも思えます。
途中で、妻の母親が同居しかけるのですが
この母親は塀の後ろの現実に耐えられず、この家から逃げ出します。
これが普通かなと思います。
だとしたら、逃げ出さずにその現場に居続けるのは
やはり心が強いのかもしれません。
夫の転勤で移動するチャンスがあったにも関わらず
妻は、この家・庭に執着して居続けたのですから。。。

最後のシーンで、ヘスが再びアウシュビッツ収容所に戻る辞令が出て
暗い階段を一人降りる途中、
何度か嘔吐します。
その意味は・・・
ただ疲れていたのかもしれないし、
実は、己が抱える現実がふと目の前に現れたのかもしれません。
妻に良い暮らしをさせている事実と
任務の現実の間で、一瞬、眩暈に襲われることは度々あったのではないか。。。
希望的感想ですが。

面白いかと言われたら
あまりに淡々としていて、メリハリのない映画です。
だからこそ、怖いのでしょうが。
音だけで、後ろにある惨状を想像させるのですから。

音と言えば・・・
ず~と響いているボイラー音が実に不快でした。
エンドロールで流れる不協和音も実に不快。
耳が弱い私は、眩暈がしそうになってエンドロール途中で退席しました。
見終わった後も、なんとも不快な感じが残り
お茶する気分にもならずにさっさと帰宅しました。

いくつも、ユダヤ人迫害の映画は見てきました。
シンプルに、酷い事実だと思ってきました。
でも今、そのユダヤ人国家が他民族を攻撃し続けています。
自分たちが600万人も惨殺されながら、滅亡しなかったように
相手だって多分、滅亡することはありません。
何故そのことに思いが至らないのか。
イスラエルという国が、常に存続のために
人口を増やす政策を取っていると知り
その考え方は、いかに効率的に収容所を運営するかのシステムを考えたドイツと
あまり変わりはないと思うようになりました。
イスラエルの現状を思うと、
この映画が今公開されているのは皮肉だとも思いました。
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