雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

ASI 533MC Pro 導入検証(その3)Gainってなに? 露光時間は?

2023年04月18日 | 機材
SCW の雲予報によると、ほぼ新月の19日夜には初ショットできるかも知れません。
初ショットで満足できる画像を得るためにも、
冷却CMOSカラーカメラ ASI533MC Pro の事前検証を急がなければなりません。

今回の検証項目は ダークファイルを事前に作成するためにも、
CMOSカメラの Gain” と ”露光時間” は どう設定すればよいのか? です。

これまで使っていたデジ一眼では” 感度”といえば ”ISO”になるのですが、
CMOSカメラでは 増幅度の意味もある Gain(ゲイン) がそれにあたるのでしょうか?

メーカーが公表してるCMOSカメラの各特性を表すグラフのうち、感度に関するものは。 ↓
ヨコ軸の ゲイン がカメラの設定値のようですが、タテ軸にも ゲイン の記載があって ・・・

ここは自分で調べるしかなくて
ネットで見つけた 「カメラ感度の評価方法」 を読んでいくと

① センサーで受けた光子が電子に変換される その変換比率を「量子効率(QE)」という
② 変換された電子はウエルに蓄積される 蓄積可能な電子の数を「飽和容量」という
③ 撮影終了でピクセルに蓄積された電荷が読みだされる
④ 読み出された電荷量は16bitのアナログ・デジタル・ユニット(ADU)で変換され
「グレースケール値」として定義される

との記載があり
縦軸の ゲイン(e- / ADU)の意味については
読み出された電荷量e- デジタル・グレースケール値 ADU

この式で分子・分母を逆にすれば”感度”のグラフになるのですが、
このグラフは”感度”の逆、”鈍感”さ の度合いをあらわしたグラフともいえます。

今回カメラを購入した際についてきた簡易マニュアルには
購入元のSTARBASE TOKYOで作成したオリジナルのマニュアル
設定するゲインについては
「基本的には「Unity Gain (ユニティーゲイン)」とするのが無難」と記載されています。
それより高いゲインを設定すると高輝度部が白とびしやすくなり、
それより低い設定だと淡い部分の諧調を無駄にしてしまう
ということだ そうです

Unity Gainでは 入力(星からの光) と出力(ピクセルのカウント値)が1対1の関係になり
ASI533MC Proの場合 上のグラフに記載されている
ゲイン=100” の位置になります。

文字ばかり読んでもピンとこないので、昭和のアナログ人間らしい検証をしてみました。

実際に撮り比べて、デジ一眼と比較

ステラショット2を使って、ASI533MCEOS 6D(HKIR改造) を撮り比べてみました
その結果です ↓
上段が EOS 6D 下段が ASI533MC(冷却オフ) すべて JPG撮影
EOS-6Dはカラーバランスがくずれて比較がむずかしかったので すべてグレースケールに変換してあります
この検証結果では 推奨の ゲイン100 が真っ黒でつぶれているのですが ・・ 大丈夫でしょうか?
( 当然 撮影レンズの 絞り、シャッター速度はそろえています )
この検証結果からは EOS6DのISO800 と 533MCのGain500 が
似たような写り具合 ということくらいしかわかりません。

ここはやっぱり 数値データでの比較がしたい!
ということで
フラット作成に準じて、白いマットを RAWモードで撮る事にしました。
撮れた画像をステライメージ9ベイヤー・RGB変換を行い、そのピーク値を記録ししたのが下のグラフ。(注)読み取り誤差あり
ASI533MC Pro
Gain450でのピーク値はほぼ16ビットの最大値65,535となっています
( あれ! ASI533MC Pro って ADコンバーターは14ビットじゃなかったけ?
疑問を残しつつ、”感度”係数を逆にした”鈍感”係数なるグラフを表示すると
なんと、最初に掲載したメーカー公表のグラフとほとんど同じものができあがりました。

続いて
EOS 6D (HKIR改造)
倍々のISO値ですが、ピーク値がきれいに直線状につながりました
ISO 3200 でピーク値が飽和しているのですが、こちらはほぼ14ビットの最大値16,383に近くなっています

この両者の最大値の違いはどこからくるのでしょう?

両者の相関関係が知りたくて、検証データからこんなグラフも作ってみました。
両者のカメラの最大値が異なることが分かった今
作り直す必要があるかも知れません。

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*その後いろいろ調べたところ、ASI533MCでは14ビトADコンバーターで得られたレベル値を
演算でx4倍にして16ビットレベル値にしている事がわかりました
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そこで上の相関関係グラフの533MCのレベル値を本来の14ビットで作成しなおしたものを追加掲載します。(2023/10/31)
(注)横軸の”Gain”と”ISO”値の位置・幅については深い意味はありません


ところで、来るべき初ショットで設定するGain露光時間は見えてきたのでしょうか?

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”とりあえず検証データはとれた” ということですが、
早ければ 明日夜になる初ショットでは 試写をしながら設定値を選ぶ事になりそうです。
どの選択になってもいいように、残ったダークファイルの作成を急ぎます。
(ノイズが極めて少ないので、ダークは要らないという話もありますが ・・)

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