ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

疲れた電話。

2021-11-17 09:39:06 | 家族のこと
母親が亡くなって、困惑したのは一本の電話でした。

両親がかつて住んでいた家のご近所の方から電話がありました。
年齢は母親よりも20歳近く下の女性で
母親と仲良くしていたそうです。
私も面識がありますし、年賀状のやり取りはしていたこともありました。
両親が、最期の家に移住してからも
彼女は時折電話でお喋りしていたそうで
わざわざ会いに行ったこともあるとか。
ある時、また母親とお喋りをしようと電話をしたけれど繋がらない。
そのうちに、この電話は使われておりません、と言われた。
どうしたのだろう・・・と不安になり、
私の年賀状を思い出して、私に電話をしてきたとのことでした。

さて。
私はどのように反応すべきなのか。

様々なことが頭を駆け巡りました。
大人の反応か、素直な気持ちか。

随分前ですが、カウンセラーに言われた言葉を思い出しました。
わかる人とわからない人、峻別していいと。
正直に言うことだけが正解ではない、と。
傷つく必要はない、と。
それは嘘ではない、と。

淡々と事実を彼女に伝えました。
勿論、驚かれていました。
そして、母親とのお喋りがとても楽しかったと思い出話を語り始めました。
正直、苦痛でした。
あなたがお喋りした相手は、違う面もあったのですよ。
身内には誰一人、彼女を慕う人はいなかったのですよ。

言いませんでした。
忙しくて彼女に連絡できなかった、と嘘を言い
優しく接してくれたことに感謝を伝えました。
実際、彼女にとってはいい話し相手だったのでしょうから。

電話を下さった方も70代ですから
偏見でしょうが、老人特有の、自分の話に夢中になり
ただひたすらに、自分の話だけをされていました。
聞く耳持たず?
ま、いいのですけれどね。
私はどっと疲れましたけれど。

本当に疲れました。
彼女との会話が一番疲れた。
相手を峻別して、自分が傷つかないために嘘をつくのは悪いことではありません。
話したって理解できないでしょうから。
ただ、どうして他人にはいい人として振る舞い
家族に対して、同じことができなかったのか。
今更ながらに疑問が湧いてきます。
そういう人、だと普段は私も納得しているのに。
他人との会話で、仕方のないことを考えてしまう。
それが苦痛です。

姉とは、もう母親の人格については考えない、と決めました。
そういう人だった。残念だけれど、そういう人が母親だったと受け入れる。
姉の解放感は、私の比ではないでしょう。
母親は全財産、教会に寄付するなんて口走ったそうですが
そうなる前に亡くなり、少しは姉も報われたと思います。
残った私たちは、そういう気持ちで整理して
なんとか穏やかに、今度は仲良くこれからを暮らそうとしているのに
他人の言葉で心が揺れる。
他人と同じような気持ちになれたらラクなのでしょうけれどね。

でも、大人の対応ができて
私はそれ以上傷つかずに済んだ。
よくやった。頑張った。
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